黒伯爵は星を愛でる(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『黒伯爵は星を愛でる』とは、音久無による吸血鬼を題材としたダークファンタジー漫画。19世紀のロンドンを舞台にした、懸命に頑張る主人公・エスターのシンデレラストーリーは、読者の心を打つ。
母親を亡くし、弟もいなくなってしまったエスターは、突然ヴァレンタイン伯爵・レオンに求婚される。それは、吸血鬼ハンターであるレオンが、ダンピールであるエスターの能力を利用して吸血鬼を狩るためだった。エスターは弟を探すためにレオンに協力し、吸血鬼を狩るために貴族社会で生きることを決意する。

「吸血鬼は無闇に人間を襲わないこと」「人間は吸血鬼に血液を提供すること」を定めた約束。
昔、イングランドの王と、吸血鬼の王・クリスの間で交わされた。
吸血鬼たちが協定を破らないように管理するのが、クリスの役割。
協定を破った吸血鬼は、吸血鬼ハンターの狩りの対象になるか、クリスに処分される。

吸血鬼ハンター

協定を破った吸血鬼を狩る人間。代々ウィンターソン家の者が、その役割を担っている。
吸血鬼と戦うため、銀製の武器を所持している。

半吸血鬼(ダンピール)

人間と吸血鬼のハーフ。
吸血鬼が苦手とする十字架や銀製の武器、聖水に触れても平気。
人間の血液を摂取する必要もなく、普段はただの人間と大差ない。
吸血鬼の存在を探知できる。死ぬと吸血鬼として蘇る。

幽霊

吸血鬼のこと。
幼い頃から、エスターは自分が探知している吸血鬼のことを幽霊だと、メグに教えられてきた。
エスターはそれを信じており、レオンに教えられるまで、吸血鬼ではなく幽霊だと思っていた。
また、メグがエスターに教えた幽霊をやり過ごす方法は、「気づいたことを悟られないように距離を取り、相手の死角に入ったら、振り返らず全速力で逃げる」というもの。

ウィンターソン家

伝統ある吸血鬼ハンターの一族。
人間と吸血鬼の和平の象徴として、両者の橋渡しの役目を担っている。その役目の一環として、吸血鬼と親睦を深めるために、年に一回晩餐会を催す。

晩餐会

人間と吸血鬼が情報を交換し合い、友好を深めるための晩餐会。年に1回開催されていた。
人間の代表としてウィンターソン家の当主一家が、吸血鬼の代表としてクリスが参加する。
ウィンターソン家が吸血鬼の襲撃を受けて以降は開催されていなかった。しかし、エスターとレオンが結婚した後、レオンによって再会された。その際には、吸血鬼の代表はクリスだけでなく、ジェイルも参加する。

黒薔薇城

クリスが住まうギルバート公爵邸の別称。
クリスと同様に人間との共存を望む吸血鬼たちも暮らしている。
黒薔薇城で働く使用人たちは、吸血鬼のことを知っており、血液の提供も行っている。

『黒伯爵は星を愛でる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

レオン「エスター あなたは今日から私の花嫁です どうぞよろしく 愛しい人」

1巻の冒頭でレオンがエスターに言ったセリフ。
ロンドンの下町で花売りをしていたエスターの前に突然現れたレオンは、「エスター あなたは今日から私の花嫁です どうぞよろしく 愛しい人」と告げる。突然の展開に読者は驚く。そして、このセリフをきっかけにエスターの生活は激変し、物語が始まる。
このセリフのすぐ後には、レオンが「逃さんぞ、ダンピール」とエスターを脅している。そのため、エスターをウィンターソン家に連れてくるために言ったもので、レオンの本心ではなかったと捉えられる。
しかし、物語の中盤でレオンは10年以上も前からエスターのことを想っていたことが明らかになる。このセリフは、レオンが気持ちを抑えつつ絞り出したものだったのだ。

エスター「ジョン なかないで エスターがいるから アルもおかあさんもいるよ」

幼い頃、エスターがレオン(ジョン)に言ったセリフ。
吸血鬼の襲撃を受け、ロンドンの下町に逃げ延びたレオンは、エスターたち親子に匿われた。両親や多くの使用人を亡くし、家を焼かれ、レオンは絶望する。エスターは「ジョン なかないで エスターがいるから アルもおかあさんもいるよ」と言って、レオンを抱きしめる。エスターの優しさは、空虚で真っ暗闇だったレオンの心の中を小さく照らした。この時から、レオンにとってエスターは自分を照らしてくれる星になった。ただの女の子から、唯一無二の大切な存在へと変わったきっかけとなるセリフ。幼いエスターの拙いながらも、懸命にレオンを救おうとする様子は、読者の胸を打つ。

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