まちカドまぞく(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『まちカドまぞく』とは伊藤いづもによる『まんがタイムきららキャラット』にて連載されている4コマ漫画およびそれを原作としたアニメ作品。架空の町「多魔市」を舞台に、まぞくの力に目覚めた女子高生の吉田優子は一族の呪いを解くために魔法少女と戦うことになる。魔法少女の千代田桃に勝つために、敵であるはずの桃と修行したり、テストの点数を競ったりなど色々と奮闘しながらも成長し、時に戦い、時に助け合いながら親しくなっていくほのぼの日常を描くファンタジー系コメディである。

『まちカドまぞく』の概要

『まちカドまぞく』とは伊藤いづもが『まんがタイムきららキャラット』にて連載している漫画およびそれを原作としたアニメ作品である。『まんがタイムきららキャラット』で2014月8月号から9月号のゲスト連載を経て、11月号から連載を開始。2019年7月から9月までTBS『アニメリコ』枠でアニメ第1期が放送され、2020年8月に第2期『まちカドまぞく 2丁目』の制作が発表。2022年4月から7月までTBS『アニメリコ』で放送された。
人間とまぞくが共存する架空の町「多魔市」。女子高生の吉田優子(よしだゆうこ)は、突然まぞく(魔族)のシャミ子ことシャドウミストレス優子(しゃどうみすとれすゆうこ)へと覚醒し、邪神像に封印されし闇の一族の始祖リリスから与えられた使命により、世界を救った魔法少女の千代田桃(ちよだもも)に勝つため、あらゆる方法で戦いを挑む。戦いながらも時に助け合い、徐々に親しくなっていく2人を中心としたほのぼの日常を描くファンタジー系コメディである。
ほのぼの系日常ながらも、しかし至る所に伏線が張られており、緻密に構成されたストーリーが、高い評価を得ている。

『まちカドまぞく』のあらすじ・ストーリー

まぞくへの覚醒と魔法少女との出会い

ある日の夜、人間とまぞくが共存する架空の町「多魔市」に住む女子高生の吉田優子(よしだゆうこ)は、夢の中で闇の一族の末裔の始祖リリスに出会う。
次の朝、優子が目を覚ますと尻尾と角が生えていた。母親の吉田清子(よしだせいこ)から吉田家は闇の一族の末裔であること、優子が先祖返りによってまぞく(魔族)になったこと、対立する光の一族によって吉田家が月4万円生活の呪いを掛けられていることを教えられた。
優子は呪いを解くために、光の一族の末裔である魔法少女の生き血を邪神像に捧げるという使命を与えられる。まぞくとして活動するうえで、シャドウミストレス優子という活動名が登録されたのだった。

優子が魔法少女を探して町中を歩き回っていた時、ダンプに引かれそうになった所を魔法少女によって助けられる。その時さらにパンを施され、屈辱と怒りに震え捨て台詞を吐きながらお礼もいうという相反する態度で、魔法少女から逃げていく優子だった。
翌日、親友の佐田杏里(さたあんり)に角と尻尾の事を軽く突っ込まれるが、優子がまぞくになっても周りは特に気にすることなく普通に接してくる。この町ではまぞくの存在はごく普通のことなのだ。
魔法少女を探していることを杏里に伝えると、優子たちが通う桜ヶ丘高等学校に、強い魔法少女千代田桃(ちよだもも)がいる事を教えてくれた。
桃は昨日優子を助けてくれた魔法少女で、6年前に世界を救った存在であった。桃に勝負を挑む優子だが、元々貧弱で人並み以下の戦闘能力しかなく勝負として成り立たない。桃にフォローとアドバイスをされて、捨て台詞を吐きながら退散する。この時以来、活動名にちなんでシャミ子というあだ名で呼ばれるようになった。

シャミ子は桃に幾度も勝負を挑むが太刀打ちできず、むしろ事あるごとに小銭を借り金銭的にも借りを作り続けながら徐々に二人は親しくなる。
そんな時、シャミ子の前に杏里の友達の小倉しおん(おぐらしおん)が現れ、彼女から魔力がゴリゴリにあがるという怪しげな漢方を無理矢理飲まされてしまった。
結果、シャミ子は漢方のお陰で魔力が上がり戦闘フォーム「危機管理フォーム」に変身できるようになった。
さらに夢魔と呼ばれる一族でもあるシャミ子は他人の夢の中に入れるようになり、リリスのアドバイスで桃に生き血を提供させる暗示をかけるため、桃の夢に入る。

桃の夢の中は、どんよりとした空間で桃はヘドロの中に埋もれていた。桃に生き血を分けてもらおうと交渉するが、町の平穏を守るためにそれは出来ないと断わられ暗示は失敗に終わる。
次の日具合の悪い桃と遭遇し怪我の手当てをしたことで、偶然にも魔法少女の生き血を手に入れた。桃の血が付いたハンカチと邪神像が一緒のバッグに入ったため、シャミ子は意図せず封印の一部分を解くことに成功する。結果、リリスと邪神像を使って会話することが可能になり、吉田家の月4万円生活の呪いも解けるのだった。
だが、血を捧げてしまったせいで桃の魔力が弱体化してしまう。その影響で町の外から害意が降りかかるかも知れない。この町は人間とまぞくが共存しながら、微妙なバランスで平和が保たれていた。
桃の魔力が戻るまでシャミ子と桃の2人で町を守ることになったのだった。

町を守るためシャミ子は修行を始める。桃のメチャクチャな筋トレに付き合わされながら、2人は親睦を深めていく。
ある日、杏理の頼みでシャミ子はご当地ゆるキャラ「たまさくらちゃん」の着ぐるみでチラシ配りをしているとき、見知らぬ魔法少女と出会う。
なにか誤解をしている魔法少女はまぞくを見つけ出してしばくと宣言していたため、シャミ子は怖くて何も言えなかった。シャミ子は自分の正体を隠すため着ぐるみを着たまま帰ろうとしたが、魔法少女がずっとシャミ子の後を付けてくる。路地裏に連れ込まれ警戒したシャミ子は、危機管理フォームに変身するが、実際は挙動不審なシャミ子を熱中症になったのではないかと勘違いしていただけだった。
そこに桃が現れ、彼女はこれからは一緒に町を守っていく魔法少女「陽夏木ミカン」(ひなつきみかん)であると紹介された。ミカンには、動揺すると「関わった人にささやかな困難が降りかかる」という呪いがかけられていた。

ミカンが加わり何げない日常と修業の日々を続けながらシャミ子は少しずつ成長していく。
強くなるためにも桃のことをもっと知りたいと、リリスから桃の潜在意識に侵入して親愛の情を植え付ける作戦を提案される。
そんなやり方に抵抗をしていたシャミ子は、結局リリスに煽られる形で桃の潜在意識に入り込むのだったが、桃の意識が覚醒してしまい逃げられなくなってしまう。
桃はシャミ子の能力の危険性を説明して、自分なら悪用する方法をいくらでも思いつくと言うと、「きさまそれでも魔法少女か!!」と突っ込まれるのだった。

無理をしてまで戦う必要はないと説得する桃にシャミ子は、まぞくになる前に体が弱く入院していたこと、お父さんが出稼ぎのために帰ってこれないことを話す。
桃はシャミ子の母が何かを隠していると推測し、お母さんと対峙するように助言する。
その後母の清子から隠していたことがあると切り出され、吉田家の過去を話してくれる。

シャミ子が幼い頃、吉田家は多魔市に来て、桃の姉である魔法少女「千代田桜(ちよださくら)」の世話になる。だが、妹の良子を妊娠したころシャミ子の体調が悪くなり入院することになってしまったと聞かされる。
桜に相談して一族の呪いを1ヵ月4万円生活の呪いに変え、シャミ子を助けることはできたが、代償に桜の魔力が弱まってしまい姉妹の父である「ヨシュア」が桜に協力することになったとのこと。その後、ヨシュアは桜にミカン箱に封印され「お父さんボックス」として吉田家で大切に使われていたとのことだった。
話を聞いた桃はショックを受け出て行ってしまう。桃は行方不明になった姉の桜をずっと探していたのだった。

真実を聞かされたシャミ子は、自分がいろんな人たちのお陰で元気になれたことに感謝し、1人で悩む桃を追いかけることにした。
さくら丘で桃を見つけると、桃に魔法少女をやめて闇の眷属になり一緒に桜を探そうと誘う。
桜が吉田家にしたことに罪悪感を感じていた桃はシャミ子の誘いを断ろうとするが、シャミ子は「まぞくらしく全てを取り戻し欲張りに生きるためだ」と主張する。
シャミ子の想いに突き動かされされた桃だが、あまりに都合が良すぎると不審感を募らせ、弱いシャミ子の眷属になってしまったら自分も弱体化してしまうこと気づくのだった。
闇墜ちは一端保留として、桃は一緒に桜を探しながらシャミ子を鍛えていけばいいと提案する。桃はシャミ子と共に町を守りながら桜を探すことを決めたのだった。

桜の居場所とシャミ子の秘密

シャミ子と桃は共に桜を探すことになった。一方ミカンは吉田家と同じアパート「ばんだ荘」に家賃120円で住むことになる。

桜の手掛かりを求めて、シャミ子達は桜が管理していたミカンの旧家の廃工場に行くことになった。
工場に手掛かりがないか探しているとシャミ子は魔法の杖のような物を見つけ、桃に見せようとしたがシャミ子が触れると杖はフォークになっていた。シャミ子が見つけたのはヨシュアが使っていた物で「なんとかの杖」と呼んでいたと、清子が教えてくれた。結局桜の手掛かりを見つけることはできず、杏里に相談してみる。商店街で喫茶店のマスターをやっているまぞくがいる事を教えられ、その喫茶店を訪ねることにした。

喫茶店「あすら」には魔法少女を遠ざける結界の壁紙が張ってあり、桃とミカンは入ることができない。シャミ子が1人であすらに入ると狐の尻尾と耳を持つリコというまぞくの少女の店員と出会う。
あすらのマスターは白澤というバクの姿をしたまぞくだった。シャミ子を見て白澤はバイト募集の面接に来たと勘違いしてしまう。
桜のことを聞こうとするのだが、働いて欲しいと懇願する白澤にやむを得ずバイトをすることになったシャミ子だった。いつしかバイトに夢中になってしまい本来の目的を忘れてしまう。シャミ子の様子がおかしいことに気づいた桃は結界を突破してあすらに侵入する。シャミ子はリコの料理を食べ過ぎてハイになっていた。リコの料理は食べすぎるとハイになったり健忘になったりしてしまうのだ。

シャミ子の元に謝罪しに訪れた白澤とリコに、今まで聞けずにいた千代田桜について質問する。白澤は10年ほど前に桜の斡旋で「あすら」を開業することができた。ある日桜がリコを連れて現れ、今から天災が来るからと忠告をしリコを置いていったのを最後に会っていないという。
リコは桜が魔力を使い果たし、コアの状態になっているのではと考察する。魔法少女は魔力を使い果たすとコアに変化して魔力が溜まるまではその状態でいるらしい。だが、コアがどんな姿をしているのかは魔法少女によって違うという。
桜がコアになっているという可能性までたどり着くことができたが、それ以上の収穫は得られなかった。

白澤はシャミ子にバイトを続けてくれないかと頼むが、桃に断られる。しかし、桃がたまさくらちゃんのファンだということを知り、グッズをネタにバイトを許可をもらう事に成功するのだった。たまさくらちゃんは白澤のデザインであり、雪の降る夜に見かけたネコをモチーフにして創り出された。白澤はネコは雪に足跡を残していないという不思議な存在だったと語る。
その話に良子が、ネコと出会った日とネコがどこに向かったのかを尋ねると、白澤がネコに出会ったのは10年前でせいいき病院の方に向かったと答える。シャミ子は10年前せいいき病院に入院しており、その頃にネコとお話をしたと言っていたらしい。病院内にネコは見つからず、シャミ子の夢だと思われた。それが夢でなく、ネコの姿になった桜に出会った可能性があると考えたシャミ子は、桜の手掛かりを探すため自分の過去の記憶を夢で見ることにする。

心配する桃を宥めて、眠りについたシャミ子は病院の中にいた。
夢の中では巨大注射や点滴などが徘徊しており、襲いかかる注射達から必死に逃げまわる。リリスとの通信も途切れてしまい、諦めかけたとき誰かの声が聞こえた。声からのアドバイスでなんとかの杖を使い、注射達を消し去る。安堵するシャミ子の前に光が現れ形になっていく。その正体は、シャミ子達が探していた桜だった。
シャミ子は桜を連れて帰ろうとするが、桜はシャミ子を助けるために自分のコアをシャミ子に同化させているので帰れないと答えた。桜を連れて帰らないと桃が悲しむと落ち込むが、シャミ子が強いまぞくに成長すればコアは取り出すことができると伝える。
姿を保てなくなった桜は復活するまでの間、この多魔市を守ることを頼んで消えてしまう。

またしても注射達が姿を現し追われ、再び窮地に立たされ諦め掛けたとき、「諦めるなっー!!」と桃の声が響き渡る。桃はシャミ子を助けるために一時的に闇の眷属になって駆け付けたのだ。注射達を一掃するとふたりは無事脱出することができた。
現実に帰ったシャミ子は夢の中で桜と出会えたことと桜の現状を桃に話した。桃は桜の居場所がわかり安堵すると共に、桜の復活を待ちつつ多魔市とシャミ子の笑顔を守っていくことを誓うのであった。

ミカンの呪い

新学期と同時にミカンが転校してくる。ミカンが魔法少女であること、緊張すると呪いが発動することを伝えられるが、周囲は特に気にすることなくミカンを歓迎してくれる。ミカンは少しでもみんなの役に立ちたいと体育祭委員会に入り、ついでに桃も一緒の委員会に入らせる。
体育祭の準備をしている最中、事故でミカンの呪いが発動して体育祭で使う看板を汚してしまうのだった。周りはミカンのことを励ましてくれたが、ショックで落ち込んでしまう。
呪いは元々ミカンの父親が工場と家族を守るために召喚した使い魔だったが、召喚が上手くいかず、ミカンの中で周囲を攻撃する呪いになってしまった。魔力操作が得意な桜が干渉することで被害を今の状態に抑えることができたのである。

使い魔を説得するために、シャミ子は桃と一緒にミカンの深層意識の中に入る。深層意識の中でミカンを見つけるが、黒い靄(もや)が蠢いていて近づけない。この黒い靄がミカンの中にいる使い魔であり、シャミ子達に攻撃してきた。使い魔と話しをするために、なんとかの杖を駆使して黒い靄を集めて形にすると、使い魔の本来の姿が現れた。
使い魔はウガルルといい、工場と家族を守るという内容をミカンを守るという意味に歪曲して、ミカンが動揺すると周囲に被害が出る呪いになってしまったのだ。ミカンの現状を説明して彼女から出ていってもらうように説得する。ミカンを苦しめていたということを知り、ウガルルは承諾するが、ウガルルが外に出ると消滅してしまうことが判明する。

シャミ子達や覚醒したミカン本人もウガルルを止めるが、ミカンを苦しませたくないからと出て行こうとする。
ミカンはウガルルがしたことに怒っているが、消滅は望んでいなかった。ウガルルを助ける方法を模索し、現世に依り代を作って召喚するという方法を思いつく。
夢から覚めたシャミ子達はウガルルを助けるために動き出し、見事にウガルルを召喚することに成功した。再び現世に復活できたウガルルはシャミ子達にお礼とミカンに今までのことを謝罪し、一緒に暮らしていくことになるのだった。

リリスの復活

ウガルルが町の住人として加わり多魔市は賑やかになったが、リリスは不機嫌であった。外に出られない不満が爆発し、等身大の依り代を作って欲しいと懇願する。
桃とシャミ子たちは渋々依り代を作り、リリスは喜ぶが依り代は7日ほどしか活動できないと告げられる。その間に様々なやりたいことをしようとリリスは予定を詰め込みすぎ疲れ切ってしまうのだった。

疲れたリリスを癒すため、シャミ子は旅行にいこうと「おくおくたま」という山で皆でキャンプをしようと提案する。バーベキューをしながら皆と楽しむことで、リリスの心も癒されるが、酒を飲み過ぎて川で嘔吐してしまう。そのせいで山にいる水神「蛟」(みずち)を怒らせてしまい、シャミ子の魂を抜かれてしまった。
魂を抜かれたシャミ子は怒る蛟から、自分を楽しませるようにと言われる。シャミ子は能力を使い蛟を一生懸命に楽しませるのだった。
一方他の面々は、魂を抜かれたシャミ子をどうやって助けるか会議中だった。山ごと破壊しようとする桃をリリスは宥め蛟と交渉することを提案する。

シャミ子の方は予想以上の成果を出してしまい、ここで一生楽しませるように言われてしまう。自分の力では出ることができず、外から助けを呼ぼうとリリス達にテレパシーで連絡をすることに成功する。テレパシーでシャミ子の居場所が山にある小さな祠だということがわかり、一行は祠に駆け付ける。蛟と交渉するがシャミ子を返してもらえそうになく、怒った桃が山を更地にしようとする。
「シャミ子を助けられなくなる」と桃を宥めるリリスは、責任を感じて自分が蛟の中に行くことを決める。

蛟はリリスにシャミ子の魂を返す代わりに、「毎日9キロのゴミ拾い」と「月に一度の祠の掃除と酒と菓子のお供えする」ことを条件にリリスに約定の龍玉を与える。怠ければ全身を焼かれることを条件にシャミ子の魂は返された。
依り代の寿命が残り3日しかないので、条件を呑む必要はないと高をくくったリリスだったが、龍玉の影響で寿命が伸び毎日のゴミ拾いをすることになるのだった。

魔法少女の襲撃

喫茶店あすらが閉店してしまった。ウガルルが働こうとして店を破壊したり、リコも度々店を火事にしたこともあり、追い出されてしまったのだ。
シャミ子の提案でばんだ荘の一階を喫茶店に改装して再開させようとする。紆余曲折あったが、喫茶店あすらは再開しシャミ子達もウェイトレスとして手伝うのだった。
店を再開できた白澤は喜んでいたが、シャミ子は前のあすらに貼ってある「害意ある者を遠ざける結界」を回収するのを忘れていた。急いで現在のあすらの扉に結界を張り直し一安心するが、すでに害意を持つ魔法少女が侵入してしまっていた。

その魔法少女「朱 紅玉(しゅ ほんゆー)」の目的はリコを倒すことだった。変身した状態で殺気を隠しきれていないまま店に入ってきたため、桃やミカンにあっさりと撃退される。
撃退された紅玉の前に何も知らないリコが厨房から出てくる。紅玉はリコに封印魔法を放つが、白澤が庇ってバクのオブジェになってしまう。激怒したリコが殺気立ち、シャミ子が皆の注意を引きつけている間に、しおんが薬品を撒きその場にいた魔法少女とまぞくを昏倒させた。
全員が眠っている間に収拾しないとリコが何をするかわからない。危機管理フォームで昏倒せずに済んだシャミ子はしおんと協力して解決に動き出す。

シャミ子は紅玉を説得するために彼女の夢に侵入する。夢の中で使い魔の「ジキエル」に妨害されるが、ウガルルが駆け付けたことでシャミ子は紅玉に会うことができた。そこでシャミ子は紅玉の過去を知ることになる。
定食屋を営む叔父と一緒に暮らしていたある日、リコが叔父の定食屋で働き出す。リコの料理のおかげで店は繁盛し叔父は喜ぶが、そこにジキエルが現れ、リコがまぞくであることから叔父や町の人達を惑わしていると思い込む。紅玉は魔法少女になって戦いを挑むが敗北し、リコは姿を消してしまうのだった。
リコがいなくなって客足が遠のいてしまった為、原因を作った彼女を恨み復讐を決めた紅玉だったが、シャミ子から説得される。紅玉は関係のない白澤を巻き込む気もなかったため協力を約束した。

次はリコを説得しようとリコの夢に入るシャミ子だが、白澤を封印されたことで自暴自棄になっていたリコにはじき出されてしまう。説得するには白澤の協力が不可欠だった。思案するシャミ子に、しおんが白澤を祀ることで依り代人形に憑依させることを思いつく。依り代人形に白澤を憑依させ、事情を知った白澤はリコの説得に協力してくれる。
再びリコの夢に入り、白澤が紅玉に謝罪をするように訴える。リコは要求を拒否し、彼氏である白澤を封印した相手を許せないと叫んだ。
白澤は驚き「え!? 彼氏じゃないよ!?」と返す。リコに対して愛はあるが、それは店に住み着いた野良フェネックという認識であった。封印されたのもリコから紅玉を庇ったのであり、背中に牛刀を忍ばせている子は恋愛対象外だと言われてしまう。シャミ子はリコに白澤を自分の夫にするように頼まれるが、リコに良い子になって白澤の恋愛対象になるように説得する。

結果2人は和解し、白澤も復活することができた。
事態が収まり安心したシャミ子であったが、相手の気持ちを変化させてしまう夢魔の力に不安を覚え桃に相談する。桃はもしシャミ子が力を間違った方向に使うことがあったら、自分が止めに行くと誓った。

小倉しおんの隠された真実

前回の騒動の影響でばんだ荘の結界が弱くなっていることに気づいたしおんは、良子と共に応急処置をしようするが、失敗してメガネを残して結界に吸い込まれてしまった。
シャミ子と桃は、しおんを助けようとテレパシー通信を使い彼女と連絡をとることにする。しおんから結界の中にある異空間に飛ばされてしまったと告げられ、シャミ子と桃は異空間に向かうことになった。ミカンとウガルルには外側で待機してもらうことにした。

異空間に到着するとメガネを掛けたしおんを発見する。ここから脱出するには、この空間にある間違いを見つけ、消していかなければならないとしおんから告げられる。ここは「防がれた可能性」が重なってできた空間で、現実とは異なったいろんな世界が存在しており、それぞれの世界の間違いを見つけては消していくことになる。
外ではミカンがシャミ子に渡したビーコンからシャミ子達の声を聞いていた。シャミ子達と一緒にいる小倉しおんは本物ではなく、ミカンたちはその事を伝えようと連絡を取ろうとしたが方法が思いつかない。
しおんが偽者だと気づいていないふたりは一端休憩することにし、桃はシャミ子としおんが休んでいる間、別行動で探しに向かうのだった。

偽しおんは桃がいなくなったのを見計らい、シャミ子を連れて灰色になった平原の街角が映る世界をみせ、この風景は「桃が世界を救うのに失敗した可能性」であると説明する。シャミ子はしおんが本物でないことに気づき、名前を尋ねる。彼女の正体は智慧と時間と書物を司るまぞく「グシオンの末裔」であり、しおんは自分の断片のような存在という。
桃にこの景色を隠すのは、これを見せてしまうとしおんの生存率が下がってしまうので教えられなかったのだ。それはダメだとシャミ子はこの景色を消したのだった。

桃はばんだ荘の屋根に隠し部屋を見つけ、閉じ込められていた本物のしおんを発見し、一緒にいた方が偽物だと気づく。最後にしおんのことを託してグシオンは消えてしまい、そのタイミングで桃としおんがシャミ子の元へ駆け付けるのであった。
本物のしおんを見つけられたのもつかの間、間違いを全て消したことで、空間が消滅しようとしていた。桃は開発した新フォームに変身し、なんとか全員で脱出に成功したのだった。

桃の過去と那由多誰何の目的

町では何事もなく平穏に日々が続いていた。桃は今までのことを振り返り、シャミ子と出会ったことで自分が変わることができたと認識する。純粋にこの町のすべてを失いたくないと思うようになり、桃は自分の過去をシャミ子や皆に知ってもらおうと決心した。
桃は桜を尋ねてこの町に来たときの過去をシャミ子の能力を使って皆に見せると決め、シャミ子に自分の深層意識に入ってもらうように頼む。
桃の深層意識に入ると桃のナビゲーターである猫のメタ子に案内され、幼い桃を発見する。シャミ子は桃が体験した過去を見ていく。

桜が恋しくなり桃は多魔市に戻ってきた。まぞくに話しを通してもらおうとするが、知り合いのまぞくが見つからず住民もいなくなったまぞくを覚えていない。町がおかしいことに気づき、桜の家を訪ねる。家に着くと表札に紙で書かれた「那由多 誰何」と書かれていた。
シャミ子がなんと読むのか分からずにいると、当人の「那由多誰何(なゆた すいか)」から声をかけられるのであった。

桃は初めて会うのだが、誰何の方は桃を知っているようだった。誰何は桜の知り合いで、彼女がいなくなったことを心配して、桜に代わりこの町を引き継ぎたいと思っていた。町は桜がいなくなった影響で災厄が降りかかる可能性があり、町を守るため誰何は桃に協力を懇願する。
承諾した桃へのお礼に、誰何はまぞく討伐カードを3枚使い「桃が求めている人に出会える」と願うのだった。桜の行方を尋ねてみたが誰何も知らなかった。
シャミ子には誰何がいい人だと思えたのだが、現代の桃は誰何に怯えていた。誰何は一切嘘を言っていなかった。

桜の手掛かりになると思い桃はまぞく名簿を持つまぞくを尋ねた。そのまぞくのいる所に移動するとなぜかノイズが発生する。
名簿を手に入れたことに誰何は感激し、誰何はまぞくとの引き継ぎのため毎日出かけるようになる。桃も手伝いを願い出るが、危険だから連れて行けないと、誰何の使い魔のウリエルと留守番をすることになる。
桃がウリエルと話をしようとすると、返事をしようとするウリエルに電撃が流れた。ウリエルが「イエスマム」以外の言葉を出すと、拘束具から電気が流れてしまうことに桃は気づく。話せないウリエルは、カードの文字を使いメッセージを伝える。メッセージを読んで桃は公園に向かう。

桜の木にメタ子がおり、木の下を掘るように促す。そこには大量のまぞく討伐カードが埋められており、メタ子は桜が目的のために大まぞくを封印したと話す。不信感を抱いた桃は名簿を渡してくれたまぞくに会いに行くが、まぞくの姿はなく椅子が1つ黒焦げになっているだけだった。
名簿を頼りにまぞくに会いに行くがどこにもいない。誰何がまぞくを封印していると確信し、問い詰める。誰何はまぞくを封印しておらず、苦しまないように殺していたと笑顔で告げる。

視界が暗転するとシャミ子は桜の木にいた。そこには片腕を失った桃が木の陰に隠れており、背後には誰何が迫っていた。誰何に記憶を消されそうになった桃が、自ら片腕を切り落として逃げてきたのだ。桃を心配しながら近づいていく誰何は、自分の目的を明かす。誰何の目的はこの世のすべての「かわいそう」すなわちまぞくを根絶することで、そのためにまぞくを殺してはすべて食べていたと自信に満ちた笑顔で語る。

桃は間違ってると叫ぶが、誰何は意に介さない。誰何もまぞくが死んで悲しむ人達がいるのを知っているし、その悲しみも分かっていた。そのためカードの力を使い記憶を消し、苦しまず、悲しませずにまぞくを殺してきた。
誰何の所業に耐えきれなくなったシャミ子は、怒りに震えながらつっこみを入れる。過去の記憶のはずなのにまるでシャミ子の声が聞こえているかのように、誰何は今まで食べたまぞくのことは1人も忘れたことはないと返してくる。桃は桜が残したカードを1枚使って誰何に対抗できる力を願う。しかし、誰何の攻撃で桃は下半身を吹き飛ばされてしまう。

意識が現代の桃に入れ替わり、このカードは桜がヨシュアを封印したときのカードであることを明かし、シャミ子に謝罪する。そんなことよりも誰何をなんとかする方が先だとシャミ子が怒鳴る。
桃はカードを使い誰何を殺そうとしたが、踏ん切りがつかず誰何を無力化するように願う。願いは叶えられ、誰何の体が崩壊していき、黒い宝石の形をしたコアの姿になる。今までの苦労とまぞくの犠牲が無駄になってしまうと嘆く誰何に、桃は最後の力を振り絞って誰何のコアを破壊する。

すべてが終わったと安心する桃であったが、誰何は生きていた。無数の目を持つ闇に変化した誰何は、傷だらけの桃の手当をし、最初からやり直すことを伝える。去り際、シャミ子を認識しているかのように角のまぞくを殺すと宣言して消えたのだった。
自分の記憶を見せ終わった桃は眠りから目を覚ますのだった。

桃が目を覚ました後、シャミ子の前にメタ子が現れる。そして桜と桃の出会いを誰にも話さないことを条件にシャミ子に過去を見せるのだった。

猛吹雪の中、桜は誰何と共に行動しており、そこに少女が現れて桜達に保護される。少女は名前がなく、桜は少女に「桃」と名前を付けて引き取ることにした。
数年ほどして桃は桜と別れることになる。桃が眠っている時、桜はヨシュアに桃が保護されるまでの記憶と桜への過度な愛着を消すようにお願いした。普通の人生を生きてほしいと願う桜は記憶を消すことを決め、ヨシュアは桃に謝罪しながら記憶を消した。

シャミ子は今まで自分が色々な存在に守られていたことを思い出し、自分が町や大事なものを守れるまぞくになることを誓うのであった。

『まちカドまぞく』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

吉田 優子(よしだ ゆうこ)/シャミ子

CV:小原好美
本作の主人公。桜ヶ丘高等学校1年D組。夢の中で始祖リリスと出会ったことで先祖がえりを起こし、角と尻尾が生えて魔族になる。活動名「シャドウミストレス優子」という名前が呼びづらく周りからはシャミ子と呼ばれる。魔族らしく振る舞おうと寛大な口調になるが、本当は真面目で心優しい性格でみんなから信頼されている。
魔族になったからといって特に強くなるようなこともなく、身体能力は人並み以下。そのため桃に勝負を仕掛けても相手にならず「これで勝ったと思うなよ!」の捨て台詞をはいて逃げるのが定番。夢魔の一族の力として他人の夢の中に入り込むことができ、使い方次第では洗脳なども可能。ただシャミ子の性格上、悪用には抵抗を感じてしまう。夢魔の一族の力として他人の夢の中に入り込むことができ、使い方次第では洗脳なども可能。ただシャミ子の性格上、悪用には抵抗を感じてしまう。危機管理フォームというのがあり、「危機管理~」のかけ声で変身でき、身体能力が少しだけ上がるが、露出度が高くシャミ子は恥ずかしがっている。
魔族になる前は走るなどの運動ができないほどに体が弱く、幼い頃は入院を繰り返していた。これは光の一族の呪いの影響が原因であり、妹の良子の呪いも肩代わりしたことで2倍の呪いを受けていた。一時は命の危機に瀕したが、桜のコアと一体化することで今まで生きてこられた。

千代田 桃(ちよだ もも)

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