金の国 水の国(漫画・アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『金の国 水の国』(きんのくに みずのくに)とは、戦争寸前の2つの国に生まれた男女が、偶然の出会いから手を取り合い、それぞれの故国と自分たちの未来を切り開いていく岩本ナオの漫画作品。2023年にアニメ映画が公開された。
1000年前から断絶と戦争を繰り返してきたアルハミト国とバイカリ国。ある時、アルハミトの王女サーラはバイカリの技師ナランバヤルと出会い、新たな戦争を避けるため彼に協力を乞う。これを快諾したナランバヤルは、アルハミトとバイカリの本格的な和平のために水路を作ろうと思い立つ。
『金の国 水の国』の用語
アルハミト/金の国
砂漠地帯にある商業国家で、通称“金の国”。「金さえあればできないことはない」とまでいわれる発展した大国だが、もともと砂漠にある上に外国からやってくる者が増加したため、水資源が枯渇寸前の状態にある。
バイカリ/水の国
緑豊かな地にある国家で、通称“水の国”。アルハミトとは1000年前から幾度となく戦争を繰り広げてきた。
族長のオドゥニの失策の連続でいよいよ追い詰められ、一発逆転のためにアルハミトへの侵攻の準備を進めている。
水路(すいろ)
バイカリから見て「北の古代都市」と呼ばれる場所にある水路の設計図。外観から見て、モデルはローマ式の水路だと思われる。
『金の国 水の国』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ナランバヤル「最後に残ったビスケットを、黙って1人で食べちゃう人は選んじゃダメってことなんですかね」
レオポルディーネたちに招かれた茶会で、恋愛について尋ねられたナランバヤルは、父の言葉だと前置きした上で以下のように語り出す。
「結婚して誰かと家族になるのは夢物語ではない。
我慢することや悲しいことは波みたいに押し寄せて、
最初に感じた愛や恋はどんどん擦り減って違う何かに替わっていく。
だから君はその時の美しさよりも、一瞬の楽しさよりも、
自分の親兄弟と同じかそれ以上に自分を大切にしてくれる人を探しなさい」
最後に「最後に残ったビスケットを、黙って1人で食べちゃう人は選んじゃダメってことなんですかね」とナランバヤルらしいまとめ方をして、彼の恋愛観の話は終わる。恋愛と結婚は違うとはよく言われるが、それが実際にどう違うのかについて端的に表現された名セリフである。
ナランバヤル「バイカリからアルハミトに水路引いちまわねえか」
サラディーンとの飲み会で、ナランバヤルは「このままではアルハミトもバイカリも滅びの道を歩むことになりかねない」と熱弁し、「バイカリからアルハミトに水路引いちまわねえか」と提案する。サラディーンは驚き、御飾りの大臣にも等しい自分にそんなことは無理だと断ろうとするも、「レオポルディーネは役者でもあるあなたに“理想の大臣”を演じてほしいと考えているのではないか」との指摘に折れ、水路作りに前向きになっていく。
ここからアルハミトとバイカリを巡る動きは一気に加速していく。物語を大きく動かすきっかけとなった名セリフである。
サーラ「私、この国の水が全部ワインでも飲み干す自信ありましてよ」
オドゥニから飲み比べ勝負を挑まれたサーラは、当初これを断ろうと考える。しかし彼がナランバヤルを侮辱する言葉を口にするや飲み比べ勝負を受ける旨を告げ、「私、この国の水が全部ワインでも飲み干す自信ありましてよ」と決意に満ちた目でオドゥニを見据える。
この直前にサーラは“ナランバヤルには妻がいる”との誤解を抱いており、オドゥニとの勝負を引き受けたのは「ナランバヤルをバカにされるのは許せない」という想いだけではなく「自分だってナランバヤルの名誉を守れることを証明したい」との気持ちもあった。サーラの複雑な心境が垣間見える。
バウラ「俺は国交を開いて水路作るに1票なんだよ」
ピリパッパの息のかかった兵士たちによるナランバヤル暗殺計画の直前、バウラは彼の下を訪れて「狙われているから別の道を使え」と告げる。戸惑うナランバヤルに、バウラは「俺は国交を開いて水路作るに1票なんだよ」と伝えて追手たちを退けるために剣を抜く。
ピリパッパの腰巾着として登場したバウラが、突如1人のキャラクターとして動き出す名シーン。必死に悩んで“上司であるピリパッパを裏切る”という決断をしたバウラの姿は頼もしくもカッコよく、ナランバヤルでなくても「怪我せず無事に帰ってきて」と応援したくなる。
サーラ「お父様が国王で良かった」
ナランバヤルに妻がいるというのは自分の勘違いで、その状況を生んだのがそもそも父であるラスタバン三世の“「国で1番美しい娘」だとして子猫を送る”という行為だったことを知ったサーラは、そこに至る様々な状況をいったん飲み込んだ上で「お父様が国王で良かった」との言葉を漏らす。
愛するナランバヤルの妻になれるかもしれないという希望と、そのチャンスを与えてくれた父への感謝に溢れた、いかにもサーラらしいどこかのんきでどこまでも優しいセリフである。
『金の国 水の国』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
原作版とアニメ映画版で異なる国の名前
原作漫画版では、アルハミトはA国、バイカリはB国という名称になっている。アニメ化する際に「こんな記号みたいな名前ではさすがに呼びにくい」との判断から改めて名称が設定されたものと思われるが、それぞれのアルファベットでの頭文字を取るとA国とB国になるという遊び心も入っている。
『金の国 水の国』の主題歌・挿入歌
主題歌:琴音『優しい予感』
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目次 - Contents
- 『金の国 水の国』の概要
- 『金の国 水の国』のあらすじ・ストーリー
- 金の国と水の国
- のんびり王女と技師の青年
- アルハミトの窮状
- バイカリの貧困
- ナランバヤル暗殺計画
- 2つの国の未来へ
- 『金の国 水の国』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- サーラ
- ナランバヤル
- アルハミト
- ラスタバン三世(ラスタバンさんせい)
- レオポルディーネ
- サラディーン
- ライララ
- ピリパッパ
- バウラ
- バイカリ
- オドゥニ・オルドゥ
- サンチャル
- 『金の国 水の国』の用語
- アルハミト/金の国
- バイカリ/水の国
- 水路(すいろ)
- 『金の国 水の国』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ナランバヤル「最後に残ったビスケットを、黙って1人で食べちゃう人は選んじゃダメってことなんですかね」
- ナランバヤル「バイカリからアルハミトに水路引いちまわねえか」
- サーラ「私、この国の水が全部ワインでも飲み干す自信ありましてよ」
- バウラ「俺は国交を開いて水路作るに1票なんだよ」
- サーラ「お父様が国王で良かった」
- 『金の国 水の国』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 原作版とアニメ映画版で異なる国の名前
- 『金の国 水の国』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:琴音『優しい予感』
- 挿入歌:琴音『Brand New World』
- 挿入歌:琴音『Love Birds』