金の国 水の国

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『金の国 水の国』(きんのくに みずのくに)とは、戦争寸前の2つの国に生まれた男女が、偶然の出会いから手を取り合い、それぞれの故国と自分たちの未来を切り開いていく岩本ナオの漫画作品。2023年にアニメ映画が公開された。
1000年前から断絶と戦争を繰り返してきたアルハミト国とバイカリ国。ある時、アルハミトの王女サーラはバイカリの技師ナランバヤルと出会い、新たな戦争を避けるため彼に協力を乞う。これを快諾したナランバヤルは、アルハミトとバイカリの本格的な和平のために水路を作ろうと思い立つ。

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金の国 水の国のレビュー・評価・感想

金の国 水の国
7

敗者を作らない物語

もし、休日に子供と一緒に何かを見るのだとしたら、この作品をおススメします。
まず何より、最初から最後まで主人公のサーラ姫がかわいい。作中ではあまり容姿に優れている方ではない人物として描かれていますが、だからこそ目をみはる愛嬌や描かれ方の演出、声優を務めた浜辺美波さんの演技が光ります。
物語の筋は彼女ともう1人の主人公であるナランバヤルの2人が徐々に惹かれ合ってゆくというもの。その過程には大恋愛のような情熱さはなく、穏やかさにあふれています。
『ロミオとジュリエット』のように敵国同士の人間が夫婦になったため、国の中心で起きる争いごとに巻き込まれてしまいますが、血みどろなシーンやあくどい陰謀などもないので、安心してみることが出来るでしょう。

この作品で特に強調したいのは、本作品全体を通しても敗者が存在しないということ。主人公たちに向けられる疑いや悪意の目線を彼らは退けてゆきますが、どのシーンもいわゆる「スカッとする」解決の仕方ではありません。この作品には報復が描かれないのです。最後のシーンで少しだけ、「スカッとする」描写がありますが、それもかなり程度の軽いものです。
またこの2人の恋愛をめぐる中で、どのような人と結婚すべきか、あるいはサーラ姫を語る際には避けることが出来ないルッキズムについて等、私たちの生活に必要な問題提起がされています。どちらも大きなテーマとして描かれるものではありませんが、ただ単に恋愛物語を楽しむだけでなく、子供たちの考えるきっかけを与える作品ともいえるでしょう。
本作品は2023年1月上映に上映された作品なので、各種配信サービスで見ることが出来ます。

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9

独特な感性!心が浄化する

少し独特な雰囲気のある作家さんです。
この雰囲気を受け入れられるかどうかで好みが分かれる所ではありますが、この作家さんはいくつか大きな賞も受賞している所からしても受け入れられる方は多いとは思います。

物語の最後には本当に心が洗われるようです!
物語上のストーリーが良いとか涙を誘うとか、そういうのとは違う感動の種類です。
本物の心の内面に触れる、触れるという事はそういう事なのか、と、そういった作品を探している方には良いと思います。
それでいて時々くすっと笑える所もありますが、ユーモアもまた独特の作者さんです。慣れるととても愛らしいです。
ネタばれになりますが、特に容姿やその他の事で秀でていないお姫様がその純粋で真っ直ぐな心一つでまわりを解きほぐしていきながらストーリーが進みます。

このお姫様があまりにも素朴すぎて気付きにくいのですが、なかなかどうしてかなり大きなお話が動いていきます。
最後の方ではちょっとびっくりしたくらいです。
この作者さんの作品はいくつか拝見して私は全部がとても好きなのですが、その中でもこのお話が一番好きです。
愛らしく、そして人の心はこんなにも美しいものなんだなと思う作品です。
この作品は映画にでもして欲しいと思うほどです。

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