エノーラ・ホームズの事件簿2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『エノーラ・ホームズの事件簿2』とは、2022年にNetflixで公開されたイギリスのミステリー映画である。『エノーラ・ホームズの事件簿』の続編。1作目から引き続き、監督はハリー・ブラッドビアが、主演はミリー・ボビー・ブラウンが務める。探偵事務所を設立したエノーラのもとに、マッチ工場で働くベッシーが、行方不明になった姉のサラを探して欲しいとやってくる。依頼を受け、サラを探すエノーラだったが、サラが国の汚職事件の秘密を握っていることが判明。エノーラは、兄のシャーロックとともに、難事件に挑む。

『エノーラ・ホームズの事件簿2』の概要

『エノーラ・ホームズの事件簿2』とは、2022年11月4日にNetflixで公開されたイギリスのミステリー映画である。2020年公開の『エノーラ・ホームズの事件簿』の続編。原作は、ナンシー・スプリンガーの『エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ』だ。監督はハリー・ブラッドビア、脚本はジャック・ソーン、音楽はダニエル・ペンバートンが担当し、1作目と同じ顔ぶれで製作された。主演はミリー・ボビー・ブラウンが務める。
本作の主人公は、明るく行動力のある少女エノーラ・ホームズ。名探偵の兄シャーロック・ホームズと対等な探偵になるべく、探偵事務所を設立した。しかし、思ったように依頼は受けられず、事務所を畳むことになる。荷造りをしていたエノーラのもとに、依頼者がやって来た。マッチ工場で働くベッシーという少女が、行方不明の姉サラを探して欲しいと言う。エノーラは依頼を受けた。サラを探していくうちに、エノーラは、マッチ工場が絡む国の汚職事件に巻き込まれていく。サラの失踪は、兄シャーロックが追っていた、政府のお金が消える謎と深い関わりがあることが判明し、エノーラとシャーロックは、力を合わせて難事件に挑む。

『エノーラ・ホームズの事件簿2』のあらすじ・ストーリー

事件の依頼

主人公エノーラ・ホームズは、明るく行動力のある少女で、名探偵シャーロック・ホームズの妹だ。エノーラは探偵事務所を設立。しかし、エノーラが若い女性であることを理由に依頼を受けられず、経営不振になる。そんなエノーラのもとに、ベッシーという名の少女が、行方不明になった姉のサラ・チャップマンを探して欲しいと訪ねてくる。エノーラは、ベッシーたちが住む家に行く。エノーラは、ベッシーにサラの特徴を聞く。緑の瞳を持つ赤毛の美人だという。そこへ、同じくこの家に住むメイという名の女性が、時間の無駄だと止めにくる。エノーラは構わず、サラの机を観察する。サラの机には、化学の本、化粧品、枯れた鉢植えと花を咲かせた鉢植えがある。ゴミ箱の中で燃え残った紙切れには「12 マーチ」という文字が書いてある。ベッシーの話では、サラはマッチ工場での仕事と「シカの角」というパブでの食器洗いの仕事を掛け持ちしていたという。マッチ工場は、ベッシーも含め、ここに住む女性たちの仕事場だ。ベッシーが最後にサラを見たのは、1週間前のマッチ工場だ。その日、サラはマッチ工場の工場長クラウチに泥棒扱いされ、口喧嘩をしていたという。

ライオン・マッチ工場へ

エノーラは、ベッシーの案内で、女性たちの仕事場であるライオン・マッチ工場へ潜入する。そこでは、流行病であるチフスに感染していないかの検査があった。工場を仕切るクラウチは、威嚇と賃金の減額をちらつかせることで、仕事を管理している。エノーラは、クラウチが守るように立っている階段の上のオフィスが気になった。エノーラは機転を利かせ、オフィスに侵入した。オフィスの机には、白ではなく赤のマッチがある。エノーラがオフィスの金庫を開けると、働いている女性たちの名簿が入っていた。開いてみると、数ページだけ破られた跡があり、そこにはサラのものと思われる赤毛が挟まっていた。
マッチ工場での仕事中、同じく工場で働くメイからの視線が気になるエノーラ。サラがオフィスに侵入した時、メイの机から火が出たのだとベッシーから聞いたエノーラは、メイがサラの事情を知っていると予想し、仕事終わりのメイの後をつけた。

赤いポピーの男

メイは「パラゴン」という店に入っていった。ベッシーが言っていた「シカの角」はこの店のことで、メイとサラはこの店のステージに立っていたのだ。エノーラは舞台裏に潜入。メイの姿を探していると、首元にナイフが当てられた。ナイフを当てるメイは、エノーラに放っておいてと言う。エノーラはメイの隙を突き形成逆転するも、支配人に止められる。エノーラは支配人にサラのことを聞く。サラには金持ちの常連客がついていた。サラが使っていたという化粧台からは手紙が見つかる。その手紙には、甘い文章と赤いポピーの絵が描かれていた。エノーラは帰路につく。帰り道では、杖をつく何者かが後をつけてくる。エノーラは振り返るも、誰の姿も見えない。そんなエノーラの前に、酔っ払って店を追い出された男性の姿が映る。なんと、その男性はエノーラの兄シャーロック・ホームズだ。事件の捜査中だと言うシャーロックだが、泥酔している。エノーラはシャーロックを支え、シャーロックの自宅まで送る。エノーラは、シャーロックが抱える事件に興味がある。部屋の状況から、シャーロックも、事件に手を焼いているのが分かった。
朝になり、シャーロックの家で寝ていたエノーラは、シャーロックから「ケーキを食べて帰れ」と起こされる。2人は口喧嘩を始め、シャーロックからの言及に気まずくなったエノーラは、ケーキをもらって部屋を出て行く。

メイの死

美しい花の咲いた道路沿いのベンチで、エノーラはケーキを頬張る。そこに現れたのは、人気No.1の政治家に成長したテュークスベリー卿だ。テュークスベリーは、以前エノーラとともに事件を解決しており、その時からエノーラのことを気にかけていた。テュークスベリーは、エノーラに「助けが必要になったら助ける」と言い、上院への道を進んでいく。テュークスベリーの言葉がヒントになり、エノーラはサラへの手紙を読み解いた。エノーラは、手紙が指すベルプレイス28番地ホワイトチャペルへ向かう。部屋の中は荒れていて、争った形跡がある。奥へ進むと、腹部を包丁で刺されたメイの姿があった。メイは、その場で息を引き取った。エノーラはメイが死ぬ前に指し示したポケットの中を見る。ポケットには、『ゴッドの真実』という楽譜が入っていた。そこへ、悲鳴が聞こえたと通報を受けたレストレード警部が入ってきた。血まみれの手でメイの隣に立っていたエノーラは、犯人ではないと弁明。レストレードと話している時、エノーラの耳に届いたのは、パラゴン劇場から帰る夜、後をつけられていた杖の音。現れたのは、レストレードの上司にあたるグレイル警視。グレイルに手がかりを奪われそうになったエノーラは、グレイルを蹴り上げ、窓から逃走する。

シャーロックの参戦

逃走したエノーラは、シャーロックの家に逃げ込んだ。エノーラはシャーロックが抱える事件の話を聞く。謎のお金のやり取りがあり、政府のお金が消えている。お金は、5つの銀行口座から財務省を通して、1つの口座に送られていた。他にも27の口座にお金が流れているという。分かっているのは、この5つの銀行が川の南部に集まっていることだけだ。手がかりは、帽子を被った男が財務省から、何かの書類を盗み出したということ。今度はエノーラが、自分の事件を説明する。警察から逃げた理由を聞くシャーロックに、エノーラは「証拠を守るため」と答え、メイのポケットにあった楽譜を見せる。シャーロックは、「自分が調べる」と部屋を出て行く。シャーロックは、ホワイトチャペルへ向かった。シャーロックは、ホワイトチャペルからの景色や室内の状況から、エノーラの事件は自分の事件と関連があることに気付く。
その頃、エノーラは、シャーロックの家で新聞をめくっていた。新聞に書かれているのは、マーチモント街区12番地で行われる舞踏会の記事。エノーラは、サラの部屋のゴミ箱で見つけた「12 マーチ」のメモを思い出す。この舞踏会の主催者は、マッチ工場を経営するヘンリー・ライオン。息子のウィリアムも参加する。そこで、エノーラは、サラへの手紙に描いてあった絵はポピーではなく、ナデシコの1種であるスイートウィリアムではないかと気付いた。エノーラはウィリアムと接触するため、この舞踏会への参加を決意する。

舞踏会

舞踏会の会場では、財務大臣のマッキンタイア卿が、ヘンリーはたった2年でマッチ工場の業績を赤字から黒字に変え、マッチの色を赤から白へと変えた、と演説をしていた。エノーラはウィリアムと話をしようと近付くが、付添人がいないことを理由に断られてしまう。ダンスに誘えば話が出来そうだが、エノーラはダンスが苦手だった。ダンスフロアを見下ろしているエノーラに、マッキンタイア卿の秘書であるミラ・トロイが話しに来た。ミラは、エノーラに、ウィリアムに近づきたいならこれを上手く使えと扇子を渡して、去って行く。エノーラの目に映ったのは、テュークスベリーの姿。エノーラは、テュークスベリーをバスルームに連れ込み、ダンスを教わる。ダンスの練習をしながら、2人の距離は縮まっていった。なんとかワルツを踊れるようになったエノーラは、ウィリアムにダンスを申し込む。ダンスの時間を待つエノーラに、顔立ちの整ったシシリーという女性が話しかけてくる。シシリーはテュークスベリーに興味がある。シシリーは、エノーラから勧められたと言って、テュークスベリーとダンスの約束をする。そして、ワルツの時間がやってきた。エノーラは、ウィリアムと踊りながら、サラ・チャップマンのことを聞く。動揺するウィリアムは、深夜にエノーラと会う約束をする。
0時に図書室でウィリアムを待つエノーラ。しかし、図書室にはレストレードがやってきて、エノーラを連行。エノーラはウィリアムと話が出来なかった。
一方、シャーロックは、お金が消えた27の口座を線で結ぶと、ダンスのステップを表すことに気付く。解読していくと、事件の黒幕であり、後にシャーロックの宿敵となるモリアーティーからシャーロックへのメッセージが現れた。

エノーラの逮捕

エノーラ逮捕の情報を聞いたシャーロックは、留置場に出向く。シャーロックは、自分の推理でエノーラの無実を証明するが、グレイルは凶器からエノーラの指紋が出たと告げる。シャーロックは、なす術もなく留置場を後にし、母とともに反社会活動をするエディスのもとを訪ね、手を貸してほしいと頼んだ。
ついに刑務所に入れられてしまうエノーラだが、エディスが助けに来てくれる。逃走用の馬車には、エノーラの母ユードリア・ホームズの姿がある。ユードリアは、女性の社会参加を求めた反社会活動をしているため、普段は行方をくらましている。エディスが馬車の舵を取る。警察の馬車をうまく撒いたエディスだったが、馬に乗ったグレイルが追いかけてくる。追い詰められたエノーラたちだったが、グレイルと追いついた警官を相手取り、戦う。ユードリアが、乗っていた馬車に仕掛けていた爆弾を作動させ、逃走は見事成功。ユードリアは、エノーラに「1人でも大丈夫だけど、誰かと一緒なら、もっと自分らしく居られるのだ」と助言をした。

チフスの正体

エノーラは、ベッシーのもとへ向かい、安全な場所に隠れているように言う。ベッシーの部屋では、サラの机に置きっぱなしの、赤と白の何かが入った2つの鉢植えが目に入る。赤の何かが入っている鉢植えでは花が咲き、白の何かが入っている鉢植えの花は枯れていた。エノーラは、チフスの正体は白いマッチの原材料であるリンなのではないかと推理した。サラは、メイとともに、花や虫などに赤と白のマッチの成分をそれぞれ与える実験をし、マッチの秘密に気付いたのだった。
エノーラは、テュークスベリーの家を訪ね、助けを求める。事件の話をしようとしていると、シシリーが訪ねてきた。テュークスベリーはシシリーに、話は後日にして欲しいと言って帰ってもらうが、2人のやりとりを見ていたエノーラは、テュークスベリーとシシリーが恋愛関係にあるのではと疑う。テュークスベリーは、シシリーは、工場法の改正に動いていて、テュークスベリーの力を借りたいと言っていると弁明。それを聞いたエノーラは、シシリーこそがサラ・チャップマンであると気付く。エノーラは家を飛び出しかけて、テュークスベリーに舞踏会の時にエノーラに送った扇子のサインの意味を聞く。テュークスベリーは、覚悟を決めて、愛していると言う意味だと伝える。それを聞いたエノーラは、シシリーがウィリアムに同じサインを送っていたことを思い出す。サラとウィリアムは愛し合っていて、一緒に不正を暴こうとしたのだ。エノーラは、自分もテュークスベリーのことを愛していると答え、一緒に事件解決のために戦うことにした。2人はマッチ工場へ向かう。

夜のマッチ工場へ侵入

エノーラはマッチ工場で、同じく潜入していたシャーロックと会う。エノーラとシャーロックが追っていた事件は繋がっていた。2人は一緒にオフィスに入る。そこで、ウィリアムが椅子の上で死んでいるのを発見。エノーラは、ウィリアムがマッチの原料をリンに変更した証拠として、自分の父とマッキンタイア卿とで交わされた誓約書を盗んだのだと推理する。ウィリアムを殺した犯人はその誓約書を手に入れ、マッキンタイア卿を犯人にしたい誰かだ、とシャーロックは言う。その犯人こそが、モリアーティーなのだ。
亡くなったウィリアムの手には、メイのポケットにあった楽譜の切れ端があった。テュークスベリーの気付きにより、楽譜の音楽記号は、劇場内の地図になっていることが分かる。エノーラたち3人は劇場へ向かう。テュークスベリーは、馬車の中で、エノーラに戦い方を教えて欲しいと頼む。エノーラとテュークスベリーは向かい合って練習をしようとするが、テュークスベリーが女性は殴れないと言い、エノーラは面白がってテュークスベリーを殴る。そうして、じゃれあって笑い合い、キスをした。

エノーラVSグレイル警視

劇場に着いたエノーラたちは、楽譜の記された場所から、密約の誓約書とマッチ工場で働いていた女性たちの名簿を見つける。劇場には、サラの姿もあった。シャーロックは、ウィリアムの死をサラに告げ、サラ自身も危ないと言う。時はすでに遅く、ベッシーの首に刃物を押し付けたグレイルが現れる。証拠を渡すように要求するグレイル。ベッシーはグレイルの手を噛み、逃げ出した。それを合図に、シャーロックも反撃を開始する。エノーラ、シャーロック、テュークスベリーはそれぞれの場所で、それぞれの相手と戦い始める。丸腰のエノーラは、銃を撃ってくるグレイルを相手に逃げる。銃が弾切れになったグレイルは、劇場のナイフを掴み、逃げるエノーラを追う。エノーラは舞台の上に設置された足場の不安定な場所へ追い詰められた。エノーラは、足場を吊る針を握ったグレイルにこめかみを切られ、証拠を奪われてしまう。エノーラは諦めず、滑車の原理を利用した反撃を思いつく。反撃は成功し、グレイルは地面に落ちて、気絶する。グレイルを倒したエノーラのもとに、ボロボロになって相手を倒したテュークスベリーがやってきて、2人は抱きしめ合う。

事件の真実

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