Metallica(メタリカ)とは【徹底解説まとめ】

Metallica(メタリカ)とは、アメリカ合衆国のヘヴィメタルバンドで、世界的な知名度を持ち、日本でも根強い人気を誇っている。アルバムを出すごとに楽曲の印象が大きく変わり、様々な要素を取り入れた楽曲は、メタル史において大きな影響を与えた。スラッシュメタル四天王の一角としてメタルシーンを牽引してきたMetallicaは、ローリング・ストーン誌の読者が選ぶ「最高のメタルバンドベスト10」において1位を獲得。グラミー賞を始めとした数々の賞を受賞し、ロックの殿堂入りを果たしている。

Metallica(メタリカ)の概要

Metallica(メタリカ)とは、アメリカ合衆国のヘヴィメタルバンドで、2003年以降はJames Hetfield(ジェームズ・ヘットフィールド)、Lars Ulrich(ラーズ・ウルリッヒ)、Kirk Hammett(カーク・ハメット)、Robert Trujillo(ロバート・トゥルヒーヨ)で活動している。
Metallicaは、全世界で総売り上げ枚数1億1千万以上という商業的成功を収め、ロックシーンを代表するバンドとしてロックの殿堂入りを果たした。メタルのサブジャンルであるスラッシュメタルを広めたパイオニアでもあり、SLAYER、ANTHRAX、Megadethと並び、「スラッシュ四天王」と呼ばれている。Metallicaは音楽性の幅が広く、アルバムを出すごとに楽曲のイメージが大きく変わるため、変化を好まない従来のファンやメディアから楽曲への酷評も多くあるが、ロックのトレンドを取り入れつつ音楽と真剣に向き合ってきた。彼らの音像の変化はいい意味で期待を裏切り、次にどんな楽曲をリリースするのかという予測不能さが新しい期待を生む。Metallicaの楽曲には、メタルシーンで古くから活躍するバンドにはない人を惹きつける力がある。

Metallicaは1981年にロサンゼルスで結成しているが、メジャーデビューは『Ride the Lightning』リリース後の1984年。メジャーデビューしてから初めてリリースした『Master of Puppets』は、アメリカのビルボードチャート72週連続でチャートインするという快挙を成し遂げた。メジャーデビューで大きな成功を収めたMetallicaはDamage, Inc.ツアーを開始したが、ツアー中に乗っていたバスの事故でベーシストとして在籍していたCliff Burtonを失った。この事故でMetallicaのメンバーはかなりの精神的ダメージを受けており、James Hetfieldはアルコールに溺れ、鎮痛剤を打つほど苦しんでいた。しかし、「Cliff Burtonは自分たちに続けて欲しいと思っている」という結論に至り、元Flotsam and JetsamのベーシストJason Newstedが加入することとなった。

1988年にリリースされた『...And Justice for All』に続き、『Metallica』通称『The Black Album』を発表。このアルバムは10か国で1位を獲得し、大きな成功をもたらした。
その後にリリースされた『Load』と『Reload』の連作では批判の多い作品ではあるが、大ヒットを記録している。驚異的なスピードでメタルシーンのトップに躍り出たMetallicaだが、Jason Newstedが脱退。2003年に『St. Anger』をリリースした後、元Suicidal TendenciesのベーシストでOzzy Osbourneに在籍していた経験もあるRobert TrujilloをJason Newstedの後任ベーシストとして採用した。

2008年には、長年Metallicaのプロデューサーを務めたBob Rockに代わり、Rick Rubinをプロデュサーとして迎え、『Death Magnetic』をリリース。ギターソロが復活したこのアルバムは、33か国で1位輝き、2009年にロックの殿堂入りを果たした。その後はライブ活動が中心となり、南極で行われたFreeze 'Em Allというライブでは、7大陸全てでライブを行った唯一のバンドとしてギネス世界記録に認定。2012年にWarner Bros. Recordsを去り、Blackened Recordingsを立ち上げた。独立レーベル初のアルバム『Hardwired... to Self-Destruct』のリリースから7年の時を経て『72 Seasons』を2023年に4月にリリース。

Metallica(メタリカ)の活動経歴

Metallicaの結成

左からJames Hetfield・Kirk Hammett・Lars Ulrich・Cliff Burton

1981年にLars Ulrichがロサンゼルスの新聞The Recyclerにてバンドメンバーを募集したところ、James Hetfieldをバンドに採用することを決定し、Metallicaを結成。James Hetfieldと幼馴染みでもあり、Leather Charmというバンドで共に活動したことのあるベーシストRon McGovneyを迎えたMetallicaは、1982年に、アメリカのインディーズレーベルMETAL BLADE RECORDSで制作されたコンピレーションアルバム『Metal Massacre I』で「Hit the Lights」を提供した。
しかし、リードギターを探す必要があったため、Lars Ulrichは再度The Recyclerにてリードギターの募集をかけた結果、1981年にPanicを解散したDave MustaineがMetallicaに加入することとなった。その後、デモテープ『NO LIFE 'TIL LEATHER』を制作したが、Ron McGovneyが脱退。Traumaのベーシストとして活動していたCliff BurtonをRon McGovneyの後任ベーシストとして迎え入れ、『MEGAFORCE DEMO』というタイトルのデモテープを制作した。
Megaforce Recordsとの契約が成立した後、デビューアルバムの制作に入ろうとしたMetallicaだったが、またもメンバー間のトラブルが発生する。リードギターを担当するDave Mustaineが薬物やアルコールの影響で暴力沙汰を起こし、バンドは彼を解雇することを決定した。Exodusのギタリストとして活動していたKirk HammettをDave Mustaineの後任として採用し、1983年にデビューアルム『Kill 'Em All』をリリース。成功を手にした今のMetallicaのイメージとは違い、デビュー当初はアルバムの売れ行きも悪く、メタルシーンにおいて大きなインパクトを与えるまでに至らなかったのである。

Cliff Burtonの事故死とJason Newstedの加入

左からCliff Burton・Lars Ulrich・James Hetfield・Kirk Hammett

デビューアルバムがヒットすることはなく、Metallicaのメンバーはお金をほとんど持ち合わせていなかった。食事は一日一食のみ。ファンの家に寝泊まりしながらアメリカ西海岸でのクラブで演奏する日々だったそうだが、50人を集めるのがやっとであったという。
しかし、プロモーションがままならない状態で行ったヨーロッパやイギリスでライブでは、ゲリラ的ライブであったにも関わらず、500人もの観客が集まり、これが成功の足掛かりとなった。その勢いに乗るかのように、短期間でセカンドアルバム『Ride the Lightning』のレコーディングを終了させ、1984年にリリースすると初のチャート入りを果たした。さらに、Elektra Recordsとの契約が成立したMetallicaは、メジャーデビューという大きな成功を掴んだのだ。
メジャーデビューから一発目のアルバム『Master of Puppets』は、前作よりも音にこだわって制作された作品で、完成までに多くの時間を要した。1986年にリリースしたこのアルバムは、アメリカのビルボードチャート初登場128位ではあったものの、72週連続でチャートインし、29位まで浮上するという快挙を成し遂げた。
だが、同年に行われたDamage, Inc.ツアー中に乗っていたバスが横滑りしてしまい、Cliff Burnsteinは窓から投げ出され、この世を去ってしまった。バンドメンバーがバスの運転手が飲酒していたことを主張したが、事故の過失はないと判断され、運転手は起訴されていない。Cliff Burnsteinの死はMetallicaの面々に重くのしかかる問題であったが、彼の家族の後押しもあり、新しいベーシストを探すため、オーディションを開催した。Metallicaは元Flotsam and JetsamのJason Newstedを採用することに決め、2年後の1988年にレコーディングを開始。『...And Justice for All』がリリースされると、アメリカのビルボードチャート最高6位を獲得し、初のトップ10入りを果たした。

さらなる飛躍とJason Newstedの脱退

左からJason Newsted・Kirk Hammett・Lars Ulrich・James Hetfield

1991年、Metallicaはさらなる成長を遂げることとなる。『The Black Album』の通称で呼ばれるアルバム『Metallica』が、1991年にリリースされたのだ。このアルバムはスラッシュメタルを残しつつ、多様な音楽ジャンルの要素を取り入れた作品となり、Metallicaにとって大きな変貌と成功をもたらしたといっても過言ではない。スラッシュメタルにロックを織り交ぜるかのような、今までの作品とは大きく逸脱したこのアルバムは10か国で1位を獲得し、以前にも増して注目されるようになった。
『Metallica』をリリースしてから約5年の歳月を経て『Load』をリリースしたが、スラッシュメタルから遠ざかってしまったこの作品は往年のファンには受け入れがたく、批判も多かった。しかし、そんな批判などものともせず、『Load』はアメリカのビルボードチャートで4週連続で1位を独占し、商業的成功を収めたのだ。グランジやオルタナティブメタルといった要素を取り入れたことで、Metallicaは90年代を生きる若い世代の支持を集めたであろうことが推測できるが、ここまで攻めの姿勢を貫けるバンドはそういない。翌年にリリースした『Load』の連作『Reload』のヒットがそれを強く証明している。
2001年に入り、Metallicaは次回作のレコーディングを計画していたが、Jason Newstedが脱退の意向を示し、バンドを去ることになる。それに加え、James Hetfieldがアルコール依存症とその他の依存症(非公開)のため、リハビリを受けることになり、次回作のレコーディングは保留となったまま彼の回復を待たざるを得なくなった。

James Hetfieldの離脱とRobert Trujilloの加入

左からLars Ulrich・James Hetfield・Kirk Hammett・Robert Trujillo

Jason Newstedの脱退とJames Hetfieldの依存症のリハビリを受けるため、レコーディングが約1年ほど先送りとなったアルバムが『St. Anger』だ。このアルバムは『Load』や『Reload』のように批判が多かった。その理由はギターのソロパートがなく、Lars Ulrichのスネアの音が独特だったことだ。しかし、ギターソロがない楽曲などは山ほどあり、ギターソロがない方が評価される時代が訪れることもある。Metallicaは音楽の流行の変化をいち早く先どっただけのことだ。Lars Ulrichのスネアの音作りに関しても、インダストリアル的な要素が感じられ、アルバムの個性を惹き立てている。それゆえ、Metallicaの攻めのある音楽性は批判などものともせず、アメリカのビルボードチャートでは初登場1位を獲得したが、変化を好まないファンからはプロデューサーのBob Rockが音楽性に関しての影響を与えすぎているとして、アルバムの制作に関わらないように嘆願書を提出した。その結果、Bob Rockとの仕事は『St. Anger』が最後となった。このアルバムのレコーディングに参加することはなかったが、James Hetfieldのリハビリ中にJason Newstedの後任ベーシストを決めるオーディションを行っており、元Suicidal TendenciesのベーシストでOzzy Osbourneに在籍していた経験もあるRobert Trujilloを新しいベーシストに採用することが決定した。

ロックの殿堂入りとギネス世界記録

左からRobert Trujillo・Lars Ulrich・James Hetfield・Kirk Hammett

新しいベーシストRobert Trujilloが加入したが、2004年のダウンロードフェスティバルでLars Ulrichが不安発作を引き起こし、病院に搬送された。演奏することができなくなり、SlayerのDavid LombardoとSkipknotのJoey Jordisonをサポートドラマーに迎えてツアーを続行。Lars Ulrichがバンドに復帰した後、長年Metallicaのプロデューサーを務めたBob Rockの代わりにRick Rubinをプロデューサーとして迎えることとなり、2008年に『Death Magnetic』をリリースした。このアルバムは全米で初登場1位を獲得し、3週連続で首位をキープし続け、アメリカ以外の32か国でも1位を記録。さらに、ビルボードチャートにて5枚連続1位という偉業を成し遂げたMetallicaは、2009年にロックの殿堂入りを果たした。2012年にはWarner Bros. Recordsを去り、独自レーベルBlackened Recordingsを立ち上げた。その翌年に南極で行われたFreeze 'Em Allというライブでは、7大陸全てでライブを行った唯一のバンドとしてギネス世界記録に認定されている。
『Death Magnetic』のリリースから8年が経過した2016年に、独立レーベルのBlackened Recordingsから『Hardwired... to Self-Destruct』をリリース。このアルバムは言うまでもなく、アメリカのビルボードチャート初登場1位を獲得した。『Hardwired... to Self-Destruct』のリリース後は2019年までツアーを行っていたが、James Hetfieldがアルコール依存症のため、再びリハビリプログラムに参加することになった。2020年にJames Hetfieldが復帰してから制作されたアルバム『72 Seasons』を2023年4月にリリース。

Metallica(メタリカ)のメンバー

各メンバー

James Hetfield

出生名はJames Alan Hetfield(ジェームズ・アラン・ヘットフィールド)。1963年8月3日生まれ。カリフォルニア州ダウニー出身。
Metallicaのフロントマンでリズムギターを担当している。Metallicaの歌詞はJames Hetfieldが書いていて、メインソングライターでもある。Guitar Worldの「100人の偉大なメタルギタリスト」で、MetallicaのリードギタリストであるKirk Hammettと並び、2位を獲得した。この他にも数々のギタリストをランク付けする調査にランクインしている。

Lars Ulrich

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