思い、思われ、ふり、ふられ(ふりふら)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『思い、思われ、ふり、ふられ』とは、別冊マーガレットにて連載された少女漫画である。作者は咲坂伊緒。2017年に第41回講談社漫画賞にノミネート、2018年に第63回小学館漫画賞少女向け部門を受賞した。内気な市原 由奈と、快活な山本 朱里。性格が正反対な2人の主人公が、恋愛を通して成長していく青春物語である。2020年には実写映画とアニメーション映画が公開された。

『思い、思われ、ふり、ふられ』の概要

『思い、思われ、ふり、ふられ』とは、別冊マーガレットにて2015年7月号から2019年6月号まで連載された少女漫画である。『ふりふら』の愛称で親しまれている。作者は咲坂伊緒。コミックス全12巻、話数全48話。2017年に第41回講談社漫画賞にノミネートされ、2018年に第63回小学館漫画賞少女向け部門を受賞した。2020年8月14日には実写映画、同年9月18日にはアニメーション映画が公開された。実写映画の監督を務めたのは三木 孝浩。咲坂伊緒原作の『アオハライド』の実写映画でも監督を務めている。メインキャストを演じたのは浜辺 美波、北村 匠海、福本 莉子、赤楚 衛二である。アニメーション映画の監督を務めたのは黒柳 トシマサ。メインキャストは島﨑 信長、斉藤 壮馬、潘 めぐみ、鈴木 毬花が演じた。
内気で夢見がちな市原 由奈(いちはら ゆな)と、明るくて現実的な恋をする山本 朱里(やまもと あかり)。高校生になる春、朱里は最寄り駅で財布を忘れた事に気づく。偶然通りかかった由奈にお金を借りた事で、正反対の性格の2人は出会い、友達になる。由奈は初恋である絵本の中の王子様に似ている朱里の弟・山本 理央(やまもと りお)に本当の初恋をして、朱里は今まで好きになった事のないタイプである由奈の幼馴染・乾 和臣(いぬい かずおみ)に翻弄される。価値観の異なる2人が恋に悩みながらお互いを励まし合い、成長していく物語である。

『思い、思われ、ふり、ふられ』のあらすじ・ストーリー

価値観の違う二人の出会い

春から高校生になる市原 由奈(いちはら ゆな)は、中学時代の友達が引っ越すため見送りをしに出掛けた。駅へと向かう途中、小さい頃読んだ絵本に出て来た初恋の王子様とよく似た男の子に出会う。犬の糞を踏みそうだったところを助けられ、お礼を言おうとしたが、男の子は歩いていってしまう。同じく春から高校生になる山本 朱里(やまもと あかり)は、駅で財布を忘れた事に気づき、通りかかった由奈にお金を貸してほしいと頼む。最初は不審に思った由奈だったが、「遠くに行く知り合いを見送りたい」と言われてお金を貸す事にする。明日お金を返す約束をして別れた。

翌日、駅で朱里は由奈と会い、約束通りお金を返した。2人は年齢も高校も、住んでいるマンションも同じである事が発覚する。朱里はこの春マンションに引っ越してきたのだ。朱里は由奈の家を訪れ、恋愛の話をした際に、恋に夢見る由奈と、現実的な恋をする朱里とで価値観が違う事に驚く。

晴れて高校生になった由奈と朱里、2人と同じマンションに住む由奈の幼馴染・乾 和臣(いぬい かずおみ)は同じクラスになる。放課後、朱里の家に遊びに行くと王子が出てきた。混乱する由奈に、王子は朱里の弟・理央(りお)だと紹介される。由奈は理央を好きではないと言いながらも、理央の笑顔を見た瞬間から徐々に惹かれていく。しかし理央はイケメンでモテる上に、面食いで来るもの拒まずな所がある事を知っているため、自分に自信がない由奈は気持ちを認める事が出来ないでいた。

ある日、朱里から彼氏と別れたと報告を受けた。別れたばかりなのに平気そうな様子や、バイト先の男の子の話をしているのを見て由奈はイライラする。由奈は別の女子グループと昼休みを過ごした際に、朱里が他クラスの女子生徒の彼氏にちょっかいを出しているという噂を聞いてしまい、朱里に対して冷たい態度を取ってしまう。由奈は和臣に朱里の事を話すと、朱里が昼休みに保健室で泣いていた事を教えられる。それを聞いて、本当は恋に積極的で自分に自信がある朱里を羨ましく思っている事に気づく。さらに、和臣を連れて朱里のバイト先に行くと、朱里と男子が話しているのを聞き、噂が事実ではなかった事を知る。由奈は誤解していた事を朱里に謝るが、「ムリに私といなくても大丈夫」と言われてしまう。朱里に初恋の人が絵本の中の王子様だと告白した時に否定されなくて嬉しかった事を思い出し、由奈はある決意をする。

由奈は教室に入ろうとする女子生徒に声を掛けた。朱里は何もしていない事を伝えようとするが、関係ない人は口を出すなと話も聞いてもらえない。それでも由奈は引かず、恐怖で震えて泣きながらも朱里に謝ってほしいと訴え続ける。そこへ朱里が2人の間に入り、女子生徒に謝り由奈を連れて教室を出る。「辛い事とか悲しい事とかあったら言い合うのが友達だよ」と言う由奈に、朱里は「さみしかった」と初めて自分の気持ちを伝え、2人の友情が深まった。

放課後、帰り道で由奈は理央と偶然会い、そのままの流れで一緒に帰る。理央には最近良い感じになっている先輩がいる話から、由奈の好きな人の話になる。由奈は「私レベルが何言ってんのって思われそう」と後ろ向きに言う。それに対し「そんなふうに思うなんてただのクソ野郎じゃん」と怒る理央に、由奈は理央が好きである事を認めた。

理央と先輩が言い合いになっているのを見かけた由奈は、心配になり理央の元へ行く。理央は先輩とは付き合わない事になり、先輩に対して熱烈な恋愛感情が湧いてこなかった事、それ位の気持ちになれた事が一度だけあった事を話す。その人にはふられてしまったのかと由奈は聞いたが、「告白する前にいなくなった」「いるけどいない」という理央の返答の意味が分からなかった。

朱里は由奈のために何か出来ないかと考え、理央と3人で勉強会をする事になった。朱里は気を利かせて1人でコンビニへ行く。理央の鞄から偶然出てきたラブレターから、由奈は好きな人に告白をしないのかという話になる。由奈はふられると分かっているのに告白出来ないと言うが、それは「告白出来ない」とは言わないと理央はまた理解出来ない事を言う。突然ドアが開き、朱里と理央の母親が焦った様子で入ってきた。そこへ朱里もコンビニから帰ってきて、気まずい空気を感じ取る。「俺と朱里が2人で部屋にいるのかと思って心配したみたい」と理央から訳を聞いた朱里は、母親に対し「そんなに心配ならなんで理央のお父さんと再婚なんかしたの」と激怒する。2人が本当の姉弟ではない事を知った由奈は、理央の今までの言動から告白出来なかった相手は朱里であることを察した。

理央は今も朱里の事が好きなのか考えてしまう由奈。いっそ理央を好きでいる事をやめたいと思うが、その気持ちとは裏腹に理央への想いはどんどん強くなっていく。由奈と理央が図書室で勉強をした帰り道、突然雨が降ってきて高架下に避難する。雨が嫌いだと言う理央は、父親の再婚相手が朱里の母親だと知った日も雨だった、その日朱里に告白するつもりだったと話す。理央の秘密を知っていくにつれて、ふってもらえれば理央を支えられる友達になれるのではないか、自分の秘密は黙ったままで良いのかと由奈は思う。告白する理由を見つけてしまった由奈は、理央に好きだと告白する。「告白してくれてありがと。でもごめん…」と理央は由奈をふった。

誰も傷付かない選択

朱里は理央にふられた由奈を心配していたが、自分が変われた気がすると前向きな由奈をかっこいいと思う。中学2年生の時に転校先で仲良くなった友達・花乃(かの)の兄と久しぶりに電話で話し、色々な事を知っている彼に憧れていた事を思い返す。それ以上の気持ちはないのに、もらったブレスレットを今も大事にしているのは何故なのか考える。バイトからなかなか帰ってこない朱里を心配した理央と和臣は探しに行くが、2人が駅に行こうとしたところで朱里が帰ってくる。花乃の兄に会いに行こうとした事を説明しようとしたが、ちゃんと聞く前に理央が怒り先に帰ってしまう。「みんなにちゃんと謝りな。山本さんの言い分も後でちゃんと聞くから」和臣の言葉に朱里は涙を流し、本当は母親に対して言いたい事がたくさんあった事に気づいた。

後日、朱里は花乃の兄に会いに行く。その帰りに和臣と会い、母親に対して不満に思う事がたくさんあり、その窮屈な状況から知らない世界に連れ出してくれるのではないか、という幻想から憧れを抱いていただけだったと話した。和臣は朱里を綺麗な街並みの見える見晴らし台へと案内する。そこから見ると夢みたいな世界が広がっていそうだが、実際はここと同じ現実だと和臣は言う。遠くの物は自分の都合の良いように見えてしまう事を朱里は痛感した。

和臣に自分の気持ちを聞いてもらってから、朱里は和臣が気になっていた。今までは分かりやすく好意を見せてくれる男子と恋愛をしていた朱里だが、和臣は恋愛に全く興味がなさそうで戸惑う。一方、由奈は理央に対して緊張してしまい、自然に振舞えない事に悩んでいた。由奈と朱里は合コンに誘われて参加する事になった。理央の友達の柴 歩(しば あゆむ)と我妻 暖人(あがつま はると)も参加していて、話すうちに由奈は少しずつ変われてるのかもしれないと思い嬉しくなる。一方朱里は、自分に好意を見せる男子と話をしていた。今までは楽しく思えたやり取りも全くそう思えず、和臣の笑顔ばかり思い出す。和臣が好きな事を自覚するのと同時に、新しい世界はそっちかと朱里は頭を抱えた。

和臣を好きになってからの朱里は今までと違い、由奈は微笑ましく思う反面、理央の気持ちを考えると胸が痛んだ。そしてまだ理央に恋をしている事に気づく。理央も朱里が和臣に惹かれている事に感づき、複雑な気持ちを抱く。

マラソン大会で朱里が見学しようとする所を見て、朱里を良く思っていない女子達が悪口を言っているのを目撃した由奈。由奈は朱里の事を悪く言われないように、「和臣の好きなタイプは何にでも一生懸命でついいつも全力で頑張ってしまう子が放っておけない」と嘘の情報を教える。それを鵜吞みにした朱里は全力でマラソン大会に参加する。由奈は走っている途中で理央と会い、朱里が朝具合悪そうだった事を聞き、サボろうとしていたわけではなかった事を知る。事の経緯を聞いて心配そうにする理央に、由奈は先に行って朱里を止めるよう勧めた。一度は先に行った理央だったが、しんどそうな自分を見て戻ってきてくれた事を由奈は嬉しく思ってしまった。一方朱里はゴールをし、しばらく後に和臣がゴールをする。朱里は和臣に、何事にもいつも全力な人をどう思うか聞くと、「考えた事ないけど、大変そうだな~って思う」という返答に由奈が嘘を言っていた事に気づく。そのまま倒れてしまった朱里を助けたのは和臣で、これをきっかけに2人の距離が縮まった。

翌日から朱里と和臣の空気が変わり始める。理央と和臣が話していると、偶然由奈と朱里とすれ違った際に、和臣が朱里を見ている事に気づいた理央の心に暗い感情が溜まっていく。夜に雨が降り、バイト帰りの朱里を迎えに行った理央は、自分の気持ちを抑えられなくなりキスをしてしまう。朱里はノリでこういう事するなと怒り、理央を置いて先に帰りながら内心では動揺していた。

朱里は由奈に秘密ができてしまった事で避けるようになってしまう。朱里は廊下で先日の合コンで話をした男子と会い、返事が欲しいと催促される。付き合えないと断ったが、それを不満に思った男子は「自分はその気ないくせに相手にはその気にさせるのが趣味とかやめた方がいい」と言い捨てていった。偶然通りかかった和臣に聞かれ朱里は否定しようとしたが、和臣に避けられて嫌われてしまったと思う。一方、様子がおかしい朱里を心配した由奈は、理央に事情を聞く事にした。朱里にキスしたと言われ、由奈はショックを受ける。家族でいようと頑張ってきた二人の努力が無駄になってしまうと由奈は怒るが、朱里への気持ちを抑えられなくなってしまったのは、理央の話を聞いてあげた事により気持ちを自覚する時間を増やしてしまったからではないかと責任を感じる。

翌日由奈は朱里と会い、理央と何があったのか、理央が誰を好きか知っている事を話す。由奈は理央の気持ちを聞いてあげる事を提案するが、それは家族が終わってしまう事を意味すると朱里は拒否する。朱里は理央と家族になるために、1年前に自分がした事を打ち明けた。1年前、朱里のスマホに理央から呼び出しの留守電が入っていた。告白かもと考えながら雨が降る中、待ち合わせ場所に向かう途中でデート中の母親と男性と会い、その男性が理央の父親である事を知る。ゆくゆくは結婚を考えていると母親から聞いていた朱里は、理央の留守電に気づく前にスマホを壊してしまったように装い、理央の父親のスマホを使い理央を呼び出した。これが朱里にとって誰も傷付かないで済む選択だった。

放課後、出入口で理央は朱里を待ち伏せていた。偶然近くにいた和臣に聞かれたくないとハラハラしている朱里の所へ、合コンの時の男子が現れる。朱里と理央が本当の姉弟ではない事を知り好き勝手言ってくる男子に、朱里は嫌気がさし一度校舎内へと戻る。出入口に戻ってきた朱里は、和臣が男子に自分の事で怒ってくれている場面を目撃して嬉しいと思った。一方言い返そうとする理央の腕を引っ張り帰っていった由奈は、朱里が苦しんでいる事も知っているため、理央は自分の事しか考えてないと怒る。下ばかり見ていた由奈がどんどん変わっていく姿に、理央は羨ましいと思った。帰宅した理央は、母親から初めて顔合わせをした日の事を聞く。1年前に朱里が自分のためにしてくれた事に気づき、“弟”として朱里に謝る事を選択する。

あれから朱里は和臣に避けられなくなったが、距離が開いてしまったように感じる。それでもめげない朱里を見て、由奈は自分も理央に対して頑張る事を心に決める。しかしどうしたら心の距離を縮められるのか2人は悩んでいた。そして理央もまた、夢に由奈が出てきた事をきっかけに、由奈の事が気になり始める。好きかもしれないけど、これはただの思い込みかもしれないと日々悩んでいた。

近所の神社で開催するお祭りに、由奈・朱里・理央・和臣・我妻の5人で行く事に。朱里・理央・和臣が屋台へ買い出しに行き戻る途中、朱里とはぐれてしまう。場所取りをしていた由奈と我妻が仲良く話しているのを見た理央は焦りを感じる。一方朱里を探しに行った和臣は、水道でソースが付いてしまった浴衣を拭いている朱里を見つける。必死で探しに来てくれたり、自分に対する態度から好意を感じ取った朱里は、和臣に思い切って付き合ってみないかと提案する。しかし「山本さんの事好きとかじゃないから」と和臣に言われ、朱里は気まずくならないよう明るく振舞い、1人で先に帰宅する。以前、和臣は偶然朱里と理央がキスをしている場面を目撃していた。理央が朱里を好きだと知り、それ以来和臣は朱里が好きだという気持ちを封じ込める事にしたのだ。

夏休みが明けた新学期、教室で由奈から貰ったクッキーを食べている我妻を見てモヤモヤする理央。朱里は和臣が気まずくならないように出来るだけ接触をしない事を決めたが、その矢先に文化祭の担当チームが一緒になってしまう。帰り際に、由奈が理央に夏祭りで買ってくれたお面のお礼にクッキーを渡す。一番上手に焼けた物を包んだと笑う由奈に、理央は由奈への恋心をはっきりと自覚する。しかし我妻も由奈が好きだと知り、由奈を巡って正々堂々勝負する事になった。

朱里は文化祭の撮影お手伝い係として、校内に素敵スポットがないか和臣と探し回る。朱里のスマホに花乃から着信があり、文化祭に朱里の元彼・桜 亮介(さくら りょうすけ)も来る事を伝えられる。亮介と別れた時、朱里が保健室で泣いている所を和臣に見られたため心配される。「切り替え早いから大丈夫」「過ぎた事には執着しない」と必死で言う朱里に、自分の事を重ねて複雑な気持ちになった和臣は、思わず朱里にキスしてしまう。その後朱里と和臣は話せないでいたが、文化祭準備の休憩中に改めて話す機会を作る。自分の振る舞いのせいで和臣に不快な思いをさせたと反省した朱里は、適当な気持ちで告白したのではなくちゃんと好きだった事を伝える。今後は友達として付き合っていこうとお互い納得するが、朱里には何となくしっくりこない終わり方だった。

文化祭での告白

文化祭当日、コスプレをする事になってしまった理央は隠れていたが、探しに来た由奈が怪我をしてしまい思わず出て来てしまう。王子様のコスプレをしている姿を見て、「初恋の王子様みたいでかっこいい」と由奈に褒められ理央も悪い気はしない。2人で話していると、突然紙吹雪が降ってきて顔を合わせて笑い合った。偶然通りかかった朱里はその光景を写真に撮り、クラスの出し物であるフォト選手権に出す。由奈を探しに来た我妻は、カップル部門に貼られたその写真を見つけてしまう。

朱里と和臣は、2年生の女子達の撮影の手伝いをする。来月転校してしまうという女子が、「本当は行きたくない」「ずっとみんなと一緒にいたい」と素直に思っている事を話す姿を羨ましく思う。大切な思い出作りの手伝いが出来て良かったと笑う朱里に、和臣は朱里への気持ちを簡単に消せない事に気づく。理央がまだ朱里を好きだと思っている和臣は、理央を連れ出し自分の気持ちを正直に伝えるが、そこで初めて理央の好きな人が由奈である事を知った。

後夜祭で男子が意中の女子の所に行き、フォークダンスのパートナーに誘う告白イベントがあるという。写真を見た我妻は、理央は由奈に申し込むのではと気が気ではない。校内を歩いていると、由奈と柴が話しているのを見つけて合流する。ポリスのコスプレをしている我妻から手錠を借りた柴は、ふざけて由奈と我妻の手に手錠を掛ける。教室にある鍵を柴に取りに行ってもらうよう頼み、人が多くて危ないからと人気の少ない所に2人は移動する。そこで由奈に好きな人がいると知った我妻は「後夜祭一緒にいてほしい」と告白する。

朱里は遊びに来た花乃を含む中学の友達と会う。朱里と亮介に気を遣われ2人きりになり、気まずいと思いながら話しかける朱里。別れた時の話になり、亮介は「別れたのは距離のせいだけではなくお互いの気持ちのせい」だと主張する。朱里はそれに対してその時はまだ亮介が好きだった事を伝えるが、「いつも一番大事な時には言わないで、事が過ぎてから言う」「上から目線でないと自分を保てないとか中身空っぽすぎ」と言われてショックを受ける。落ち込む朱里に気づいた和臣は、仕事が落ち着いたタイミングで話を聞く。「自分を空っぽだって思ってるんなら、あとは詰め込み放題じゃん」という和臣の言葉に朱里は泣き出す。差し出された和臣の袖で涙を拭いていると、由奈から朱里に連絡が来る。

由奈は我妻に告白されて断った事、この後理央に告白しようと決意した事を朱里に話す。朱里からの応援を受け、由奈は昔より少しは変われた自分で告白したいと走り出す。一方理央は、我妻から由奈にふられた事、由奈は後夜祭で好きな人に告白しようとしている事を聞く。一瞬諦めかける理央だったが、自分の気持ちを知ってもらいたいと走り出す。探した末に会えた二人は、気持ちを伝え合い結ばれる。

朱里は花乃達を見送った後、引っ越しで離れ離れになると知った時に言えなかった素直な気持ちを今更でも伝えたいと思い、和臣に背中を押されて駅へと走る。本当はずっと一緒にいたかったと伝える朱里の言葉を受け入れられ、亮介も「今日だけじゃなく、本当は山本と付き合ってる時もずっと楽しかった」と素直な気持ちを打ち明ける。その時の自分の気持ちにもっと素直になって、空っぽな人間ではなくなったらまた和臣に告白しよう、と朱里は誓った。

文化祭が終わり、由奈と理央が順調に交際を続ける中、朱里と理央の両親が喧嘩をする。そんな中クリスマスを迎え、由奈と理央は計画を立ててデートへ行く。朱里はバイトの帰りにケーキを買い、両親の仲直りのきっかけになればと思いながら帰宅したが誰もいなかった。ケーキのおすそ分けをしようと和臣に会いに行くが、和臣の両親が喧嘩をしている声を聞いてしまう。よくある事だと言う和臣を外へ誘い出し、2人でクリスマスを楽しむ。そこで和臣の兄が大学を中退して役者を目指し、演技の勉強をするためにイギリスへ行くと言い出した事でより両親と関係が悪化してしまった事を話す。そんな両親と兄を見ていた和臣は、期待も失望もされないように、頑張り過ぎず常に“そこそこ”を意識して生活するようになった。朱里は家の中で自分がどう振る舞えば良いのか考えてしまう所が似ていると思った。

バレンタインが近づく中、由奈は自分に自信がないが故に、何故理央が自分と付き合ってくれているのか疑問が湧き上がる。そんな時、和臣の気持ちを知っている理央は、朱里は誰にチョコをあげるのか由奈に聞く。理央は今も心の奥では朱里が好きなのではないか、と由奈は同じ事をずっと考えてしまう。バレンタイン当日、由奈は不安な気持ちを理央にぶつけてしまい喧嘩になる。喧嘩したままではいられないと2人は仲直りし、少しでも由奈の不安を取り除きたいと考えた理央は、由奈の母親に挨拶に行く。

一方朱里は和臣に渡すチョコを用意していたが、渡せないまま放課後になる。偶然出入口で会い一緒に下校している時、和臣が大切にしている映画のソフトを両親に捨てられた事を聞く。将来映画を作る人になりたいという和臣の夢を知っている朱里は、映画のソフトをプレゼントする。和臣の一番の共感者になりたいと思い、ある事を決心して由奈に会いに行く。由奈は、理央が帰り際に両親が離婚になりそうだと聞いた事を話す。朱里はもし離婚になっても父親とここに残る決心をした事を話すつもりだったが、由奈が自分にやきもちを妬いていた事を知り断念する。朱里の母親は、もし離婚になったら以前住んでいた所に戻りたいと言っていた。

学校の後、朱里は家の最寄り駅で中学の友達と会う約束をしていた。そこには亮介もいて、花乃は用があると途中で帰ってしまい2人になる。亮介は弱音を吐けない朱里に愚痴を言うよう促し、母親への不満を吐き出す。朱里と亮介が別れ際に話していた内容を、偶然通りかかった和臣が聞いてしまう。朱里の両親の離婚の話を知らない和臣に、「お前じゃ山本は無理だよ」と亮介は言い残して去っていく。和臣は朱里を追いかけ、離婚の話を聞く。似ている自分達を“同志”と例えるが、友達宣言のようではないかと和臣は思った。

一緒にいる未来のために

学校の後、校門前で待っていた亮介が、話があると朱里を連れていってしまう。朱里が、もし両親が離婚になった場合ここに残る事を考えたが、由奈が嫌がるかもしれないからそれは出来ない、と話していた事を和臣は由奈に話す。朱里にやきもちを妬いたと言ってしまった事を後悔する由奈は、自分が朱里に出来る事を考える。一方朱里は、亮介に「もう一度山本とやり直したい」と告げられる。朱里は好きな人がいる事、抱えている悩みが似ている同志で今はその人にしか心が向かない事を話し、亮介の告白を断る。しかし亮介は、それはただの傷の舐め合いで2人とも救われる事はないと言う。別の所から引っ張る存在としてもう一度頑張らせて欲しい、ちゃんと考えてから返事をして欲しいと亮介は伝えて朱里と別れる。朱里が帰って来るとマンションの前に由奈がいて、もし離婚になったとしてもここに残って一緒にいようと由奈は言った。「朱里ちゃんの悩みを同じように感じる事は出来ないけど、だからこそもっと無責任に私にぶつけて」と話す由奈の力強い言葉を聞いて、亮介の言っていた「別の所から引っ張る存在」が必要なのかもしれないと朱里は思った。

朱里が亮介に告白された事を知り、2人がくっつくかもと理央は和臣を煽る。「こっちにだって色々あるんだよ」と言ってなかなか行動しようとしない和臣に、理央の視線が突き刺さる。家に帰ってからも、イギリスに行った兄からの電話で「体のいい言い訳やめろ」と言われる。朱里への告白も将来の夢も、失敗する事を恐れて逃げていただけだと和臣は気づく。和臣は理央から亮介の連絡先を聞き、学校の後に呼び出す。亮介に「頼りない同志のままで終わらせない」と宣言する事で、朱里への告白の逃げ道を潰す。“同志”という言葉を聞いて、朱里の好きな人は和臣だと気づいた亮介は焦りを感じる。

朱里は自分のためにも、和臣を「別の所から引っ張る存在」になるためにも自分が変わろうと決意する。母親にもし離婚になってもここに残る事を話そうとした時、「離婚なんて言葉出すの軽率だったね、ごめん」と謝られる。自分から謝る母親に驚くのと同時に、仲直りしようと思っている事を聞き安心する。父親から外で食べてくると連絡が来て寂しそうにする母親に本音を言えず、何も行動出来てないと朱里は自己嫌悪に陥る。そんな時、亮介から呼び出されて会いに行く。

和臣は自宅で両親に、将来映画を作る仕事がしたいと話す。予想通り反対されるが、「ただ話し合う事も出来ない家族ってなんなんだよ」と食い下がる。一生懸命話し合おうとする和臣の姿を見た父親は、ちゃんと考える、話をする時間も作ると言ってくれた。初めて両親に本心を話せた和臣は、すぐに朱里に報告したいと思い、今から会えないかとメッセージを送る。

朱里は亮介と会い、先日の告白の返事を求められる。どんなに押されても気持ちが靡かない朱里に亮介は折れて、「頑張れ」と応援の言葉を残して帰っていく。朱里は和臣から連絡があった事に気づき、電話をすると見晴らし台にいると知りそこへ向かう。見晴らし台で、和臣は両親に将来の夢の事を話せたと朱里に報告する。そして朱里への気持ちも告白し、朱里も前より変われた自分で和臣に気持ちを伝えた。2人は両想いになり、朱里はもう一度勇気を出して母親に本心を言う決意をする。朱里が家に帰ると、両親と理央がいた。「今のこの家族が好きだから、ずっとこのままでいたい」と本心を話す朱里に、両親は「甘えっぱなしでごめん」と謝り、2人がちゃんと仲直りした事を聞く。朱里は安心と、ずっとここにいられる嬉しさで涙を流した。

春休みが終わり、4人は2年生に進級した。みんなバラバラのクラスになってしまったが、家は一緒だからとあまり気にしていない様子。しかし、由奈と理央が外で抱きしめ合ったりしている様子を、同じマンションの人に噂されるようになってしまう。それを耳にした母親が理央に注意していた時、父親が帰ってきてアメリカへ海外赴任になったと告げられる。一度は父親が単身赴任をするという事で話は纏まったが、由奈が噂話のネタにされるのが我慢ならない理央はマンションを離れる事を決める。家族で話し合った結果、両親はアメリカへ行き、朱里と理央は日本に残り学生寮に下宿する事となった。

通訳になりたいという夢を持つ朱里に、和臣はアメリカに行くべきではないかと話す。「離れなきゃいけなくなるくらいなら通訳になるのやめる」と言う朱里に、和臣が別れの選択を出した事で喧嘩になってしまう。泣きながら帰宅した朱里の話を聞いた由奈と理央。離れたら気持ちが変わってしまうかもしれないと自分自身を信用できない朱里に対し、「和くんと離れたくないって素直に言える朱里ちゃんが今の朱里ちゃんだよ」と由奈は朱里が前と変わった事を指摘する。和臣に片想いしていた頃を思い出しながら、自分が変わった事をはっきり自覚した朱里は決心する。

翌日、見晴らし台で朱里は和臣と会い、和臣と離れたくないという素直な気持ちと、通訳になるためにアメリカへ行く事を伝える。離れても2人なら大丈夫、自分達の思い描く未来に2人が並んでいると朱里は信じた。

2年後、由奈と理央は4月から地元の大学へ進学する。朱里はそのままアメリカの大学へ進み、和臣も映画の勉強はどこでも出来るとアメリカへ行き、2人は2年前と変わらない気持ちで再会した。

『思い、思われ、ふり、ふられ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

市原 由奈(いちはら ゆな)

演:福本 莉子
CV:鈴木 毬花

誕生日:1月7日
星座:やぎ座
血液型:A型
身長:154cm
体重:44kg

・好きな色…ペールピンク
・好きな科目…美術
・苦手な科目…数学・化学・英語・体育
・好きな食べ物…かぼちゃサラダ(くるみ入り)
・苦手な食べ物…うなぎ
・趣味…少女漫画を読む
・自分で思うチャームポイント…ない
・好きな映画…ベイマックス
・好きな雑誌…non-no
・好きなミュージシャン…大原 櫻子
・好きな有名人…羽生 結弦
・行ってみたい場所…フランス

本作の主人公。内気でおっとりした性格。少女漫画のように、いつか運命の人が自分を探しに来てくれる事を夢見ている。初恋の人は、小さい時読んでいた絵本に出てくる王子様。自分に自信が持てず下ばかり見ていたが、理央を好きになり、告白したり行動を起こす事で前向きに成長していく。

山本 朱里(やまもと あかり)

演:浜辺 美波
CV:潘 めぐみ

誕生日:8月17日
星座:しし座
血液型:O型
身長:158cm
体重:42kg

・好きな色…赤・黒
・好きな科目…英語
・苦手な科目…歴史
・好きな食べ物…梨
・苦手な食べ物…ぶり大根
・趣味…マニキュア集め
・自分で思うチャームポイント…爪の形
・好きな映画…(500)日のサマー
・好きな雑誌…PERK
・好きなミュージシャン…サカナクション
・好きな有名人…ローラ
・行ってみたい場所…イタリアのフィレンツェ

本作のもう一人の主人公。明るく快活な性格。誰にでも気軽に話しかけられる。自分に好意を見せる男子と気軽に恋愛が始まる事が多い。自分の気持ちを和臣に聞いてもらううちに恋心を抱くようになる。本心を伝える事が苦手だったが、同じ悩みを持つ和臣の助けになりたいと思い克服する。

山本 理央(やまもと りお)

演:北村 匠海
CV:島﨑 信長

誕生日:2月9日
星座:みずがめ座
血液型:A型
身長:173cm まだ伸びる(希望)
体重:57kg

・好きな色…黒・白
・好きな科目…数学・英語
・苦手な科目…特になし
・好きな食べ物…肉
・苦手な食べ物…梅干し
・趣味…将棋
・自分で思うチャームポイント…声
・好きな映画…マッドマックス 怒りのデス・ロード
・好きな雑誌…men´s FUDGE
・好きなミュージシャン…tofubeats
・好きな有名人…前園 真聖
・行ってみたい場所…マチュピチュ

朱里の弟。朱里とは中学の同級生だったが、親同士が再婚した事で義理の姉弟になる。イケメンで女子にモテるが、面食いで来るもの拒まず。過去に一度だけ激烈な恋愛感情を抱いた事があり、その相手が朱里だった。告白出来ないまま終わってしまった気持ちを唯一知っている由奈に相談するようになる。前向きに変わっていく由奈に惹かれていき、付き合うようになる。

乾 和臣(いぬい かずおみ)

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女優・有村架純の快進撃はここから始まった!『あまちゃん』出演後の変遷を辿る!【ビリギャル、ストロボ・エッジ など】

女優・有村架純の快進撃はここから始まった!『あまちゃん』出演後の変遷を辿る!【ビリギャル、ストロボ・エッジ など】

2013年に大ヒットしたNHKの朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。出演していた若手女優達は一様に注目を集め、その中の一人に天野春子を演じた有村架純もいた。『あまちゃん』の放映が終了後、有村架純はCMや映画、TVドラマへに引っ張りだこ。一気に人気女優への道を駆け上がることになる。この記事では、『あまちゃん』後の有村架純の快進撃をまとめてみた。

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【坂道のアポロン】キュンキュン必至!心理描写が秀逸な少女漫画10選【ストロボ・エッジ】

【坂道のアポロン】キュンキュン必至!心理描写が秀逸な少女漫画10選【ストロボ・エッジ】

少女漫画の中には、心理描写が秀逸なものがたくさんあります。女心はもちろん男の子のキモチもちゃんと丁寧に描かれているし、時に壮大な人間ドラマもあって、素晴らしい名作ばかりですよね。この記事では、胸キュン必至な青春少女漫画を10個まとめました。あの頃のトキメキを思い出したい方は、ぜひ一読を。

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【僕等がいた】恋愛ジャンルのおすすめ少女漫画まとめ【アオハライド】

【僕等がいた】恋愛ジャンルのおすすめ少女漫画まとめ【アオハライド】

少女漫画のおすすめジャンルといえば、やはり恋愛系でしょうか。ヒロインに対してちょっと強引な相手役だったり、壁ドンとか顎クイとか、いろいろ流行りましたよね。この記事では、そんな恋愛系のおすすめ少女漫画についてまとめました。なんだかもう読んでいるうちに全身が痒くなってきそうです。

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【僕等がいた】胸キュンおすすめ少女マンガまとめ!【ストロボ・エッジ など】

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久しぶりに胸キュン少女マンガを読みたい!けれど、続きが気になるのはイヤ!一度に読み切りたい!そんな人にお勧めの完結済みの少女マンガをまとめました。高校生が主役のものをメインにまとめています!ぜひ最後までご覧ください。 『僕等がいた』は、『ベツコミ』で連載された小畑友紀による漫画作品。2002年に連載を開始し、コミックの累計発行部数が1200万部を突破するヒット作品。

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ドキドキが止まらない!胸キュンな恋愛映画【今日、恋をはじめます】

ドキドキが止まらない!胸キュンな恋愛映画【今日、恋をはじめます】

恋愛って、いいですよね。好きな人の姿を目で追ったり、片想いの人と手が触れ合ってハッとしたり…そんなドキドキは青春時代の特権です。この記事では、思わず恋がしたくなるような素敵な恋愛邦画を集めました。忘れてしまったあの頃のトキメキを、ぜひご堪能ください。恋愛って、いいですよね…(遠い目)。

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