ダンダダン(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ダンダダン』とは作者の龍幸伸が2021年から『少年ジャンプ+』で連載をスタートしたウェブ漫画。幽霊を信じる少女とUFOを信じるオタクの少年が怪奇現象と戦うオカルティック怪奇バトル漫画である。霊媒師を祖母に持ち、幽霊の存在を信じる女子高生の綾瀬桃は、教室でイジメられていたオカルトマニアの男子高校生の高倉健を助ける。この出会いをきっかけに、二人は怪奇の世界へ足を踏み入れる。話が更新されるたび100万回を突破という驚異的な閲覧数を叩き出しており、『少年ジャンプ+』の人気作品になっている。

『ダンダダン』の概要

『ダンダダン』とは、『少年ジャンプ+』にて2021年から連載中の龍幸伸のオカルティック怪奇バトル漫画。オカルティック怪奇バトル漫画とは、心霊現象や宇宙人との遭遇といった怪奇現象にバトル漫画の要素を混ぜ込んでいることを示している。更新毎に100万閲覧を突破しており『少年ジャンプ+』の看板漫画になっている。2021年に「次にくるマンガ大賞WEBマンガ部門」第2位を獲得しており、さらに2022年に「全国書店員が選んだおすすめコミック」第1位を獲得した。作者の龍幸伸は『チェンソーマン』の藤本タツキや『地獄楽』の賀来ゆうじのアシスタントを務めていた経験がある。

霊媒師を祖母に持つ女子高生の綾瀬桃(あやせもも)は、宇宙人の存在は信じていないが幽霊は信じている。オカルトマニアの男子高校生の高倉健(たかくらけん)は、幽霊の存在は信じていないが宇宙人は信じている。ある日に俳優の高倉健似の人生初の彼氏に振られた桃は、教室内でイジメられている健を助ける。健は話しかけてきた桃を趣味が合う人と勘違いするが、オカルトに対して正反対の意見を持っている2人は取っ組み合いになり、自分の信じるものの存在を証明できたら相手をパシリにする勝負に挑むことになる。桃は宇宙人が人を攫うと言われている廃病院へ、健は心霊スポットのトンネルへ行くことになる。桃は宇宙人であるセルポ星人に、健は幽霊であるターボババアに遭遇するのだった。2人は互いの理解を超えた怪奇で不思議な世界へと足を踏み入れていく。

『ダンダダン』は綿密な画力によってキャラクターが生き生きと表現されるバトルシーンが見どころであり、次の展開が予想がつかずなおかつハイテンポで物語が進んでいくので読者を飽きさせず、『ダンダダン』の世界観に一気に引き込まれるのが魅力である。

『ダンダダン』のあらすじ・ストーリー

幽霊と宇宙人

霊媒師を祖母に持ち幽霊を信じている女子高校生の綾瀬桃(あやせもも)は憧れの俳優の高倉健に容姿が似ているクズな彼氏に振られてしまう。桃が傷心のまま学校内を歩いていると、教室内で紙屑を投げられているメガネをかけた男子生徒を見かける。正義感の強い桃は、いじめられているメガネをかけた男子生徒を助けその場を離れる。助けられたメガネをかけた男子生徒は桃が自分のことが好きになったと勘違いをして廊下で桃を呼び止める。さらにメガネをかけた男子生徒は桃がオカルト好きと勘違いしてしまう。しかし幽霊を信じるがオカルトを信じない桃はメガネをかけた男子生徒と口論になる。幽霊と宇宙人、お互いが信じるものが存在することを証明しようと、その夜に桃はUFOの聖地と言われている廃病院に向かい、メガネをかけた男子生徒は心霊スポットに向かうことになる。そこで待ち構えていたのは、地球人のバナナを欲しがる宇宙人のセルポ星人とおいかけっこで負けると呪われてしまう妖怪のターボババアだった。セルポ星人に襲われ、衣服がボロボロになりながらも逃げ出そうとする桃。しかし、逃げ切れずに宇宙船に連れ去られてしまう。桃が人体実験をされそうになった直前、ターボババアから逃げる際にかけっこで負けて呪われてしまったメガネをかけた男子生徒が、桃のスマホから飛び出してきた。さらにセルポ星人の念力の影響で桃は超能力に目覚めてしまう。その後、桃のキックでセルポ星人を倒し、宇宙船が爆発寸前のところをなんとか二人は脱出する。

メガネをかけた男子学生の本名が高倉健(たかくらけん)だと知った桃は、その名前を断固として認めずにオカルンというあだ名を勝手に決め始める。オカルンは桃の超能力で呪いを抑えていないとターボババアが出てきて暴走するため二人は常に一緒にいることが必要になる。呪いの原因であるターボババアが出てくる夜まで、桃の家にとりあえずいくことになった二人。小さな神社が桃の家でになっており悪霊が入ってこないように結界が張られているため、呪われているオカルンは中に入ることができなくなる。オカルンを家に入れるために桃は鳥居のお札を外しオカルンを招き入れることになる。家に入った直後にオカルンはターボババアにイチモツを取られたことに気づくことになり、パニックになる。オカルンは勝負を持ちかけた桃のせいだと責めてしまい口論になってしまう。オカルンは桃に話しかけられたことをチャンスと思っており、ずっと友達が欲しかったと語る。オカルンが桃に声をかけた真意を知った桃は「またフツーにオカルト話をしよーぜ」と言い、二人の距離は少し縮まる。その時に家の玄関から祖母が言っていた悪霊用のチャイムの音が鳴る。裏口から庭に出るが、壁で閉じ込められていて敷地外に出ることができず、辺りには毒の霧まで漂っていた。さらに二人の前に3メートルの宇宙人のフラットウッズモンスターが現れる。その後、桃とオカルンが力を合わせて、結界の外に追い出しフラットウッズモンスターを撃破する。

高霊者vs高齢者

仮面をかぶっている超能力者のドドリア三太が、心霊テレビ番組の収録で若手イケメンアイドルの透視をして秘密を暴いていた。このドドリアサンタの正体は霊媒師で桃の祖母の綾瀬星子(あやせせいこ)だった。テレビ収録が終わり星子が家に戻ると、鳥居の前で気絶している孫の桃を発見する。そんな桃にターボババアの呪いで暴走したオカルンが襲い掛かろうとした。しかし星子が結界術で間一髪跳ね除け、桃を助けた。そしてババア対ババアの白熱する戦いの火蓋が切られる。一方的に星子がターボババアをボコボコにし、護符釘でトドメを刺す。その後気絶していた桃は自分の部屋で目が覚める。星子にオカルンの安否を尋ね、家の隣の本殿にいることがわかり、猛ダッシュで本殿に向かうことになる。扉を開けると、そこには座っておにぎりを食べているオカルンの姿があり、桃は安堵した。星子からターボババアはテリトリー内で最強と言われる地縛霊と合体したことを知る。桃とオカルンはターボババアと鬼ごっこして、テリトリーの外へ出す目的で二人はトレーニングを命じられる。オカルンは腕立て腹筋背筋スクワット100回5セットを桃はオーラを五感で感じ取れるトレーニングをする。

桃が常にターボババアの呪いを抑えつけていないと、オカルンは暴れてしまう。そんな中、新たな問題が浮上。トイレに行きたいオカルンと、トイレで用を足している姿を見たくない桃との間で言い争いが起こったのだ。桃は星子に何か良い解決法はないかと尋ねた。桃の超能力はオーラの腕で生き物や物質を掴んで攻撃したりすることができる。オカルンの中には人間のものとは違う青色のオーラがあるため、そのオーラを掴むことによって呪いを抑えることができると告げられた。さらに星子は、目に頼らず他の五感を使ってオーラを感じろとアドバイスする。桃は目を瞑って触覚を頼りにオーラを掴もうとするが、簡単にできずにオカルンが変身してしまい失敗。そんなこんなしているうちにオカルンの便意が限界になってしまい、トイレを借りますと叫び爆走する。それを行かせまいと追いかける桃、なぜか混ざってくる星子がおり、その三人でトイレをめぐり争うのだった。

ターボババアを撃破

ターボババアの呪いを解きオカルンのイチモツを取り戻すために廃トンネルにやって来た桃とオカルンは、廃トンネルのある正能市から出られない地縛霊とターボババアを引き離すために、ターボババアを正能市の外に誘い出す作戦を考える。恐怖心を抱きながらもトンネルに入る二人の前にトンネルを塞いでしまうほどの大きなターボババアの頭が現れる。二人は来た入り口の方に引き返そうとするが反対側にも同様にターボババアの頭が現れる。迫ってくる頭に桃は超能力で反撃するが全く効く様子もなく、オカルンも呪いの力でターボオカルンに変身して攻撃しようとするが、ターボババアが呪いを解いてしまい、変身体が維持できなくなる。絶体絶命の二人だったが桃は星子のアドバイスを思い出し「ターボババアなら脚の速さで勝負しろ」と挑発。まんまと挑発に乗ったターボババアとの命懸けの鬼ごっこが始まる。

ターボババアの本体を取り込むことに成功した桃とオカルンは、ターボババアと地縛霊を引き離すために地縛霊のテリトリーである正能市からの脱出を目指し走ることになる。たくさんの若い女性の顔が浮き出た甲羅を持つカニの姿をした地縛霊は、ターボババア奪還のために物凄い勢いで二人を追いかけてきた。執拗に追いかけてくるカニの地縛霊から逃げるためにオカルンは呪いの力でターボオカルンに変身する。温泉施設に逃げ込んだ二人は温泉の熱湯でボイルすることにより地縛霊を足止めすることに成功し、再び正能市の外へ向け走り出す。桃とオカルンはそのまま正能市から脱出できると思われたがそこには数多くの霊を引き連れたターボババアが立っていた。

巨大なカニと正能市の人々によって挟み撃ちされた二人。桃はオカルンに本気になってターボオカルンで戦ってとお願いするががオカルンはここで本気を出しても隣の市には届かないと言い、その発言に対して、桃は「ここで本気を出さなければ死んでしまうからウチを信じろ」と言う。変身したオカルンは最後の本気を出して群衆の間を抜け、景色を置いていくような速さで交差点まで逃げ切る。二度目の本気を出したオカルンと桃は思わずターボババアを手放してしまい、ターボババアは自由の身となり二人を蹴り飛ばす。そしてターボババアは巨大ガニと融合して二人に対して逃げるのを待ってやると挑発してくる。その挑発に対して桃は「1秒もらう」と言うと、あらゆるものを掴むことができる超能力で高架を走る電車を掴んで電車の上に乗り込む。ターボババアは別名100キロババアと言われているが、電車の速度は120キロなのでターボババアは追いつくことができない。桃はターボババアを挑発するが、ちょうどその時にカーブに差し掛かり速度が落ちてしまい、常に100キロで走るターボババアに追いつかれるが、桃はどこか余裕の表情であった。レールの先には星子が用意した結界がありそこの中に連れ込むのが狙いだった。暴れ回るターボババアを掴んで離さない桃は、ターボババアに「だてに長生きしてねぇなって感じで、誰もパイセンには勝てねえすよ」と言い、「でもこの勝負はウチの勝ちだ」と宣言し、ターボババアは断末魔の叫びをあげて結界のなかに入り爆滅することになる。

無事に地縛霊とターボババアを祓うことに成功した桃が、その光景を見守っていると巨大なカニの地縛霊からたくさんの少女の霊が解放され、そのまま空へと消えていった。駅に停車した電車から転げ落ち、電車を見送るとオカルンが目を覚めて飛び起き上がってくる、改札を出て星子と合流しその足でトンネルにお参りに向かうことなる。そのトンネルは連続少女殺人事件の現場で、桃くらいの年齢の女の子たちが乱暴されバラバラにされてから捨てられた過去がある。ターボババアの出没場所には共通点があり、そういった理不尽な死を遂げた少女の霊がいる場所に出没していた。成仏できない少女たちを慰め回っていたのではないかと星子は語る。家に戻った桃と聖子とオカルンは夕食で鍋を食べることになり、カニを取り合う桃と星子が騒いでる中、オカルンはなぜか食欲が湧かない様子である。ぐだぐだ言うオカルンに対して本当にイチモツがついているのか確認する星子と必死に逃げ回るオカルン。その後オカルンは「色々とお世話になりました」と言い桃の家を後にする。思えばターボババアに襲われてから桃とオカルンはずっと一緒に過ごしていた。「さよなら」というオカルンに「バイバイ」と答える桃だが、お互いにどこかモヤモヤし始める。すると桃はオカルンを呼び止め笑顔で「また明日」と言いそれに対して「はい」と返事をするオカルンだった。翌日、落ち着かない様子で登校するオカルンは桃と会ってどのように挨拶すれば良いか悩んでいた。すると校門の前に立っている桃と目が合い、誰かを待っていると思ったオカルンはスルーしようとする。そんなオカルンにもたれかかりながら「遅いし、行こ」と桃からの挨拶に照れて赤面するオカルンだった。

対決後

学校に着いた桃とオカルンはお互いに幽霊と宇宙人の話がしたくて仕方がない様子であり、昼休みにお互いを探すもすれ違いが続くことになる。そんな時に、中庭でぶつかり合い思わずキスしてしまう。その状況を見たクラスメイトにからかわれ、桃とオカルンはケンカになってしまう。後悔しながらもオカルンがトイレに向かうとタマがないことに気づいた。下校時にオカルンは白鳥愛羅(しらとりあいら)とぶつかってしまい、そこから意気投合しているところを、たまたま通りかかった桃に見られてしまう。話をしていた愛羅がオカルンと別れると、態度が一変して「カスを自分のことを好きにさせるのが楽しい」と話していて、それを桃が聞いてしまう。そして下駄箱の上にあったタライを超能力で愛羅の頭上に落下させて、「バカ女にはわかんねえかオカルンの魅力は」と言い桃はオカルンと下校中に先ほどケンカしたことを謝って、桃とオカルンは仲直りする。オカルンは仲直りできたことに安心しつつも、自分にタマがないことを桃に相談し、星子に相談すべく再び桃の家を訪れることになる。鏡を通してオカルンを見てみると何かがオカルンの中にいると星子は宣言する。

招き猫にお札を貼り、除霊の準備をする一同。星子はハリセンでオカルンのことを殴る。突然のことに驚くオカルンだが、桃にはオカルンの中のオーラが青くなったとこをみていた。星子はオーラが青くなった瞬間に超能力で引っ張り出すよう桃に指示を出し、再度同じことをすると招き猫に貼ったお札の色が変わっていく。皆が見つめていると、突然招き猫が逃げ出してしまう。桃の超能力でオーラを感じ取り、招き猫を捕まえることに成功する。招き猫を調べると中にターボババアが潜んでいた。オカルンはタマを返すようターボババアに問い詰めるが、自分が死ぬとオカルンのタマが元に戻らないといい自分が主導権を握っているから言う事を聞けと脅してくる。さらに包丁を使って桃と星子を殺すようオカルンに命令する。それを聞いたオカルンは突如変身。ターボババアが自分の中にいないのになぜ変身できるのかと驚く。ターボババアの霊力だけオカルンの中に残り、意識だけが招き猫の中に入っている状態だと星子は言う。そのことを聞いたターボババアは態度を一変し、謝り始める。桃はターボババアは実はいい奴だとわかっているので、オカルンにタマを返せば元に戻すと約束をするが、ターボババアはオカルンのタマをどこかに落としてしまったと言う。

『ダンダダン』の登場人物・キャラクター

主要人物

綾瀬 桃(あやせ もも)

本作の主人公の1人で、いわゆるギャル。宇宙人の存在を信じていないが幽霊の存在は信じている。霊媒師の祖母を持ち、幼少期の時に周りからそのことを揶揄された過去を持ち、祖母の星子に対して素直な態度をとれないでいる。俳優の高倉健の大ファンであり、高倉健の要素を持つ男性に惹かれる。同姓同名で口調も似ている健のことを意識しており、意図的にオカルンというあだ名で呼んでいる。健とはいじめから庇ったことで知り合いになる。はじめはケンカするほど仲が悪かったが、彼との勝負をきっかけとして怪異と深く関わって行くことになる。今では、友達以上の存在として互いに意識している。セルポ星人に誘拐されたことで超能力に目覚め、人や妖怪、物体のオーラを掴んで、自由に動かせるようになる。星子の見立てによれば今はまだ力を封印された状態らしい。

高倉 健(たかくら けん)

本作の主人公の1人であり、いわゆるオタクである。通称はオカルン。幽霊の存在は信じていないが宇宙人の存在は信じている。幼少期から友人がおらず、宇宙人なら友人になってくれるかもしれないという思いからオカルトに没頭していく。いじめを庇われたことで桃と関わりを持ち、オカルトに関する勝負がきっかけとなって怪異と深く関わることになる。勝負の際にターボババアにイチモツを奪われたことで呪われる。桃との共闘でターボババアを下して以降は、自分の意思でターボババアの力を利用できるようになる。当初はおかっぱのような髪型だったが、一度変身してからは無造作なパーマヘアになっている。基本的には卑屈で控えめな性格をしており、気負いなく人と接することも苦手である。ケンカや戦闘などはもってのほかだが、桃と同じで土壇場では度胸と機転を発揮する。義理堅く優しい人物であり、誰かの為に力を発揮することができる。桃とは友人同士だが、互いのことをそれ以上に意識している。

ターボオカルン

ターボババアの呪いを利用して返信した姿。当初は桃が頭部の呪いを抑えていなければ意識を保てなかったが、ターボババアに勝利し、その意識を人形に移してからは力のみを引き出せるようになった。変身すると頭部が歯がむき出しになったマスクのような姿に変わり、髪が白くなり、衣服とともに逆立つ。身体も筋張って細長くなり、妖怪じみた見た目になる。ターボババア由来の超人的なスピードと膂力と顎を持ち、宇宙人や妖怪にも太刀打ちできるが、体への負担が大きく、ターボババアの呪いを利用した力も日に2回しか発揮できない。その分、全力を出した時の威力は他の追随を許さない。変化は身体だけでなく精神にも表れ、フランクで攻撃的な性格になる。口調も普段の敬語が砕けて女性を下の名前で呼ぶようになる。一方でひどい鬱状態になってしまい「萎えるぜ」が口癖になる。姿勢も異常な猫背になるが、元来の卑屈な面や消極的な面にはあまり変化が見られない。

家族・友人

綾瀬 星子(あやせ せいこ)

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