きんぎょ注意報!(漫画・アニメ・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『きんぎょ注意報!』とは、1989年から1993年に少女漫画雑誌『なかよし』で連載されていた猫部ねこの漫画である。テレビアニメの放送をはじめ、映画の放映、家庭用ゲーム機のソフトやグッズが発売されていた。物語は主人公で女子中学生のわぴこが通う中学校に藤ノ宮千歳が転校してきたことから始まる。千歳のペットの金魚のぎょぴが空を飛べたり、校内で飼育されている動物が当たり前のように話せるなど、作品全体がギャグ漫画となっており恋愛要素はほとんどないことから老若男女問わず多くの人から人気を得ていた作品。

『きんぎょ注意報!』の概要

『きんぎょ注意報!』とは、中学校で飼育されている様々な動物たちが人間の言葉を話し人間に交じって当たり前のように生活しているなど、常識では考えられない世界観が特徴の静岡県磐田市周辺を舞台とした、漫画家の猫部ねこの作品である。
1989年から1993年にかけて少女漫画雑誌『なかよし』(講談社)にて連載され、単行本も全8巻発売されている。さらに作品連載中の1991年1月から1992年2月にかけてテレビ朝日系列で土曜日の19時よりテレビアニメが放全54回送された。その他にも映画の放映やゲームソフト・グッズも販売される。また、スナック菓子のポテトチップスを作品中で「ポテチ」と略称したことから日本中に「ポテチ」が広まったことは有名である。
2005年にはアニメ版のDVD-BOXと、『なかよし』にて読み切りの『きんぎょ注意報!リターンズ』が掲載された他、原作コミックの新装版全7巻が発売された。2020年にはアニメ版のBlu-ray BOXが発売されるなど、ファンの間では『きん注』と呼ばれ長きに渡って愛され続けている。

都会のお金持ちの家庭で育ち都会ノ学園に通っていた女子中学生の藤ノ宮千歳(ふじのみやちとせ)は、実業家であった父を亡くしたことがきっかけで貧乏になってしまい田舎ノ中学校に転校しなければならなくなった。主人公で女子高生のわぴこは、都会ノ学園から幸運を呼ぶというピンクの金魚のぎょぴを連れて転校してきた千歳と仲良くなりたいと願う。
しかしお嬢様であった千歳は廃校が決まっていた田舎ノ中学校のボロボロの校舎や、人間と話ができる動物たちの存在、学校行事をすべて遊びに変えてしまうという自由すぎる校風に驚いてしまう。
千歳は父が残してくれた遺産を使い、田舎ノ中学校の再建をし「新田舎ノ中学校」の理事長兼生徒会長になる。徐々に仲良くなっていったわぴこや、同級生の北田秀一(きただしゅういち)、葵(あおい)とともに、新田舎ノ中学校を今とは真逆の品があり優秀な学校にすべく奔走する。

『きんぎょ注意報!』のあらすじ・ストーリー

やってきた転校生

理事長になった転校生

中学2年生のわぴこは、翌年の4月で廃校が決まっている田舎ノ中学校に通っていた。ある日、田舎ノ学校の裏山に一人の女の子が倒れていた。この女の子は、裏山を挟んだ反対側にある超エリート校の都会ノ学園から転校してきた藤ノ宮千歳(ふじのみやちとせ)だった。経営者の父親が亡くなったことで貧乏になってしまった千歳は、都会ノ学園をやめるしかなかったとわぴこに話した。
千歳とともにやってきたぎょぴというピンク色の金魚は、世界に1匹しかいない珍種で「幸運を呼ぶ金魚」として藤宮家の家宝とされていた。たった1匹の家族を連れた千歳は、父親の顧問弁護士をしていた田中山(たなかやま)を信頼していた。しかし田中山は、ぎょぴを盗もうとしたり、千歳の父親の数百億もの遺産を自分のものにしようとするとんでもない奴だったのだ。田中山の悪行のおかげで、父親が自分に遺産を残してくれていたことを知った千歳はその遺産を使い、田舎ノ中学校を建て直すことを決意する。

春休み期間中、わぴこと幼馴染の葵(あおい)や北田秀一(きただしゅういち)は、新年度の入学制との募集ビラを町中に貼って回った。理事長に就任した千歳は、転校前に通っていた都会ノ学園に負けない学校にするために、自分が生徒会長を兼任し、秀一には副会長になって欲しいとお願いするが、秀一はわぴこを生徒会に入れないのであれば無理だと断ってしまう。
田中山から千歳が新しく中学校を建てたと聞きつけた、都会ノ学園の生徒会長の菅平由梨香(すがだいらゆりか)は、千歳たちが開催する入学説明会に乗り込んでいく。由梨香や飼育動物の乱入で大混乱となった入学説明会だったが、何とか無事に終えることができた千歳はわぴこに生徒会へ入って欲しいとお願いする。

そして4月になった。千歳が理事長を務める中学校は「新田舎ノ中学校」として新たなスタートを切るのだった。

金魚らしくない金魚

転校生の千歳が一緒に連れてきたペットの金魚は「ぎょぴ」という名前だった。ぎょぴは時価数億円とも言われる世界では珍しい金魚だった。その高価さゆえ、千歳の父の顧問弁護士をしていた田中山に盗み出されるという事件も起きてしまう。わぴこの活躍により無事に千歳のもとに戻ってこれたぎょぴは、千歳とともに新田舎ノ中学校の理事長室の水槽で日々を過ごすことになった。
水槽の中で暇を持て余していたぎょぴだったが、ある日わぴこからお菓子の「ぽてち」をもらう。この日からぎょぴは金魚らしからぬ行動をするようになる。ぽてち虜になってしまったぎょぴは、ぽてちを食べたい一心で水槽を飛び出してしまう。水槽からぎょぴがいなくなったことに気づいた千歳やわぴこたちがぎょぴを探し回っていることを知らないぎょぴは、ぽてちの袋を引きずって持ち帰ってくるところを見られてしまった。このことがきっかけでぎょぴは堂々とお菓子や激辛カレーなど人間の食べ物を食べるようになる。

さらには、空を飛ぶという大技を繰り出す。ふわふわと校内を飛び回るぎょぴに、校内で飼育している動物と会話ができる生徒たちは驚くこともなく自然とぎょぴが飛び回ることを受け入れたのだ。ぎょぴの飼い主である千歳もまた、ぎょぴが飛び回る事実を驚きながらも受け止めるのであった。

自由すぎる学校

授業をするのも大変

新田舎ノ中学校は、千歳やわぴこが所属している2-Bを中心に非常に自由奔放な生徒が多い学校だった。
何といっても驚きなのは、本来学校で飼育されているはずの動物たちが人間と一緒に教室の机で当たり前のように授業を受けていることだ。わぴこやクラスメイト達はこの動物たちと普通に会話をしたり、一緒に様々な行事に取り組んでいる。素行が悪い牛が、大好物の焼きそばパンをカツアゲでもするかのように他の生徒たちから取り上げようしたり、牛たちのマドンナであるメス牛のウシ美が秀一に想いを寄せていることを知ると秀一を一歩も校舎内から出さないように後をつけたり因縁をつけるなど、ウシたちと人間との乱闘が日常的に巻き起こっていた。
理事長として「新田舎ノ中学校を優秀な中学校にする」という目標を掲げた千歳は、まじめに授業をやって欲しいと担任でもある男性教諭の溝口(みぞぐち)に申し出るのだが、気の弱い溝口には2-Bの騒ぎをやめさせることはできずいつも物陰に隠れてビクビクするばかりだった。思い悩んだ溝口は校長が給食の時間に生放送で行っている電話相談に相談を持ち掛ける。校長からのアドバイスを胸に強くなる決心をするが、2-Bの生徒たちの自由気ままさに負けてしまい、結局まともに授業をすることができなかったのだった。

そんな大騒ぎの日々の中で、恒例行事となっている遠足の日がやってくる。校長の案内で以前千歳が通っていた都会ノ学園に到着した生徒たちは、突然都会ノ学園の校内で缶蹴り大会を始めてしまう。また、夏休みに2-Eの海野民子(うみのたみこ)の親戚が経営している海の家で行った臨海学校で人食いザメと出会ったわぴこは、友達を欲しがっていた人食いザメを出来上がったばかりの学校のプールで飼い始めてしまう。人食いザメと仲良くなっていたぎょぴは大喜びするが、千歳はとんでもないことを思いついたわぴこに呆れるばかりだった。

常識では考えられないことを普通に受け入れてしまう生徒たちに驚く千歳だったが、お菓子やたこ焼き、カレーライスなど人間の食べ物が大好物で、人間の言葉を話し空までもを飛んでしまうというぎょぴの金魚らしからぬ真実を新田舎ノ中学校での日々の中で知る。常識外れのことばかりが目の前で巻き起こる美々の中で千歳は徐々に新田舎ノ中学校色に染まっていくのだった。

自由すぎる校長

2-Bを中心に自由奔放な生徒ばかりが通っている新田舎ノ中学校だが、自由奔放なのは生徒ばかりではなかった。学校の責任者でもある校長は、なぞの触角が頭についている人物である。朝のホームルームでの出席確認に使用する生徒名簿は校長が作成していた。新田舎ノ中学校としてスタートした日、朝のホームルームで出席確認を始めた担任の溝口は、クラスメイト達をあだ名で呼び始める。驚いた千歳がふざけているのかと担任に抗議すると、担任は生徒名簿には生徒の名前ではなくあだ名が書き込んであると答える。なんと校長は、全生徒の名簿をあだ名で作成していたのだ。

さらに恒例行事となっていた遠足で、校長は行き先も告げずに生徒たちを引率していく。到着したのは、以前千歳が通っていた都会ノ学園だった。驚く生徒たちに校長は都会ノ学園の校内で缶蹴り大会を始めてしまった。都会ノ学園で生徒会長をしている由梨香は、許可もなく校舎内に入ってきて缶蹴りまで始めてしまった校長に注意をするが校長は全く聞く耳を持たなかった。都会ノ学園の教室で授業をしていてもお構いなしに校内を走り回る生徒たちの缶蹴り大会は昼過ぎまで続き、最後はわぴこが缶を蹴り飛ばして終了するのだった。

また校長は、きちんと授業も受けずに喧嘩をしたり走り回ったりする2-Bを何とかして欲しいと困り果てる溝口を無視し、生徒たちと一緒になって騒ぎまわってしまうことも少なくなかった。のびのびと学校生活を送って欲しいと考える校長は生徒たちからはとても好かれているのだが、実は子供のまま大人になったような人物だった。

千歳と由梨香はライバル同士

何かと千歳の邪魔をしようとする由梨香

都会ノ学園で生徒会長をしている由梨香は、千歳が都会ノ学園に通っている頃の同級生で千歳とはいがみ合う仲なのだ。千歳が亡き父の遺産で新田舎ノ中学校を建てたことを聞きつけた由梨香は、さっそく新田舎ノ中学校の入学説明会に乱入していく。悪事を働き藤宮家の顧問弁護士をクビにされた田中山をスパイとして新田舎ノ中学校に送り込んでは、千歳や新田舎ノ中学校の様子を探って邪魔をする機会をうかがっていた。

そんなある日、優秀校ばかりが加盟するP学園連盟への登録を希望する新田舎ノ中学校に、加入条件として「部活動で都会ノ学園に勝つこと」が課せられてしまう。他校と張り合えるような部活動が一つもないのに都会ノ学園に勝負しようとする千歳を秀一は呆れてしまう。唯一活動していた演劇部の部員のほとんどが牛だった。慌てる千歳を見たわぴこは自分たちが演劇部に入ることを提案した。
千歳から演劇部で勝負をすることを伝えられた由梨香は、千歳が負けた場合、自分が好意を寄せている葵を都会ノ学園に転入させることを千歳に約束させた。都会ノ学園が演劇の強豪校であったことを思い出した千歳は、途端勝ち目がないと落ち込んでしまう。
わぴこはやってみないと勝負はわからないと千歳を鼓舞する。わぴこに背中を押された千歳は、わぴこや秀一たちと猛練習に励んだ。勝負当日、ハイレベルな演技を見せた都会ノ学園だったが、演技が下手ながらも観客を引き付ける演技を見せた新田舎ノ中学校に負けてしまう。

悔しさが止まらない由梨香は、その後もありとあらゆる手を尽くして千歳の邪魔をしようと試みるが、ことごとくわぴこや葵たちに打ち破られてしまうのだった。

恋のライバル

突然、新田舎ノ中学校の校長が生徒たちを連れて都会ノ学園を訪れる。前もって何の連絡もなくやってきたことを都会ノ学園の生徒会長として注意をする由梨香だったが、校長は由梨香の言葉には耳を一切傾けずに缶蹴り大会を始めてしまう。
授業中でもお構いなしに校内を自由に走り回る新田舎ノ中学校の生徒たちに困惑した由梨香は、何とか缶蹴り大会をやめさせようと焦っていた。焦りすぎていた由梨香は、廊下で誰かとぶつかって転んでしまった。ぶつかった相手は謝りながら、転んでいる由梨香にそっと手を差し伸べた。その人物が葵だったのだ。優しく引っ張り上げてくれた葵に、由梨香は思わず見とれてしまう。由梨香を引っ張り上げるとそそくさとその場を去ってしまった葵だったが、このことがきっかけで由梨香は葵に一目惚れしまっていた。

葵と出会って以降、何とか葵に会う機会が作れないかと考えていた由梨香のものとに、P学園連盟から、連盟加入をかけて新田舎ノ中学校と演劇で勝負して欲しいとの連絡がきたのだ。改めて勝負について千歳と話した由梨香は、自分が勝った時に葵を都会ノ学園に転入させるという約束を千歳に取り付けさせてしまう。
演劇強豪校でもある都会ノ学園が勝つと自信満々だった由梨香だったが、結果は新田舎ノ中学校に負けてしまった。葵が自分のものにならなかったことに悔しさが消えない由梨香はその後も、葵の気を引こうとあらゆる手段を使ってみるが一向に葵を振り向かせることができずにいた。
葵を振り向かせようと由梨香が必死になっている頃、千歳は少しずつ葵を意識し始めていた。もともとライバル同士の関係だった千歳と由梨香は、同じ男性を好きになってしまったことで恋敵の仲へと進展していくのだった。

『きんぎょ注意報!』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

わぴこ

CV:かないみか
主人公で、新田舎ノ中学校に通っている中学生2年生の女の子。秀一と葵とは幼馴染。生徒会では書記を務めている。本名は不明である。ピンク色のショートヘアで片側を結っていて、他の女子中学生と並んでも一回り小さい体型をしている。いつも元気いっぱいで言動や性格は子供っぽい。成績は悪いが記憶力はよく丸暗記が得意で、自動車よりも速く走れるほどの体力の持ち主。また、動物たちと会話をしたり犬並みの臭覚や50倍もの激辛料理でも平らげられる味覚など人間離れしている。感も鋭く、トラブルが起きた時の対処がとても早い。
ポテトチップスやキャルメラといったスナックお菓子類や焼きそばパンが好き。将来の夢は郵便屋さんのペンギンになる事である。「はよ〜ん」、「ばいび〜」、「〜だよん」といった独特の口調で話す。

2egamico616
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