バリハケン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『バリハケン』とは、鈴木信也によって、2008年から集英社出版の『週刊少年ジャンプ』に掲載されたギャグコメディ漫画である。作者の鈴木信也は、人気野球ギャグ漫画『Mr.FULLSWING』も手掛けており、今作は2作目の連載作品。ヤンキーとオタクという異色の組み合わせと、テンポの良いギャグが魅力となっている。
主人公はオタクで臆病な性格の高校生・御手洗団吾。ひょんなことから番長になってしまった彼が、様々なハプニングに巻き込まれていく物語である。

首都高校の初代番長だったとされる人物。暴力団の組長の息子で、現在は刑務所にいる。

火讐 知世子(かしゅう ちよこ)

火讐の2歳年下の妹。「華秋(かしゅう)チョコ」という芸名で、アニメの声優などの活動をしている。新人ながらもファンクラブができているほど人気で、御手洗がファンクラブの会員No.1として入会している。

『バリハケン』の用語

首都高校(しゅとこうこう)

不良が多いと言われる、東京都内にある高校。真面目な一般生徒の方が人数は多いが、それぞれの学年の不良たちが校舎の一部を占領している。

覇権組/派遣組(はけんぐみ)

元々は、火讐が様々な部活動を襲い、部室などを奪う活動をする際に「覇権組」と名乗っていた。御手洗に敗れてからは、火讐自らが「派遣組」に改名し、困っている部活動の助っ人をする組織となる。その後、2年生と抗争を起こす際に武闘派集団として「覇権組」の名に戻すこととなった。

ラート部

鉄の輪を平行に繋いだラートと呼ばれる器具を使用して競技を行う部活動。本来はドイツ発祥のスポーツで、ラートを使い様々な体操を行う競技である。作中では、ラートを自転車代わりに使用し、100kmに及ぶ過酷なロードレースを行っていた。池が部長を務めている。

長風呂部(ながぶろぶ)

山小屋の中で五右衛門風呂に入り、山小屋そのものも燃やすという過酷な競技を行う部活動。御手洗がその存在を知った時には、すでに火讐がこの部活を潰した後だったため、本来の部員数や活動内容は定かではない。

東冥高校(とうめいこうこう)

摩堂や日下が在籍している高校。東冥高校の不良は皆、フードの付いた迷彩柄の衣服を着用している。本来の制服は明らかになっていない。

ぷりん@あらも~ど

アニメやゲームの二次創作活動を行っている同人サークルの名称。御手洗、御宅田、古森が所属しており、同人イベントの際には行列ができるほど人気のサークルとなっている。

『バリハケン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

御手洗団吾「ゆめはね 今も何処かで きっと生きているんだ ゆめは絶対 死んだりしないから」

御手洗が長風呂対決をした際、対戦相手の火讐に投げかけた言葉。火讐は対決中に、幼い頃はプロボクサーを目指していたが怪我により夢を失い、心が荒んでしまって他の部活動を荒らすようになってしまったことを打ち明ける。つまらない話だと自嘲的に笑う火讐に、御手洗は泣きながら「ゆめはね 今も何処かで きっと生きているんだ ゆめは絶対 死んだりしないから」と言い放った。火讐は御手洗が自身のために泣いていると思い、「夢は死んだりしない」という言葉に励まされる。御手洗が舎弟に慕われている理由と、部活を潰すという自身の行動が間違っていたことに、火讐が気付く印象的なシーンとなっている。

一見感動するセリフと場面だが、実際の御手洗は長風呂と小屋の熱で意識が朦朧としており、自身の好きなゲームのキャラクターについて語っている。キャラクターの名前が結女(ゆめ)であり、結女が病気で亡くなる内容であることから、御手洗はこのセリフを発していた。勘違いした火讐が勝手に改心し、御手洗が困惑するオチも見どころとなっている。

御手洗団吾「どうしてみんな争うのさ オタクと不良ってそんなに仲良くしちゃいけないの… ボクはただ どっちも友達だと思ってるだけたなの…に」

不良とオタク衝突した際に、火讐と御宅田の攻撃を受け止めた御手洗が放った言葉。御宅田と古森が、首都高校の不良を名乗る者に襲撃された事件をきっかけに、秋葉原で不良とオタクの抗争が起きようとしていた。どうにか衝突を避けようと、御手洗は自身が番長でありながらオタクでもあることを打ち明けるが、両者が止まることはない。襲撃の犯人が首都高校の不良ではないと判明しても事態は変わらず、遂に前線にいた火讐と御宅田が互いに攻撃を繰り出してしまう。その瞬間に間に割り込み、その身で2人の攻撃を止めた御手洗は、「どうしてみんな争うのさ オタクと不良ってそんなに仲良くしちゃいけないの… ボクはただ どっちも友達だと思ってるだけたなの…に」と言いながら、地面に倒れたのだった。

不良とオタクの二面性を持ち、両陣営に友人や仲間がいる御手洗だからこそのセリフとなっている。御手洗は入学当初に不本意ながらも番長となり、初めは他のオタク仲間のように不良を毛嫌いしていた。覇権組の不良たちと過ごす内に、不良も悪い人ばかりではないことに気付き、覇権組が御手洗にとっての大切な居場所となっていたことが分かる印象的なシーンでもある。このセリフと体を張って抗争を止める御手洗の姿が、不良とオタクの抗争を止めることに繋がった。

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