東京事変(Tokyo Incidents)の徹底解説まとめ

東京事変(とうきょうじへん)とは、シンガーソングライター椎名林檎を中心に2003年に結成された日本のロックバンドである。2012年2月29日の武道館公演を最後に一度活動を終了したが、2020年より活動を再開した。ポップス、ロック、ジャズ、ファンクなどあらゆる音楽ジャンルを網羅し変幻自在に活動している。圧倒的な演奏力と徹底的に作り込まれたコンセプトが話題となり、多くの音楽ファンを魅了し続けている。2020年にはNHK『紅白歌合戦』に初出場を果たした。

東京事変の概要

東京事変(とうきょうじへん)とは、1998年にすでにメジャーデビューを果たしていた人気ソロシンガーソングライター椎名林檎(Vo&Gt)を中心に結成されたロックバンド。結成以前、引退を考えていた椎名が「創作者としての延命処置」を目的とし、自らライブハウス等を巡りメンバーを招集。はじめは椎名林檎の実演ツアー「雙六エクスタシー」でのバックバンドとしての稼働だったが、2004年に椎名本人が東京事変のメンバーとしての活動を正式に表明。同年フジロックフェスティバルのホワイトステージのヘッドライナーを務め、入場規制が掛かるほどの衆目を集める。翌年2人のメンバーチェンジを経て、メンバーが安定した。椎名林檎時代からのファンはもちろんのこと、メンバーの個性を活かしたハイセンスな音楽性や、椎名が編み出す文学的歌詞などが話題となり、女性を中心に新規ファンを多く獲得。人気絶頂の最中、2012年2月29日の武道館公演をもって惜しまれつつもバンド活動を終了。その後メンバー各々個人で音楽活動を続けていたが、東京オリンピックイヤーであった2020年1月1日に突然「再生」と銘打って活動再開を発表。コロナ禍による不安と絶望で日本が大きく揺らぐ中、活動終了した日と同じ閏日に、彼らは東京国際フォーラムの舞台に立ち、8年間待ち続けていたファンの熱意に誠心誠意応えた。その年の東京オリンピックは延期となってしまったものの、8年の年月を経て伝説のロックバンドが再結成するということで、多くの音楽ファンの記憶に色濃く刻まれることとなった。

初期は椎名が主に作曲を担当していたが、中期からは他メンバーが曲を持ち寄ったり、メンバー同士で共作をしたりと、より音楽の裾野を広げていった。そういった要因もうまく作用し、歪みをきかせたギターサウンドに椎名のシャウトが響くパンクロックや、ホーンセクションが輝かしく響くゴージャスなビッグバンド・ジャズ、シンセサイザーやドラムンベースを用いた思わず踊り出したくなるダンスミュージックなど、ジャンルにとらわれず、常に柔軟に新しい音楽を創り出してきた。また、既に洗練されている楽曲を、ライブでは多様なアレンジを加えて披露することで、楽曲の新たな魅力を引き出している。オリジナルとライブアレンジを聞き比べるのも、東京事変のサウンドを楽しむ醍醐味である。

ほとんどの楽曲の作詞を椎名が担当しているが、彼女が書き下ろす歌詞にも注目すべき点が多い。般若心経からネット用語まで、古今東西の言葉を巧みに並べ、絶妙に口ずさみやすい洒落の効いたフレーズを生み出している。しかし歌詞の一つ一つを紐解くと、日々を必死に生きる人に寄り添い讃えるような、温かく優しいメッセージが込められている。その核心に触れ、思わず胸を熱くする人も多い。悟りを開くファンもしばしば。

また、徹底的に作り込まれた世界観も、魅力の1つである。東京事変には、オリジナルアルバムのタイトルを命名する上で「チャンネル縛り」というものが存在する。各アルバムが、テレビ番組のチャンネル名から由来されているのである。(『教育』=教育チャンネル、『大人』=アダルトチャンネル、『娯楽』=バラエティチャンネル等)その他にも、アルバムの収録曲の順番を、ある楽曲を中心にタイトルをシンメトリーに配置したり、曲名に回文を用いたり、過去にリリースした楽曲のフレーズを新曲に組み込んだりと、気づいたらふわっと鳥肌が立つような、ちょっとしたギミックにもこだわっている。

まさに、常に進化を続ける「変幻自在の音楽集団」である。

東京事変の活動経歴

バンド結成からデビューまで

「東京事変 live tour 2005 “dynamite!”」より

2003年に椎名林檎(しいなりんご)のバックバンドとして結成したのがバンドの始まりである。メンバーは亀田誠治(かめだせいじ)、刄田綴色(はたとしき)、H是都M(えいちぜっとえむ)、晝海幹音(ひらまみきお)。椎名林檎実演ツアー「雙六エクスタシー」でお披露目となり、椎名林檎ファンの間で密かに話題となった。翌2004年に、椎名は「今の段階では一人きりで作る音楽はやり終えている」としてバンド「東京事変」のメンバーとして活動することを宣言。これを機に本格的にロックバンドとしての音楽活動が始まった。
同年『FUJI ROCK FESTIVAL』ではヘッドライナーを務め、異例の入場規制がかかるほどの注目を集める。
9月8日、東芝EMI(当時)よりシングル「群青日和」でメジャーデビューを果たし、11月25日、1stアルバム『教育』リリース。オリコンチャート最高2位の売り上げを記録した。
2005年1月17日より初のライブツアー「東京事変 live tour 2005 “dynamite!”」を開催。10都市を巡り14公演を見事完走。圧倒的な音楽センスと演奏技術で、多くの音楽ファンを虜にした。

メンバーチェンジを経て第二期始動

3rdアルバム『娯楽』のプロモーションフォト

2005年7月1日、キーボード担当のH是都Mとギター担当の晝海幹音の脱退を発表。脱退理由は各々個人の音楽活動に専念するためであった。
同年9月、浮雲(うきぐも)と伊澤一葉(いざわいちよう)の2人を新メンバーとして迎え、第二期東京事変を始動。11月2日、3rdシングル「修羅場」をリリース。
2006年1月25日、2ndアルバム『大人』をリリース。新メンバーを交えて初めてのアルバムであったが、その音楽性がファンの心を掴み、アルバムはバンド初のオリコンチャート第1位を獲得した。
2月19日、日本武道館と大阪城ホールにて新メンバーのお披露目ライブ「DOMESTIC! Virgin LINE」を開催。4月7日より約2ヶ月にわたる全国ツアー「東京事変 “DOMESTIC!” Just can't help it.」を17都市21公演で開催し、成功を収めている。
2007年9月26日、3rdアルバム『娯楽』をリリース。それまで全楽曲の作詞作曲を椎名が担当していたが、このアルバムでは椎名は作詞と歌唱に専念。他のメンバーが中心となり楽曲を持ち寄りアルバムを完成させた。また、「OSCA」など一部楽曲は浮雲が作詞を担当している。10月18日からはアルバムを引っさげて全国7都市でのライブハウスツアー「東京事変 live tour 2007 Spa & Treatment」を開催。

小休止から椎名林檎としての紅白歌合戦出演まで

4thアルバム『スポーツ』発売時のプロモーションフォト

2008年は椎名がソロデビュー10周年を迎えたことにより、ソロでの音楽活動を再開。そのため、他メンバーも各々の音楽活動をするようになり、東京事変名義での活動は抑えられた形となった。
再び東京事変としての活動が動き出したのは、2009年12月2日。6枚目のシングル「能動的三分間」を発売。シングルとしては初めてとなるオリコンチャート第1位を獲得した。翌2010年2月24日には、4作目となるアルバム『スポーツ』を発売。2ndアルバム『大人』以来のオリコンアルバムチャート1位を獲得する。同年3月より、ニューアルバムを引っさげて2年半ぶりの全国ツアー「東京事変 live tour 2010 ウルトラC」を開催した。
2011年2月10日に路上で泥酔した刄田が公務執行妨害で逮捕。その影響により、それまで予定されていた楽曲の発売延期とプロモーション活動の自粛することとなった。この不祥事により、江崎グリコ「ウォータリングキスミント」のCMソングに起用された「空が鳴っている」並びに資生堂「マキアージュ」のCMソングに起用された「女の子は誰でも」は、名義を椎名林檎に変更し、別アレンジバージョンに修正し放送されることになった。5月11日に、発売延期となっていたシングル「空が鳴っている/女の子は誰でも」がリリース。その約1ヶ月後の6月29日には5作目のアルバム『大発見』が発売され、オリコンチャート1位を獲得した。
12月31日、椎名が「第62回NHK紅白歌合戦」に初出場。バックバンドとして東京事変メンバーも出演し、椎名のソロ名義楽曲「カーネーション」と、東京事変の楽曲「女の子は誰でも」の2曲を、紅白歌合戦スペシャルバージョンとしてメドレー形式で披露。このパフォーマンスが、番組前半の最高視聴率を記録することとなった。

バンド解散

2012年2月29日開催のラストライブ「東京事変live tour 2012 Domestique Bon Voyage」ツアーファイナルより

2012年1月11日、バンドの公式ホームページにて、バンドの解散を発表。椎名の声明文により、解散日は来る閏日の2012年2月29日であることが同時に伝えられた。その1週間後、ラストアルバム『color bars』をリリース。メンバーが各々作詞作曲を担当した5曲で構成された、貴重な1枚である。
2月14日より解散前最後のライブツアーを「東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage」を開催。翌日、今までのライブ音声を新しい順に並べ収録した、キャリア初にして最後のライブベストアルバム『東京コレクション』をリリースした。そして、椎名の宣言通り2月29日、「東京事変live tour 2012 Domestique Bon Voyage」の最終日に日本武道館でラストライブを機に解散した。
解散後も、シングルのカップリング曲を収録した『深夜枠』や、ライブ映像集『珍プレー好プレー』、CD-BOX『Hard Disk』、ミュージック・ビデオ集『Golden Time』など未発表曲を含む音楽作品や映像作品をリリースしていた。

再生

「東京事変2O2O.7.24閏 vision 特番ニュースフラッシュ」より

2020年1月1日、公式ホームページならびにSNSにて、バンドの「再生」(活動再開)が発表された。発表と同時に、新曲「選ばれざる国民」が配信される。閏日である2月29日の東京国際フォーラム公演を皮切りに、8年ぶりのワンマンツアーである「東京事変 Live Tour 2O2O ニュースフラッシュ」を開催することを発表した。しかし、新型コロナウィルス感染症が流行し、2月29日公演と3月1日公演を除く11公演が中止となった。同年4月8日に、再生後初のアルバム『ニュース』が発売。収録された「永遠の不在証明」は『名探偵コナン 緋色の弾丸』の主題歌となった。
7月24日、「東京事変 Live Tour 2O2O ニュースフラッシュ」の最終公演が行われる予定だったNHKホールにて、無観客ライブを収録。9月5日にその模様がインターネット配信と映画館でのライブビューイングで披露された。また12月31日には、キャリア初のNHK紅白歌合戦への出場を果たした。
2021年1月1日、公式Youtubeにてティザー映像「Up, up and away!2O2O」を公開。2021年が始まっても活動を続けることと、新しいアルバムを制作することを宣言した。同年6月9日、10年ぶりとなるニューアルバム『音楽』をリリース。半年後の12月22日には、これまでの東京事変を振り返るオールタイムベスト『総合』と、全プロモーションビデオを収録した映像集『Prime time』が発売された。

東京事変のメンバー

現メンバー

椎名林檎(Vo&Gt)

椎名林檎

椎名林檎(しいなりんご)。1978年11月25日生。福岡県出身。
1998年1stシングル「幸福論」を引っさげメジャーデビュー。自身の2ndアルバム『勝訴ストリップ』が累計売り上げ250万枚を超える大ヒット作品となる。以降日本を代表する女性シンガーソングライターとして、多くのファンに愛されている。
自身の活動の他に、ともさかりえやTOKIO、栗山千明、石川さゆり等様々なアーティストに楽曲を提供。CMやTVドラマ、舞台、映画などの音楽制作やプロデュースも精力的に行っている。映画『さくらん』では音楽監督を担当し、日本アカデミー賞音楽優秀賞を受賞。リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック閉会式に於けるフラッグセレモニーでは演出、音楽を担当。その功績が高く評価され、国内外で話題の人となる。
代表作は「歌舞伎町の女王」、「丸の内サディスティック」、「本能」、「罪と罰」、「ありあまる富」、「NIPPON」、「長く短い祭り」等。

亀田誠治(Bass)

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