東京事変(Tokyo Incidents)の徹底解説まとめ
東京事変(とうきょうじへん)とは、シンガーソングライター椎名林檎を中心に2003年に結成された日本のロックバンドである。2012年2月29日の武道館公演を最後に一度活動を終了したが、2020年より活動を再開した。ポップス、ロック、ジャズ、ファンクなどあらゆる音楽ジャンルを網羅し変幻自在に活動している。圧倒的な演奏力と徹底的に作り込まれたコンセプトが話題となり、多くの音楽ファンを魅了し続けている。2020年にはNHK『紅白歌合戦』に初出場を果たした。
2011年5月11日に7thシングルとしてリリース。「空が鳴っている」とともに両A面シングルの表題曲を飾ることとなる。資生堂『マキアージュ』のCMソングに起用された。
椎名林檎が書き下ろし、作曲家・編曲家の服部隆之がアレンジを担当。ドラマチックでゴージャスなビッグバンドジャズナンバーである。
女性が持つ第六感や、ときめきを感じた時の一層のきらめきにフォーカスをあてた楽曲となっている。女の子はただかわいらしいだけじゃない。誰もが酸いも甘いも知っていきながら美しい進化を遂げる特別な生き物である。
MVで様々なメイクや衣装に身を包み、華麗に踊る椎名は、まるで魔法使いそのものである。バックダンサーを務める男性陣の動きにも注目だ。
新しい文明開化
5thアルバム『大発見』のリード曲として3曲目に収録。東京メトロのCMソングに起用された。また「再生」を宣言して初めてのライブである2020年閏日の東京国際フォーラム公演の1曲目にセレクトされた、東京事変史上において非常に重要な楽曲である。
もとは伊澤が書き下ろした楽曲であり、一度没になりかけたがその後椎名が修正を加え、採用された経緯がある。気持ちを高揚させるアップテンポなリズムと明るいハーモニー、メンバーそれぞれのはつらつとした演奏に気持ちが奮い立つだろう。古い自分をノックアウトさせて、新しい自分へと「文明開化」させる様子を歌にのせている。新しく一歩を踏み出す人の背中を確かに押してくれる楽曲となっている。
新しい亀田誠治の誕生や、浮雲の激しいエアギターなど、ユーモアに富んだ明るいMVとなっており、見る人すべてに元気を与える。
ただならぬ関係
2012年8月にリリースされたEP『深夜枠』の最後を飾る本作。解散から約5ヶ月後にファンの元に届いた東京事変からの最後の楽曲である。
浮雲作曲の本作は、穏やかでありながらどこか妖艶でノスタルジーを感じるメロディーラインとサウンドメイクが特徴。離れていても、東京事変のこれまでの作品や思い出を忘れず、常に人生のサウンドトラックとしてそばにいたいという、別れ感謝のメッセージが込められている。
大量に分身したメンバーが列をなし、東京オリンピックの入場行進を再現するという、非常にインパクトのあるMV。実は、解散から4年が経った2016年に、このMV衝撃的な出来事が起きた。NHK紅白歌合戦に椎名が出演し「青春の瞬き」を披露した際、バックにこのMVが流れていた。さらに、当時のバックバンドとして東京事変のフルメンバーが出演。20時16分に楽曲を披露し、20時20分に演奏が終了。かなり徹底された演出に、一部のファンはこの時点で何か勘付いたことだろう。
永遠の不在証明
2020年4月8日リリースのEP『ニュース』に収録された楽曲。8年前から徐々に散りばめられていた伏線が全て回収され、活動再開が発表されて最初に公開されたMV付き楽曲である。また、映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』の主題歌である。
「暗躍モノこそ、我々東京事変の十八番」と、椎名は本作についてコメントを残している。ミステリー、サスペンスを彷彿とさせるような不安でミステリアスなコード進行から展開されており、まさに名探偵コナンの世界観並びに今回の劇場版コナンの第二の主人公である赤井秀一のハードボイルドなムードに、ぴったりと寄り添った楽曲となっている。また、一見難しい文面が並ぶ歌詞だが、最初から読むのと最後から読むのとで描かれている視点が大きく変わっているという、緻密なギミックが隠れている。演奏面においても、各パートにそれぞれ見せ場があるのにも注目していただきたい。
MVについては、椎名がソロ名義で発表したアルバム『三毒史』収録の「鶏と蛇と豚」のMVの世界観とリンクしている作品となっている。ふたつでひとつの作品として成立しているので、併せてチェックしていただきたい。
緑酒
2021年3月に配信限定リリースの後、同年6月9日にリリースされたアルバム『音楽』に収録された楽曲。テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』のエンディング曲として書き下ろされた。
作詞を椎名、作曲を伊澤が手がけた本作はポップスでありながらクラシックの要素を含み、非常にドラマチックな展開を迎えるアンセム的ナンバーとなっている。氷河期世代といわれた、椎名たちの同世代を生きた人間を始め、今を生きる全ての人間が悩み苦しみながら各々の人生を歩んでいる。その努力が正しく報われ、「自由」という最高の美酒を皆で味わえることを高らかに願う楽曲。コロナ禍による新たな暗黒時代を生きる現代人にとって、まさに一筋の光となったことだろう。
2021年のNHK紅白歌合戦の場でも披露。北島三郎の「祭り」のライブ演出を優に超えるほど大量の紙吹雪が使用され、お茶の間のテレビ画面を彩った。
仏だけ徒歩
2021年リリースのオールタイムベストアルバム『総合』に新曲として収録された楽曲。同じく新曲として収録された「原罪と福音」とシンメトリーの関係となっている。英名は「To Nirvana」。タイトルはひらがなにすると「ほとけだけとほ」。椎名が好きな回文で構成されている。
全体的にファンクなサウンドだが、所々に聞こえてくるシタールのような音色が神秘的で独特の雰囲気を醸し出している。どこかふわふわとしたメロディーラインで華麗にデュエットする椎名と浮雲の安定感は、どこか不思議な気持ちとなるがとても心地が良い響きを生み出している。
仏教用語が飛び交う本作の歌詞は、一見すると何のことだかさっぱり、という人も多いだろう。しかし、じっくり読み解いていくと、執着や煩悩を捨て自由になることで、せわしない現代でも悟りの境地に達することができると受け取れる文脈となっている。椎名たちのような氷河期世代と呼ばれた時代に生まれた人間を始め、苦悩しながら生きる全ての人をねぎらう楽曲である。
タイトル名にかけて、メンバー全員がニルヴァーナのカート・コバーンのルックをオマージュしている等、頓知の効いたクールなMVとなっている。
東京事変の名言・発言
椎名林檎「女の子たちの人生のサントラになって欲しい」
2019年11月17日放送のテレビ朝日系音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』での椎名の発言。
椎名林檎のアルバムにも東京事変のアルバムにも共通していることがある。楽曲と楽曲の間に空白の時間がないことだ。その理由について椎名は「女の子たちの人生のサントラになって欲しい」と語った。
女の子たちの人生は、心ない言葉やちょっとした失言、生理など、些細なことで心が左右され、さっきまで心穏やかだったのに急に「生きるの嫌になっちゃった」と心が沈むこともしばしば。そんな彼女たちの人生をリアリティを持って描き、せわしない日々に寄り添うべきだという考えから、曲間を無くしているというのが椎名の意図だ。
ちなみに、男性に対しては「殿方のことは知ったこっちゃない」とのこと。こちらも隠れた椎名の名言として、ファンたちの記憶に鮮明に残っている。
浮雲「正解を決めると不正解が出てきてしまう。(毎回違えば)何を弾いてもミスにならない」
2021年6月20日のに放送されたテレビ朝日系音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』の「東京事変特集 後半戦」にて、浮雲が自身のプレースタイルについて「毎回ギターソロが違う」と指摘され、その理由について「正解を決めると不正解が出てきてしまう。(毎回違えば)何を弾いてもミスにならない」と答えた。
ライブや音楽番組でギターソロを披露するとき、毎回違うフレーズを弾く浮雲。「おなじみのフレーズをライブで聴きたい」という音楽ファンもいるなか、自由な発想でプレーする浮雲だからこそ、その場でしか味わえない独特の空気感を楽しめるのである。
ちなみに、「(ギターソロを)覚えるのが面倒」というのも理由の1つ。
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目次 - Contents
- 東京事変の概要
- 東京事変の活動経歴
- バンド結成からデビューまで
- メンバーチェンジを経て第二期始動
- 小休止から椎名林檎としての紅白歌合戦出演まで
- バンド解散
- 再生
- 東京事変のメンバー
- 現メンバー
- 椎名林檎(Vo&Gt)
- 亀田誠治(Bass)
- 刄田綴色(Drums)
- 浮雲(Gt&Cho)
- 伊澤一葉(Key&Cho)
- 元メンバー
- 晝海幹音(Gt)
- H是都M(Key)
- 東京事変のディスコグラフィー
- シングル
- 群青日和
- 遭難
- 修羅場
- OSCA
- キラーチューン
- 能動的三分間
- 天国へようこそ
- ドーパミント!
- 空が鳴っている/女の子は誰でも
- 赤の同盟
- 青のID
- 闇なる白
- 命の帳
- 緑酒
- 永遠の不在証明
- 仏だけ徒歩
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- 永遠の不在証明
- 緑酒
- 仏だけ徒歩
- 東京事変の名言・発言
- 椎名林檎「女の子たちの人生のサントラになって欲しい」
- 浮雲「正解を決めると不正解が出てきてしまう。(毎回違えば)何を弾いてもミスにならない」
- 東京事変の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- バンド名の由来はメンバーのスター性
- 伊澤一葉が「群青日和」でギターを演奏する理由は、H是都Mへのリスペクトのため
- 2020年に予定されていた東京事変の二度目の解散