幸せのちから(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『幸せのちから』とは、クリス・ガードナーがホームレスから自力で証券会社の社員になり、会社を設立した逆転人生の実話を描いた映画である。2006年にアメリカで公開され、興行収入は日本円で27億円、ドルで3億を超えた。製作会社、配給会社は共にコロンビア映画である。主演のウィル・スミスが、息子のジェイデン・スミスと親子出演したことでも話題になった。息子を幸せにするため、社員になるまでの辛い研修期間を乗り越える父親の姿に感動するヒューマン映画である。
『幸せのちから』の概要
『幸せの力』とは、クリス・ガードナーがホームレスから自力で証券会社の社員になり、会社を設立した逆転人生の実話を描いた映画である。2006年にアメリカで公開され、興行収入は日本円で27億円、ドルで3億を超えた。製作会社、配給会社は共にコロンビア映画である。主演のウィル・スミスが、息子のジェイデン・スミスと親子出演したことでも話題になった。息子を幸せにするため、社員になるまでの辛い研修期間を乗り越える父親の姿に感動するヒューマン映画である。
主人公のクリス・ガードナーは、妻のリンダと息子のクリストファーと暮らしていた。クリスは妻と一緒に精密に骨密度を測る機械を売る事業を始めた。しかし、その機械は病院の医師からは不評で全く稼げず、生活費をほぼリンダのパートで入る給料で賄っており、生きていくのが精いっぱいになっていた。クリスがそんな貧乏生活から脱却したいと思っていた時、真っ赤なフェラーリに乗っていた証券会社の社員に会う。その男性から「数と人に強ければ、証券会社の社員になれる」と聞き、株の仲買人に興味を持った。6か月の無休の研修期間を終えたのち、1人だけ社員に選ばれる可能性があったため、クリスはこれに掛けることにした。
しかし、妻のリンダには反対される。でも、少しでも社員に慣れる可能性を信じて、クリスは骨密度測定機のセールスと、研修を同時並行で進めることにする。しかし骨密度測定は一向に売れず、生活はどんどん苦しくなっていった。
クリスが骨密度測定機のセールスも、研修も並行させることにリンダはずっと反対していたが、言うことを聞かないクリスに呆れて家を出て行く。
その後もクリスは株の仲買人の研修と、骨密度測定機のセールスを続けていたが、家賃が払えずに家をなくす。寝る場所を転々とし、息子のクリストファーにも贅沢をさせてあげられずに、辛い思いを沢山させてきた。
しかし、クリストファーに絶対に幸せになってほしい、という父親の強い思いがあり、クリスは株の仲買人として人生を成功させることに希望を持ち続けた。その後、自分の会社も設立。努力で夢を叶えた行動力に勇気をもらえるヒューマン映画である。
『幸せのちから』のあらすじ・ストーリー
貧乏なセールスマン
主人公のクリス・ガードナーは、妻のリンダ、息子のクリストファーと3人暮らしだった。クリスとリンダは結婚してすぐに、骨密度を精密に測れる機械を大金をはたいて購入し、病院にセールスをして大金を稼ごうと考えていた。
クリスはこの骨密度測定機を病院の医者に買ってもらうために病院を回ってみたが「レントゲンより少しよく見える程度だ」と言われ、魅力を感じてもらえなかった。リンダとクリスは病院を何件も回ったが、どの医者にも同じことを言われて断られ、骨密度測定機は売れず、生活が苦しくなっていく。
そんな時、クリスは町で真っ赤なフェラーリに乗っていたお金持ちそうな男性に声をかけた。いかにも贅沢な生活をしてそうだったため、その男性がやっている職業が気になっていた。男性が「株の仲買人さ」と答えると、クリスは「株の仲買人になれば、高級車を持てるほどのお金持ちになれるかもしれない」と考えた。そこで、クリスはその男性が働いていた証券会社、「ディーン・ウィッター」が株の仲買人養成プログラムの研修生を募集していると知り、応募することに決める。募集人数は20名で、クリスは研修生を選ぶ人材課長であるジェイ・トゥイッスルに近づき、気に入られようとした。得意のルービックキューブを数分で完成させて、クリスはジェイを驚かせると、何か良い才能を持っていると思われ、面接も見事通った。しかし、実際の研修の内容は厳しいもので、6カ月の研修の間は無休であった。仲買人としての基礎知識を身につけるための座学と、実技研修も受けなければなかなかったため、骨密度測定機のセールスに今までのように時間を割くことが難しくなった。その条件を聞いたリンダは、クリスが研修プログラムに参加することに反対したが、それを押し切ってクリスは養成プログラムに参加することになる。
辛い研修期間
クリスは研修生を選ぶ面接に受かり、これから仲買人としての1歩を進むところだった。しかし、ある日クリスがクリストファーの保育園の迎えに行くはずが、間に合わなくてリンダに迎えを行かせてしまう。リンダは仕事を抜けて保育園の迎えに行ったため、間に合わなかったクリスに腹を立てていた。迎えの時間を過ぎていたことに気付いたクリスは、すぐにリンダの携帯に電話をかけたが、リンダは「荷物はまとめたわ。今から息子を連れて出て行きます」と言われる。クリスは慌てて家に帰るが、リンダとクリストファーはすでにいなかった。翌朝、クリスはリンダの仕事場に向かい、リンダに「俺の息子を連れてくな。家を出てけ」と怒鳴ってしまう。その時リンダは息子のクリストファーと夫のクリスト離れて、別で暮らすことを決める。リンダはニューヨークへ移り住み、リンダの姉の経営するレストランで働くことになった。
クリストファーの親権はクリスがより強く主張して、リンダはクリストファーの親権を譲った。これから1人でクリストファーを育てることに決めたクリスは、今まで住んでいた家から、安い家賃のアパートへ移り住む。平日は主に研修生として実務をこなし、週末は骨密度測定機を売るため、クリストファーと一緒に病院を渡り歩いてセールスをしていた。研修もただ座学を受けるだけでなく、金融商品を買ってもらえそうな富裕層とつながりを持ち、信頼関係を築いて投資プランを売り込んだり、電話をかけて売り込まなければならなかった。毎日働きづめて、休む時間がなかったクリスだが、努力が実って持っていた骨密度測定機は全て売り込むことができた。
順風満帆のようだったが、納税義務の手紙が届き、クリスは持っていた全財産をほぼ納めなければいけなかった。生活は一気に苦しくなり、住んでいたアパートも追い出される。ここからクリスとクリストファーのホームレス生活が始まった。駅のトイレに野宿をした日もあり、クリスは息子のクリストファーにまで辛い思いをさせてしまい、人生のどん底にいる気分だった。
夢の証券会社の社員へ
クリストファーとクリスは、時には早い者勝ちで寝泊まりの場所を提供している教会の宿泊所に泊まっていた。クリストファーは今まで通りの家に暮らすことができず、リンダ、クリストファー、クリスの3人で暮らせなくなったことを自分のせいだと思っていた。「貧乏な暮らしをすることになったのは自分のせいだ」と自分を責めるクリストファーをクリスは幸せにしたくて、いっそう研修に励む。あっという間に6カ月は終わり、研修最後の日にクリスは1人、初日に面接をした部屋にジェイに呼び出された。そこには他の人事担当者もいた。クリスは結果を聞く前に「今日は良いシャツを着てきました」と話し、採用結果を聞くのが怖くて焦りから、口走っていた。人事担当のうちの1人、マーティンはクリスの話を聞いて「感心なことだ。明日も良いシャツを着てくるんだ。君の初日だからね」と答える。クリスは6か月間の研修を終え、正式に証券会社の社員に採用されたのだ。
クリスは人事担当者らにお礼を伝えた後、嬉しさのあまり会社を飛び出していた。会社の前の通りで人目もはばからずに嬉し涙を流していた。
その後、クリスは証券会社の社員として働き、自分の証券会社も設立する。ホームレス生活から自分の力で人生を成功させただけでなく、クリストファーを幸せにする夢も叶えたのだった。
『幸せのちから』の登場人物・キャラクター
ガードナ一家
クリス・ガードナー(演:ウィル・スミス)
吹き替え:東地宏樹
リンダの夫であり、骨密度測定機のセールスマンを仕事としていた。測定器を全て売り切って、家族を幸せにしたいと思っていたが、その事業は失敗する。妻にも、息子のクリストファーにもなかば呆れられていたが、クリスは2人を幸せにしたく、骨密度測定機のセールスを諦めていなかった。測定器が全く売れずに家に帰る日には、リンダから「家賃を滞納してるの」とお金に困っていることを伝えられ、クリスもそれを分かっていた。
しかし、セールスもうまくいかなかったため、イライラしてリンダに八つ当たりをすることもあった。クリスは気に入らないことがあるとすぐに怒ってしまう性格だが、それでも家族を愛しており、大事にする優しい一面もある。
リンダ・ガードナー(演:タンディ・ニュートン)
吹き替え:杉田かおる
クリスの妻で、普段は洗濯クリーニングのパートで働いている。骨密度測定機が全く売れなくなってからは、生活費のほとんどはリンダが払っていた。さらに、クリストファーの教育費も払わなければいけなかったため、リンダの収入だけでは生活費を払うことは到底できず、家賃を滞納したことは度々あった。滞納するたびに家主から家賃を催促されたため、リンダも生活していくのが精一杯だった。
なのに、クリスはセールスで全く骨密度測定機を売ってくれなかったため、呆れていた。
クリストファー(演:ジェイデン・スミス)
吹き替え:渡邉奏人
クリスとリンダの1人息子。クリスとリンダが目の前でお金のことについて喧嘩する場をよく目にしていた。お金のことで困っていることは知っていたため、贅沢があまりできないことも我慢していた。
リンダが家を出て行き、クリスと一緒にホームレス生活を始めてからは前よりさらに生活が苦しくなり、それでも「辛い」とは口に出さなかった。しかし、ある時クリスに「ママが出て行ったのは僕のせい?」と聞く。たとえ贅沢ができなくても、クリストファーは家族と一緒に幸せに暮らしていれば、それで十分幸せだったのだ。
ディーン・ウィッターの社員
ジェイ・トゥイッスル(演:ブライアン・ホウ)
吹き替え:玄田哲章
ディーン・ウィッター社の社員で、その中でも人事担当部に所属する。会社で新しい社員を雇う際、研修生をその中から1人選ぶことになっていた。人事担当のジェイは研修生の募集の時、面接に来たクリスと出会い、クリスが証券会社の社員に対して熱い思いがあることが印象深かった。
また、クリスはジェイの目の前でルービックキューブをわずか数分で色をそろえて完成させたことから、ジェイに驚かれ、印象を強くつけることができていたのだった。
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目次 - Contents
- 『幸せのちから』の概要
- 『幸せのちから』のあらすじ・ストーリー
- 貧乏なセールスマン
- 辛い研修期間
- 夢の証券会社の社員へ
- 『幸せのちから』の登場人物・キャラクター
- ガードナ一家
- クリス・ガードナー(演:ウィル・スミス)
- リンダ・ガードナー(演:タンディ・ニュートン)
- クリストファー(演:ジェイデン・スミス)
- ディーン・ウィッターの社員
- ジェイ・トゥイッスル(演:ブライアン・ホウ)
- マーティン・フローム(演:ジェームズ・カレン)
- アラン・フレーケシュ(演:ダン・カステラネタ)
- その他
- ウェイン(演:マーク・クリストファー・ローレンス)
- チュー夫人(演:タカヨ・フィッシャー)
- タクシードライバー(演:ズハイル・ハダド)
- 大家(演:ヴィクター・レイダー=ウェクスラー )
- ホームレス(演:ジョン・ロブ)
- ウォルター・リボン(演:カート・フューラー)
- ティム・リボン(演:ドミニク・ボヴ)
- ディーン・ウィッターの秘書(演:エリン・ビアズ)
- フェラーリのオーナー(演:ジェフ・キャラン)
- ヒッピー女(演:ジョイフル・レイヴン)
- バスドライバー(演:ラシダ・クレンデニング)
- スーツを着た通りがかりの男(演:クリス・ガードナー)
- 『幸せのちから』の用語
- ディーン・ウィッター
- ルービックキューブ
- 『幸せのちから』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- リンダ「この子のことお願いね」
- クリス「夢があったらそれを守るんだ」
- クリストファー「良いパパだ」
- 『幸せのちから』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 英語のタイトルのスペルは誤り
- クリス・ガードナーの出演
- 「幸せのちから」の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Seal「A Father's Way」