紅茶王子(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『紅茶王子(こうちゃおうじ)』とは、山田南平(やまだ なんぺい)による漫画作品。平成8年21号から平成16年12号まで白泉社『花とゆめ』にて連載された。単行本は全25巻。文庫版は全12巻。
満月の夜のお茶会で、吉岡奈子(よしおか たいこ)は紅茶の精「紅茶王子」を呼び出してしまう。願い事を3つ叶えるまでは帰れないという紅茶王子たちと奈子、仲間たちの恋愛や学園生活を描いた物語である。

『紅茶王子』の概要

『紅茶王子(こうちゃおうじ)』とは、山田南平(やまだ なんぺい)による漫画作品。平成8年21号から平成16年12号まで白泉社『花とゆめ』にて連載された。単行本は全25巻、文庫版は全12巻、ドラマCDも発売されている。
ある満月の夜、お茶会同好会部長の吉岡奈子(よしおか たいこ)・副部長の染谷雪子(そめや ゆきこ)・奈子の幼馴染で同級生の内山美佳(うちやま はるか)の3人は、雪子の発案でお茶会を開く。雪子の目的は紅茶で恋のおまじないをすることだったが、そのおまじないで美佳はアッサム、奈子はアールグレイという名の「紅茶王子」を呼び出してしまった。紅茶の精である紅茶王子は、呼び出した人間を主人とし、その願いを3つ叶えるまでは帰れないという。2人の紅茶王子は奈子と美佳の願いを叶えるまで一緒に生活することになり、奈子たちの学校へ留学生として通うことになる。
解き明かされていく紅茶の国の秘密にも引き込まれるが、物語前半の奈子や仲間たちが通う風早橋学院(かざはやばしがくいん)の学校生活、特に充実した学校行事も見所だ。作中登場する3校合同の体育祭は、作者が実際に学校取材したものを元に描かれており、生徒たちの行事にかける思いや、一つのことを大勢でやり遂げる楽しさを伝えている。また作中や巻末のオマケ漫画では美味しい紅茶の入れ方も紹介されており、紅茶を知るきっかけにもなる作品となっている。

『紅茶王子』のあらすじ・ストーリー

月夜のおまじない

吉岡奈子(よしおか たいこ)は風早橋学院(かざはやばしがくいん)中等部3年生。紅茶専門の喫茶店を経営していた父・健児(けんじ)の入れる紅茶が大好きで、一緒にお菓子作りも楽しんでいた。1年前に健児が交通事故で亡くなってからは学校でも自ら「お茶会同好会」を立ち上げ、親友の染谷雪子(そめや ゆきこ)、幼馴染の男子・内山美佳(うちやま はるか)と3人で活動していたが、新入部員がやってこないことに悩んでいた。
ある満月の夜、ミーティングのためにお茶会を開いた3人は、雪子の希望で「満月のキレイな夜、プレーンティーに月を映してスプーンでゆっくりかき混ぜてから一口飲むと恋が叶う」というおまじないを試す。すると美佳のカップからアッサム、奈子のカップからはアールグレイと名乗る紅茶の精「紅茶王子(こうちゃおうじ)」が現れる。紅茶王子は呼び出した人間を主人として仕え、3つの願いを叶えるまで紅茶の国には帰れないという。願いを叶えるまで、アッサムとアールグレイは奈子たちと生活を共にすることになった。

紅茶王子との学校生活

秋、文化祭の準備が始まった。だが生徒会長の葉桜菊花(はざくら きくか)の圧力によりお茶会同好会には参加許可が下りない。奈子は人間の大きさになったアールグレイと共に園芸部の大沢みどり(おおさわ みどり)を説得し、温室のある校舎屋上に出店場所を確保する。文化祭当日、出店を強行しようとする奈子たちの前に菊花が現れ、屋上を封鎖しようとする。その際、屋上から落ちそうになった奈子を人間の大きさになったアッサムが助け、奈子はアッサムを初めて意識する。頑張る奈子に美佳は1つ目の願い事を使って、アッサムを健児に変身させ奈子の夢だった「もう一度パパと紅茶を飲みたい」という願いを叶えるのであった。
半年後、高等部に進級した奈子たち。文化祭は好評だったものの新入部員が獲得できない日々は続いていた。一方、生徒会長の菊花は体育祭の準備が始まり、業務に追われる中、オレンジペコー(以下、ペコー)の紅茶王女を呼び出してしまう。初めはペコーの存在を受け入れられない菊花だったが、次第にペコーの天真爛漫さに影響され、柔和な表情も見せ始める。
ある時、奈子のクラスにセイ=ケニルワースという留学生がやってきた。セイの正体はセイロンの紅茶王子で、アッサムとペコーを紅茶の国に連れ帰るためにやってきたのだ。だが生徒会会長選挙の成功の為に奮闘するペコーに巻き込まれ、連れ帰ることができないままセイロンは美佳の家に転がり込み、そのまま奈子たちと生活するようになる。
翌年の体育祭は兄弟校である太刀洗高校(たちあらいこうこう)・披露山女学館(ひろやまじょがくかん)との合同祭。太刀洗高校の生徒会副会長である朝比奈(あさひな)が奈子を気に入り、ちょっかいをかけてくるようになった。美佳とアッサムは朝比奈から奈子を守る中、奈子に対する思いを高めていく。そして奈子もまたアッサムをより意識し始めるのだった。
雪子は体育祭がきっかけで太刀洗高校の真名瀬(まなせ)に告白され付き合うが、実は美佳やアッサム、アールグレイから大事にされる奈子を羨んだからであった。そんな雪子のために奈子は黄山紅牡丹(ふぁんしゃんほんむーたん)の茶葉を用意し、紅茶王子を呼び出す。しかし紅牡丹はアッサムと過去の誤解や嫉妬から仲違いしていたため、奈子らは人間の世界にやってきたアッサムの父・ゴパルダーラと共にその誤解を解き、仲直りをさせるのだった。

紅茶王子との別れ

奈子の学校に英語教師ケビン=ボゥルがやって来た。ケビンはアッサムのかつての主人であった。紅茶王子の存在を知っているケビンは、奈子たちに紅茶王子との別れの辛さ、また一緒の時間を楽しむように教える。
そんな中、突発的に菊花が最後の願いを使うことになり、ペコーは紅茶の国へと帰ってしまう。居合わせた奈子は突然消えたペコーに動揺する。また紅茶王子が帰った後の人間の様子を初めて見たアッサムも動揺を隠せず、紅茶王子は結局人間を泣かせるのではと思い悩むが、ケビンに励まされ前を向く。
シンガポールへの修学旅行で距離を縮める奈子とアッサム。ある日、奈子は自宅に美佳の妹・唯(ゆい)を招いて夕食を食べた後、アールグレイが唯を送り届ける間にアッサムと寝入ってしまう。アッサムが人間の大きさだったため、予定より早く帰宅した奈子の母・粧子(しょうこ)に目撃され問いただされてしまう。そこで奈子はアッサムが自分の好きな男の子であると告げる。
誕生日が近付いた雪子は、プレゼントとして紅牡丹に最後の願いを叶えてもらうと奈子たちに伝える。雪子は紅牡丹の事を好きになっていて、このままではいけないと考えていた。誕生日当日、遊園地で最後の思い出を作った2人はキスをして別れるのであった。

アリヤとダージリンの秘密

紅牡丹とペコー、そしてセイロンの3人は、紅茶の国の王たちが隠しているアッサムの母・アリヤと永年不在とされるダージリンの紅茶王子の秘密を明らかにする。
人間であるアリヤはダージリンを呼び出した後に恋仲になり、ダージリンの子供を身篭る。ダージリンは人間になりアリヤと暮らしていきたいと考えるが、紅茶の国の王、特にゴパルダーラに反対され封印されてしまう。その後ゴパルダーラはアリヤを妃として迎え、ダージリンの子であるアッサムを自分の子供として育てる。その後人間の世界の数倍もの速さで時が流れる紅茶の国で、アリヤはたった数年で老いて亡くなってしまったのだった。
またダージリンを封印し続けるために、セイロンの父・ディンブーラは命をかけ亡くなってしまう。ディンブーラが亡くなって封印の力が弱まり、ちょうど健児がダージリンを呼び出すことができたのだ。
ダージリンは幼少期の奈子を可愛がっており、健児の死後はすでに亡くなっていた健児の腹違いの弟・怜一(れいいち)の記憶を借り、怜一として奈子のそばで暮らしていたのだった。

人間になる選択

ある時、奈子とアッサムに嫉妬した美佳は勢いで2つ目の願い事を使い、アッサムを紅茶の国に帰してしまう。ショックを受けた奈子が怜一のところへやってきたが、ゴパルダーラの手により怜一と共に紅茶の国へ飛ばされてしまうのだった。紅茶の国で再会した奈子とアッサムは、ダージリンとアリヤの事実を知り、また2人はお互いの気持ちを確かめ合う。
アッサムは人間になることを決意し、またダージリンは自分が紅茶の国に戻ることを交換条件にアッサムを人間にするよう、紅茶の国の王たちに願い出る。
人間になる条件は、アッサムについての記憶を関係した人々から全て消し去るというものだった。奈子はアッサムが人間になることを反対するが、アッサムは奈子を説得。そして奈子は人間の世界へ戻る。
その後、奈子たちは高校を卒業し大学生になった。大学では再び奈子・雪子・美佳・アールグレイの4人でお茶会同好会を作っていたが、そこへアッシャーという名の青年が現れる。それは人間になったアッサムであった。アッサムの記憶を失くしているはずの奈子だったが、アッシャーに強く惹かれ、再び結ばれるのであった。

『紅茶王子』の登場人物・キャラクター

お茶会同好会のメンバー

吉岡奈子(よしおか たいこ)

主人公。初回登場時は風早橋学院中等部3年。アールグレイの主人。紅茶専門の喫茶店を営んでいた父・健児の入れる紅茶が大好きであった。健児の死後、自らも紅茶の同好会「お茶会同好会」を立ち上げて部長をしている。仕事で家を空けることも多い母・粧子の代わりに家事全般をこなし、弟・健太(けんた)の面倒も見ているしっかり者。時に物事に対して突っ走ってしまうこともあり、美佳やアッサム、アールグレイにフォローされている。運動神経が良く、健児が亡くなる前は陸上部に所属していた。アッサムからは「ゾウ足」と呼ばれている。

染谷雪子(そめや ゆきこ)

奈子の同級生で親友、お茶会同好会の副部長。紅牡丹の主人。おっとりとした性格で一人称はニックネームでもある「そめこ」。胸が大きく幼児体型である事を本人はコンプレックスに感じている。その容姿や性格、また無意識のうちに思わせぶりな言動・行動をするため男子からはモテるが、女子からは反感を買うことがある。物語途中から自分の事を「私」と呼ぶようになる。

内山美佳(うちやま はるか)

奈子の同級生で幼馴染。女性のような名前だが男性。アッサムの主人である。複数の部活を掛け持ちしているため顔が広く、どの部活でも活躍するため校内では一目置かれている。転勤した両親とはうまくいっておらず、一人暮らしをしており、アルバイト三昧の生活。奈子の事が好きだが、本人も今の関係を壊したくないのもあり友人関係で終わる。雪子からは「ミカちゃん」と呼ばれている。

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