サンサーラ・ナーガ(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サンサーラ・ナーガ』は1990年にビクター音楽産業から発売された竜使いという特殊な職業に憧れた主人公が相棒の竜を連れて一人前の竜使いになろうと故郷の村を飛び出して冒険の旅をするRPGである。アニメ界の巨匠・押井守が監修、キャライラストを桜玉吉が描いた事で有名な、世界観もシステムも強烈なクセを持つのが特徴の作品だ。コアなゲームファンの間では評価の高い作品とも言われている。

『サンサーラ・ナーガ』の概要

『サンサーラ・ナーガ』はビクター音楽産業株式会社から1990年に発売された、ファミリーコンピュータ(通称ファミコン)専用ソフトだ。作品の原作・監修を行ったのは『攻殻機動隊』などで有名なアニメ監督の押井守と彼のパートナーとも言える伊藤和典、キャラクターイラストはゲーム漫画などを多く執筆している人気漫画家の桜玉吉だ。

ジャンルはRPG。広大なマップを主人公と相棒の竜が歩きながらモンスターを倒して成長していくというもので、独特なシステムを搭載しているのが特徴の作品である。育つのは竜の方のみで、主人公は装備品のパラメータ変動以外では一切成長しない。敵を倒してもお金や経験値などはもらえず、倒したモンスターを竜に食べさせて強化していくという方法が唯一の強化手段であるというのが大前提である。さらにスタート時の主人公は何も持っていないし、運が悪ければいきなり貧弱主人公が強敵とも遭遇するかもしれないという妙に現実味がある設定にはもはやRPGのお約束は通用しない。そこに桜玉吉の描いた妙なキャラクターが放り込まれることで、よりシュールさに拍車をかける。

一見クソゲー臭が凄まじい作品であるものの、それなりにしっかりとしたストーリー展開があることや、プレイヤーの行動次第で竜の成長具合が変わる自由度の高さ、そして押井守ファンなら笑える小ネタを詰め込んでいることもありコアなゲームファンには好評の良ゲーでもあるのだ。アニメ界の神たちが自由にゲームを作ってみたら出来上がってしまった奇跡の作品である。

また、後にスーパーファミコンで『サンサーラ・ナーガ2』が発売されたが、こちらはストーリー展開が神がかっており、知る人ぞ知る伝説の神ゲーとなった。

『サンサーラ・ナーガ』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

村の宝である竜の卵を盗んだ主人公。しかしこれはダチョウの卵だった。

舞台は大陸全体が亀のような形をした「アクパーラ大陸」。この世界には恐ろしい竜が住んでおり、その竜たちを人間は恐れつつも崇拝していた。しかしその恐ろしい竜を笛ひとつで従わせることができる「竜使い」という職業がこの世界には存在している。困難な修行を終えた一握りの人間しかなることができない「竜使い」はエリート職であり王侯貴族たちにも一目置かれる憧れの職業なのである。この物語の主人公は「アクパーラ大陸」にある小さな田舎村の出身だ。彼(あるいは彼女)も竜使いに憧れるひとりで、自分は竜使いになれると信じて疑わない。竜を卵から育てて竜使いになって富も名誉も思いのままという野望を抱いた主人公は、村の宝である竜の卵を盗んで家を飛び出してきたばかりなのだ。全力で追いかけてくる村人から逃げ切り、必死に孵化させた竜の卵から生まれたのはなんとダチョウだった。村の宝が竜の卵ではないと知り絶望する主人公。まさかこのままノコノコ帰れば袋叩きにされるだけである。無事に帰るには立派な竜使いになるしか手段はない、そう考えた主人公はふと思い出したのだ。

「なんだ、はじめからそのつもりで村を出たんじゃないか……」

主人公は竜使いになる方法を探すために旅に出るのであった。

序盤

竜との出会い

竜が生まれるとかわいいグラフィック付きのイベントシーンを見ることができる。ここで竜の名前をつけることになる。

生まれたダチョウを追いかけていくと謎の廃墟にたどり着いた主人公。そこにいた老人は「竜の卵が欲しいのか?」と、聞いてきた。老人は廃墟から少し離れた竜の産卵所で竜のウンコを見つけてきたらそれと交換をしてやると持ちかけてくるので、巨大な大木の産卵所で竜のウンコを見つけてくる主人公。武器もない、レベルアップもしない状態で苦労をして取りに行ったウンコを老人にあげると、本物の竜の卵を貰うことができた。これも偽物だったらどうしようと、不安になりながらもしばらくフィールドを歩き続けていると卵が割れて中から小さな緑色の竜が生まれてきた。しかしちび竜は鱗が硬くなり牙が生えるまでは旅に出られないので、街の託児所で預かってもらいながら育てる必要がある。

竜を育てながら竜使いのヘルメットと笛探し

竜をハワプールにある竜の託児所へ預け、主人公は竜の餌や自分の装備品を揃えるためにフィールドでモンスターを倒して行く。ハワプールの街は詐欺やスリなどが多い。安易に「一緒に宿に泊まろう」とか「酒を奢る」という甘い言葉に釣られるとあっという間に一文無しになるため注意が必要だ。竜を預かってくれている保母さんから竜使いになるなら城で貰える竜使いのヘルメットが必要だという話を聞たものの、街の噂では泥棒が城へ侵入しているらしく警備が厳重で王様に会えない。城へ繋がっている下水道を通って城へ忍び込むとメイドに下水道の泥棒退治を依頼され、下水道に行き盗賊を退治するとお城で感謝をされ竜使いのヘルメットが貰える。ヘルメットをもらった後に保母さんはさらに、ミーナという村の伝説の竜使いが作る笛が天下一品だから貰ってこいと言う。ミーナの村へ行くと伝説の竜使いと言われるアル・シンハと出会う。近くの洞窟で魚竜の骨を取りに行かされ、無事に笛を手に入れる主人公、ついでに無理やりアル・シンハの弟子にさせられる。ハワプールの託児所へ行くと竜は冒険に出られるくらいに成長をしていた。主人公は相棒の竜、ヘルメット、笛を手に入れたことで、初めて竜使いになるためのスタート地点へ立ったのである。

中盤

様々な地域へ旅をする主人公

託児所を出た後はいざ竜使いになったものの、どこで何をしようか迷ってしまう。ひとまず竜の餌と資金集めのためにモンスターを狩りながら、保母さんに教えられた竜のウロコを固くするルズの村の泉を探すことになる。さらにイクシュという街では踊り子のターラ、フィールドをさまよっていると聖なる竜に会いたいという女竜使いのアムリタといった様々な人物たちに出会える。人々の話を聞きながら、たくさんの頼み事や冒険のヒントを貰って一つずつ問題をクリアしていくことになる。もしも行き詰まったら各地に点在するはらたまで食事をすることで店主が様々な噂を教えてくれるので、参考にできる。様々な人物と出会いながら旅をしていると、今度はアケルナルという場所の噂を耳にすることになる。このアケルナルという場所、現時点ではどのような場所なのか、なんのために向かうのかは語られることがない。それでも言われた通りアケルナルのを探索していくと、最終的には竜が脱皮をしてさらに強化ができるナムチの血というアイテムが貰えるダンジョンへたどり着く展開になる。

誘拐された竜

ナムチの血を浴びた竜は不思議な力で脱皮をする段階に入った。脱皮が完了するまで安全な場所で休んでいたほうが良いということで、突如現れたアル・シンハに預けることに。しばらく竜の餌集めなどで外を一人で歩いていた主人公、竜の様子を見にアケルナルに戻るとターバンを巻いた男が慌てている。話を聞くと相棒の竜がくずれ竜使いにさらわれたという。くずれ竜使いは竜使いの竜を盗み、その竜を使って無許可で竜使い業を行う悪党たちである。くずれ竜使いから竜を取り戻すために情報を集める主人公は、ハワプールの街でくずれ竜使いに連れられてきた竜が大暴れをして警察に麻酔銃で眠らされ、そのままお城へ連れて行かれたという話を耳にする。どうやら自分の竜で間違いない、しかしなんと王様の誕生日パーティーで焼いて食べる予定だという。慌てて城の厨房へ飛び込み事情を聞くと、竜は調理寸前で暴れて逃げたとのこと。情報をもとに逃げた先の洞窟で竜使いに捨てられたノラ竜たちと生活をする相棒を発見。竜使いの笛で自分のことを思い出させ、安心させる。すると竜は脱皮が終わり、緑色の体から別の色の体に変わっていたのだ。この体の色は食べさせたものや主人公が行った行動によって変化する。白色の竜なら最高のステータスを持った白竜になった証拠である。

終盤

聖なる竜探し

アケルナルを探索している途中に、この世界とは別の不思議な世界、ローカ・アローカへの道があり、アムリタもそこを目指しているという話を聞いていた。主人公はこの時点ではまだ大きな目的のようなものを持たないままではあるのだが、なんとなくアムリタに付いていくようにローカ・アローカへ向けて旅立つことになる。ローカ・アローカは、人の世界から切り離されたリタ・サテイヤという封印された場所へ通じているらしい。リタ・サテイヤには聖なる竜が住んでおり、その竜と会った竜もまた聖なる竜へと変化するという伝説を聞いた主人公。アムリタは自分の竜を聖なる竜にするためにリタ・サテイヤに行こうとしているのだろう。リタ・サテイヤの塔を登りきった先には竜を亡くしたアムリタの姿が。そこにいたのは聖なる竜を殺した最強の竜、カオス・ドラゴンだった。アムリタの竜もカオス・ドラゴンに殺されてしまったのである。一体何が起きているのかと思った所アル・シンハが唐突現れ真実を話しだした。

アル・シンハの目的

ラスボスのカオス・ドラゴン

リタ・サテイヤは聖なる竜を倒したカオス・ドラゴンのものとなっていた。アル・シンハはこのカオス・ドラゴンを倒す方法を探して旅をしていたが、老いた彼が考えたのが、見込みのある者を竜使いとして育ててカオス・ドラゴンを倒してもらうというものであった。アムリタもアル・シンハに選ばれた期待の竜使いであったが、結果としてアムリタは負けてしまった。そこでアル・シンハは最後の希望として主人公を名指ししてくる。正直なところ騙されたようなところもある。アムリタ自身もアル・シンハからは真実を隠され聖なる竜のことしか聞いていなかったはずだ。それでも主人公に拒否権はない。カオス・ドラゴンを倒さないと元の世界に戻れないということで、カオス・ドラゴンの住む場所へ行くことになる。カオス・ドラゴンに見せられた幻覚をかいくぐり、主人公と相棒の竜は戦う。最後に相棒の竜はすべての力を出し切って強力なブレスを放ち、カオス・ドラゴンとともに倒れるのだった。

エンディング 輪廻する伝説

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