スモールフット(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『スモールフット』とは、2018年にアメリカで制作・公開されたミュージカル仕立てのファンタジーアニメ映画。『怪盗グルーシリーズ』や『ミニオンズ』も手掛けた原作者が総指揮を務める。歌唱力を併せ持つ豪華声優陣が、挿入歌でも盛り上げた。雲の上の極寒の地に暮らすイエティのミーゴが、伝説とされていたスモールフット(人間)に遭遇したことで物語が始まる。イエティとスモールフットの間には過去の確執があり、お互いに歩み寄れずにいた。古い考えに縛られずに真実を追求したことで、双方の関係が変化していく。

『スモールフット』の概要

『スモールフット』とは、2018年にアメリカで公開されたミュージカル仕立てのファンタジーアニメ映画である。監督は『シャーロットのおくりもの』などの脚本を担当してきたキャリー・カークパトリックであり、『怪盗グルーシリーズ』や『ミニオンズ』を手掛けた原作者と音楽スタッフによってアメリカで制作された。
歌唱力もある個性豊かな声優陣も話題となり、ミーゴ役には有名俳優のチャニング・テイタム、パーシー役にはコメディアンでもあるジェームズ・コーデン、ミーチー役には歌姫ゼンデイヤ、ストーンキーパー役にはラッパーのコモン、グワンギ役にはNBAプレイヤーのレブロン・ジェームズなどが起用された。
日本語吹き替え版も豪華声優陣が名を連ね、ミーゴ役にはドラえもんのジャイアン役で有名な木村昴、パーシー役には実力派若手声優の宮野真守、ミーチー役には美声の持ち主である早見沙織が起用され、それぞれ圧巻の歌唱力で劇中歌も盛り上げた。中でも、ストーンキーパー役の立木文彦の聞き応えのあるラップ歌唱シーンは見どころである。

雲の上にある極寒の地に住むイエティたちは、ストーンに刻まれた村の掟を守って幸せに暮らしていた。ある日モジャモジャの毛に包まれたイエティのミーゴは、伝説の生き物とされていたスモールフットに遭遇する。ストーンの教えではスモールフットは存在しないことになっていたため、ストーンの真実に背いた罰としてミーゴは村を追放されてしまう。
真実を追い求めスモールフットを探しに雲の下に降りたミーゴは、空っぽとされていた地に人間の住む世界が広がっていることに驚くと共に、ストーンの真実に疑問が深まる。
人間にとってはイエティこそが伝説の恐ろしい生き物であり、お互いに歩み寄れずにいた。動物を愛するスモールフットのパーシーとミーゴが出会い、双方の関係が変わり始める。

『スモールフット』のあらすじ・ストーリー

ストーンに刻まれた掟

分厚い雲の上にある雪深い極寒の地にイエティたちが暮らす村があった。イエティたちはストーンに刻まれた数々の掟を守りながら、毎日楽しく幸せに暮らしている。ストーンキーパーという村の長が統制している村では、各自に役割が与えられてイキイキと仕事をしていた。
イエティが暮らす村は雲の上に浮かんでいて、村は偉大なマンモスたちの背中に乗って支えられていることや、雲の下には何もない状態であるとストーンに刻まれていた。又、光を届ける輝くカタツムリ(太陽)を、ゴングを鳴らして目覚めさせることで朝が来るとされている。そのゴングを鳴らす重大な役割を、体は大きいが少し臆病なミーゴの家系が代々引き受けてきた。
ある日、父親のドーグルからゴング鳴らしを引き継ぐ準備をすることをストーンキーパーに許されたミーゴは、練習中に集中力が足りず勢い余って村の外へと放り出されてしまう。そこで伝説とされていたスモールフット(人間)とミーゴは遭遇する。ミーゴは興奮して、急いで村の仲間たちを連れてきたが、スモールフットは不時着した飛行機と共に姿を消してしまっていた。村では嘘つき呼ばわりされ、スモールフットは存在しないというストーンの教えに背いたことは犯罪であるため、ミーゴは村を追放されてしまった。

イエティを目撃した飛行機のパイロットは、なんとか人間の住む街に辿り着いた。そこで動物を扱う教養番組を制作しているパーシーに、イエティの目撃談を話す。人間の世界ではイエティが伝説とされているため信じ難い話ではあったが、なんとか視聴率を上げるネタが欲しかったパーシーはパイロットの話に興味津々であった。

SESとの出会い

村を追放されたミーゴが行く当てもなく山を歩いているとグワンギとフリーム、そしてコルカに出会い、隠れてスモールフットを研究している会の本部に案内される。SES(スモールフット縁結びサークル)と名乗る研究会のリーダーを務めていたのはストーンキーパーの愛娘であるミーチーであったのだ。ストーンにはスモールフットは存在しないものであると刻まれていたが、古い考えに捉われずに、疑問を解決して知識を得るためにSESは活動していた。SESでは、スモールフットの持ち物の数々を保管していて、様々な推測から雲の下にスモールフットがいるのでないかと導き出していた。そうしてミーゴが代表してロープに吊るされ雲の下を下見するはずであったが、ロープは切れて落ちてしまう。空っぽだと思われていた雲の下には人間が住む世界があり、ミーゴは街を目指して歩き出した。

パーシーはイエティと遭遇したパイロットのインタビューを元に、番組のコーディネーターのブレンダにイエティの着ぐるみを着させてフェイク動画を作成しようと提案した。パーシーは、自身のチャンネルがうまくいっていないことを不安に感じ、プレッシャーから嘘でも番組を成功させたかったのだ。しかしイエティの目撃情報の多い街であることから、多少の嘘でも通用するのではないかというパーシーの考え方に、ブレンダは呆れて街を後にする。
ブレンダの後を追って店を出てきたパーシーの目の前にミーゴが現れる。着ぐるみを着たブレンダだと思い込んでいるパーシーは、フェイク動画としてカメラのスイッチを入れる。しかしミーゴが本物のイエティだとわかったパーシーは、ミーゴに銃を向けて攻撃した。幸いミーゴには当たらなかったが、自分で打った麻酔銃が刺さってしまったパーシーは気絶してしまう。スモールフットの発見に興奮したミーゴは、寝袋に包んでパーシーを雲の上に連れ帰るのであった。道中で、言葉が通じなくてもコミュニケーションを取ろうとしてくるミーゴに対して、パーシーは次第に心を許していった。

その頃、カタツムリ(太陽)を起こすために1人でゴングを鳴らす準備をしていたドーグルは、いつもとは違いミーゴのサポートがなかったため失敗してしまう。ゴングの音が鳴る前に街に光が届いてしまい、慌てて石を投げてゴングを鳴らしたものの、ドーグルはストーンの真実に疑問を持ち始めていた。ゴングを鳴らさなくてもカタツムリは自然に目覚めていたのであった。

真実

パーシーを山頂に連れ帰ったミーゴは、SESの仲間に改めてスモールフットの存在を証明した。村人にもスモールフットをお披露目すると、伝説の存在に驚くと同時に、ストーンの教えに疑問を持つ者が現れ始める。
ストーンキーパーはミーゴを呼び出し、かつて人間とイエティの間には争いがあった真実を伝えた。人間はイエティを恐れ攻撃し、何人もの仲間を殺してきた。生き残ったイエティたちは人間から逃れて、人間が生きていくことのできないほどの極寒の地へ登ってきた。人間から身を隠すために山頂からマグマに氷を落とし、蒸気で雲を人工的に作っていたのである。ストーンキーパーは、仲間を守るために架空の教えをストーンに刻み込み、掟として嘘の真実を刷り込ませていた。ストーンキーパーはミーゴに、ストーンに疑問を抱き始めた村人たちに対してスモールフットの存在は勘違いであったと説明するように促したのであった。

パーシーは山頂に着いた直後は動画を回しながら元気にしていたが、次第に寒さに耐え切れずに高山病になってしまう。それにも関わらず、ストーンキーパーはスモールフットの存在を隠蔽するためにパーシーを閉じ込めてしまうのであった。真実から目を背けさせるような行動にミーチーは納得いかず、パーシーを助けるために行動を起こす。パーシーを連れて、ミーチーは1人で雲の下の世界へ降りたのであった。

共生

ミーゴはSESのグワンギとコルカと共に雲の下に降り、ミーチーの捜索を始めた。臆病なフリームは、飛び降りる勇気がなく山頂に残る。

ミーチーは人間の街に眠ったままのパーシーを送り届けた。すると、ミーチーの目の前には人間の住む世界が広がっていて、興味津々なミーチーは街の中に歩みを進めてしまう。ミーチーは出会ったスモールフットに対して全くの敵意を示さなかったにも関わらず、伝説の恐ろしい生き物であるイエティに驚いたスモールフットたちはミーチーに攻撃を始め、ミーチーはショックを受けて逃げ惑った。

パーシーは目を覚まし、ミーチーが街に入っていく姿を見て驚く。程なくしてブレンダと再会し、パーシーの配信していたイエティの動画が好評であることを知らされる。パーシーが望んだ通りに注目され、かつての栄光を取り戻したように感じたが、パーシーは自身の評価よりもミーチーの身の安全を心配した。

ミーチーを助けるためにミーゴたちも街に入り、共に山に向かって逃げる。すると上空からも人間の追手がやってきて思うように逃げられない。なんとか森に逃げ込んだものの、複数のスノーモービルに追いつかれそうになってしまう。ミーゴは自ら囮となり追手をまいていると、パーシーと再会する。パーシーは麻酔銃でミーゴを弱らせて身の安全を確保し、イエティの存在は全て自作自演のことだと体を張って守り切ったのであった。

山頂に戻ったミーゴたちは、村人に人間との間にあった真実を話した。ストーンキーパーも隠蔽することをやめて真実と向き合い、スモールフットに歩み寄ることを決める。雲を作ることを中止し、イエティたちは人間の暮らす街へ向かう。初めは武器を向けてきたスモールフットたちであったが、パーシーとブレンダを先頭にイエティたちに歩み寄るのであった。

『スモールフット』の登場人物・キャラクター

主人公

ミーゴ(CV:チャニング・テイタム/木村昴)

モジャモジャな毛に包まれた大きなイエティ。臆病ではあるが、正義感が強く仲間想い。先祖代々、ストーンの教えでカタツムリ(太陽)をゴングを鳴らして起こすという重大な役割を引き受けている。父親の後を継ぐために、ゴング鳴らしの練習を始めていた。しかし伝説とされていたスモールフットと遭遇をしたことから、ストーンに刻まれている真実に疑問を抱き始める。SES(スモールフット縁結びサークル)と共に、スモールフットの存在を証明するべく行動に移す。

イエティ

ミーチー(CV:ゼンデイヤ/早見沙織)

ストーンキーパーの愛娘。SES(スモールフット縁結びサークル)のリーダーを務め、古い考えに捉われずに、スモールフットの真実を追求しようとしている。警戒心よりも興味が上回り、猪突猛進な行動をとってしまう一面もある。

ストーンキーパー(CV:コモン/立木文彦)

イエティの暮らす村の長。体中にストーンを身につけ、ストーンに刻まれた掟を厳格に守らせていた。しかしストーンに刻まれていたのは嘘の真実であり、人間たちから村人を守るための術であった。

グワンギ(CV:レブロン・ジェームズ/かぬか光明)

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