疾風伝説 特攻の拓(ぶっこみのたく)のネタバレ解説・考察まとめ

『疾風伝説 特攻の拓』とは、1991年~1997年まで『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された80~90年代頃の神奈川県横浜市・横須賀市の暴走族を中心としたヤンキー暴走族漫画。
佐木飛朗斗(原作)、所十三(作画)が手掛けている。
魅力的なキャラクター造形とリアリティのある描写、コマ内に表記される「!」「?」の多用や「”不幸(ハードラック)”と踊(ダンス)”っちまった」等独特な表現に魅了されたファンは多く、世代を超えて愛されている。

「極悪蝶」の二代目頭。常に薄いサングラスをかけており、一人称が「ワシ」で語尾が「~じゃあ」等、独特の喋り方をする
初期はなで肩で線が細いデザインをしていたこともあったが、後により厚みのある体格に変更され、「魍魎」の幹部クラスを壊れたぬいぐるみのように扱う姿から「ゴリラ」と呼ばれることもある程強靭な体格と怪力を誇る程になった。
喧嘩の場面が多い方ではないものの、タイマンのみならず多人数とやり合って勝利する程には戦闘力が高い。
台詞のみの出演だが両親は健在らしく、父親が家の中で慈統を探したり、母親から居場所を聞くとすぐに「享介ェ!メシ食わんのか!?」と呼びに行っていた。(因みにその際慈統は「客じゃあ!!静かにしとけェ!」と怒鳴り返している。)
一色大珠とは小さい頃の幼馴染で「亨ちゃん」と呼ばれている。
同じチームの柾那智には年下と言うこともあるのか何かと目をかけて可愛がっている。
愛車はHONDA CB750F。

柾 那智(まさき なち)

「極悪蝶」のメンバー。鵠沼南台中出身。高校には行っていない。
木刀を常に携帯していることから「木刀那智」とも呼ばれている。
単車、喧嘩の腕が共に一級であり、単車ですれ違いざまに5人纏めて倒すという離れ業をやってのけたこともある。
「極悪蝶」の頭を狙って慈統にタイマンを仕掛けるも敗れた後にチーム入りした経緯があり、常に自らの族に命懸けということもありその実力と根性を慈統には認められ可愛がられているものの、「今の幹部ぁまるでクソだぜ!?」とも思っており、単独行動の多さや年上幹部にも遠慮をせず「自分の敵はチームの敵」と公言するなどという生意気な面が、他の幹部たちとの反感を買い折り合いが悪い。
「爆音小僧」のジュンジとは中学時代の旧友で喧嘩の実力も互角だったが、再会時に実力差がついてしまった上に互いに敵対族に所属してしまったため微妙な関係になってしまった。
だが表面上の言葉や態度とは裏腹に、ジュンジと別れた後に遠くから彼との思い出のアクセルミュージックを聞かせたことから友情が完全に失せてはいないことを暗に示した。
愛車はデュアルカウル、規制前のRPM管を搭載した、チェリーピンクのHONDA CBX400F。

麓沙亜鵺(ロクサーヌ)

横須賀の暴走族。
新興の族ながら短期間での頭の代替わりが激しく、現在十一代目となっている。
元々は「外道」のような走り屋系の族だったが、九代目の頭が喧嘩族の「獏羅天」と親交を持ったことがきっかけで武闘派に変貌し、その後大抗争を起こした「外道」とは不俱戴天の仇同士という間柄になる。
また、九代目から友好関係が続いていた「獏羅天」については、十一代目頭の緋咲薫と、(正確には既に破門されている)「獏羅天」の風神雷神と諍いを起こしてから関係にヒビが入った。
爆音のように「薬厳禁」を明示しており、「フルーツバスケット」という空手の百人組手のような独特な喧嘩方法を持つ。
現在の特攻隊長の土屋、親衛隊長の相賀は、出番は他の族のNo.2同様多くないものの、No2以下の戦闘力が芳しくない族が多い作中では比較的強い設定を持っている。
主な看板…狂悪飛童」「聖道化師達」
主な敵対族…「外道」
主な集合場所…林のロータリー

緋咲 薫(ひざき かおる)

「麓沙亜鵺」の十一代目頭。鼻っ柱に真一文字の傷があり、シガレットサイズの「JOKER」というメープルチョコレート味の黒い煙草を愛飲している。
「外道」の秀人の天敵で、かつて彼によって砕かれた左拳には骨を接ぐための鉄のプレートとボルトが入っており、それがパンチの際に強力な力を生み出すこととなった。
天羽とは同じ中学で当初は敵対していたものの、天羽に命を救われたり、またロックンロールという共通の趣味から天羽の恋人優里と共に交流を深め、友人となった。
頭クラスで拓とタイマンを張った人物の内の一人でもあり、これまで何かと目障りだった上に、天羽の魂でもあるギターを拓が受け取り、その天羽が直後事故死してしまったことに対する言いようのない悔しさ、悲しみを募らせ、激情のまま闘うこととなった。
当初緋咲を恐れていた拓も彼の気持ちを痛い程理解し、「なんて悲しい喧嘩だ」と拳を受けながら応えた。
その後、関係が良好になったとはいかないもののある程度拓を認めた節があり、拓が窮地の際には(結果的にではあるが)救出したり、「バカなりに、熱いバカ」だと形容する場面がある。
自分の顔に血がつくと逆上し、弱い者イジメを嫌う。
秀人を憎むきっかけとなったのも、「外道」との抗争時に同じチームの特攻隊長・相賀が後先考えずに相手を死に至らしめようとしたことに対して、一方的かつ執拗に制裁を加えていたのを(相賀の自業自得とはいえ)「弱い者イジメ」と断定したことによる。
愛車はチェリーピンクのKAWASAKI Z400FX。

九尾の猫(キャッツ)

横浜の暴走族。
現在第16期目の喧嘩族だが戦闘力は他の族と比べてあまり高くなく、物語後半では一色大珠ただ一人にメンバー数人がボコボコにされて公園のブランコにつるされるなどした。
拓が初めて敵対した族でもあり、港が丘高校時代に秀人を狙って校庭に総長自ら乗り込んでいったところを、拓と秀人によって返り討ちにされた。
16代目総長は阪田正道。
主な看板…「Cat's nine tails」
主な敵対族…「外道」「美麗」

阪田 正道(さかた まさみち)

「九尾の猫」第16期総長。
横浜の族としての地元愛はあるようだが武闘派族の頭として喧嘩が弱く、カリスマ性にも欠けている。
天敵として秀人に何度も喧嘩を仕掛けているが武器を持ち出しても勝てた試しがなく、毎度返り討ちに逢う。
物語序盤で在学中の秀人を狙って私立横浜港ヶ丘高校の校庭に自チームの特別攻撃隊と共に殴り込みに行ったが、拓と秀人によって潰された。
アンパンに手を染めており、前歯が無い。
単車については不明だが、日産シーマIIを所有している。

美麗(びれい)

横須賀の暴走族。
一色大珠を初代頭とした新興の族で、主に「黒魔術師(ブラックマジシャン)」や横須賀愚連坊出身の元幹部で構成されている。
主な看板…「王道涅槃」「飛翔堕天使」
主な敵対族…「麓沙亜鵺」、「九尾の猫」

一色 大珠(いっしき たいじゅ)

「美麗」の初代頭。
横須賀の「私立純心学園高校」の1年だったが、相賀の襲撃により横浜の「県立正明高校(ケンショー)」に転校した。
慈統の幼馴染でもある。
右腕に「双頭の蛇」、左腕に「龍」、背中に「梟」の刺青をしており、それぞれ「啖い合う(くらいあう)神聖と邪悪」、「人智の及ばぬ神秘」、「限り無き叡知」を表している。
たった一度、ドブ板のマーカスという店で天羽時貞の演奏を聴き、その音色に怒りと悲しみ、絶望、そして宇宙への祈りを感じ、自らもその天羽の描く世界を望んだ結果、片っ端から非合法の薬に手を出すようになった薬物中毒者(ジャンキー)。
横須賀の裏路地で占い屋を営む謎の老人「呪術師(メディスンマン)」に施されたクスリで目指す世界の片鱗を垣間見るが、副作用として「ノイズだらけのTV」や自らに施した刺青や湧きだす蟲に喰われたり、肉や骨が溶けていく等の強烈な幻覚に苦しめられる。
唐突にキレて凄まじい怪力と暴力性を発揮するという特徴の他、上着の左腕に有刺鉄線を常に巻き付けており殺傷能力が高い。
当初はクスリの副作用でクニャクニャと頭を揺らしながらヘラヘラと笑うことが多かった。
その圧倒的な強さと異様な雰囲気から、「悪霊」「魔人」などと称されることがある。
匿ってくれた倫子と友人として接する拓には心を開いており、その二人がクスリをやめるきっかけともなった。
幼い頃可愛がっていた「チビ」と名付けた雑種の白い犬を老衰で亡くしたことがあり、その喪失から「死」という言葉に過敏に反応するため、どんなに重篤なトリップ・またはバッドトリップ状態となっていても、そこから瞬時に立ち上がることがある。
それは同様に献身に作用することもあり、前述の通り愛犬の死の経験から、衰弱しつつも自分と拓を窮地から救ってくれた天羽の愛犬・アービィとルーファスを、同じ頃小さな柴犬を飼っていた拓と悲しみを共有しながら懸命に救おうとする描写がある。
その一件以降、薬物をやめる努力をし克服した。
須王の双子の妹である那森倫子とは、自らの怪我の手当てをし匿ってくれたことを切っ掛けに好意を持ち、彼女もまた憎からず思うようになる。
愛車はKAWASAKI Z400GP、YAMAHA RD400。
前者は元々倫子の単車だがよく乗っている。

相州聖龍連盟會(そうしゅうせいりゅうれんめいかい)

湘南の暴走族である「阿修羅王」「邪神」「妖艶童子(セクシー)」の連合チーム。通称「聖龍連」、3チームの頭文字をとった「AJS」。
湘南は過去に族の聖地と化して近隣の族が集まる「お祭り」状態だったことがあり、これを受けて地元警察が取り締まりを強化した際に団結の道を採った中心チームがこの「AJS」で、この3チームの他「紫蛍会(しけいかい)」等湘南の暴走族が数多く傘下に入っており、その規模は横浜の「夜叉神」をも上回り、その上連合チームの結成背景もあって大規模な族の集団の割には統制がよくとれている方である。
そのため、過去の団結の際に従わなかった族の集まりである「極悪蝶」とは天敵であり、看板として「打倒黒揚羽」を背負っている。
「単車の134号単独流しは厳禁」というルールがある。
物語終盤における、横浜・横須賀の敵味方の族が入り乱れたB突の大乱闘において、副會長の吾代礼が會長の八尋渉を裏切ったことを切っ掛けに解散した。
會長…八尋渉(「阿修羅王」頭)
副會長…吾代礼(「妖艶童子」頭)
副會長代理…室木孝也(「邪心」頭)

「阿修羅王(あしゅらおう)」
「AJS」のA。現在八代目。連合結成以前から湘南で有名な喧嘩族で、「曼呪沙華」という親衛隊を持ち、普段は翼を持つ女性の特攻服姿だが、喧嘩の際は獅子の頭になるなど独特の文化がある。
主な看板…「涅槃大帝」
主な敵対族…「極悪蝶」

「邪心(じゃしん)」
「AJS」のJ。現在十代目。前身は「邪王」という族だったが、「稲村ヶ崎五中」襲撃の際に母校を守ろうとした来栖によって潰されて現在の形になった。
主な看板…「悪霊狂騎士」
主な敵対族…「極悪蝶」「魍魎」

「AJS」のS。現在十二代目。湘南の「お祭り」全盛期には主に地方ナンバーに狙いをつけ、片っ端から的にしていた。連合の中でも「特攻(イケイケ)」的存在。
主な看板…「MID NIGHT SEXY」
主な敵対族…「極悪蝶」「魍魎」

八尋 渉(やひろ わたる)

「阿修羅王」の八代目総長。「相州聖龍連盟會」の會長でもある。通称「血みどろ八尋」。
胸に大きな刃物の傷がある。
1500人規模の大規模組織のトップとして鰐淵同様基本的に穏健派ではあるものの、並外れた瞬発力と耐久力、通称に偽りなしの凶暴性、そして喧嘩のセンスが抜群であり、本人の信条的にも「喧嘩にはタイマンで勝てばいい」という肉体派な一面がある。
単車についてはマー坊と同じ速度域に棲んでいると目されている。
親衛隊頭の千冬慎と2人で単独高度をとることが多い。
終盤のB突の乱闘においてはAJSのNo2である吾代に裏切られ、鉄パイプによる後頭部を強打されると言う不意打ちを喰らい、凄まじい形相で両鼻から鼻血を噴出するというシーンを見せた。
シボレー・カマロZ28乗りの真由子という彼女がいる。
愛車はブルーのHONDA CB400FOUR。

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