疾風伝説 特攻の拓(ぶっこみのたく)のネタバレ解説・考察まとめ

『疾風伝説 特攻の拓』とは、1991年~1997年まで『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された80~90年代頃の神奈川県横浜市・横須賀市の暴走族を中心としたヤンキー暴走族漫画。
佐木飛朗斗(原作)、所十三(作画)が手掛けている。
魅力的なキャラクター造形とリアリティのある描写、コマ内に表記される「!」「?」の多用や「”不幸(ハードラック)”と踊(ダンス)”っちまった」等独特な表現に魅了されたファンは多く、世代を超えて愛されている。

∞V(インフィニティボルト)

横浜のライブハウス。
音楽関係に興味が薄い拓にすら名前が知れ渡る暴力沙汰で有名な場所で、桜宮らのバンド「truth」が「デモンズ・バー」に移る前に常連として利用していた。

音速の四天王

拓が中学生の頃、族の枠を超えて走りで伝説となった人物4名を指す。
真嶋夏生…爆音小僧。CB1100R 爆音スペシャル
鰐淵春樹…夜叉神。Z1000J(ジェイソン)
半村誠…爆音小僧(ゲスト)。真紅のCB400F(フォア)
那森須王…獏羅天。どシャコのCB750K2

灰色の亡霊(グレイ・ゴースト)

霧か雨の夜に現れる単車乗りを連続で襲うライダー。
単車乗りの背後で盛んに煽り、それに対して振り向くなどして反応したライダーを事故らせるという。
スピードに取り憑かれた灰色の単車乗りが、他の単車乗りを次々と弾き飛ばしていたという、作品内の横浜で古くから伝わっている「灰色の亡霊」という都市伝説が由来。
作中拓達の間で噂された「灰色の幽霊」の正体は優理、陸夫で、かつては天羽もそう呼ばれた。

スピードの向こう側

特定の状況下において不可思議な現象を物理的に体感出来る領域。「臨界」とも称されている。
鰐淵清美は「巨大なエネルギーが物理的変化を起こす境界線」と解釈しており、作中では一部の単車乗り達が目指すものとしてスピードに関することを中心に語られるが、広義的には「本来のスペック以上のことを成しえてしまう力」であるため、作中では音楽による発生も確認されている。
領域に達した者は光に包まれたような光景に遭遇し、単車なら本来のスペック以上で限界を超えたスピードで走行し、音楽ならエフェクター無しで独特な音色とエレクトリック・アートを発生させる等、奇跡と呼ぶに値する現象が時に本人のみならず第三者によっても観測される。
体験者は誠、夏生、マー坊、天羽、拓の5人で、作中上記に該当する現象としては拓が5速しか搭載されていない単車で6速を出したり、天羽が増天寺ライブで演奏中に龍の形状をした放電現象を発生させるといったものが描写された。

デスメタルグルーヴ

4人組のデスメタルバンド。
「増天寺ライブ」で前座を担い強気に登場したものの、本格的な族達の凄みと暴動に圧されて演奏する事無く撤収した。
本人たちはライブハウス「ViVit(ヴィヴィット)」の箱バン(専属のバンド)ということもあってそれなりの実力はあるようだが、ヒロシとキヨシには演奏センスが理解されなかった。

乱校

「私立聖蘭高校」のこと。
進学校である同名の「県立聖蘭高校」と区別する為にこう呼ばれる。
生徒数約500名の、(本来はあり得ない数値だが)偏差値が限りなく0に近い1桁、不良偏差値は98と言われる「悪の華」として有名な学校で、警備会社とも契約を交わしている。
神奈川県の「その筋」として有名な中学卒業生の吹き溜まりとされており、校内はただの不良のみならずいくつもの族が組織されているため抗争が絶えないが、母校そのものに一種の誇りを持っている生徒も多く、「乱校」の敵となり得る人物や障害については(手を取り合うわけではないものの)団結して排除しようとする傾向もあるために、近県の不良からも恐れられ関わり合いを持たないようにされている。
設備としては頻繁に窓ガラスが割られたり、殆どのトイレが使用不能になっていたりと劣悪な環境で、教員の殆どは儀礼的に授業だけはやるものの、監督責任者としては殆ど機能しておらず、騒ぎが大きくなりすぎた時のみ警察に通報するといった程度の対応で、「自由な校風」を建前に生徒に関わることを可能な限り避けている。
不良達の価値観においては楽しい環境であるためか、出席率は高い。
学年そのものの上下意識は薄くあくまで実力主義な不良の巣窟ではあるものの、同じ世界にいる者同士のそれなりの流儀や不文律は守るようで、特に「敷地内の他人の単車には絶対に手を出さない」という暗黙のルールは、報復の連鎖による全滅を避けるためというのを理解しているのか徹底されている。

悪魔の鉄槌(ルシファーズ・ハンマー)

天羽時貞の愛車であり、後に形見として拓の愛車にもなった。
天羽自身の出自である日本と米国のハイブリットをテーマに、天羽家の執事である桧原に製作させた。
ヤマハ・SRをベースに、ハーレーダビッドソン用部品メーカーであるルシファーズ・ハンマーのピストンとシリンダーが組み合わされており、天羽曰く「(時貞の)父さんの国の単車に、母さんの国のピストンで暴走る」のだという。
かなりのハイスペックであるものの、桧原のジョークで「400CC」のエンブレムが取り付けられている。
爆発的な加速力を追い求めた結果、後部座席がない一人乗り仕様で構造上極端な前傾姿勢を強いられ中、頻繁にピストンが破損してしまう程の特別な圧縮比等による強烈な体感等、慣れていない者にはエンジンの起動も困難な程癖が強い単車に仕上がっている。
天羽に魅せられた大珠曰く、この単車は持ち主を「臨界」に連れて行く伝承があるらしく、拓は「スピードの向こう側」を体験した際に5速までしかないギアで幻の6速を発動させた。
改めて5速までしかないことを整備士として確認したナツオは、それを「天使の鉄槌(エンジェルズ・ハンマー)」または「天使の翼」と呼んだ。

『疾風伝説 特攻の拓』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

一条武丸「“待”ってたぜェ!!この“瞬間(とき)”をよォ!!」

宿敵と「殺し合い」をするため、単車に木刀を積んで武丸を探していたマー坊の背後に、工事現場で盗んだツルハシを引きずりながら現れるシーン。
1ページ丸々使用した迫力のあるシーンで、序盤ながら武丸の破天荒さ、化物じみたプレッシャーが良くわかる。
(単行本6巻 42話)

鰐淵春樹「“事故”る奴は…“不幸(ハードラック)”と踊(ダンス)”っちまったんだよ…」

自身の車を煽っていたバイクが大型トラックと接触した際の鰐淵春樹の台詞。
作品は詳しく知らずととも、このセリフやコマを用いたパロディやコラ画像を目にしたことがある人が散見される程有名となった、セリフ回しが独特でインパクトが強い本作の中でも代表的なシーンの一つ。
尚、この「不運(ハードラック)」という言葉は他の場面でも単車や車の事故に対して表現していることが多く、度々登場する。
(単行本6巻 第46話)

浅川拓「…違うよ…今はもう…いない……ボクを兄弟(ブロウ)って呼んでくれた友達のために…たぶん…」

緋咲とのタイマンに向かおうする際、一緒にいたヒナ子に「拓が爆音で、(大珠や)緋咲が横須賀だから?」と聞かれた際の拓の答え。
緋咲は拓が天羽の魂でもあるサドウスキーを受け取ったこと、天羽がもうこの世にいないこと全てに怒りや苛立ち、悔しさを募らせており、その全てをぶつけるため拓と再会した際にタイマンに誘ったのだった。
普段なら震えるような恐ろしい相手だとしても、共通の友を亡くした緋咲の気持ちを少なからず察した拓は、その誘いを受ける覚悟を決めた。
爆音の仲間が見守る中、カズやジュンジを一撃で沈めた拳を何度も受けながら緋咲と張る初めてのタイマンシーンは必見。
(16巻 第146話)

『疾風伝説 特攻の拓』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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