電撃デイジー(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『電撃デイジー』は、最富キョウスケ作の少女漫画である。2007年から2013年にかけて漫画雑誌『ベツコミ』に連載されていた。主人公の女子高生、紅林照と、照を「下僕」と呼ぶ不良校務員、黒崎祐、そして謎の人物「DAISY」を中心に、照の兄の死の裏に隠れた大きな事件の謎にせまる。少女漫画でありながら、恋愛、コメディー、友情に加えてバトルあり、サスペンスありとさまざまな要素が織り込まれ、2010年には同雑誌が誇る4大作品「BIG4」にも選ばれた人気作である。

『電撃デイジー』の概要

『電撃デイジー』(でんげきデイジー)は、最富キョウスケによる少女漫画作品である。全75話が、小学館発刊の月刊少女漫画雑誌『ベツコミ』に、2007年6月号から2013年11月号まで連載された。単行本は同じ小学館の漫画レーベル『フラワーコミックス』にて刊行され、全16巻である。最終巻には番外編が4話収録されている。
紅林照は、ごく平凡な女子高生である。唯一の肉親であった兄を亡くしてからは、兄からもらった携帯電話に届く、謎の人物「DAISY」からのメールを支えに暮らしていた。そんなある日、照はガラスを割ってしまったことをきっかけに、不良金髪校務員、黒崎祐の下僕として働くことになり、次第に惹かれ始める。しかし実はこの黒崎が影から照をずっと守ってきた「DAISY」の正体であり、生前の兄とその死に深いかかわりをもつ人物であった。そして照は、兄の死と「DAISY」の裏に隠された事件とその鍵、「Mの遺言」のことを知る。想いを通い合わせてしだいに恋人同士のような関係になる照と黒崎だが、「Mの遺言」を狙う者たちが動きだし、二人は最後の事件に巻き込まれていく。

『電撃デイジー』のあらすじ・ストーリー

狙われた照とDAISY

第1話より、黒崎(中央・後ろ姿)にガラス代を払えず、下僕として働くことになった照

紅林照は、唯一の肉親だった兄、奏一朗を亡くして天涯孤独の身だ。貧乏でありながらも、気の良い多くの友人に恵まれ、清く正しく高校に通っている。そんな照の支えは、奏一朗が遺した携帯に届く謎の人物「DAISY」からの温かいメールであった。ある日、うっかり窓ガラスを割ってしまった照のもとに、金髪イケメン、しかし性格は不良な校務員・黒崎祐が弁償を求めにやってくる。支払う金がなかった照は、暴君黒崎のもとで「下僕」として働くことになったのだった。
学校ではあるハッカーの存在が噂されており、そのコードネームは「DAISY」、つまり照のメール相手と同じ名だった。ある日照は、生徒会長・一之瀬玲奈から突然助けを求められる。学校の金が教師の新井によって不正に使われているというのだ。周りに隠れて新井と付き合っていた玲奈は何もできずに見過ごしていた。しかし、照が「天才ハッカー」と知り合いだと知った玲奈は、不正利用の証拠をPCから取り出してほしいと頼みにきたのである。不正を暴かれそうになったことを察した新井が部屋に入ってきて窮地に陥った照と玲奈だったが、事態を知った「DAISY」は驚くべきスピードで不正データにたどり着き、彼女らを救うことに成功した。なお、このとき裏で動いていたのは、黒崎であり、この場面で「DAISY」の正体が黒崎であることが判明する。しかしそれを照が知るのはこれよりしばらく後のことである。
照と黒崎は買い出しから帰る途中、玲奈が怪しい男と連れ立ってホテルに向かうのを目にする。その足で二人が向かったのは、喫茶洋食店「お花畑」。店のマスターは、黒崎の古くからの知り合いで、黒崎の過去、正体がDAISYであることも知っていた。玲奈のことがどうしても気になった照は翌日彼女に声をかけた。話の端々から怪しさを感じた照は玲奈に男と別れるよう勧めるが、男の言うことを信じ込んでいる玲奈は、聞く耳を持たない。
しかしその後、黒崎の働きにより、玲奈が男に騙されていることがはっきりした。事実を伝えるために玲奈を探していた照は、玲奈が男に別れ話をしている現場に遭遇する。本性を露わにした男は、玲奈を無理やり車に乗せて誘拐した。焦った照はとっさに男にばれないように同じ車に乗り込み、玲奈と一緒に連れ去られてしまったのである。ホテルの一室に連れ込まれた照と玲奈は、必死で外に助けを求める。そこへ、マスターの力を借りて居場所を突き止めた黒崎が到着して部屋に乗り込み、見事に二人の救出を果たした。この事件をきっかけに、照と玲奈の友情は深まっていく。
先の事件でクビになった新井に代わり、臨時の情報教師・竹田真澄が赴任してくる。竹田は自分が奏一朗の昔の仕事仲間だと照に話していたが、実は黒崎の知り合いでもあり、DAISYの正体のことも知っていた。照のいないところで竹田と話した黒崎は、「手を出したら殺す」と釘をさす。
一方、学校で竹田に呼び出された照は、奏一朗から何か受け取ったものはないかと追及される。DAISYを侮辱する竹田に怒りを隠せない照はそのまま教室を後にするが、帰宅した照が見たのは、何者かに荒らされてめちゃくちゃになった自分の部屋だった。ショックを隠せない照は黒崎がいるお花畑に向かう。お花畑の扉を開けて泣き顔を見せた照を、黒崎は思わず抱きしめた。帰る家がなくなった照は、しばらくの間黒崎の家に居候することになった。竹田が照の家の泥棒騒ぎの犯人である証拠をつかんだ黒崎は、警察や学校にばらすと竹田に脅しをかける。反抗する様子を見せる竹田だったが、照を守るためなら身の破滅もいとわないという黒崎に屈し、照の前から姿を消したのだった。

学校に新しいカウンセラー・鬼塚理子が赴任してくる。理子もまた、黒崎の過去を知る人物であった。そんな中で照の携帯電話を狙ったと思われる事件が発生する。その目的は携帯の中にあるDAISYの情報であると思われ、照の友人グループの1人・長谷川清もまた、ある事情によって照の携帯を狙っていた。照は清から「怪しい人につかまって脅されている、誰にも知らせずに一人で来てほしい」との連絡を受け、指定場所に助けに向かう。しかし照を待っていたのは清一人で、脅されているというのは嘘だった。清は、「照の携帯電話の中に奏一朗の未発表のソフトが隠されているはずだ」と言う。照と清が言い争っている間に、黒崎と理子が教室に到着し、逃げ出した清を追った黒崎は、彼もまた誰かに脅され、操られていたことを知った。その後、黒幕に轢殺されそうになった清だが、黒崎の働きによって命を取り留め、ことの経緯を話し始める。清は、奏一朗の死に疑問を抱き、奏一朗が働いていた会社の内部情報をハッキングで調べようとしたのだという。しかしそれがばれて脅され、不本意にも照の携帯を狙う行為に加担させられていたのだった。
このとき初めて、黒崎とマスター、理子、そして奏一朗の関係性が明らかになる。マスター、理子、そして黒崎は以前同じ会社に勤めており、奏一朗が率いるチームのメンバーだった。また、理子は奏一朗の恋人だったのである。奏一朗の死とともにチームは解散し、チームの功績は抹消された。奏一朗は、チームの一人のメンバーを守るため、自分のすべてを犠牲にしたというのだった。

DAISYの正体を知った照

照は黒崎との居候生活を終え、すぐ隣の家で理子と住むことになる。買い物中に黒崎とはぐれた照のもとに、またもや竹田が現れた。竹田に連れ去られたかと思われた照だったが、実は「奏一朗のソフトが携帯に隠れていないかを調べる」という彼の真の目的を分かったうえで着いてきていた。照は竹田に自分の携帯を徹底的に調べることを頼み、もしもソフトが見つかったらそれは竹田に渡すと言う。竹田のことを奏一朗がいた会社の人間だと知っていた照は、「汚い仕事をしても汚い人ではない」と信用していたのだった。結局、照の携帯からソフトは見つからなかった。
照は友達や理子とともに、勉強合宿という名目で海に遊びに来ていた。照は旅先でDAISYへのお土産を探していて、貝殻細工のオルゴールを見つける。曲は”Time After Time”。黒崎が好きだと言っていた曲だった。だが、このオルゴールをきっかけに、照はDAISYの正体が黒崎だと確信することとなる。しかし今の黒崎との関係が壊れることを恐れる照は、真実を知ったことを黒崎に隠し通すと決心したのだった。

新たな敵の出現

学校でDAISYの名を騙るウイルスメールが問題になり、DAISYが悪者にされようとしていた。そして、照のもとに偽DAISYからのメールが入る。メールに従って呼び出し場所に向かおうとしていた照を止めたのは、学校の理事長・安藤数正だった。安藤は、黒崎らと同じく奏一朗のチームの仲間でもあった。彼らは照が呼び出された銀行に向かうが、そこに犯人は見つからなかった。照に届いた偽DAISYからのメールを手掛かりに、理子たちは偽DAISYを追うことにする。
照は3年生の一人からウイルスメールの裏話を聞く。その内容は、他の生徒の携帯電話を奪ってアドレスをとあるサイトに送ると金がもらえるというものだった。サイトのアドレスが書かれたメモを照が受け取ったところに、保健教師の森千春がやってくる。森の言葉に従って裏庭に向かった照の頭上から机といすが落とされ、それをかばった黒崎は、頭を怪我して気を失った。幸い黒崎の怪我は大事には至らず、照が預かったサイトのアドレスを追った黒崎は、運営者が元情報教師、新井であることを突き止める。一時期新井と付き合っていた玲奈は何かを知っている様子だが、それを話そうとはしない。
友人らと出かけていた照が一人になったとき、森が現れ、DAISYの正体を教えてほしいと頼む。それを聞いた照は、DAISYの正体は知らないと突っぱねるが、店を出た森が見知らぬ男に襲われた。照は、自分がDAISYの正体を教えなかったせいで森が襲われたという罪の意識に苛まれることになるが、実は森はDAISYを狙う敵の一味であった。黒崎は一人、森に会い、「照に手を出したら許さない」と忠告する。その後、森は急に姿をくらませた。
照は玲奈から、新井から電話があったことを打ち明けられる。玲奈は、新井と電話している最中に争うような音がして電話が突然切れ、かけ直してもつながらないのだと心配していた。照は、玲奈を伴って安藤にそのことを話しに行くが、そのとき新井はすでに、森が刺された事件の主犯として警察に追われて行方知れずになっていた。その直後、照は突如現れた新井に拉致される。新井から連絡を受けた黒崎は、マスターとともに呼び出された埠頭の倉庫へ照を助けに向かった。照は軟禁状態で無事だったが、当の新井は大ケガをしていた。新井が照に話した内容から、新井を刺し、さらには偽DAISYの事件に新井を誘った黒幕が森だったことが判明する。一連の事件のすべての主犯を新井であるかのように見せかけて新井を殺し、事件を闇に葬るのが森の計画だと考えられた。新井は、森たちが情報集めに使っていたサイトの元データを保存したUSBメモリを照に託し、そのまま逃げるように言う。新井の真の目的は、このメモリを照に渡すことだった。だが、照と新井の元には邪魔者を始末しようとする森が来ており、命を助ける代わりにメモリを渡すように要求する。呼び出されて外に出た照はメモリを渡すふりをして森もろとも海に落ち、一騎討ちを繰り広げていた。溺れる寸前だった照は黒崎に助けられて一命を取りとめるが、その間に森は姿を消していた。
照とともに救助された新井は、犯人の一人だと思われる「アキラ」という男について話す。同じ頃照は、まさにそのアキラと遭遇していた。照の定期券を拾ったというアキラは見返りを求め、無理やりキスする。不思議なことにアキラは照の名前を知っていた。

照と黒崎の別れ

第33話より、アキラに騙されてDAISY宛に不本意なメールを送り、黒崎を引き留めようと泣き叫ぶ照

黒崎は照に過去の真実を話そうとするも、決心がつかずに葛藤していた。それでも覚悟を決めた黒崎は「次の日曜日に二人ででかけよう。聞いてほしい話がある」と照に告げ、当日、照と黒崎は遊園地を満喫していた。しかし黒崎が離れた隙に照が罠にかけられてアキラの手に落ちる。何者かの手によって停止した観覧車の中でアキラと対峙した照は、果敢に抵抗しようとするも、アキラの策略によって「DAISY 兄を殺した人は許せない 消えてください」というメールをDAISY宛に送信してしまう。ショックを受ける照に、アキラは黒崎が話そうとしていた奏一朗の死の真実を告げる。DAISYが「ヤバいもの」を作ったせいで奏一朗が巻き込まれ、そのまま亡くなったというのだ。照が不本意に送ったメールがきっかけとなり、黒崎がDAISYであることが森の知るところとなる。森と話した黒崎は、自らが作り出した暗号ウイルス「Jack’o Frost」(以下JF)が生き残っているという噂のことを聞く。詳しいことを知りたければ自分たちの仲間にならないかという森の誘いを黒崎は拒み、無理やり森からJFに関する情報と観覧車のパスワードを聞き出した。黒崎が観覧車のシステムを復旧させて照とアキラが乗っていた観覧車が動き出したとき、照の元に、DAISYからのメールが届いた。そこに書かれていたのは、奏一朗を殺したという自分の罪に対するDAISYの謝罪、照の前から姿を消すこと、そして、これまでの照への感謝の言葉だった。照は泣き叫びながら黒崎に電話をするも通じることはなく、黒崎はそのまま姿を消したのだった。

黒崎の過去

第40話より、黒崎を迎えに来た照

理子やマスターはいなくなった黒崎を探すが、見つからない。密かに黒崎と会っていた竹田からの報告により、その目的がJFを見つけて潰すことだと判明する。残された照は、黒崎を救うため、黒崎が犯した罪、彼が苦しむ理由を知ろうとする。
数年前、日本では国の秘密を守るための独自の暗号「雷電」の開発が進んでおり、雷電は開発者たちの間では「JACK」のコードネームで呼ばれていた。アルゴリズムをつくったのは剣橋電機という企業であり、開発から運用までを独占していた。この剣橋電機こそが奏一朗たちチームがかつて所属していた会社であり、竹田の現在の職場である。そして、誰もがJACKの開発に躍起になる中で暗号の安全性を疑い反対を貫いていたのが緑川秀雄教授であり、彼が強く信頼する元教え子が黒崎の父親・孝弘だった。だが、緑川教授より、孝弘がJFの機密データを勝手に持ち出して海外に売ろうとしているという連絡が入る。そして孝弘はスパイの汚名を着せられたまま、事故で死亡した。数年後から、JFに関わる機関が次々にクラック攻撃を受ける。その犯人こそが黒崎であり、黒崎は父親の死の真相をさぐるためにハッカーになったのだった。
そして、攻撃の犯人として総務省に捕まり、結果として剣橋電機に入社した黒崎が奏一朗たちのチームに入ってくる。始めこそ物静かで仕事のできる青年と認識されていた黒崎は、孝弘のことをスパイと言った社員にキレて暴力をふるったために、周りから恐れられるようになる。しかし、奏一朗の働きによって黒崎は素の自分をさらけ出し、チームのメンバーと打ち解けることができた。
チームの解散後、奏一朗は大学の研究室の暗号開発チームに抜擢され、それについて行きたいと考えた黒崎は大学に行くことを目指すという。大検に合格した黒崎は奏一朗に報告しようと会社に来るが、奏一朗は病院に行って不在だった。奏一朗が戻らないうちに黒崎は社員の1人に呼び出されて外出し、そのまま行方知れずになる。そして、奏一朗と緑川教授のパソコンのデータがJFで暗号化されたことが発覚し、緑川教授が何者かに殺害された。奏一朗は、電車に飛び込んで死のうとしていた黒崎を間一髪で捕まえる。あの時呼び出された黒崎は、人事部を名乗る何者かに誘導されてJFを再び作らされた。そしてその謎の人物はJFをもったまま立ち去ったのだという。黒崎はJFを復活させたことを自首するが、その後、黒崎が緑川教授殺害の容疑で捕まったとの知らせが入る。状況を伝えに来た官僚・野口は、黒崎に容疑がかけられたのが政治家の圧力によるものであり、黒崎にJFを作らせて緑川教授の情報を闇に葬った一連の事件の主犯も同じ人物であることを明かした。野口は黒崎を無事に帰すことを条件に、暗号がかけられた緑川教授のデータの中にある、政治家の不正の証拠を取り戻してほしいと頼む。奏一朗はそのとき、スキルス性の胃ガンによって余命半年と宣告されていた。奏一朗は残りの人生を暗号解読に捧げ、解読は成功するも、黒崎が戻ってきたときには奏一朗は病院のベッドの上だった。そして、黒崎は奏一朗に照のことを託され、DAISYが生まれた。この話を聞いた照は、すべてを知ったうえで黒崎を受け入れると決めるのだった。
黒崎は森から、ある組織がJFを復元しようとしていることを聞く。照を人質にとられた黒崎は、森の要求に従ってその組織を探していた。マスターに帰るように説得させても聞こうとしなかった黒崎だが、「DAISYの居場所を教えてやる」とアキラから連絡を受けた照が一人でアキラと会おうとしていることを知って照を探し回ることになる。しかしそれは、黒崎をおびきだすために照が考えた計画だった。目の前に姿を見せた黒崎に、照は心からの感謝の気持ちを伝え、これからもずっと一緒にいて欲しいと告げる。黒崎はそれを受け入れ、これからも照をそばで守ることを決めたのだった。しばらくの間穏やかな毎日を過ごしていた照と黒崎だったが、突如、JFの復活を目論んでいた組織・ハイペリオンが滅びようとしているとの情報が入る。この事件にもまた、アキラが関わっていた。

玲奈の救出劇

玲奈の婚約が決まり、彼女に頼まれた照は婚約者に会うことになる。だが、待ち合わせ場所のホテルに偶然アキラが居合わせ、またも照は拉致されてしまった。黒崎がかけつけてアキラを気絶させたところに森が現れ、アキラを回収して立ち去る。森はなんとしてでもアキラを取り戻そうとしていたことから、アキラにはなんらかの大きな価値があると思われた。
また別の日、玲奈と照が帰ろうとしていたところに件の婚約者・森園一輝が現れて二人を食事に連れ出す。裏で数多くの悪事を働いていた森園は玲奈に婚約解消をほのめかし、余計な詮索をしないようにと脅しをかけた。森園が森たちに利用されていることを察した黒崎は、DAISYとして森園に接触し、森達に関する情報を引き出すことに成功する。黒崎に挑発されて動揺した森園は、「『Mの遺言』の在処を知っている」と言い残す。「Mの遺言」は亡くなった緑川教授が遺したHDの中のデータのことで、一部のデータが行方不明になっていた。
婚約を解消するために一人森園の元を訪れた玲奈は、森園が部屋の中で何者かと会話するのを耳にし、婚約パーティーの会場でJFの贋作のパフォーマンス披露と競売が行われることを知る。だが、盗み聞きがバレた玲奈はそのまま拉致され、婚約パーティーは予定通り行われることになる。だが玲奈は、手紙を通じてパーティーの裏でJFの取引が行われることを照達に伝えることに成功した。
パーティー当日、玲奈を救うための計画が動き出す。照達はそれぞれに玲奈の婚約パーティーに潜入し、客として会場にいた黒崎は、JFのオークションに参加する方法を突き止めた。会場にはなぜか森がいて、黒崎に情報交換をもちかける。応じた黒崎に森は、「クワガタ」と呼ばれる男のことを話す。クワガタは裏の仕事を森園に任されている森園の片腕で、極めて優れたパソコンの腕をもっていた。照の迫真の演技によって玲奈は船を脱出することに成功し、森園が企てていたJFによる攻撃も未然に阻止できた。しかし照は囚われの身になり、照を取り戻すために黒崎達が動き始めたとき、突如船で爆発が起こる。爆発の影響で、閉じ込められ、電子ロックを開錠しようとしていた黒崎は、倒れて苦しんでいるアキラを見つける。助けたアキラを傍に置いて開錠コードの解読を続けていた黒崎だが、突然そのコードが暗号化され、黒崎の力ではどうにもならなくなった。しかしその暗号を見たアキラは、いとも簡単に解読して見せる。そして扉のロックは開き、現れた森にアキラを任せた黒崎は、照を助けに向かった。船を脱出しようとしていた照と黒崎の前に、クワガタが現れる。クワガタは拾った髪飾りを照に返して何もせずに立ち去るが、黒崎はクワガタに対して怯えたような様子を見せていた。

Mの遺言の真実

第61話より、竹田の家で照に襲いかかるアキラ

黒崎はパーティー以降、動揺した様子を隠せずにいた。パーティーで遭遇したクワガタは、以前黒崎を陥れてJFを作らせた剣橋電機人事部の「永野」という男に酷似していたのだ。そして、照がクワガタから返された髪飾りには、マイクロSDが仕込まれていた。黒崎たちはマイクロSDを調べるが、中には暗号化されたデータが入っていただけであった。しかし、そのデータこそが、Mの遺言にたどり着くための唯一の手掛かり、「Mの遺言の鍵」である可能性が生じる。動揺する黒崎たちに、「アントラ」と名乗る人物から電話が入る。自分がクワガタ、そして永野と同一人物であること、マイクロSD内のデータがたしかに「Mの遺言の鍵」であることを告げたアントラは、巧みな話術で黒崎達を翻弄したまま電話を切った。そしてまさにアントラが黒崎と電話しているその時、彼の元にはアキラがいた。アントラはアキラ、そして森と通じていたのである。電話の会話を耳にし、アントラが自分を裏切ってMの遺言の鍵を黒崎たちに渡したことに激怒したアキラは、そのまま森達の元から脱走した。
電話の後、黒崎たちは竹田にマイクロSDを預けて剣橋電機のスパコンでの暗号解読を目論む。竹田の愛犬・薫子を送り届けるために黒崎から離れて一人竹田の家を訪問していた照のもとに、Mの遺言を狙うアキラが現れた。照と竹田はアキラを撃退するも、「Mの遺言の鍵」は、去り際に画面に映ったそれを一目見たアキラに解読されてしまった。アキラは、どんな暗号でも一瞬で解き明かせる超演算能力を持っていたのだ。
黒崎たちは照の携帯に奏一朗が隠していた暗号に気づき、彼が遺したMの遺言に関する極秘情報を手に入れた。その中には緑川教授と黒崎孝弘、そしてアキラを写したビデオが記録されていた。ビデオの中の緑川教授は、アキラに関する事実を語る。緑川教授がアキラと初めて出会ったとき、アキラは生まれ持った稀有な演算能力によって実験の被験体となっていた。緑川教授の手によってアキラはしだいに人間らしさを身に付けながら成長し、教授を「じいちゃん」と慕うアキラは彼のいきがいのようになっていた。しかし、緑川教授の出張中にアキラが行方不明になる。その死を信じられなかった教授はひそかにアキラを探し続け、ようやくアキラを見つけたとの連絡が孝弘から入った。しかしその翌日孝弘は事故死し、それを伝えに来たアントラから、緑川教授に「Mの遺言」の存在とその全容が明かされた。Mの遺言は、アキラをおびき出して殺すための計画の名だったのだ。アントラからアキラを救うための取引をもちかけられた緑川教授はそれに応じ、Mの遺言を止めるための情報を受け取った。「Mの遺言を止めるという意志を継いでほしい」という緑川教授の訴えを聞いた照たちは、アキラを救うと決めた。

最終決戦

お花畑で話す黒崎達のところに、Mの遺言の鍵の一部を解読した竹田が駆けつける。データの中には廃墟と小さな島の写真が入っていて、そこがMの遺言の場所だと予想された。残りのデータを解読するために駆り出された黒崎は忙しくなり、照と黒崎はなかなか話せない。しかし照の誕生日、黒崎は照に「好きだ」と告げてキスをし、二人は晴れて恋人同士になったのだった。
Mの遺言の真実を話すために黒崎たちは総務省の西田、柴山、河野に会う予定になっていた。しかし、アントラのスパイだった河野の策略によって照が囚われ、Mの遺言の入り口にあたる場所、写真に写っていた島の廃墟に拉致されてしまう。アキラがMの遺言にたどり着いてシステムの封印が解かれれば大爆発が起こることになっており、そしてまさに今、何も知らないアキラが島に向かっていた。このままでは照は巻き込まれて死ぬことになる。黒崎たちはアキラを止め、照を救い出すために動き出した。
監禁場所で目を覚ました照は、脱出するために建物の中を調べていたところでアキラに遭遇する。アキラは暗号を解いてMの遺言の入口を開け、照の静止を振り切って奥へ進んでしまう。追跡をあきらめて今いる場所の手がかりを探していた照は、隠されていたデータカードを見つけた。助けに来た黒崎と再会を果たした照だが、爆発までの残り時間は早ければ1時間、そして爆発はもう止めようがないことが明らかになる。
照が見つけたデータカードを使えばシステムを止めることができることが分かったが、アキラは進み続けており、このままでは時間が足りなかった。照は自ら足止め役を引き受けてアキラを追い、黒崎のサポートを受けながら順調に前へ進んでいく。データカードの暗号のすべてを解読した黒崎は、その裏に隠されたMの遺言のシステム設計者のひそかな計画を知り、照とアキラの後を追う。そのころアキラは最後の封印に行きつき、間一髪で追いついた照がアキラを止めていた。照の粘り強い説得によってアキラは希望をもつが、突如照が気を失う。
二人の元にたどり着いた黒崎はアキラに、システム設計者がひそかにアキラを逃がすための脱出ルートとそれを開くための隠しコマンドを用意していたことを告げる。パスワードを突き止めた黒崎が脱出ルートを開き、目を覚ました照も加わって3人が脱出しようとしたとき、背後にアントラが現れて照にUSBメモリを託した。島に残ったアントラが見送る中、照たちが脱出した数分後に島は爆発し、照たちはマスターが手配していたヘリコプターによって救助された。そしてMの遺言に関わる事件は、本当の収束を迎えたのだった。

エピローグ

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