空挺ドラゴンズ(漫画・ラノベ・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『空挺ドラゴンズ』とは2016年より桑原太矩が『good!アフタヌーン』で連載を開始した漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。主人公のタキタとミカを中心に、龍と呼ばれる生物を狩猟する飛行船「捕龍船」の乗組員たちと彼らを取り巻く人々の群像劇を描いている。ハイ・ファンタジーな世界観の中における登場人物たちの人間ドラマが中心だが、龍という架空生物の肉を用いた料理を描き、レシピ解説も加える「ダンジョン飯」のようなグルメ要素も色濃い作品である。

内乱で命を狙われたヴァニーを密かに逃がしてくれた大恩人

ヴァニーの幼馴染であり親友。
隠し子として王宮に閉じ込められていたヴァニーを気遣い、こっそり外へ連れ出したことがある。また内乱の際に殺害されそうになっていたヴァニーを逃がすことに尽力するなど、ヴァニーにとっては唯一の親友である恩人。
龍の霧にやられ昏睡状態になっていたが、龍を退治し霧が晴れたことで目覚めた。ヴァニーが自身の望みに正直になり空での生活に戻る際にも、再度後押しをしている。

ランベルタ

ヴァニーを連れ戻しに来たクィン・ザザ号の一行と出会う

議会軍司令官。
過去に王宮に閉じ込められていたヴァニーに会ったことがあるが、ヴァニーは覚えていない。

『空挺ドラゴンズ』の用語

人間が飛行機械を開発するはるか前から空を住みかとしてきた天空生物。
大きさや特性は龍一頭一頭異なり、同じ龍は2つといないとさえ言われている。中には幻覚を見せる霧を発生させる龍や、電撃を自在に操る龍、翼から熱線を発生させる龍など、特殊な能力を備えたものもいる。
特にその巨大さや凶暴性などから個体名で呼ばれる龍が存在し、それらは半ば船乗りの伝説として語り継がれている。

龍捕り(おろちとり)

龍を捕り、その肉や脂を売ることで生計を立てる天空の漁師たち。
毒を使った効率的な捕龍方法の開発や、龍の討伐・殺害のみを目的とした屠龍船の登場により、昔ながらの方法で人間が武器を手に取り生身で龍と対峙する龍捕りは数を減らしつつある。

捕龍船(ほりゅうせん)

龍捕りたちの家であり仕事道具である飛行船。船長や操舵手、機関士等の飛行に必要な乗組員に加えて、龍捕りのチームが搭乗する。
空中で仕留めた龍の死骸を牽引したり、小型の龍なら甲板で解体作業をすることもあるため、ある程度の大きさの船が一般的であるが、数名程度で搭乗する「突撃艇」も存在する。
現実世界の飛行船と同じく浮揚ガスによる揚力を用いているが、それに加えて龍の震臓の化石からなる「震臓バラスト」という機構により重力操作を行うことで機動的な運用を可能としている。
龍に出くわした際はまず大銛(アンカー)を打ち込む必要があるため、それを打ち出すための捕龍砲を備えている。

屠龍船(とりゅうせん)

龍捕りとは異なり、龍を資源としての狩猟するのではなく、討伐指定された龍を殺害することで懸賞金を獲得することを生業とする一団が搭乗する船。
飛行機械の発達により空が人間の生活圏になるにつれ人間と龍の摩擦が増えたことで、より効率的に龍を駆除するために運用されることが多い。特定の市や航空事業者に所属するケースもある

千剖士(せんぼうし)

龍捕りが捕龍船で空に上がるより以前、まだ人が落ちた龍のみを資源活用していた頃から、龍の解体と運用に携わっていた一族たち。
今はクオーン市にその一団が住んでおり、昔ながらの方法で生活している。解体した龍の革を鞣し、龍一頭につき一つずつタペストリーにして受け継いでいくのが習わし。

『空挺ドラゴンズ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ヴァニー「雲に還りて、また良き風招こせ」

唱え言葉。龍捕りや千剖士たちは、龍を捕ったときにこの言葉を唱える。資源として龍を捕り、油を売り肉を食うが、それでも人よりもずっと古くから空に暮らす龍を敬っていることが、この言葉から見て取れる。
龍捕りの唱え言葉である性質上、セリフとしては物語全体で複数回登場するが、特に名シーンとしての色が濃いのは11巻。ヴァニーがアレーナ王宮で5体の小型龍を倒した時のセリフである。
このとき、ヴァニーは故郷アレーナで目覚めぬ眠りに落ちている親友であり恩人のツィータを救うため、霧の龍を倒しに単身アレーナ王宮に乗り込んでいた。ヴァニーはそこで同時に5体の小型龍に出くわし、人間1人対龍5体という死闘を演じる。ギリギリの闘いで満身創痍になりながら、故郷を眠りに落とした憎き存在であり、つい先ほどまで自分を食おうとしていたその龍に対し、ヴァニーは震える手を合わせ「雲に還りて、また良き風招せ」と唱える。ヴァニーはすでにクィン・ザザ号から離脱しているが、どこまで行っても彼女は、龍に対する敬意と感謝の念を忘れない、1人の龍捕りであるということを感じさせるシーンである。

ミカ「ぜったい」

ハーレ市の物語終盤のミカのセリフ。
クジョーは3年前、市に近づいた龍を仕留めそこない、片足を失っていた。空に生きることに強い思いのある彼は、自分の銛が刺さったその龍との決着をつけるためにミカと共に「銛付き」との決着に挑む。
戦いの最中、クジョーは命綱を付けずに龍に飛び移り、そのまま龍と共に雲の中に消えていった。二人を追ってきたクジョーの娘ノラは父親を案じ、クジョーを止めなかったミカを責める。しかしミカはクジョーが龍を仕留め、生きて雲から出てくると確信していた。
物語の中で、ミカは基本的に物事を明言しない。ほとんど口癖のように発言の語尾に「たぶん」と付け加える彼が「ぜったい」と言い切ったことに、ミカがクジョーに寄せる信頼の大きさが表れている。

ヴァニー「私は…やっぱり空で生きたい!」

霧の龍を討伐し、内戦を終結させた際の和平協定式典にてヴァニーが思いのたけを吐露した際のセリフ。

この瞬間に至るまで、ヴァニーは自分の立場に対する自覚、自分の身代わりになった親友への罪の意識、それらが折り重なった重圧を抱え続けていた。例えばブルノが自由に生きつつも式典で責任を果たす姿に接するヴァニーの描写など、彼女が何かを心に抱えて旅を続けていることは全編通して明確に示唆されており、この作品が長い時間かけて張り続けていた伏線に一つの決着をつけたシーンと言える。
恐らくは旅を続ける中でもヴァニー自身いつかは自分の過去や運命に責任を取る日が来ると感じていたと思われ、「空で生きたい」という言葉は彼女がついに自分の心に正直に向き合えたことを示している。

『空挺ドラゴンズ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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