鉄人28号(Gigantor)のネタバレ解説・考察まとめ

『鉄人28号』とは、横山光輝による漫画を原作とする、日本初の巨大ロボットものシリーズである。
少年探偵「金田正太郎」と、彼に操られる巨大ロボット「鉄人28号」の活躍を描く。
元々は少年探偵漫画だった所に「巨大ロボット同士のプロレス」という内容が加わった事で、昭和30年代に凄まじい人気を誇った。
『鉄腕アトム』と並び、我が国の漫画・アニメ黎明期における金字塔に輝く作品として、強く日本人の記憶に残り続ける作品である。

2010年代に放送された、アニメ第5期。

第4期とは打って変わって、視聴者対象を幼児に設定。
『アンパンマン』のような世界観となり、明るくポップで可愛らしいデザインのキャラクター達が、楽しげな掛け合いをする作品となった。
原作版よりも視聴者の対象年齢が低い構成のため、特に第4期でシリーズのファンとなった視聴者からは、見向きもされなかったという逸話、もしくは失敗談がある。
その反面、放送期間そのものは3年弱にも及び、歴代アニメ最長の放送期間を誇っている。

物語はオムニバス形式を取っており、基本的に一話完結。ショートアニメのため、1話の尺は8分程度と短い。
まるで教育アニメかのような内容の回が多いが、最終回付近では、ややヒーローらしさが出て「人類滅亡危機一髪!」などとして、鉄人が地球に迫る危機を救った。

『鉄人28号 白昼の残月』(劇場版)

アニメ第4期と世界観を共通させる、劇場用作品。
ただし設定はアニメ第4期をリセット・再スタートしたものとなり、話は続いておらず単独の物語となっている。

ある日、鉄人28号と共に活躍する正太郎の前に、同じ「ショウタロウ」の名を持った男が現れる。
その人こそは、正太郎の義兄であった。彼はなかななか子どもが生まれない金田夫妻の元に引き取られた養子だったが、非常に大切にされた。だが、戦争で正太郎が生まれるよりも前に死んだと思われており、父の金田博士は悲しみのあまり、二人目の息子にも同じ「正太郎」の名を付けていたのだ。

しかし、兄のショウタロウは、戦争で心を大きく傷つけられており、平和の世界に馴染めない。
やがて金田博士もう一つの遺産「大鉄人」が東京に姿を現す。大鉄人はその名の通り、鉄人の何十倍もの大きさを誇る決戦兵器だった。そのボディのあちこちをkり離し、着弾地点を灰燼に帰す事が可能な広域破壊兵器「廃墟爆弾」を発射可能な脅威の存在だ。

それが、今の世に復活してしまった。
だが、そんな兵器のある世の中こそ心地が良いと、ショウタロウには思えてしまっていた。
なぜなら、ショウタロウは鉄人の正規操縦者として育てられていた人間だからだ。戦う事でしか己に存在意義が見いだせない。しかし、それを実現する「鉄人の操縦者」としての立場は、正太郎の誕生によって、自身の名前と共に奪い去られてしまったという思いがあった。

だから、今の世の中で、自分の存在意義を確立するには、正太郎から鉄人操縦者の資格を奪うしかないと思い詰めていたのだ。
だが、大鉄人の復活に対応して必死の姿を見せる正太郎に心が変容していき、二人は和解する。

正太郎とショウタロウは力を合わせ、鉄人28号を使って大鉄人を止めた。そして「この日本の時代の波に流し消されないよう、戦って、生き抜いていくつもりです」と誓いを立てるのであった。

実写版

『鉄人28号』(テレビドラマ版)

1950年代に、アニメ版第1期よりも先行して放映された実写版。
おおよそ原作版の物語をなぞるものであったのだが、特撮技術と予算の不足により、原作者の横山光輝からも痛烈なダメ出しを貰うほどに出来が悪く、ほぼ打ち切りの形で終わっている。
その後のアニメ版の評判が高かったために、余計に影が薄くなり、2000年代まではほぼ忘れられたものとなっていた。

だが、2010年代前後に、当時のフィルムから起こされた映像がネット上に出回り、あまりの出来の悪さを「からかう」といった形で人々の記憶に蘇った。
巨大ロボットという設定のはずなのに「せいぜい2メートル程度あるかないかのサイズの出来の悪い着ぐるみ(鉄人28号)が、プルプル震えている。視聴者にはまったく脅威に映らないが、登場人物は恐れおののいている」というシーンが公開され、視聴者の笑いを大いに誘う。

『鉄人28号』(劇場版)

2000年代に公開された、劇場用実写映画。鉄人28号と、ライバルメカとなるブラックオックスはフル3DCGで描画される。

鉄+勇気をテーマに、鉄人の操縦者に選ばれた正太郎と、悪の科学者、不乱拳博士の戦いを描く。
本作では原作版およびアニメ版の正太郎が「少年ながらに大人顔負けの頭脳を持って活躍する」人物であったのに対し、本作では「普通の少年」として描かれており、圧倒的な力を持った鉄人との接し方が解らずに苦悩する物語となっている。
最終的に鉄人28号がブラックオックスを打倒して、日本の平和が守られる。

しかし、本作の評価はすこぶる低い。
本作の設定は『鉄人28号』が元来持っている「少年探偵もの」あるいは「少年ヒーローもの」としての本質を真っ向から否定したものであり、さりとてアニメ第4期のように重いテーマがあるわけでもない。
残ったものは、低予算で描かれたCGの鉄人28号と、それとまったく相容れない人間ドラマであった。
このような内容のため、ファンからの評判は最悪であり、新規のファン獲得も失敗。よって興行収入も振るわないと、完全なる失敗作の烙印を押された。

失敗の原因としては「実写映画はアニメよりも格上。邦画監督にメガホンを持たせるべし。漫画・アニメ関係者は除外せよ」という、日本映画界の悪癖が炸裂してしまった事が挙げられる。
その結果どういう構成にすれば漫画・アニメファンが喜ぶのか、という事すら解らない人間が監督になってしまい失敗に繋がった(監督が悪いのではなく、監督からしてミスキャスティングであったという事)。

『28 1/2 妄想の巨人』(劇場版)

押井守による映画作品。
厳密には『鉄人28号』の物語ではなく、舞台版『鉄人28号』の制作に関わった人間達を描いた映画である。
ただしノンフィクションのメイキング映画ではなく、創作劇である。

ある日、舞台版『鉄人28号』のスチルカメラマンであった言子(あきこ)は、現場で時折「正太郎少年」の姿を見てしまうようになる。
しかし正太郎は架空の人物であり、現実には存在しないはずだ。
どうした事かと混乱している内に、舞台監督の馳戸護(はせど まもる)が失踪してしまう。

本作は押井守の得意とする「現実と虚構」の境界線を描いた物語となっている。

ラジオ版

『鉄人28号』(第1期)

1959年、ニッポン放送にて放送されたラジオドラマ。
スポンサーは「あみ印食品工業」1社協賛番組だったとされている。

『鉄人28号』(第2期)

1978年、ニッポン放送『キリンラジオ劇場』にて放送されたラジオドラマとされている。
主にアニメ第1期に基づいたキャスティングがなされた。

小説版

『鉄人28号 空想科學小説』

重馬敬による小説。
アニメ第4期の設定を参考に執筆されている。

舞台は「昭和三十X年」となる。
「もはや戦後ではない」の言葉の元に高度成長期を進む日本の社会で、どうして「少年探偵・金田正太郎」が存在するのかという部分に視点を当てた物語となっている。
鉄人28号が、金田博士の単独開発によるものではなく、敷島博士との共同開発によって生まれた兵器という設定であるのが特徴。

『鉄人28号 THE NOVELS』

瀬名秀明、芦辺拓、田中啓文、辻真先の4名によるアンソロジー小説。
原作準拠のものから、推理小説のようになっているものまで、バラエティに富んでいる。

舞台版

『鉄人28号』

押井守による舞台作品。

時代設定は昭和39年(1964年)の東京オリンピック開催直前。
大塚署長配下の公安部「野犬狩り隊」は、野良犬の駆除が任務だ。彼らは野良犬グループのボス「有明(ありあけ)フェリータ」の捕獲を試みていた。
そして有明フェリータ捕獲が確実となった中、正太郎は大塚署長からテロリスト「人狼党」の退治に協力を依頼されるが、保健所の警備中に人狼党党首の犬走一直(いぬばしり いっちょく)に拉致されてしまう。

正太郎を拉致した犬走は、しかし彼に危害を加えるでもなく、常識とは異なる価値観の「自由と正義」を語りまくる。
やがて正太郎は脱走に成功するも、犬走の思想が頭にこびりついてしまい、悩い続ける。
そして東京オリンピックの開会式当日、オリンピック会場上空でデモンストレーション飛行を行なうはずだったブルーインパルスが人狼党の妨害工作により、飛行不可能になってしまう。

その代わりに、鉄人28号を使ってデモンストレーションをしようという事になったのだ。
かくして鉄人は大空へ飛び立つが、五輪の雲を描いたかと思うと、そのまま正太郎を乗せたままどこかへ飛び去ってしまった。

時が経ち、正太郎と鉄人はやっと日本に帰ってくるが、時間はあれから40年も経過していた。
正太郎にどのような思いがあってこのような結末になったのかは、本人以外、知る由もない。

コマーシャル版

3jkendo_kashin
3jkendo_kashin
@3jkendo_kashin

目次 - Contents