回復術士のやり直し(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『回復術士のやり直し』は月夜涙による日本の青年向けライトノベル及び漫画、アニメである。ライトノベルのイラストはしおこんぶ、漫画のイラストは羽賀ソウケンが担当している。小説投稿サイト「小説家になろう」にて2016年より連載開始。小説のサブタイトルは「〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜」でコンセプトは楽しんで復讐する主人公である。「新作ラノベ総選挙2018」で1位を獲得。漫画は「ヤングエースUP」で連載。2021年にBPO(放送倫理・番組向上機構)にて青少年委員会の議題に取り上げられた。

『回復術士のやり直し』の概要

『回復術士のやり直し』は月夜涙による日本の青年向けライトノベル及び漫画、アニメである。ライトノベルのイラストはしおこんぶ、漫画のイラストは羽賀ソウケンが担当している。小説投稿サイト「小説家になろう」にて2016年より連載開始。小説のサブタイトルは「〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜」でコンセプトは楽しんで復讐する主人公である。復讐ものとは本来、悲壮な決意や苦しみを押し殺しながら破滅の道を突き進んでいくというものが多い中、主人公であるケヤルは娯楽として復讐を楽しんでいる。「新作ラノベ総選挙2018」で1位を獲得。漫画は「ヤングエースUP」で2017年より連載。アニメは2021年に全12話で放送されたが残酷な描写や性的な描写が多く視聴者からは賛否両論の意見があり作者自らも謝罪文を掲載したほどである。2021年にBPO(放送倫理・番組向上機構)にて青少年委員会の議題に取り上げられた。

最果ての地、漆黒の世界で勇者達は魔王と戦っていた。
魔王の圧倒的強さに苦戦を余儀なくされる勇者達は、傷を【癒】の勇者であるケヤルに回復するように命令する。だがケヤルは仲間の勇者達から酷い扱いを受けており薬漬けにされていたのだ。回復もまともにできないケヤルを「早く”回復(ヒール)”しろ!使えないやつだな」罵倒する仲間達。
【癒】の勇者は回復術士であり、回復術士は1人では戦えないと思われていた。だがケヤルは仲間からの虐待を受けた際に自身を回復することにより、”回復”を強化していき、戦闘に使えるようになっていた。そして”薬物耐性”のスキルも獲得して、チャンスを伺っていたのだ。ケヤルは他の勇者達が弱った隙に対峙していた魔王を倒し、魔王の心臓である賢者の石を手に入れた。他の勇者達の中で意識を保っていたフレアに「この石の力で”回復”を使いこの世界そのものを”回復”する。そして四年前、あんたに出会う前からやり直すよ」と言い残して時を遡ったケヤルは、以前の知識と能力を引き継ぎ最強の勇者となり他の勇者やジオラル王国へ復讐を誓った。
四年前に戻ったケヤルは知識と力はそのまま引き継ぎ、自分を奴隷として扱った他の勇者とジオラル王国に復讐すべくケヤルガと名前を変え、仲間を集めて次々と復讐をしていく物語である。

『回復術士のやり直し』のあらすじ・ストーリー

【癒】の勇者ケヤル

勇者一行は魔王との最終決戦を繰り広げていた

最果ての地、漆黒の世界で勇者達は魔王と戦っていた。彼らは”癒”の勇者であるケヤルに回復を命令するが、仲間たちから奴隷のような扱いを受けていたケヤルはまともに回復することができない。他の勇者たちは自分たちのせいであるのにもかかわらず、ケヤルを罵倒する。
世界に10人しか存在できないとされるクラス「勇者」には【癒】、【術】、【剣】といった具合に能力に応じた二つ名が与えられることが通例となっている。その中で回復術士である【癒】の勇者ケヤルには1人で戦う力がないと思われており、虐待の的にされていた。しかしケヤルは自身を回復することで「回復」の能力を強化して戦闘への使用を可能としていた。ケヤルは他の勇者たちが弱った隙に能力を使用して魔王と戦い勝利、魔王の心臓「賢者の石」を使って世界そのものを「回復」する。その結果、ケヤルは他の勇者たちと出会う4年前に遡っていった。

時間を遡行したケヤルはまず森羅万象を見通す眼である精霊の目を手に入れることにした。精霊界との繋がりが強くなる星の巡りに、森の中で精霊契約の祝詞を唱えるケヤル。すると湖の中から星の精霊が現れた。ケヤルは精霊から左目に全てを見通す「翡翠眼」を授かった。
次に「毒物耐性」を手に入れるべく、ケヤルは森のある毒キノコを食べつくした。意識が朦朧とする中で村に戻ったケヤルを村人とともに出迎えたのは、ジオラル王国第一王女のフレアだ。彼女は【術】の勇者としてかつてケヤルを虐げた者の1人である。フレアは「新たな勇者を迎えに来た」と言い、村人たちが喜びの声を上げる。ケヤルは憎しみを隠しながら、フレアに連れられて王都ジオラルに向かった。

能力を確認できる鑑定紙により【癒】の勇者だということが公になったケヤルは、地上最強の「剣聖」の称号を持つクレハ・クライレットの治療を頼まれる。クレハは魔族との戦いで片腕を失っていた。
早速「回復」するケヤルだったが、実は彼の「回復」は通常の回復魔法では治せない四肢の欠損なども治せる代わりに対象者の経験が頭の中に流れ込むという副作用があった。そのためケヤルはクレハの壮絶な痛みを体験することになり、覚悟をしていたにもかかわらず声を上げて気を失ってしまった。フレアは世界が「回復」される前の1周目と同様にケヤルの蔑んだ目を向け、「回復」を拒絶しないよう調教するように指示した。

城からの脱出

ケヤルはフレアに毒入りの紅茶を飲まされて牢獄につながれた。そこで薬漬けにされて暴行を受け、正気を失う。しかしある時「薬物耐性」のスキルを取得し、意識を取り戻した。当初の狙い通りに事が運んだケヤルは脱獄を試みる。逃亡中に出会った兵士を壊れた形で回復させる「改悪(ヒール)」を使って殺し、武装を奪って逃走。さらに近衛騎士隊長を襲い、ケヤルの望む形に回復する「改良(ヒール)」を使って彼に成りすましてフレアのもとへ向かった。油断するフレアの不意を突いて組み敷くと、ケヤルは今までの憎しみをぶつけて容赦なく復讐を実行する。満足したところで「改良」で気絶したフレアの顔や性格、記憶を改竄。メイドの顔を変えて、近衛騎士隊長がフレアを殺して部屋に火を放ったかのように偽装した。

フレアを抱えて城から脱出したケヤルは、他の勇者への復讐と魔王との再会を考えていた。ケヤルに倒された後、魔王から現れた銀髪の美少女が「守れなかった」と零していたのだ。ケヤルはその意味が気になっていた。
やがてフレアが目を覚ました。「改良」によって自分自身のことも思い出せなくなっていた彼女にケヤルは嘘を吹き込む。自分のことを「ケヤルガ」、フレアのことを「フレイア」と偽ったケヤルは、フレアとの主従関係を築いた。

氷狼族の奴隷

ジオラル王国を出たケヤルガとフレイアは、冒険者の楽園と言われる混沌の街ラナリッタに立ち寄る。ラナリッタでは原因不明の疫病が蔓延していたが、ケヤルガは宿の水を口に含んだ瞬間に原因が水にあることに気が付いた。ケヤルガは疫病を治すポーションを作製し、それを売ることで大金を得た。
その金でケヤルガは少女の奴隷を買う。彼女はセツナという名の亜人の一種・氷狼族で、自分の村を襲った人間たちに強い恨みを抱いていた。彼女の復讐に手を貸すことにしたケヤルガは、彼女の住んでいた村へ向かう。そこではちょうどジオラル王国の兵士と氷狼族が争っていた。ケヤルガはすぐに飛び出そうとするセツナを抑え、顔を隠す仮面を装着すると大声で「我は【剣】の勇者!」と叫んで兵士たちを切り捨てていく。兵士の数が減ったところでセツナを呼んで彼女の復讐をサポートした。

滅ぼされたアルバン村

ケヤルを誘き寄せる為に滅ぼされ囚われたアルバン村の人々

ケヤルガは城から脱出する際に近衛騎士隊長の顔を自分に変化させていたが、鑑定紙により偽物だとばれた。王国は本物のケヤルガが逃げたことに気づき、すぐに追っ手を放った。
一方のケヤルガは戻ったラナリッタの街で突然、剣聖クレハに襲われる。この時ケヤルガは顔を変えており、クレハに【癒】の勇者だとばれたわけではなかった。クレハは王国の欺瞞工作により、ケヤルガのことをクライレット流剣術を悪用して氷狼族の村を襲った悪漢だと思っていたのだ。
ケヤルガは隙をついて「回復」を行い、クレハに亜人の傷を治した際に見た記憶を送り込む。人間に切りつけられ、奴隷にされた記憶を送り込まれたクレハはショックのあまり気を失った。

ケヤルガは彼女を宿に連れ帰り、目を覚ましたところで自分の正体を明かした。そしてジオラル王国の闇、亜人の村を襲って奴隷にしているという事実を告げる。最初は鵜呑みにできなかったクレハも、フレアのふりをしたフレイヤの言葉で信じることになる。

ある日、ラナリッタの街にやってきた兵士がケヤルガの故郷アルバン村の人々を磔にして、「3日の間に出てこないとこの者達の命はないと思え!」とケヤルガを脅し始めた。ケヤルガは狂気的な笑みを浮かべて「首謀者を見つけて復讐しないと」と喜ぶ。

クレハに調査を頼んだケヤルガは、軍を指揮していた近衛騎士隊長を罠にかけて捕らえると、女性の姿に変えた。そして薬で正気を失った男たちに襲わせ、彼らのいる廃墟に火はなってその場を後にした。

騎士隊長を始末したことでアルバン村の人々の処刑が中止になると考えていたケヤルガだったが、その見積もりは甘く、村人たちはラナリッタのコロシアムで処刑されるという。救出を考えるケヤルガの耳に、フレアの妹、ジオラル王国第二王女ノルンが帰国したとの知らせが入る。
1周目の世界でノルンの苛烈な性格と天才的な頭脳を知っているケヤルガは、警戒感を強めた。

処刑前日の夜、ケヤルガは処刑が行われるコロシアムに潜入する。そこで「首飾りをつけていない者の体力・魔力を吸い取り結界を構築する」というコロシアムの仕組みに手を加えた。
翌日、ケヤルガは王国軍の前に堂々と姿を現す。兵士がコロシアムの結界を発動させると、逆に首飾りをつけた兵士たちの体力・魔力を吸い取り始めた。ここまではケヤルガの計画通りであったが、すでに磔にされている村人たちが毒により息絶えているという想定外の事態が起こる。
ケヤルガはすぐにこれがノルンの企みだと気づく。そんな時、コロシアムにあるモニターにフレアの格好をしたフレイアが映し出される。フレイアはケヤルガの命のもと、ジオラル王国の闇を話し「自分は王に殺されかけてケヤルガに救われたのだ」と語った。何も知らない観客や兵士に王国への不信感を与えることが目的だったが、思ったよりもうまくいかない。ケヤルガが撤退を考えたとき、フレイアが無意識のうちに、覚えているはずもない【術】の勇者になった時の祭典で披露した歌を披露した。この歌声でフレアが本物だと信じた観客が暴動を起こし、ケヤルガたちは混乱に乗じて逃亡した。

イヴ・リース

ラナリッタで起こった処刑から数日後、ケヤルガたちは国境を越え魔族と人間が共存するブラニッカの街に到着した。
たまたま入った酒場で、ケヤルガは時を遡る前に対峙していた魔王そっくりな少女と出会う。少女は自分のことを「ただの魔族」だと言う。また相席した男たちが言うには、ケヤルガが昔会った魔王の特徴は、魔王が根絶やしにしようとしている黒翼族というものらしい。

少女が食事を終えた直後、外から魔法が飛んできて酒場は混乱に陥る。ケヤルガは魔法に紛れて飛んできた矢に撃たれた少女を助け、スラム街の廃墟に逃げ込んだ。ケヤルガは黒翼族の話、かつての魔王の姿から少女が復讐に燃える黒翼族であることに気づき、彼女を叱咤した。少女は「現魔王に殺された同胞たちに生き続けると誓った!」と叫ぶ。ケヤルガは彼女に自分の素性を明かし、復讐に力を貸そうと告げる。少女、イヴ・リースは「1日考えさせて」と言って姿を消した。

【剣】の勇者ブレイド

酔ったケアーラに睡眠薬入りの酒を勧めるブレイド

ケヤルガが街を歩いていると、ノルンと【剣】の勇者ブレイドを目撃する。”剣”の勇者ブレイドは1周目の世界でケヤルガをストレスのはけ口にしていた女だ。彼女の姿を見た途端、憎悪があふれ出すケヤルガだったが、彼女たちとともにジオラル王国の最高戦力である三英雄の一人「鷹眼(たかのめ)」がいたために慎重に作戦を練ることにした。

ブレイドが生粋のレズビアンであることを利用して、ケヤルガは女性に姿を変えて近づいた。案の定ブレイドはケヤルガによこしまな欲望を抱き、薬を使ってケヤルガを拉致した。気づけば四肢を拘束されていたケヤルガ。しかし隙をついて拘束を解き、ブレイドの背中にナイフを突き立てる。毒で動けないブレイドを廃墟に連れていき、彼女を理性を失った男たちに襲わせる。最後にはブレイドは男たちに文字通り食われて死亡した。ケヤルガは彼女が持っていた神装武具(しんそうぶぐ)という勇者の力を最大限発揮できる武器を手に入れた。

ノルンの謀略

ケヤルガはブレイドを「回復」したときにノルンが企てた恐ろしい計画を知った。それは魔族根絶を図る「ブラニッカ浄化作戦」である。魔族と共存するブラニッカを滅ぼすことで、魔族との戦争で大きくなったジオラル王国の地位をさらに上げようというのだ。
作戦当日、ノルンは町民の前でブラニッカの人々の血を魔族が奪っているという嘘の演説をする。町民からは「魔族には助けられているんだ」という声があげられるものの、ノルンはお構いなしに兵士に魔族の皆殺しを命じた。そればかりか魔族根絶に反対する人間も殺せという。怯えた人と魔族は殺し合いを始めてしまった。

それを見てケヤルガたちは反攻作戦を開始。魔族を狙う兵士たちを排除して、フレアの姿をしたフレイヤが平和を訴える。すると町民と一部の兵士たちがノルンたちに襲い掛かり、彼女たちは撤退を余儀なくされた。
ノルンは鷹眼と1人の兵士とともに馬車に乗り込むが、兵士の正体はケヤルガだった。鷹眼が正体を看破して殺し合いが始まる。神装武具により「改悪」を相手に触れず発動できるようになっていたケヤルガに軍配が上がり、鷹眼は死亡。ノルンはショックで気を失った。

気を失ったノルンは記憶を改竄され、ケヤルガの生き別れの妹エレンとして旅に同道することになった。ケヤルガは返事をしに来たイヴに、魔王の心臓である賢者の石を手に入れるという目的を告げ、改めて彼女に協力を要請する。イヴが頷いたことで一行は、魔王を倒すために必要な神鳥(しんちょう)カラドリウスの力を得るべく黒翼族の集落に向かう。

神鳥カラドリウスの試練

神鳥カラドリウスは毒の雪を撒き散らす

黒翼族の集落ヴィソーヴに到着したケヤルガ達は早速神鳥カラドリウスの住む山へと向かった。山中は雪が降っていたが、ケヤルガは寒くないことに違和感を覚え、神鳥カラドリウスが猛毒を持つ魔獣であることを思い出す。これが毒であることを理解したもののすでに遅く、フレイアとセツナ、エレンは苦しそうな声をあげて倒れていた。ケヤルガは倒れた3人を担いで近くの建物の中に避難し、毒に耐性のある自分とイヴの2人で進むことを決意する。

必死に走り続ける2人の前についに神鳥カラドリウスが現れた。神鳥カラドリウスが2人に試練を与えると言うと、あたりが急に真っ暗となる。イヴとはぐれたケヤルガの前に、過去に手を下した者たちが現れたが、彼は嬉々として返り討ちにする。やがて真っ黒だった世界が弾けて元の世界に戻った。
神鳥カラドリウスの試練は毒の雪と襲いかかってくる死者達のことだった。試練を乗り越えた褒美としてイヴは神鳥カラドリウスを使役する証を与えられる。ケヤルガは神鳥カラドリウスの魔力を使うことができる眼と神鳥カラドリウスの卵をもらった。
その後、無事フレイア達と合流することができた2人。しかし黒翼族の住まう村の方角で火の手が上がっていることに気づき急いで向かうのであった。

黒翼族と星兎族

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