魔神伝(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『魔神伝』(まじんでん)は、来留間慎一(くるましんいち)原作による独特な世界観のSF伝奇アクション漫画作品。1986年、『月刊少年キャプテン』18号にて連載を開始してOVA化されるほどのヒットとなった。主人公・兵頭は異世界より現れた魔導士ビョウドと戦い、彼を体内に取り込んでしまう。強力な魔術が使えるようになった兵頭は付き合いの長い涼と念法使いや宇宙からの執行官たち、さらにふたりの子供たちと共に、邪悪な魔獣や宇宙人やゲームの魔王などと戦う。

『魔神伝』の概要

『魔神伝』(まじんでん)は、来留間慎一(くるましんいち)原作による日本の漫画作品。徳間書店発行の『月刊少年キャプテン』に連載。1986年5月18日から1989年8月18日に徳間書店より全4巻が発売されている。後に全2巻で復刊。
内容は主人公・兵頭力(ひょうどうりき)が魔導士ビョウドと出会う「バトルロイヤルハイスクール」編。
続いて念法使いの結城稔弘(ゆうきとしみつ)、宇宙からやって来た処分屋の斬奸(ざんかん)らと共に宇宙からの逃亡者凶悪犯バルマとの戦いを描いた「魔神伝」編。
さらに同級生の女子高生・涼(りょう)とふたりの子供たちと共にゲーム世界に魔王として力を得てしまったアモルファスを倒しにいく「魔神伝 電脳魔境戦記」編の三部構成になっている。
神や悪魔に魔術、科学技術や格闘技などSFとファンタジーが入り乱れる独自の世界観が特徴のひとつ。
また描かれるキャラクターは男女問わずタフであったり技に切れがあったりと独特の存在感があり、マニアックなファン層を獲得した。
1987年にOVA化のメディアミックスがなされ、『真魔神伝バトルロイヤルハイスクール』として発表された。

元空手部の高校生・兵頭力(ひょうどうりき)はプロレス同好会を発足しようとしていた。担任の豊倉(とよくら)は自作の豹頭のマスクをかぶって映研の自主製作映画に出演すれば顧問を引き受けると請けあった。
そこに異世界を支配していた魔導士ビョウドが現れる。実は兵頭は意思を持ったビョウドの力の分身であった。
ビョウドは兵頭に憑いて乗っ取ろうとするが、兵頭の意思が強く逆に取り込まれてしまった。
兵頭の体内でビョウドの意識は消えずに共存する事になった。
ビョウドは隙あらば兵頭に世界征服に駆り立てようとする。
魔術、魔物、UFO、宇宙人、メカ、空手、プロレス、ゲームが入り乱れる独特の世界観と圧倒的な情報量の伝奇SFアクション作品。

『魔神伝』のあらすじ・ストーリー

バトルロイヤルハイスクール

元空手部の高校生・兵頭力(ひょうどうりき)はプロレス同好会を発足するにあたり、担任の豊倉(とよくら)に相談していた。
兵頭は涼(りょう)に豊倉が呼んでいると言われ生物室へ。
豊倉からは自作の豹頭のマスクをかぶって、すでに顧問をしている映研の自主製作映画に出演してくれればプロレス同好会の顧問を引き受けると言われる。
兵頭は快諾し、マスクをかぶってみると髪の毛が絡まって外せなくなってしまった。涼と豊倉が外そうとしてくれるが、髪を切らないと外せないとハサミを用意する。
その頃、仮面の男、魔導士ビョウドは自分の支配していた異世界から現世へと伝説を求めて次元踏破する。
学校の屋上に姿を現したビョウド。他の部下たちは次元踏破に耐えられず消滅してしまっていた。
ビョウドの世界の伝説では豹頭の戦士が魔の者、つまりビョウドを戦う事になるというものだった。
偶然、豹頭のマスクをかぶっている兵頭はビョウドと戦う事になる。
魔術や傀儡を使って兵頭、涼、豊倉を襲うビョウド。
互いに顔を見るためにマスクに手をかけると、なんと二人は瓜二つであった。
実は兵頭はビョウドの力の一部で、意思を持った分身である事が判明した。
ビョウドは術を使って兵頭に憑いて内側から強制的に同化しようとする。
しかし、兵頭の意思の力は強く、むしろビョウドを取り込んでしまった。

その後、兵頭は魔術が使えるようになっていた。
その上、ビョウドの意思は消えずに兵頭の体内にとどまっていた。
ビョウドは隙あらば、兵頭を世界征服にかりたてようと奮戦する。

魔神伝・結城や斬奸との出会い

兵頭はビョウドの指導のもと力の使い方を訓練していた。
ビョウドの無限に近い力を使えるようになっても、使い方が体に染みついているわけではなかった。
授業中ビョウドと頭の中で会話をしていると、ビョウドから何者からか監視されている事を指摘され、帰宅中には女性に尾行されている事に気付く。
さらに羽の生えた猫がものすごいスピードで飛び去り、何かに追われているのも目撃した。
しかし兵頭はまずは尾行している女性を優先させることにした。
兵頭は女性を公園に誘い込み、二人だけになったので女性に声をかける兵頭。
すると突然、女性が襲い掛かって来た。女性がマントを脱ぎ棄てるとその下からは金属に覆われた頑丈そうな身体が現れた。
彼女はアンドロイドだったのだ。ものすごいスピードとパワーで無言のまま兵頭を攻撃した。
人ならば命令を下した者が誰なのかは簡単に聞き出せるが、アンドロイドでは無理である。
兵頭は術と体術を使ってアンドロイドを完全に叩き潰した。
一方、羽の生えた猫は、長髪の男にとある空き地に追い込まれた。猫はその姿を、魔獣に変化させて長髪の男を襲う。
長髪の男は掌から木刀を取り出し、一撃で魔獣を真っ二つにしてしまう。
魔獣の肉塊からちいさな妖精が飛び出し、長髪の男を襲おうとするが木刀で真っ二つにされ壁に激突して粉々になった。
その夜、兵頭は自宅でビョウドに今回襲ってきたのはビョウドのいた世界の者ではないかと尋ねるが、そうではないことが分かる。
一体、何者による攻撃なのかは謎だった。

翌日、兵頭が学校から帰ろうとした時に、校門に長髪の男が姿を現した。
お互いにただものではない事が気配で理解できた。
兵頭は術で蹴とばした石を加速してぶつけようとしたが、足が滑りすぐ脇に合った自動車をすごい勢いで蹴とばしてぶっ飛ばしてしまった。
吹き飛ばされた自動車はすごい勢いで長髪の男に向かって飛んでいく。
長髪の男は微動だにせず、掌から木刀を出して自動車を真っ二つに切り裂いた。
ものすごい音に周囲の学生たちが気付き集まってきた。
兵頭と長髪の男はそれぞれ目立たないようにその場をはなれた。
互いに高い能力を持っていると認識したのであった。

一方、地球軌道上では宇宙船で兵頭と長髪の男の戦いによる精神波動を受信する者がいた。

あくる日、兵頭とビョウドは以前、見かけた羽の生えた猫がビョウドが異世界からの次元踏破の際に使役した邪妖精である事に気付いた。
それから数日、邪妖精の妖気をたどって巣を捜索し、丘の上公園にありそうだと見当をつける。

兵頭は丘の上公園へいく。
すると長髪の男がそこに現れた。
兵頭は長髪の男を幽閉空間に閉じ込めてしまおうとするが、長髪の男は幽閉空間を切り裂き、攻撃を仕掛けてくる。

兵頭と長髪の男が戦っていると、そこにバイクに乗った男が現れ、巻き込まれてしまう。
その瞬間、バイクは大破したが、乗っていた男は閃光と共にコンバットスーツを身に着けていた。
コンバットスーツの男と長髪の男との戦闘になる。
兵頭は隙をついてコンバットスーツの男を幽閉空間に閉じ込めてしまった。
コンバットスーツの男は軌道上の宇宙船に空間転移で回収を依頼して帰還した。

兵頭は長髪の男に自分が力を持った経緯と邪妖精についての事情を話した。
長髪の男は結城稔弘(ゆうきとしみつ)と名乗った。彼は我流で強力な念法を身に着けていた。
兵頭は事情を話しながら、邪妖精の巣を発見し魔術で始末した。
ふたりは連絡先を交換し、情報交換することに。

そのころ、兵頭に思いを寄せる後輩の小川恵(こやまけい)の元に邪妖精が現れていた。

結城は兵頭の家を訪れていた。兵頭と情報交換するためだ。
ビョウドが使役した邪妖精は全部で5匹。うち2匹は倒したので残りは3匹いる事になる。
邪妖精は人にとり憑くと妖獣化するだけではなく妖力も使えるようになる。
ビョウドによるとかなり強力な妖力のモノもいるという事であった。

あくる日、兵頭は学校で嫌な妖気を感じ取る。
邪妖精にとり憑かれた小山恵が兵頭に近づき妖獣化して食らいつく。
兵頭は身をかわし、結界の中に妖獣を閉じ込める。
邪妖精の気配を感じて結城も学校に駆けつけていた。さらにコンバットスーツの男も現れる。
コンバットスーツの男は結城と対峙し戦闘になる。
その間に、兵頭は妖獣を魔術を使って跡形もなく潰してしまう。
そしてさらに魔術で妖獣の細胞と小山恵の細胞をより分け、妖獣の細胞を異空間に捨て去った。
兵頭は小山恵の細胞を再構成して蘇生させた。
結城の念法の前にコンバットスーツの男はボロボロになり、またも宇宙船に空間転移で帰還した。

魔神伝・宇宙からの侵略者

地球軌道上の宇宙船の中。
コンバットスーツの男は先の結城との戦闘で受けた負傷の治療を受けていた。
彼の名は斬奸(ざんかん)。木星の執行機関から派遣された処分屋(エクスキューショナー)だった。
彼の相棒の女性はサンディ。オペレーションとサポートが彼女の役目。
彼らは2つの惑星を破滅に追い込んだ狂信者バルマを追って地球にやってきていた。

狂信者バルマは女性型アンドロイドを操り、邪妖精を集めようとしていた。
ある夜、女性型アンドロイドが邪妖精を捕まえたところを兵頭に発見され、邪妖精ごと破壊。
残る邪妖精はあと一匹。

そしてその最後の一匹はすでに狂信者バルマの手に落ちていた。
バルマは装置を使って、邪妖精の力を自らに取り込んでいた。
すぐに斬奸や兵頭たちに嗅ぎつけられてしまう事を見越して次の手を打った。
涼とサンディを捕えて人質にとった。
バルマは兵頭と斬奸を戦わせようとする。
さらに人体を改造して造ったサイボーグ兵器を結城と戦わせる。
サイボーグ兵器にはESPジャマ―といって超能力を阻害する装置があり、結城は苦戦する。
兵頭は魔術で女性型アンドロイドからバルマの位置を逆探知してバルマを見つけた。
兵頭は斬奸をバルマの元に吹き飛ばし、女性型アンドロイドを倒した。
斬奸が吹き飛ばされた衝撃でサイボーグ兵器のESPジャマ―が破損して機能停止した。
本来の力を取り戻した結城はサイボーグ兵器を倒した。
斬奸は逃げ出したバルマを追う。
兵頭と結城は斬奸と合流。

追い詰められたバルマは巨大な妖獣に変化して街で大暴れし始める。
斬奸が対象を原子に分解する必殺技を使い、同時に兵頭が次元の扉を開いてバルマが復活できないようにする作戦にでる。
バルマを原子分解して次元の扉が開いた瞬間、異世界の力が流れ込み、兵頭とビョウドの優位性が逆転した。
ビョウドが表面化して兵頭は内に消えてしまった。
ビョウドはこの時を待っていたのだった。
斬奸も結城もビョウドを止めようとするが苦戦する。
しかし、涼が現れた時にビョウドの攻撃がゆるんだ。
兵頭はまだビョウドの内で消えずに残っていて、涼を助けるために内側からビョウドを邪魔していた。
そして、兵頭はあらかじめ次元の扉が自動的に閉じるように細工していた。
次元の扉が閉じはじめて、半身を取り戻した兵頭はもう半身のビョウドを殴り気絶させる。
次元の扉が閉じて完全に兵頭の優位性が戻った。

その後、斬奸とサンディは故郷の星に帰っていった。
結城も時々様子を見に来ると言い残し去っていった。
兵頭は涼とともに帰宅した。

電脳魔境戦記・勇者を救え

ある日、兵頭は涼と自宅でビデオ鑑賞していた。
すると突然、画面に魔法陣が表示され、画面の向かいの壁に空いた異空間の穴から魔獣が姿を現した。
魔獣は画面の魔法陣に向かっていくが、兵頭が実力で魔獣を異空間の穴に押し戻した。
出口である魔法陣の向こう側には子供たちがいるのが分かった。
魔獣に食われてしまう恐れもある事から、兵頭は涼と共に子供たちの元へと魔法陣を通して向かう。
そこには二人の子供がいた。それぞれ浩二と大海と名乗った。そしてもうひとり眠ってしまって起きないという宏がいた。
兵頭とビョウドは宏の精神がゲームの世界に取り込まれてしまった事と、何者かが魔獣を召喚している事を読み取った。
兵頭は涼とふたりの子供と共に宏を救い、魔獣を召喚しているモノを倒すためにゲーム内の世界へ旅立つ。
兵頭はゲームの電脳空間を手持ちの幽閉空間に移植、ROMやデータをもとにして自分たちの記憶などに同調させることで世界を再構成した。
それはほぼ本物のゲーム世界の中にいるのと同じことであった。
そして、このゲーム世界の創造主は兵頭たちだけではないので支配率の関係でゲームをショートカットしてしまうことは出来なくなっており、ゲームのシナリオ通りにひとうひとつクリアしていくしかなかった。
精神を取り込まれてしまった宏はナイトとしてプレイしているので、ナイトに追いつけば宏を解放できるはずであった。
兵頭たち一行はモンスターを打ち倒しながら、確実にクリアし前進していく。
兵頭は魔術で次々とモンスターを倒していく。子供たちはその都度手に入るアイテムで装備を充実させていく。

すると一瞬空に閃光が走った。
暗黒機神アモルファスの居城の魔力転換炉にすさまじい光と共に現れたのはタロスクーガとジオスクーガの兄弟であった。
アモルファスは居城の出入りと彼らの主の捜索を許可する代わりに、現在のゲーム世界に入り込んだ強大な敵の排除を命じる。
アモルファスの強大な敵とは兵頭たちの事だった。
そうとは知らない兵頭たちはさらに前進し、ナイトのヨロイが保管されている石室まで来た。
しかし石室の入り口はアモルファスによってデータを偽装され見えなくなっていた。
兵頭はデータをさらに上書きして石室への扉を出現させて、中を確認した。
中にはすでにナイトのヨロイはなかったので、宏はもっと先に進んでいることが分かった。

一方アモルファスは外界へと出るための門を開こうとしていたが、兵頭によって閉ざされていた。
兵頭を倒さねば外界に出る事はかなわない事を知った。
さらに前進する兵頭たちにクーガ兄弟が追いつく。
クーガ兄弟はビョウドの配下の者たちだったが、兵頭に取り込まれてしまったビョウドの命令を受ける気はなかった。
彼らの主従関係ははあくまでも力関係で成り立っていたからだった。
兵頭が戦って勝てば、王と認めるという。
しかしその時、アモルファスがその場に現れる。
浩二と大海は現れたアモルファスがナイトの最終形態であると気付く。
兵頭はナイトのマスクを術で飛ばして、顔を確かめる。
すると、大人に成長している宏の顔がそこにはあった。
クリア手前のところでアモルファスに宏は取り込まれたのである。顔が大人になっているのはナイトの年齢設定によるものであった。
ビョウドは浩二と大海に、宏に呼びかけるよういう。そうすれば反応するはずであった。
浩二と大海はナイトに呼びかける。するとナイトの顔が元の子供の宏の顔に戻った。
だがそれは一瞬の事ですぐに知らない別の顔になってしまった。
アモルファスは宏のような子供を複数人取り込んでいたのだった。表層の宏の精神を別の子供に切り替えてしまったのだ。
アモルファスが魔力を使って大爆発を起こした。
兵頭は涼とふたりの子供たちとを結界で守った。クーガ兄弟はアモルファスの居城手前にある闘技場へと空間転移して逃げた。
兵頭たちは攻略本にあった裏技を使ってさらに前進した。

電脳魔境戦記・アモルファスの正体

兵頭と涼、それにふたりの子供たちはアモルファスの居城にむかっていた。
途中の地下洞窟のエリアでアイテムを補充する事ができた。
そこはモンスターの巣でもあり、次々とモンスターが現れ、襲い掛かってくる。
4人協力して、モンスターたちを打ち破り、洞窟の外に出る事が出来た。
その頃、タロスクーガとジオスクーガのふたりは、兵頭たちがアモルファスの居城を目指している事が分かっていたので、兵頭との対決のために先回りしていた。
ふたりは術の気配からこの世界は兵頭が魔術を使って再構成していることを理解した。つまり兵頭は常に2~3つの魔術を同時に使用し続けている事になる。
兵頭との対決の時にはその事を考慮に入れるとふたりは決めた。

兵頭たちは地上に出ると、アモルファスの居城が見えてきた。
アモルファスは兵頭たちの位置を把握していたのでそこに巨大な妖獣たちを送り込んだ。
妖獣たちは兵頭たちを発見すると襲い掛かってきた。
兵頭が浩二と大海に何かいいアイテムはないかと尋ねると、人面岩の内部に強力なアイテムがあると返ってきた。
そこにはコックピットのようなものがあったのでそれぞれ位置につく。
そして人面岩が開いて、中から現れたのはなんと巨大な人型ロボットだった。
主パイロットは涼で、彼女の動きを直接トレースするタイプの操縦法であった。
浩二と大海はオペレーションと武器管理、兵頭は魔力供給を担当。
妖獣たちを打ち倒していく。
するとアモルファスはさらに自分の近衛兵を巨大化させ送り込んだ。
兵頭たちもロボットで応戦する。
アモルファスも城から魔力で兵頭たちを攻撃する。
兵頭たちのロボットは動きを封じられ、近衛兵に捕らえられてしまう。
アモルファスは城から極大の雷撃で一気にとどめを刺そうと魔力を集中させる。
魔力の集中をコックピットで感知した兵頭たちは、ロボットの胸部にあるビーム砲で最大出力の攻撃を城に向けて放った。
ビーム砲はすさまじい破壊力で捕まえていた近衛兵や空中にいたモンスターもろとも城の上部を破壊した。
兵頭たちはそのままロボットで城に乗り込もうとした。
すると、妖獣の生き残りが足元から現れた。同時にアモルファスが妖獣に魔力を送り自爆させた。
破壊されるロボットの中では緊急脱出装置が働き、外にカプセルで放出された。
カプセルはアモルファスの居城の手前に落ちた。兵頭たちは無事で全く無傷であった。

外に出ると、そこは闘技場になっていた。
そしてそこで待ち構えていたのがタロスクーガとジオスクーガであった。
ふたりは兵頭と対決するにあたり、公平を期すために条件を決めていた。
空間の構築・維持・封印それに防護力と力を分散していて、結集させることも出来ないから、彼らの秘技は使わない。
1対1で2連戦という勝負であった。
兵頭は以上の条件を飲んだ。
そして、ふたりは剣を使うので武器を選べと言われるが、拳と魔法で十分と答える。
彼ら外法闘士は対魔法戦闘用の策を集大成としている。彼らの剣技の前では魔法は霧散してしまう。
まずはジオスクーガからだった。
兵頭は魔法と体術を組合わせてジオスクーガの剣技に対抗する。
魔法に対応させている隙をついて、拳に魔力を載せてぶつける作戦だった。
しかし、彼らの刃は魔力を消してしまう。しかも兵頭の肉体を襲った際に、傷になる部分の再生術を消してしまう。兵頭は苦戦するが攻撃を繰り返して隙を作るとジオスクーガの腕を後ろ手に絡めとり、裏投げで魔力も載せて地面に叩きつけた。
兵頭の勝利。
続けて、タロスクーガとの対決へ。
タロスクーガの剣技は少しジオスクーガの剣技とは型が違っているが、魔法を霧散させてしまうのは共通だった。
兵頭は変幻自在の剣技に、距離感を見誤り危うく首を切り落とされそうになり、頸部から後頭部に掛けて剣で貫かれてしまった。
しかし兵頭は持ち前の精神力の強さで、剣を強引に首から引き抜き、動揺しているタロスクーガの胸に魔力を載せた渾身の肘打ちを決めた。
からくも、兵頭はふたりに勝利する。

するとそこにすさまじい電撃が放たれた。
巨大な妖獣の塊と化したアモルファスが姿を現し、城が崩れ落ちた。
兵頭はその残骸の下に消えてしまった。
涼と浩二、大海の3人はなんとか逃げようとするが妖魔塊に取り囲まれてしまい逃げられない。
アモルファスは3人を消し飛ばそうと強力な電撃を放つが、兵頭を王として認めたタロスクーガとジオスクーガが間一髪のところで霧散させた。
そして、兵頭も妖魔塊の中心となっているナイトの上に姿を現した。
アモルファスは自身の力で次元の扉を開けるようになっていた。
魔力を集中させ次元の扉を開いて、兵頭ごと外界へ出ようとする。
しかし外界で念法使いの結城がアモルファスと兵頭を感知して、邪悪な思念を発するアモルファスをゲーム世界に押し戻した。
その時の衝撃でアモルファスはナイトと分離させられた。
兵頭が子供たちに宏を呼び起こせば、その他の取り込まれたプレイヤーたちも解放されると宏の元へ走らせる。
その間に、兵頭は魔力でコンピュータウイルスをアモルファスに感染させてアモルファスを破壊した。
浩二、大海、宏は元通りとなり、兵頭が記憶を操作して冒険の記憶はなくなってしまった。

『魔神伝』の登場人物・キャラクター

主要人物

兵頭力(ひょうどうりき)

CV:矢尾一樹
本作の主人公。元空手部の高校2年生。クラスは「2-3」。プロレス同好会を起ち上げるために担任の豊倉に相談しつつ顧問になってくれるように説得している。
実はビョウドの意思を持った力の分身であり、力を取り戻すためにビョウドに同化されてしまう。しかしビョウドの意思を抑え込み逆にビョウドを取り込んでしまう。
空手や格闘技の素養が高く、実戦で使えるレベルの使い手である。特にプロレス技を好み、ローリングソバットやジャーマン・スープレックスを使ったりする。
また空手やプロレス以外に中国武術にも精通していて易筋行を駆使してジオスクーガの剣を弾いて見せた。
魔術に関しては非常に強力な術を行使できるが、まだまだビョウドの指導を受け練習中である。
魔術の使い過ぎなどで意識が無くなってしまったり、ある種の結界の中に入るとビョウドが優位になり表面化してしまう。

ビョウド

CV:矢尾一樹
異次元の世界を支配する強力な魔導士。次元踏破してきて兵頭と出会い、彼が自分の意思を持つ力の分身である事を知覚する。
兵頭と顔は瓜二つである。
兵頭を乗っ取ろうと取り付くが、逆に兵頭に取り込まれてしまった。
しかし意識が消える事はなく兵頭の体内で共生する事となる。
兵頭を隙あらば世界征服に駆り立てようとする。
さらに自分の意識が優位になる瞬間を生むために兵頭を誘導する事もある。

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