素晴らしい世界(浅野いにお)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『素晴らしい世界』とは、2002年より浅野いにおが『サンデーGX』で連載していた漫画作品。厳しい父親を持つ息子や友人関係に悩む女子中学生、何事も中途半端な元バンドマンなど、心のどこかに少しだけ不安や不満を抱える様々な人物が登場する短編集。日常の出来事がリアルに描かれており、各回の登場人物が他のエピソードに少しずつリンクしていく形で物語が進んでいく。

「素晴らしき世界」の主人公。25歳でコンビニのバイトをしており、常にやる気がない。

元バンドマン

「あおぞら」の主人公。音楽も志半ばで辞め、就職も親のコネを使って入社するがすぐに辞めてしまう。自分は特別な人間だと勘違いしている。

『素晴らしい世界』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

コウタと同じクラスの女子生徒「キミって子供だね 大人は大人で必死なのよ。 辛いことだらけの世の中をやりぬいてくためにさ」

「バードウィーク」で主人公・コウタが同じクラスの女子生徒に父親の愚痴を言うシーンでの名セリフ。自分の頭の良さを自負しているコウタは、自分の話していることは同級生では理解できないだろうと、上から目線で話していた。そんな時、同じクラスの女子生徒から、「キミって子供だね 大人は大人で必死なのよ。 辛いことだらけの世の中をやりぬいてくためにさ」と言われてしまう。子供の方がよっぽど大人よりも物事をしっかり見ているのだと知らされる。また、自分よりもはるかに大人びた考えを持つ彼女に、自分の浅はかさを突きつけられたように感じたコウタの驚いた表情が印象的。

フリーターの男「世の中まだまだ捨てたもんじゃねえってか?」

「素晴らしき世界」で、主人公のフリーターの男が呟いたセリフ。自分の人生は何だったのだろうと考え、捨て猫だけでも助けようと思いったった男だったが、猫がホームレスの男に連れて行かれたことを知る。猫は食われてしまったと思い込んでいたが、たまたま道端でホームレスの男と仲良く散歩しているところを発見。その時思わず口から出たのが、「世の中まだまだ捨てたもんじゃねえってか?」だった。自分が厳しい状況下であっても他を助ける気持ちを失っていないホームレスの男の優しさに、無気力に生きてきた男が心を動かされたことが伺える名セリフである。

「俺は父親で、男で、俺は俺で、それ以外の何者でもねえ」

「おやすみなさい」で、親父狩りに遭遇した男性を助けに入った春日部が言ったセリフが、「俺は父親で、男で、俺は俺で、それ以外の何者でもねえ」である。子供が生まれて父親になったものの、どうすればよいのか分からない。仕事に生きるべきか、家族との時間を増やすべきか、そんな悩みを抱え続けてきた春日部。悩みながらも自分なりに必死に向き合おうとする彼の気持ちが込められたセリフである。

『素晴らしい世界』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

より深く作品を楽しむことが出来る新装完全版

『素晴らしい世界』の単行本には、新装完全版が存在する。単行本未収録作品が収録されているだけではなく、各エピソード後に、作者によるコメントも掲載。各エピソードを書きた当時の心境や、作品に対する思い入れを知ることが出来る。浅野いにおファンにとっては必読の一冊である。

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