サイコ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『サイコ』とは、1960年公開のアメリカ映画。アルフレッド・ヒッチコックが監督を務めたサイコ・スリラー映画の代名詞である。不動産屋のOL・マリオンは、恋人との結婚のために金が必要で、仕事中に大金を持ち逃げしてしまう。しかし道中で立ち寄ったモーテルで彼女は何者かに襲われて命を落とす。原作は実在の人物をモデルにしたロバート・ブロックの同名小説。シャワールームでの絶叫シーンは、あまりにも有名。当時はサイコパスや精神異常者を扱った映画がほとんどなく、その後の映画監督たちに大きな影響を与えた。
名シーンは何と言ってもマリオンが襲われるシャワーシーンだろう。
実はそのシーンで実際に刺されているシーンはない。ヒッチコック監督の技法による、ジャネット・リーの演技のみにゆだねられたシーンだ。
襲われたあとに床に血痕が流れるが、そのシーンにはチョコレートシロップが使われた。当時のモノクロ映画ではよく使われた技法だという。
トイレのシーン
マリオンは横領した4万ドルから、いくら使っていくら残っているのか紙に書いて計算した。
その紙を破いてトイレに流すシーンがある。
当時はトイレすら映画で映されたこともなく、ましてや水を流すシーンはなかったという。
検閲で引っかかりそうになったが、重要なシーンであるとヒッチコック監督が必死に説得したという。
マリオンが横領した犯人で、ベイツに宿泊したという重要な証拠となるシーンだ。
ヒッチコック監督のカメオ出演
ヒッチコック監督といえば、ファンの間でも人気のカメオシーン。どこかにチラッと映っているヒッチコック監督を探すのも楽しみのひとつだ。
『サイコ』ではマリオンが不動産会社に戻ったときに、ガラス越しの路上に立っている人物として映っている。
『サイコ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ノーマンのモデルは実在したエド・ゲイン
作中の恐怖の殺人鬼ノーマンには、実在のモデル、エド・ゲインについて紹介。
エド・ゲイン(本名エドワード・セオドア・ゲイン・Edward Theodore Gein)は1906年にアルコール依存症の父親と、狂信的なルター派信者の母親の元、アメリカに生まれた。兄弟は兄がひとり。
人前でも平気で夫を罵倒する母親は、妊娠のため以外の性行為は悪として子どもたちを育てる。さらには恋人のみならず友人さえも作らせず、同年代の子どもたちとは話すこともほとんどなかったという。
だがエドは母親を愛していた。父親が病死し、兄は農場で働き始め、エドは近所の子どもたちの子守などをし始め、子どもたちからとても慕われていた。
エドが40歳少し前になったときに兄が不審死を遂げる。その後はエドと母親の二人暮らしとなったが、翌年に母親が病気で急死した。
究極ともいえるマザコンだったエドは家に引きこもってしまう。
その後エドは猟奇的な行動を起こすようになる。埋められたばかりの墓の遺体を掘り起こし、解体するようになった。
エドは最初の殺人については有罪となるが、そのほかは精神異常とされ、1984年77歳で癌で亡くなるまで精神病院で過ごした。
途中入場とストーリーの口外を禁止したヒッチコック
『サイコ』の上映にあたり、ヒッチコック監督は映画館への途中入場の禁止とストーリーの口外を禁止することを要求した。それによって看板や録音テープにより告知されることになり、発売されていた原作もスタッフが買い取りにまわっていたそうだ。
徹底した宣伝もヒットにつながったといえるだろう。
モノクロにした理由はヒッチコック監督が真っ赤な血を見たくなかったから
カラー映画の時代にもかかわらず、本作はモノクロ映画になっている。この理由は、ヒッチコック監督が真っ赤な血を見たくなかったからだそう。
監督は「バスタブに真っ赤な血が流れ落ちるのは気分が良くなかった」と答えている。
象徴的な『サイコ』での鳥の演出
ヒッチコックの映画『鳥』は有名だが、ヒッチコックの他作品でも「鳥」が象徴的に用いられる。『サイコ』では、ノーマンの趣味だという鳥の剥製、マリオンの事務所にかかっている絵画も鳥、舞台はアリゾナ州のフェニックスなどが登場。実はマリオンのフルネームはマリオン・クレイン。クレインは鶴を意味する言葉である。
シャワーシーンの緊張を高める効果音
作品に使用される曲は全てバーナード・ハーマンが手掛けた。主題歌や挿入歌はなく、サウンドトラックには劇中の効果音などが収録されている。
元々マリオンが襲われるシャワーシーンに、ヒッチコック監督は音楽はつけないつもりだった。だがそのシーンにバーナード・ハーマンが激しいバイオリンの旋律を挿入し、ヒッチコック監督もそれを気に入ったという裏話がある。
予告編のサブリミナル効果が話題に
予告編のラストでは、ノーマンがこちらを向いて一瞬にやりと笑うシーンがある。一瞬だが、映像がブレた様な違和感に気付くだろう。ノーマンの口元にうっすらと「髑髏」がオーバーラップされ、口が裂けたような笑いになっている。観客は自身で意識しないままに、ノーマンの狂気を明かされているのである。
『サイコ』の主題歌・挿入歌
主題歌:「Main Theme」
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目次 - Contents
- 『サイコ』の概要
- 『サイコ』のあらすじ・ストーリー
- モーテル「ベイツ」で起こった悲劇
- マリオンの行方を探すライラたち
- 衝撃的な事件の真実
- 『サイコ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ノーマン・ベイツ(演:アンソニー・パーキンス)
- マリオン・クレイン(演:ジャネット・リー)
- マリオンの行方を捜索する人物
- ライラ・クレイン(演:ヴェラ・マイルズ)
- サム・ルーミス(演:ジョン・ギャヴィン)
- ミルトン・アーボガスト(演:マーティン・バルサム)
- その他
- アル・チェンバース(演:ジョン・マッキンタイア)
- フレッド・リッチモンド(演:サイモン・オークランド)
- 『サイコ』の用語
- モーテル「ベイツ」
- 4万ドル
- ノーマンの母親
- 二重人格
- 『サイコ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- シャワーシーン
- トイレのシーン
- ヒッチコック監督のカメオ出演
- 『サイコ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ノーマンのモデルは実在したエド・ゲイン
- 途中入場とストーリーの口外を禁止したヒッチコック
- モノクロにした理由はヒッチコック監督が真っ赤な血を見たくなかったから
- 象徴的な『サイコ』での鳥の演出
- シャワーシーンの緊張を高める効果音
- 予告編のサブリミナル効果が話題に
- 『サイコ』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:「Main Theme」