元下弦の陸・響凱（鬼滅の刃）の徹底解説・考察まとめ

響凱のプロフィール・人物像

CV：諏訪部順一

響凱（きょうがい）とは、『鬼滅の刃』に登場するキャラクターで、かつて十二鬼月に所属していた鬼。十二鬼月とは、鬼の中でも別格で強力な12体からなる集団で、響凱はその末席に位置していた。
筋骨隆々たる半裸の巨漢だが、両肩、両足、腹、背中に鼓が埋まっているという異形の姿の持ち主。この鼓は空間をそれぞれ回転させる、爪痕のような斬撃を放つ、場所と場所を入れ替えて転移する力があり、対決した鬼殺隊の新人剣士・竈門炭治郎（かまど たんじろう）を翻弄した。

鬼は人食いの怪物だが、食べられる量には個人差があり、響凱はその限界に達してこれ以上人を食えなく（＝強くなれなく）なっていた。このため鬼の頭領・鬼舞辻無惨（きぶつじ むざん）に十二鬼月としての地位を剥奪されるも、再度ここに復帰することを目指す。食える量が限られるなら質で補おうと、鬼にとって特に滋養のある稀血の人間を探し求めていた。
ある時、ついに稀血の少年・清（きよし）を発見し、これを自身の拠点でもある山中の鼓屋敷へと連れ去る。しかし稀血の臭いを嗅ぎつけた鬼たちが清を狙ってここに乱入し、誰が彼を食べるかで大いに揉めた末に転移の力を持つ鼓を叩き落される。咄嗟にこれを拾った清が鼓の力で転移を繰り返し、彼を追って屋敷の中を歩き回る。

人間だった頃は小説家志望の青年だった。鬼となってなお小説を書くことには未練があるらしく、自身の原稿を踏まないようにしながら炭治郎が立ち回っていることに気付いた時、戦闘中ながら動揺する素振りを見せている。

響凱の血鬼術・能力

鼓打ち（つづみうち）

体に埋まっている鼓を打つことで屋敷の部屋を入れ替えたり、回転させたり、爪で切り裂くような斬撃を発生させることができる。鼓はそれぞれ効果が決まっており、背中のものは転移、腹のものは斬撃、それ以外は部屋を前、後ろ、右、左に回転させることが可能。
この鼓は外部からの攻撃で外れることがあり、作中では転移の鼓を落としている。基本的に術の効果範囲は鼓屋敷の室内に限られるが、これが響凱の能力の限界なのか、もともと屋敷自体が術の一部なのか、やろうと思えばさらに広い範囲に転移や回転の力を及ぼせるがセーブしているのかは不明である。

尚速鼓打ち（しょうそくつづみうち）

高速で鼓を打ち続ける。それにより、部屋が乱回転し、斬撃が縦横無尽に繰り出される。炭治郎は「すごい技だ」と驚嘆しつつ、着地時間を最小にして縦横無尽に動き回る「水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱」で対応した。

響凱の来歴・活躍

小説家の夢を捨てられないまま鬼となる

人間だった頃は、鼓を趣味としながら小説家を目指していた。経緯は不明ながら無惨に血を与えられて鬼となり、鼓を打つ血鬼術を獲得。その後知り合いらしい人物に自作の小説を読ませ、これを酷評された上に嫌がらせのように原稿を踏みつけられたことで激昂し、彼を殺害している。

血鬼術とは「それなりの数の人を食べ、かつ年を経た鬼が得る特殊能力」だが、この知人らしい男性との会話からはそれほど長いこと顔を合わせていなかったような雰囲気は感じられない。このことから、響凱は無惨に血を分け与えられてから比較的短期間で血鬼術を獲得したと考えられ、鬼としてかなりの才能の持ち主であったことがうかがえる。

無惨に“下弦の陸”の地位を剥奪される

人を襲い、これを食い、鬼としてさらに力をつけていき、無惨直属の集団である十二鬼月の末席・下弦の陸へと上り詰める。しかしある頃からそれ以上人間を食うことができなくなり、強さも頭打ちとなってしまう。
鬼には個々に「どれくらいの人間を食べられるのか」の許容量があり、これを超えると食人欲求が消え失せ、それ以上はむりやり詰め込むような形でしか人を食べられなくなる。かなり早い段階で血鬼術を獲得するなど鬼としての才能を発揮していた響凱だが、その限界は意外と早くやってきた。

これを知った無惨は、響凱から下弦の陸の地位を剥奪。この際「下陸」の文字が入った響凱の右目を切り裂いており、この傷はその後もそのままになっている。
無惨は冷酷非道かつ非常に横暴で、気に入らない者は部下の鬼であっても呆気なく抹殺するのが常である。しかし響凱に対しては「鬼にとって致命傷にならない程度に痛めつけた上で地位を剥奪し、放置する」という、彼の基準でいえば“温情”とも取れる処分を下している。ファンの間では、「響凱は何かをしくじったり無惨を裏切ったりしたわけではなく食人の限界を迎えただけで、“稀血を食う”というそれを補う方法も自分で考えて実践しようとしていた」、「無惨は鳴女という空間を操る術を持つ鬼を重用しており、同じ空間を操るタイプの術を使う響凱のさらなる成長を期待していた」の2点がこの（無惨基準で）甘い処分につながったのではないかと分析されている。

さらなる強さのために稀血の人間を探す

十二鬼月への復帰を目指し、量がダメなら質で補うことを画策。山中に屋敷（作中では鼓屋敷と命名されている）を構え、鬼にとって通常の人間の数十倍もの滋養がある稀血の人間を見つけてこれを食おうと考える。
ある時ついに稀血の少年・清を発見し、これを鼓屋敷に拉致する。しかし稀血の臭いを嗅ぎつけた近辺の鬼たちが鼓屋敷に勝手に踏み込み、清を寄越せと要求。これを断ったことから喧嘩になり、転移の力がある背中の鼓を落とされてしまう。

咄嗟にこれを拾った清は、以後転移の力で屋敷の中を場所から場所へと逃げ回る。こうして響凱、そして清を食べようと乗り込んできた鬼たちは、それぞれに彼を捕まえようと屋敷の中を徘徊することとなる。
これに前後して、鬼を討つために活動している鬼殺隊の新人剣士である嘴平伊之助（はしびら いのすけ）が鼓屋敷に突入。鬼を倒さんとその中を駆け回る。

一方、清が連れ去られた時に一緒にいた彼の弟の正一（しょういち）と妹のてる子（てるこ）は、なんとか兄を助けようと鼓屋敷の前にまでやってきていた。ここに伊之助とは別口で連絡を受けた鬼殺隊の新人剣士・竈炭治郎と我妻善逸（あがつま ぜんいつ）が到着し、清を助けるために全員で鼓屋敷に乗り込んでいく。

炭治郎に敗れて死亡する

善逸と伊之助がそれぞれに鼓屋敷に侵入した鬼と戦う中、自身は炭治郎と交戦。血鬼術を縦横に駆使して猛攻を仕掛け、炭治郎を追い詰めていく。
しかし、次第に炭治郎は響凱の術の仕組みを分析して対応するようになり、なかなか相手を倒せないことに焦りを募らせていく。尚速鼓打ちで一気に勝負を仕掛けるが、部屋を回転させられた際に炭治郎が原稿を踏まないように立ち回っていることに気付いて一瞬動揺する。

このわずかな隙に「全集中 水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫 乱」で一気に間合いを詰めた炭治郎に首を斬り落とされ、敗北。その炭治郎からは「人を殺して食ったことは許さない」としつつ、響凱の血鬼術については「すごかった」と評価される。
かつて知人にバカにされた小説を彼が決して踏まなかったことと合わせ、「形はともあれ自分の身に着けた術は認められた。あの小僧（炭治郎）は命懸けの戦いの中でも原稿を踏みつけなかった、“自分の小説はゴミなどではない”ということを行動で示してくれた」と涙しながら消滅していった。

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