悪趣味・狂気・悪意の天才な映画監督まとめ!ラース・フォン・トリアーなど

ここでは作品に悪趣味・狂気・悪意をこめて視聴者を最悪の気分にさせる映画監督をまとめた。胸クソ映画の傑作『ファニーゲーム』を生み出したミヒャエル・ハネケや、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル』などで視聴者のメンタルをズタズタにしてきたラース・フォン・トリアーなどを紹介している。

もしも予算や技術的な制約がなく、ホドロフスキーのイマジネーションのすべてを具現化したら、いったいどれほど奇想天外な作品世界が現れるだろうか

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惨劇を繰り返す人類の闇の歴史への鎮魂歌ではなく、けたたましい覚醒の魔の笛が鳴り響く奇想の作品に、不条理な衝撃力に満ちた圧倒的な存在感は薄まりそうにない。

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▼デヴィッド・クローネンバーグ

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カナダ出身の映像作家。1975年の『デビッド・クローネンバーグのシーバース』で劇場映画監督デビュー。常に映像の実験を意識した作品を作り出し、悪趣味で醜悪なヴィジュアル表現と、挑戦的なストーリー展開で観客をどん底に突き落としながら、感嘆感動させる映像の魔術師。初期から異形のものに強いこだわりを持ち、遂には人体へもその触手を伸ばした。『スキャナーズ』では強烈な人体破壊、『ヴィデオドローム』や『ザ・フライ』でこれまでのキャリアを総括する程の見事なクローネンバーグ印の悪趣味映像を作り出した。その後は精神的にクる作品を数多く手がけている。人呼んで「内臓的映像表現作家」!

[監督作品]
ステレオ/均衡の遺失(1969)
クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立(1970)
デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975)
ラビッド(1977)
ファイヤーボール(1979)
ザ・ブルード/怒りのメタファー (1979)
スキャナーズ(1981)
ヴィデオドローム(1982)
デッドゾーン (1983)
ザ・フライ(1986)
戦慄の絆 (1988)
裸のランチ(1991)
エム・バタフライ (1993)
クラッシュ (1996)
イグジステンズ(1999)
スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002)
ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005)
イースタン・プロミス (2007)
危険なメソッド (2011)
‎‎コズモポリス(2012)

『スキャナーズ』予告編

彼の名を世に知らしめた1981年の作品。何と言ってもCGの無い時代、特殊効果による人体破壊を圧巻の映像で見せたこの作品は、既に事件だった。後に『AKIRA』『北斗の拳』といった日本の漫画に影響を与えたことは間違いない。

クローネンバーグ流のSFホラーは、統御不能な自身の肉体を怪物と見なす恐怖に基づくもので、だからこそ、彼の映画への観客からの生理的な拒否反応が絶えないのだ。

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内臓・器官の中から気味の悪い凶器が生起するとか、生々しい化け物や畸形の迷宮、あるいは果てることなき非情なる殺戮ゲームへと吸い込まれるとか、そういう異常事態がノーマルな状態だった。

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血は、内臓的/肉体的なホラーを撮り続けてきたデビッド・クローネンバーグにとって、もっとも根源的な記号と言える。

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▼ピエル・パオロ・パゾリーニ

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イタリアの映画監督、詩人、小説家。フェデリコ・フェリーニに脚本家としての資質を見込まれ、彼の作品に起用されると、自身も映画監督として活動する。1960年『アッカトーネ』でデビュー。その挑発的な作風は、発表するごとに物議を醸した。中世を舞台にした大胆な性の描写と極端な色彩美による『デカメロン』『カンタベリー物語』『アラビアンナイト』という「生の三部作」を発表するが、それらすべてを否定して、彼の集大成と言える『ソドムの市』を撮り終えた直後、ローマ郊外の海岸で他殺体で発見された。かの『ソドムの市』は、元々原作があるのでアレですが、あの偏執的な映像表現は悪意の芸術に他ならない。

[監督作品]
アッカトーネ/乞食(1961年)
マンマ・ローマ(1962年)
奇跡の丘(1964年)
愛の集会(1965年)
大きな鳥と小さな鳥(1966年)
アポロンの地獄(1967年)
テオレマ(1968年)
愛と怒り(1969年)
豚小屋(1969年)
王女メディア(1969年)
デカメロン(1971年)
カンタベリー物語(1972年)
アラビアン・ナイト(1974年)
ソドムの市(1975年)

『ソドムの市』ドキュメンタリー編

コレはもう、芸術とか何とか言ってられない位、醜悪で悪趣味な行為をこれでもか、と詰め込んだ、正に映画界の悪の華的な作品。でも、この撮影ドキュメンタリーを観ると、ちょっと安心したりして...。

『ソドムの市』

こちらは本編の一部。その異常さが多少は分かって頂けるかと。

パゾリーニの作品は一般に難解とされ、特に初期の作品は複雑な台詞と暗示や比喩に満ちている。

出典: ja.wikipedia.org

『ソドムの市』は、単なる悪趣味とも一線を画しアートフィルムの最高の部類にも君臨する、物語以上にその存在そのものが狂気の沙汰ともいえる巨大なる問題作。必ずやいろんな意味での覚悟を決めてからご鑑賞を。

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ベルナルド・ベルトルッチは、監督デビュー前から「ロベルト・ロッセリーニとピエル・パオロ・パゾリーニ以外のイタリア人監督は認めない」と公言している。

出典: www.cinemart.co.jp

全精力を傾けてこの作品を作ったパゾリーニ監督は、映画が完成してまもなくローマ近郊の海岸で激しく損傷した遺体となって発見された。

出典: tzk-web.com

▼ユルグ・ブットゲライト

ドイツはベルリン出身の映像作家。「死」「死体」「死姦」といった醜悪極まりない事柄を扱った強烈な作品『ネクロマンティック』で知られ、そのあまりのスキャンダラスな描写から、ドイツ当局からマークされて、新作を撮ることが出来ないという、筋金入りの異常な映画監督。『死の王』という、醜悪であるが実はドラマとしては優れた作品を作り出し、『シュラム 死の快楽』では孤独で惨めな人間の儚さを見事に描いているのに、過激な表現ゆえに一般化せず、才能を無駄使いしているのは勿体ない気がする。あのドイツのB級映画『キラー・コンドーム』に関わっていたりする。

[監督作品]
ネクロマンティック (1987)
死の王 (1989)
ネクロマンティック2 (1991)
シュラム 死の快楽(1993)

『ネクロマンティック』予告編

常人では考え付かないであろう、あまりにもスキャンダラスでグロテスクで悪趣味な作品。悪意どころか変態...?

『ネクロマンティック』は、多くの国で上映禁止にされ、本国であるドイツでは、上映禁止はおろか、ネガとフィルム、素材全ての破棄を命ぜられた。

出典: ja.wikipedia.org

自己の作品を芸術映画へと貶めたりせず、観るに耐えないゲテモノ映画として徹頭徹尾成立させている。その徹し方が潔い!

出典: eigajigoku.at.webry.info

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