天官賜福(小説・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『天官賜福(てんかんしふく)』は墨香銅臭によって書かれた中国のWeb小説作品。2017年から2018年まで晋江文学城にて連載されていた。2020年に中国ではbilibiliにてアニメが配信され、日本では2021年7月から9月まで放送された。仙楽国の太子だった謝憐は、修行を積み17歳で飛昇して武神になる。しかし2度も天界を追放され、3度目の飛昇を果たすも彼に祈りを捧げる者はいなかった。そんな謝憐の前に謎の少年が現れる。天界、人間界、鬼界の領域を擁する古代中国世界を舞台に、壮大な物語が描かれる。

北西にある砂漠地帯。200年前は半月国という国だった。夜景が美しいことから命名された泉地だったが、永安国の侵攻により滅亡。半月妖道や兵士達の怨念が今もここに残っており、夜になると武器を持った半月兵が彷徨うとの噂がある。砂漠を越えようとする隊商の半数が行方不明になっていることから、半命関(はんめいかん)とも呼ばれ恐れられている。

蠍尾蛇(かつびじゃ)

半月国に生息するサソリの尾をもつ蛇。尾の部分は赤い毒針で、毒性は蛇とサソリを足したものより強い。毒針に刺されると2時間以内に死に至るといわれている。解毒の手段は半月国でしか育たない善月草のみである。

善月草(ぜんげつそう)

出典: twitter.com

三郎が持つ葉が善月草。

半月国の国内でしか育たない香草で、蝎尾蛇の毒に効く唯一の解毒剤といわれている。

『天官賜福』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

太子「天官賜福、恐れるものなし」

1つ目の鬼花婿の事件を聞いて下界に降りる太子に、リンウェンが「天官賜福、神の祝福があらんことを」と告げる。それに対して、「恐れるものなし」と太子は返す。同様に2つ目の半月関の事件を調べに堂から砂漠へ向かう際にも、太子は「天官賜福、恐れるものなし」とまじないとも言える言葉を唱えて出発する。これから進む先に神の加護を祈り、新たな物語の始まりをうかがわせる象徴的な一言。

太子を輿から誘い出すホワチョン

出典: in-the-water.com

左からホワチョン、太子。

鬼花婿を誘い出すために、花嫁姿となった太子は輿に乗る。山に入ると鬼に襲われるが、突然輿に男の手が伸びてくる。警戒しながらもその手をとった太子を輿から引き出した男はホワチョンで、そのまま血に染まる与君山の中を太子の手を握って進む。山の中は青鬼チーロンが吊るした死体によって、血があちこちから滴り落ちていた。途中、降り注ぐ血から太子を守るために紅い傘を開いて柔らかく微笑む。

太子を抱き留めるホワチョン

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罪人坑に落ちた太子を抱き抱えるホワチョン。

半月国の罪人坑を落ちていく太子を、先に落ちていた三郎がホワチョンの姿で抱き留めるシーン。ホワチョンが人間だった頃、まだ子供のホワチョンが城壁から落下した際に太子がその腕に抱き留めて助けたことがあった。2人の出会いの場面を数百年の時を経て、逆の立ち位置で演出する。

太子「私は万人を救いたい」

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孤児のバンユエに手持ちの食料を与える太子。

800年ほど前に太子は天界を追放され、半月国の兵士に捕まりいつの間にか兵士になっていた。戦場で敵味方かかわらず「民を殺すな」と説いていた太子は味方から罰せられ、どんどん地位を落としていった。バンユエは心優しい太子に懐いていたが、ある日「大きくなったら何になりたいのか」と聞かれ悩んでいると「私は万人を救いたい」と太子が語る。太子がいなくなってからもバンユエはその言葉を胸に、人々が苦しまない道を探して平和を作ろうとした。

太子「生きる意味がわからないのなら、私のために生きなさい」

出典: twitter.com

城壁から落下した子供を助ける太子。

かつて太子の側で彼を支えていた少年が言った「なんのために生きるのか」という言葉に、太子は「生きる意味がわからないのなら、私のために生きなさい」と言う。この時の少年はホワチョンで、太子の言葉を聞き彼に忠誠を誓うことになる。数百年の時を経て三郎として再び会った時に、太子に鬼の命とも言える自分の骨灰を託してその想いを示す。

『天官賜福』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

中国アニメの世界観を声で表現

プロデューサーの黒崎静佳は、アフレコ時に太子を演じた神谷にさまざまな質問をされたという。日本とは違う中国の宗教観や、原作の小説から物語の背景を伝えたという。また、アフレコでの過剰なディレクションはしておらず、海外映画の吹き替えのような感覚で声を入れてもらっているため全体的に落ち着いた印象になっている。吹き替えでは収録時に原音の中国版の声も聞きながら行うので、原音のテンションも踏襲された演技になっている。

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