天官賜福(小説・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『天官賜福(てんかんしふく)』は墨香銅臭によって書かれた中国のWeb小説作品。2017年から2018年まで晋江文学城にて連載されていた。2020年に中国ではbilibiliにてアニメが配信され、日本では2021年7月から9月まで放送された。仙楽国の太子だった謝憐は、修行を積み17歳で飛昇して武神になる。しかし2度も天界を追放され、3度目の飛昇を果たすも彼に祈りを捧げる者はいなかった。そんな謝憐の前に謎の少年が現れる。天界、人間界、鬼界の領域を擁する古代中国世界を舞台に、壮大な物語が描かれる。
上から落ちてくる蛇たちから太子を守るために三郎が傘を開く。太子を近くに引き寄せて、もう1人の存在を確認した三郎は戦い始めた。バンユエが太子らを欺いて嘘をついていると考える扶揺は、太子の近くにいる三郎も怪しいと太子に伝える。しかし、太子はバンユエも三郎も危険ではないと言って、罪人坑にいるもう1人を「ペイシュウ将軍」と呼んだ。シュエンジーの事件のときに名前が上がったペイ将軍は2人おり、そのうちの1人であるペイシュウはまだ若く、飛昇前に国を滅ぼしている。ペイシュウの滅した国こそ半月国であった。それを聞いて姿を現したのはアーチャオの姿のペイシュウで、彼はバンユエの唯一の友人だった。永安国と戦うことになった半月国の勢いを止めることは、バンユエにはできなかった。戦いの理由が終わりのない領土争いであることに幸せを見出さなかったペイシュウは、バンユエを説得して半月国を滅ぼす手引きをさせたのだった。「半月人は死んで当然」と言うペイシュウの言葉を聞いて、上空から「本当にそうか」と声が聞こえた。突然罪人坑の太子らは皆、竜巻に巻き上げられて脱出する。その竜巻と声の主は風を司るフォンシーで、その隣には地の神であるミンイーがいた。2人は女性の姿をしており、太子らが砂漠で見たのはこの2人だった。ペイシュウが蠍尾蛇を操って生者を半月国の亡霊の生贄とし、怨念を鎮めようとしていたやり方をフォンシーが諫める。バンユエには罪がないとして下界に残され、ペイシュウと将軍が天界に連れて行かれた。
事件は収束し、善月草を砂漠の商人たちに届けた太子たちは大変感謝される。神であることが一部の商人に知られた太子に、「祈りを捧げる」と商人は言った。少し気恥ずかしそうな太子は三郎に「帰ったら何が食べたい。ホワチョウ」と聞く。三郎は少し驚いて、「その名前よりも三郎と呼ばれたいな」と太子に笑いかけた。
堂に帰ると、料理を作る太子に「なぜわかったの」と三郎は聞いた。手相や髪の毛、姿を写す諸々も効かなかったため鬼だとしたら階級が上であり、全知全能で赤い衣を着ていたことを太子が理由に挙げるとなんだか嬉しそうな三郎。鬼花婿の事件の時に輿から太子を連れ出したのも三郎だと気づいた太子に、「理由は2つ。狙いはあなただった。それか暇だった」と三郎ははぐらかした。楽しげに語らう2人の後ろで、意識をなくしていたバンユエを術で小さくして入れた壺がカタカタと動く。バンユエが目を覚ましたようで、転がりながら外に飛び出した壺からバンユエが太子に話しかけてきた。何度も太子に謝るバンユエを心配する太子に、バンユエは「私は万人を救いたい」と呟く。それはかつて、太子が大きくなってもなりたいもののないバンユエに言った言葉だった。青臭い自分の言葉に頭を抱える太子だが、バンユエは「この200年の間私は何をしていたのか」と後悔を漏らす。それを聞き、「私の800年はもっと無意味だ」と太子は苦笑いをした。
太子と三郎
バンユエを堂の外に残して、太子はそっと中に戻る。三郎と太子は体を休めることにした。「さっきの言葉は良かった」と、三郎は万人を救う夢を語った太子に言った。再び頭を抱えて「口だけだ」と言う太子だが、「難しくてもやろうとする。その方が尊い」と三郎は心から尊敬の気持ちを伝えた。それを聞いて、昔もっと馬鹿げた話をしたことを太子は話した。ある人に「もう生きられない。生きるとはなんのためなのか」と問われた太子は、「生きる意味が分からなければ、私のために生きなさい」と言ったという。そう三郎に話しながら、太子は思わずその大袈裟な言葉に笑い出す。しかし三郎の表情は変わらず、真剣なまま「万人を救うと言うのは愚かだけど、勇気がある」と言った。そして、自分を強力な鬼だと知っても何も言わずにそばに置く太子に、「僕の素顔が醜くても、それでも見たいか」と三郎は詰め寄る。太子は「友には誠実でいたい。どんな姿でも受け入れる」とすぐに答えた。その言葉に思わず笑ってしまう三郎に、いじけて背を向けたまま眠ってしまった太子。その背中に三郎は手を伸ばすが太子には触れず、心の中で「僕は誰よりもあなたに誠実だ」と呟いた。翌朝、目覚めた太子のそばに三郎はおらず、代わりに太子の首には三郎の骨灰で作られた指輪がかかっていた。
太子は800年前、まだ仙楽国の太子だった頃に祭りで建物から落ちてきた子供を救った。その子供は太子のために生きることを決心する。片目を負傷したその子供は後のホワチョンであり、数百年の時を経て三郎となり太子の前へ再び姿を現したのだった。
『天官賜福』の登場人物・キャラクター
主要人物
謝憐(シェ・リェン)
出典: twitter.com
声:神谷浩史
もとは仙楽国の太子で、修行を積み、17歳の時に祭礼行列中に城壁から落ちた子供を救った。その年に飛昇を果たしたため、年格好は17歳。白い衣を着て、手首や首に自在に操ることのできる布を巻いている。物腰が柔らかく、自身を悪く言う者にも強く出ることができない。2度にわたって天界から追放され、800年ほど下界にいたが3度目の飛昇を果たす。しかし追放を繰り返す彼に信者は定着せず、祈りを集めるために再び下界で一から出直そうとしていた。仙楽太子の像は片手に剣、片手に花を持っており、「花冠武神」と呼ばれている。その姿は武神だが、しなやかで美しい風貌をしている。
三郎(サンラン)
出典: twitter.com
声:福山潤
3度目の飛昇後、下界に降りてきた太子の前に現れた16、7歳の年頃で色白の美少年。楓よりも紅い衣を着ており、博識だが野生的な一面も持ち合わせる。いつも飄々として、どんな場面でも動揺せず冷静に太子に助言や手助けを行う。その本当の姿は、別名「花城(ホワチョウ)」と呼ばれる強力な鬼界の王。三郎は仮の姿だが、手相や髪など変化の綻びが一切ない。太子とは過去に関わりがあったとされる。
神官
霊文(リンウェン)
出典: twitter.com
声:日笠陽子
文神の長で人事を司る女性神官。有能で手際がよく、彼女の殿内はいつも未処理の公文書でいっぱいである。太子の888万の功徳を集めるためのきっかけとなる事件を教えたり、下界の太子に天界の情報を伝えたりしている。
南風(ナンフォン)
出典: twitter.com
声:古川慎
武官で、南陽将軍・風信の配下。器量の良い少年で、自ら志願して謝憐の与君山の調査の手助けにやってきた。扶揺とは仲が悪く、口喧嘩をよくしている。
扶揺(フーヤオ)
出典: twitter.com
声:小林千晃
武官で、玄真将軍・慕情の配下。色白で品のある少年で、南風とは仲が悪い。自ら志願し、謝憐の与君山の調査の手助けにやってきた。口がよく回り、三郎に突っかかっていがみ合うこともある。
その他の登場人物
シャオイン
出典: twitter.com
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『天官賜福』の概要
- 『天官賜福』のあらすじ・ストーリー
- 太子の飛昇
- 花嫁失踪事件
- ミンガン廟の花嫁たち
- 女将軍の怨念
- 三郎との出会い
- 半月関の失踪事件
- 蠍尾蛇の毒
- 半月国の兵士たち
- 三郎の真の姿
- ペイシュウとバンユエ
- 太子と三郎
- 『天官賜福』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 謝憐(シェ・リェン)
- 三郎(サンラン)
- 神官
- 霊文(リンウェン)
- 南風(ナンフォン)
- 扶揺(フーヤオ)
- その他の登場人物
- シャオイン
- シュエンジー
- ミンガン将軍
- ペイシュウ
- バンユエ
- 将軍
- 『天官賜福』の用語
- 飛昇(ひしょう)
- 功徳(くどく)
- 血雨探花(けつうたんか)
- 半月関(はんげつかん)
- 蠍尾蛇(かつびじゃ)
- 善月草(ぜんげつそう)
- 『天官賜福』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 太子「天官賜福、恐れるものなし」
- 太子を輿から誘い出すホワチョン
- 太子を抱き留めるホワチョン
- 太子「私は万人を救いたい」
- 太子「生きる意味がわからないのなら、私のために生きなさい」
- 『天官賜福』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 中国アニメの世界観を声で表現
- 中国のファン文化が生んだ人気作品
- 進化した中国アニメーション
- 『天官賜福』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):シド「慈雨のくちづけ」
- ED(エンディング):雨宮天「フリイジア」