BioShock(バイオショック)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

BioShock(バイオショック)とは、アメリカのゲーム開発会社、2Kボストン/2Kオーストラリア(現:Irrational Games)が開発したPC、Xbox 360専用ソフト。ジャンルは完全シングルプレイ用FPS形式のRPG。後にPS3専用ソフトやHD版も発売された。当時としては極めて高水準なグラフィックを有し、特に海、水の表現は話題を呼んだ。主人公ジャックは、海底都市「ラプチャー」を舞台にさまざまな武器と特殊能力「プラスミド」を駆使しながら生き残りをかけた戦いに身を投じる。

『BioShock』の概要

「BioShock」は、同様の世界観と舞台設定を持つ直接的な続編である「BioShock2」、空中都市「コロンビア」を新しい舞台とする「BioShock Infinite」と続く同シリーズの第1弾。ゲームジャンルはFPSだが、本作は後述するように多くのRPG的要素を含んでいるのが大きな特徴である。2007年にアメリカでPC版、Xbox 360版が発売されたのを皮切りに、日本では2008年にPC版、Xbox 360版、PS3版が発売された。さらに2016年にはシリーズ3作をまとめたコレクション版「BioShock: The Collection」がPS4で発売されている。

本作はFPSでありながら、お金やアイテムの収集、武器の改造、特殊能力の獲得といったRPGとしての特徴を数多く持っており、プレイヤーは主人公・ジャックを操り、海底都市「ラプチャー」を探索していくというスタイルとなっている。また、情報収集については、従来のRPGのようにNPCと話すほか、ラプチャー各所に無数に点在する音声記録を収集するという形で行うのも特徴的だ。このゲームシステムは、後のシリーズにも受け継がれている。プレイヤーは、それぞれ特徴ある区画に分かれたラプチャーを探索しながら、ラプチャー、そして自分自身の謎を解いていく。

「BioShock」の特徴はその独特な世界観だ。「広大な閉鎖空間」と言える海底都市「ラプチャー」は、60年代のアメリカ文化とその延長として描かれたオーバーテクノロジーで構築されており、荘厳かつ奇妙な世界を成立させている。2007年当時では最高レベルのグラフィックで描き出されるラプチャーは、かつての栄華を思わせるものの、あちこちが崩壊し、廃墟となっている。プレイヤーの敵となるのは、かつてのラプチャーの住人「スプライサー」、潜水服を身にまとい、腕に装備したドリルで襲ってくる巨人「ビッグデダィ」だ。一貫してレトロフューチャーなガジェットで構築された独特の世界観は、多くのプレイヤーをラプチャーの冒険に没入させた。

主人公・ジャックが乗っていた旅客機は、突然の事故で海上に墜落してしまう。ジャックは謎の灯台を見つけ、なんとかそこにたどり着き一命を取り留める。灯台の中に入ったジャックは、その内部でまだ動く潜水球を見つけた。ジャックの乗った潜水球は向かったのは、かつて栄華を誇っていた海底都市「ラプチャー」だった。ジャックは崩壊したラプチャーの中でさまざまな敵と戦いつつ、脱出を目指す。

『BioShock』のあらすじ・ストーリー

炎上する旅客機。ジャックはここで、ラプチャーへと通じる灯台を発見する。。

1960年、大西洋上空。主人公・ジャックは旅客機に乗っていた。ジャックは手にしたプレゼントの箱を空ける。中に入っていたのは、家族の写真、そして「Would you kindly not open until…(恐縮だが…まで開けないでほしい)」と書かれた手紙だった。
突然の爆音。ジャックの乗っていた旅客機は、原因不明の事故で洋上に墜落する。
爆発炎上する旅客機からかろうじて脱出したジャックが目にしたのは、巨大な灯台の明かりだった。灯台にたどり着いたジャックは、その中で無人の潜水球を発見する。ジャックの乗り込んだ潜水艇が向かったのは、海底に作られた巨大都市「ラプチャー」だった。
ラプチャーには確かに人が住んでいた形跡があったが、今ではあちこちが崩壊して人の気配はない。ジャックは凶暴化したかつてのラプチャーの住人「スプライサー」に襲われつつもこれを撃退しながら、アトラスの指示に従い先へと進む。するとスプライサーよりもさらに大きな何者かが現れた。潜水服を着た巨大な怪物「ビッグダディ」だ。ビッグダディは圧倒的な戦闘力でスプライサーを倒す。さらに、そばの通気口から謎の小さな少女「リトルシスター」が現れ、倒れたスプライサーの死体から巨大な注射器で血液を回収し始めた。彼らが去った後、潜水艇内のラジオを通じて、「アトラス」と名乗る謎の男が語りかけてきた。アトラスは施設内ではぐれた家族の捜索と引き換えに、「恐縮だが……」とラプチャーからの脱出の協力を申し出る。ジャックはアトラスの導きのもと、ラプチャーを脱出するべく行動を開始する。

ビッグダディとリトルシスター。両者は常にともに行動している。

ラプチャー内をさまようジャックに襲いかかってくるスプライサーたちは、ラプチャーで研究・開発されていた人間にさまざまな特殊能力「プラスミド」を付与する薬物「ADAM」の過剰摂取によって理性を失っており、ラプチャー崩壊後も施設内を徘徊しているのだった。また、ジャックが遭遇したリトルシスターとビッグダディには重大な秘密があった。リトルシスターは、元はラプチャーに誘拐されてきた孤児たちで、体内に特殊なウミウシを寄生させられることで、ADAMを作り出す能力を与えられており、スプライサーの血液を飲むことで体内でADAMを精製することができる。そのため、リトルシスターは常にスプライサーたちに狙われているのだ。そのリトルシスターを守っているのがビッグダディ。ビッグダディは彼女らを守るために造られた存在で、リトルシスターからADAMを分け与えられている。

ラプチャーの創設者にして最高権力者、アンドリュー・ライアン。通信では頻繁に声を聴くことになるが、直接接触するのは終盤に差し掛かってから。

スプライサーやビッグダディ、そしてアトラスと敵対関係にあるラプチャーの創設者にして天才科学者アンドリュー・ライアンの妨害を退けながら、アトラスの指示に従ってリトルシスターからADAMを獲得しつつラプチャー内を進むジャック。ついにアトラスの家族が避難しているらしき潜水球を見つけるが、ジャックの眼前で潜水球はライアンによって爆破されてしまう。怒りに燃えるアトラスの「恐縮だが、あいつを殺ってくれないか」という指示で、ジャックはかつての敵対者をすべて排除し、無政府状態同然となったラプチャーを強い権力で掌握、今やラプチャーの支配者となったライアンの殺害に向けて行動することととなる。

激戦をくぐり抜け、「ラプチャー・セントラルコントロール」にてライアンと対峙するジャック。そこでジャックは、ライアンの口から自身の恐るべき秘密を明かされる。ジャックはかつてラプチャーで生み出された存在で、「恐縮だが(Would you like kindly)」というキーワードに従って必ず命令を実行するように条件付けられた実験体だったのだ。旅客機内でジャックが読んでいた手紙にもこのキーワードが仕込まれており、その文面は「Would you kindly not open until: 63* 2' N 29* 55' W」(恐縮だが、北緯63.2西経29.55まで開けないでくれ)というものだった。この座標はラプチャーの入口となる灯台付近の位置を示すもので、機内でこのメッセージを見たジャックは続く手紙の指示に従ってエンジントラブルを起こし旅客機を墜落させたのだった。さらに、同封されていた家族の写真も偽りのもの。つまり、ジャックがラプチャーにたどり着き、ライアンのもとへと向かったこと自体、すべては仕組まれていたことだったのだ。

アトラスの言うまま、ジャックはライアンを撲殺してIDカードを奪い、ラプチャーの支配権をライアンからアトラスへと書き換える。そして、アトラスは事の真相を語り始めた。アトラスの正体は、かつてライアンと敵対関係にあり、彼の私設部隊によって殺害されたはずの密輸業者フランク・フォンテインだった。フォンテインは最初からライアン殺害のためにジャックを誘導していたのだ。フォンテインは、ライアンを殺害し用済みとなったジャックをも始末しようとするが、ジャックはそこに現れた、これまで救助してきたリトルシスターたちの手を借り、辛くも窮地を脱する。

本作のラスボスとなるフランク・フォンテイン。ADAMを大量に摂取したその姿は、完全に怪物と化している。

意識を取り戻したジャックは、ラプチャー随一の科学者でありADAMの発見者でもあるブリジット・テネンバウム博士と出会う。彼女はかつてフォンテインから援助を受けてリトルシスターを製造していたが、それは結果的にラプチャー崩壊の原因となってしまった。これを悔いた彼女は、ジャックに協力しリトルシスターの救済に乗り出す。ジャックは彼女によってフォンテインからの命令に対するある程度の抵抗力を獲得し、フォンテインを追ってラプチャー最深部へと向かう。

ラプチャー最深部。ジャックはついにフォンテインと対峙する。大量のプラスミドを摂取し強大な怪物と化したフォンテインは、ADAMを補充しつつさまざまな特殊能力でジャックを追い詰める。激しい戦いの末、なんとかフォンテインを倒したジャックだったが、彼も力を使い果たし倒れてしまう。先に立ち上がったのはフォンテインだった。しかし、ジャックにとどめを刺そうとするフォンテインに、今までジャックによって体内に寄生していたウミウシを摘出されたことで普通の人間となったリトルシスターたちが次々と襲いかかり、ADAMを奪い取ってしまう。今度こそ完全に倒れたフォンテインから、ジャックはラプチャーの支配権を司るIDカードを手に入れる。

ジャックはリトルシスターたちとともにラプチャーを脱出、彼女らを外の世界へと送り出す。そして時は流れ、かつてラプチャーから救い出してきたリトルシスターたちに囲まれ、ジャックは安らかにその生涯を終えるのだった。

『BioShock』の登場人物・キャラクター

ジャック(Jack)

本作の主人公。本作は一人称視点であるため、プレイヤーが彼の顔を直接見る機会はなく、ゲーム中で目にするのは両腕のみ。さらに、ゲーム中でうめき声や叫び声以外の言葉を発することは一切ない。ゲーム冒頭で乗っていた旅客機が墜落、そこから本作の舞台となる海底都市「ラプチャー」にたどり着く。数々の武器や特殊能力「プラスミド」を自在に使いこなす能力を持つ。

アトラス(Atlas)(CV:森川智之)

ラプチャーに着いたジャックが初めて接触する相手。狂人だらけのラプチャー内で、数少ない正気を保った人間である。ラプチャーからの脱出に協力する代わり「恐縮だが……」と自分の家族の捜索を依頼する。ラプチャーの創設者アンドリュー・ライアンと対立関係にある人物で、ライアンに対抗するレジスタンスの中心的存在。その正体は、かつてライアンに殺害されたはずの密輸業者フランク・フォンテイン。フォンテインは最初からジャックを誘導し、ライアンを殺害させようとしていた。

アンドリュー・ライアン(Andrew Ryan)(CV:石塚運昇)

あらゆる宗教や政府からの規制を逃れ、自由な研究や芸術活動を可能とする都市を建設するという目的で海底都市「ラプチャー」を建設した人物。ラプチャー創設者にして天才科学者、そしてラプチャーの最高権力者である。アトラスとは敵対関係にあるため、ジャックに対しても妨害を仕掛けてくる。ADAMを生産する生きた工場であるリトルシスターを守る存在として、科学者ドクター・スーチョンにビッグダディの開発を命じた。

ブリジット・テネンバウム(Brigitte Tenenbaum)(CV:園崎未恵)

ウミウシから人間の遺伝子を書き換え特殊な能力を付与する物質「ADAM」を発見した女性研究者。リトルシスターを生み出したことを後悔しており、彼女らを救済するためにアトラスの正体を知ったジャックに協力を申し出る。

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