地獄銭湯（The Bathhouse）のネタバレ解説・考察まとめ

『地獄銭湯（The Bathhouse）』の概要

『地獄銭湯（The Bathhouse）』とは、Chilla's Artが開発したPCゲームで、2022年10月1日にSteamでリリースされた。ジャンルはサイコロジカルホラーゲーム。和風の古びた銭湯を舞台にストーリーは進行する。

本作は、「日本の妖怪伝承」と「人間の欲望」、また「実際にありそうな田舎の怖い話」という素材をゲームとして構成した作品である。また、ウォーキングシミュレーターがベースになっていて、一人称視点で町を探索する。要素としては、画面を荒く表示することで恐怖感を助長する、VHS風のフィルターが搭載されている。フィルターは、メニュー画面からオン／オフの切り替えが可能。スクリーンショットのような鮮明な3D空間か、フィルターのかかった世界かを選択できる。また、本作はマルチエンディングが採用されており、プレイヤーが選んだ行動によって結末が変化する。

また、本作を含む、Chilla's Art開発のゲーム作品は、基本的に動画投稿サイトへの投稿を許可しており、リリース直後から動画配信サイトにて数多くの投稿者・配信者によってネタバレありでプレイの様子が公開されている。その結果、動画や配信の視聴者がゲームに興味を持ったり、その後リリースされるゲームへの期待感が上がったりと徐々にChilla's Artは人気を獲得していっている。

ストーリーは、主人公の秋村舞伊奈（あきむら まいな）が、ある日銭湯の求人を目にしたところから始まる。家賃無料、仕事後のお風呂も無料の好条件に思える銭湯仕事に即決で転職を決めたのだが、初日から不可解な出来事に遭遇するようになる。辺鄙な村にある銭湯を舞台に、異様な雰囲気の街並みや、少し気味の悪い住民たちと”この世のものではない存在”を目にしながら真相を明らかにしていく。

『地獄銭湯（The Bathhouse）』のあらすじ・ストーリー

秋村舞伊奈編

秋村舞伊奈（あきむら まいな）は、日々の仕事に疲れていたとき、ある求人を目にする。それは銭湯での仕事だった。家賃無料、仕事後のお風呂も無料の好条件に思える銭湯仕事に即決で転職を決めたのだが、初日から”見えない何か”を感じるような不可解な出来事に遭遇した。実際に舞伊奈が目撃したのは、どこから侵入したかわからない野生のサルであったが、その後、誰もいないサウナ室に”白い服を着たような女”がぼんやり浮かび上がった。
その後も不可解な出来事は続いた。2日目は、閉店間際に停電が起きてしまった。停電の犯人は、近所で量販店を営んでいる電子（でんこ）。彼女は銭湯から盗電をしていたのだ。舞伊奈は電子の隙を見て電気ボックスの鍵を入手し、盗電を妨害した。その後、業務を終えた舞伊奈は昨日同様に女湯に入浴したが、彼女が入った浴槽に謎の影を目撃した。怖くなった舞伊奈は女湯を出たが、男湯が気になり覗いてみると、誰もいないはずなのにシャワーが出しっぱなしになっていた。そして、全てのシャワーを止めた瞬間、女湯から女性の金切り声が響き渡った。そのこともあり、翌日男湯は一時封鎖されることとなった。
3日目は通知先不明の人物から謎の番号が告げられる電話がかかってきた。また、この日の仕事内容に重曹を買ってくることが組み込まれていたが、この村で唯一重曹を置いている駄菓子屋の主人・梅木（うめき）から、自身の愛猫の捜索をお願いされた。幸い、愛猫は村から出て行ってはおらず、すぐに見つけることができた。梅木の元へ愛猫を返すと、奇妙な日本人形と重曹を保管している木箱の鍵を貰った。舞伊奈はこの日の業務を無事に全て終えることができ、仕事の後の入浴を楽しもうとした。しかし、この日初めて入ったサウナ室で白くて髪の長い女性の幽霊に襲われるという恐怖体験をした。その後は、どのようにしてアパートに帰ったかは覚えていない。
そして、迎えた4日目。この日の入浴客は、母子連れだけだったが、突然連れられてきた少年が女湯から男湯へ移動したかと思うと、大声で泣き始めた。舞伊奈は少年の母親に番台から声を掛けたが反応はない。代わりに、彼女が少年の元へ行ってみると、少年は手を怪我したようだった。直接母親にこのことを伝えようと女湯を覗きに行った舞伊奈だったが、しかし、そこにいるはずの母親の姿はなかった。代わりに、女湯には救急箱が落ちていたので、舞伊奈が代わりに少年の手当てをしてあげた。が、少年からは感謝されず、あの時どこにいたか分からなかった母親からはクレームを受ける羽目になってしまった。それでも、この日も無事に全ての業務を終え、舞伊奈はいつものように銭湯の湯に入った。すると、突然浴槽から髪の長いの女性の霊が姿を現した。恐らく、昨日サウナ室で見たものと同じである。舞伊奈はその場から脱走を試みるも逃げ切ることができず、そのまま消息不明になってしまった。

秋村恵令奈編

舞伊奈の消息が絶ってから数日後。彼女の妹の秋村恵令奈（あきむら えれな）は、姉の舞伊奈を探すために彼女が最後に住んでいた銭湯のある田舎へやってきた。ここまで送り届けてもらった友人から心配されながらも、恵令奈は姉を見つけるために、まずは彼女が住んでいたアパートを訪ねた。すると、そこへ大家が現れ、「お姉さんは1週間ほど友達と旅行に行ってるよ。」と告げられる。どうしたものかと恵令奈が悩んでいると、大家は、「お姉さんが帰ってくるまで、代わりに銭湯で働いてほしい。」とお願いしてくる。恵令奈は何も疑いもせずそのことを承諾。早速姉が使っていた部屋の隣に住むことになり、その日から銭湯で働くようになった。番台に座ってしばらくした時、ふと姉と思われる女性が女湯に入ってきた。恵令奈は慌てて女湯の浴室まで跡を追ったが、姉の姿はもうなかった。代わりに、姉が失踪したであろう浴槽の近くで彼女のアパートの部屋の鍵を入手することができた。恵令奈は銭湯を抜け出し、姉の部屋へ向かった。彼女の部屋に入ると、不気味な日本人形とそれが持っていた新聞の切れ端、そして、もう一つの新聞の切れ端とずっと前に行方不明になった犬窪桜子（いぬくぼ ようこ）と名乗る女性の日記があった。その日記の中には、彼女がこの田舎で村八分の扱いを受けていて、そんな彼女に唯一優しく接していたのが、神社の神主だったことが記されていた。さらに、探索をしていくと銭湯のボイラー室の開かずの扉の鍵を手に入れることができ、その扉の先には地下室の入口があった。地下室は狭くじめじめとしていたが、奥の開けた空間の奥にある台座にこの田舎に伝承されている妖怪”産女（うぶめ）”の召喚について書かれた本が置かれていた。そして、その産女を召喚するために暗躍していた神主のメモ、そして、神主に騙されて利用されたことを嘆く大家の日記を発見。さらに、この地下室で長年監禁されていたのであろう人物も鎖の繋がれた状態で捕らえられていた。以上の書物や状況を理解した恵令奈は、この銭湯が”産女召喚の儀式場”であることを突き止める。

恵令奈はこの情報を一旦胸にしまったまま、銭湯に戻り、最後まで仕事をやり遂げることにした。しかし、その仕事終わり。恵令奈が女湯の浴室でシャワーを浴びていると、突然鏡に件の女の霊（産女）が映った。恵令奈は命からがら銭湯から脱出し、自分の借りたアパートの部屋に逃げ込んだ。しかし、恵令奈の耳には産女の足音がずっと聴こえているのだった。

バットエンド

一瞬の静けさに安堵した恵令奈だったが、結局銭湯にいた女の霊は室内に侵入し襲ったことで彼女は気絶してしまった。次に目を覚ました時には、誰かに抱えられ銭湯まで運ばれていた。一度は覚醒した意識だったが、再び意識はなくなった。
恵令奈を銭湯まで運んだのは大家だった。そして彼は彼女をボイラー室の中に押し込めた。そして、そんな彼の後ろには神主が佇んでいた。その瞬間、神主は爆散し血だまりからは髪の長い女が現れ、次に大家が爆散してしまう。
血だまりから現れた女は髪を揺らしながら銭湯の外へと向かっていくのだった。

※発生条件：特別なことをせず、タスクを消化していくだけ。

グッドエンド

一瞬の静けさに安堵した恵令奈だったが、結局銭湯にいた女の霊は室内に侵入し襲ったことで彼女は気絶してしまった。次に目を覚ました時には、誰かに抱えられ銭湯まで運ばれていた。一度は覚醒した意識だったが、再び意識はなくなった。
ボイラー室に佇む大家と神主だったが、何者かに液体をかけられた彼らは突如炎に包まれ、その炎は銭湯全体に広かっていった。
恵令奈は銭湯の外で倒れていたところを通りすがりのおばあさんに発見された。再び彼女が目を覚ました時は、病院のベッドに横たわっていて、その横には医師と警察官が立っていた。医師から全身骨折の診断を受け、警察官からは事情聴取を求められた。事の詳細を恵令奈は話したが、警察官は困った顔で「あの村には誰もいないはずですけど」と返してきた。そんなはずはないと自身の記憶を辿ってみるが、まず何故自分があそこへ行ったのか、何故銭湯で働いていたのか、目的が何も思い出せなくなっていた。そして、”舞伊奈”という人物が誰なのかも忘れてしまっていたのだった。

※発生条件：新聞の切れ端ABCを入手し、銭湯地下室でボルトカッター入手。その上で拘束された人物を解放する。

『地獄銭湯（The Bathhouse）』のゲームシステム

本作は、画面上部に表示されるタスクに沿って進行する。行動は、仕事や探索に関するものだが、タスク以外の動作をしたとしてもストーリーが進行する場合もある。

仕事

番台

タスクで、朝に銭湯の番台横にやってきた際に自動で切り替わる。
内容は、やってきた入浴客から入浴料を徴収し、指示されたアイテムをサニタリーボックスから渡す。

清掃

タスクで表示される。
内容は日によって異なるが、掃除用具入れから道具を入手し、男湯と女湯の浴場を清掃していく。
全ての清掃が終わった後に、行動指示が主人公の入浴を促すものに変化し、その日の業務は終了になる。

探索

たまに、銭湯仕事以外のタスクが表示されることがある。
内容は、電源の復旧や迷い猫の捜索など。
タスクに表示されないが、真相に近づくのに必要な謎解きも存在するため、手に入れたアイテムを確認しながら行動することもある。