桐山零が抱える問題と成し遂げた成長【3月のライオン】
羽海野チカの漫画『3月のライオン』は『ヤングアニマル』で連載されている。アニメ、実写映画、外伝漫画、などさまざまなメディア展開が行われる。主人公の桐山零は、事故で家族を失い天涯孤独の身となる。将棋に縋って生きてきた零は、川本家と出会い、数多くの棋士との対局し、さまざまな事を経験しながら、自分の居場所を模索する。大きな孤独を抱え、もがきながらも成長していく桐山零を徹底解説する。
祖父。
江戸っ子気質で義理人情に厚い川本家の大黒柱。三月町の和菓子屋「三日月堂」の和菓子職人。
厳しい一面もあるが、孫には甘いこともある。
三姉妹が嫁ぐまでは絶対死なないと決意をしており、定期的に医者に通っている。将棋が好きで桐山の将棋に興味を持っている。
桐山と周囲の関わり
後藤と義姉の香子
川本三姉妹とは対照的な存在になっているのは、桐山の義理の姉である香子だ。
香子の性格は荒っぽく、棋風も攻撃的。しかし容姿が整っており、人を惹きつけるカリスマ性を持っている。桐山に将棋で勝てないことから奨励会を辞めさせられており、そのことで深く傷つき、街で遊び回るようになる。桐山がプロになってからも、時折、彼の前に現れては、意地の悪い態度をとることもある。しかしその反面、自分の感情を桐山に吐露するなど複雑な一面も持っている。
そんな香子はA級棋士である後藤に好意を寄せている。
後藤は幸田の弟弟子であり、将棋の強さも一級品。威風堂々とした雰囲気を醸し出しており、その威圧感に気圧される人もいる。既婚者であり、妻は病院で長期入院をしている。
気性は粗めで、香子に対して冷たい態度を取っている。そんな彼の態度に怒りを抱いた桐山だったが、後藤はそれを暴力で黙らせる。それ以来、桐山は後藤に強い怨念を抱いており、将棋で倒すことを誓っている。
香子は彼に「ストーカー」と呼ばれても彼のそばにしようとしている。
一方の後藤は、香子に対して冷たくあしらっているが、彼女に腕時計を買ったり、無意識に抱き寄せたりするなど、完全に切り離すようなことはしていない。
二海堂との関係および島田研究会
二海堂 晴信(にかいどう はるのぶ)は桐山の数少ない友人だ。それと同時に同年代のライバルでもある。
桐山のことを「親友」と呼び、その思いが暑苦しいため、桐山にドン引きされることもあった。しかし桐山もだんだんと彼の将棋に対する思いを受け止めるようになっていく。
その後、二海堂は幼少期から病気を患っており、長時間の将棋ができない身体であることが発覚する。
命に関わる重い病気を患いながらも将棋に打ち込む二海堂。桐山は彼の身体に不安を抱きながらも、彼の将棋に対する姿勢により強い敬意を持つようになる。
かつて二海堂が桐山と最初に出会ったのは、こども将棋大会だった。
当時、二海堂は誰よりも将棋に打ち込んでいたため、同年代に負けたことがなかった。
そのため周囲よりも努力している自覚を持ち、それと同時に、どうして周囲は努力しないのかと憤りを覚え、孤独を感じていた。
そんな時に二海堂はこども将棋大会で桐山と対局し、桐山が勝利する。
この時、桐山に敗北した二海堂は、自分よりも努力している人間がいることを知ったことで、安心感を覚え、孤独感と思い上がりを払拭することができた。
それ以来、二海堂は桐山を好敵手として意識するようになる。
桐山と二海堂は島田開が主催の研究会に所属しており、そこで常に将棋の研究を行っている。
島田に敗北したことをきっかけに、桐山は自らの意思で島田の将棋研究会に入ることになった。
島田研究会のメンバーは4人(島田・二海堂・重田・桐山)。
研究会が行われる場所は島田の自宅である。
活動内容としては参加メンバー同士で待ち時間30分~1時間の対局を行い、対局終了後、どのような打ち方が効果的かを検討し合う。
島田を除く3人は、自分の主張を強く押す傾向があり、激しい言い合いになることが多い。
島田は3人が激論している様子を見ては、胃を痛めたり、髪の毛が抜け落ちたりなど、ストレスを感じたりすることもある。
林田先生と将科部
林田は桐山にとって数少ない理解者だ。桐山が高校1年生の時は担任を勤めていた。
将棋が好きで、オリジナルの詰み将棋を作って将棋雑誌に投稿することもある。
桐山が高校編入の挨拶に行った時に出会った。当時の桐山は中学生プロとして一躍有名になっていたため、将棋好きの林田は桐山のことを知っていた。
あまり学校に馴染めていない桐山のことを心配に思っており、積極的に桐山に声をかけたり、一緒に昼食を食べたりしている。
林田はプロ棋士としての桐山の才能を凄いと思っている一方、桐山の暴走した思考、ネガティブな発想に活を入れることもある。
桐山にひなたのいじめの件で相談を持ち掛けられた時は、「いじめを完璧に解決できる答えはない」「相手はどういう解決方法を望んでいるのか?」「効果的なのはその場でやめて!と言うこと」など、いじめに対してどういう対応をすれば良いのか真剣に答えた。そして、ひなたの担任がいじめから目を逸らしていることを聞いた時は、あまりの怒りで、ひなたの学校に乗り込もうとした。
また、桐山がひなたをいじめから救えられないと思いつめていた時は「自分の出来ることを一つ一つやっていくことが大切なんだ」と諭す場面もある。
桐山が単位ギリギリで進級ができないピンチに陥り、残っている課題が科学の実験だった。
実験をしているところがないか悩んでいた時、林田は放科部(放課後理科クラブ)を桐山に紹介する。
放科部は放課後に化学実験などを行う部活であり、そこで桐山は科学の実験を行う。その時の経験は桐山にとって、初めての部活動であり、楽しい時間を過ごす。
新学年になった桐山は、充実した高校生活を送るため、意を決して将棋部を作ろうとするも、部員が一人も集まらなかった。
そこで林田は廃部の危機になっていた放科部を将棋部と合体させることを思いつく。
二つの部活を合体させることによって、「放課後将棋科学部」(略して将科部)となり、桐山は部活動を始めることになる。
桐山と川本家の関わり
桐山は、川本家の人たちと一緒にご飯を食べたり、お店のお手伝いをしている。
その時間は彼にとってかけがえのない特別な時間だった。しかし、そんな川本家にも問題が起こることもあった。
川本家に降りかかってきた問題に対して、桐山は動き出す。
この問題が桐山と川本家の関係をより縮めることになる。
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