女神候補生(杉崎ゆきる)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『女神候補生』とは、杉崎ゆきるによって『月刊COMIC GUM』にて連載されていた漫画作品である。2000年にXEBEC制作でアニメ化され、NHK BS2の『衛星アニメ劇場』枠で全12話が放送された。2001年に突如休載になって以降、杉崎本人が連載そのものを放棄している。人類最後の希望の星、惑星ZION(シオン)を襲う犠牲者(ヴィクティム)という名の巨大生物を倒す為、人類も女神(イングリッド)という名の巨大人型兵器を作り上げた。主人公ゼロはパイロットになる為、仲間と共に日々訓練を重ねていく物語。

EXを発動すると髪の色が変化する。

この世界にはEXと呼ばれる特殊能力を持つ人々がいる。それぞれ能力には個性あり、ヴィクティムとの戦闘の際にどう活かせるかが重要になってくる。EXの能力は使っていくうちに消耗する為、パイロットになれる期間が決まっている。人類が生き残る為に戦い、そして戦闘にはEXを使える者が必要になる為、能力のある子供を集め「G・O・A」で養成している。EXを発動すると身体能力が向上、そして一時的に髪の色が変化し、発動が終われば元の髪の色に戻る。
時にEXは感情の起伏や、体調の具合により自分の力でコントロール出来ない状態になる時がある。EXが暴走してしまえば、ゼロ達のいる「G・O・A」の施設ごと破壊してしまう危険がある。なので戦闘以外の時には使わない様に義務づけられており、施設にて訓練も受けている。もし暴走してしまった時には対処法として催眠スプレーを撒き、眠らせる事により暴走を抑える。

アトミック

この世界では人間は皆どこかに欠陥を持って生まれる。その為、アトミックと呼ばれる補助器のパーツを付けてその欠陥部分を補っている。人体にアトミックを埋め込む事により、欠陥部分が改善され良くなり普段通りの生活が出来る様になる。アトミックが古くなった場合はメンテナンスなども行い新しく取り替える事も出来る。ごく稀に欠陥を持たずアトミックで補っていない人間も存在する。その人間を「完全体」と呼んでいる。

『女神候補生』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ゼロは初めてイングリットの機体の中へ

道に迷ってしまったゼロが辿り着いたのはイングリッドのある倉庫だった。

主人公のゼロは「G・O・A」に着いた途端に迷子になってしまう。集合場所が分からないまま道を進んでいくと、イングリッドの機体が並んでいる倉庫の様な場所にたどり着いた。ゼロは驚きながらも、憧れの機体を前にテンションが上がってしまう。機体を眺めていると急にイングリッドの扉が開いた。
その時、ちょうど機体の整備をしていたリペアラーのリーナが、現パイロットのガルイースが来たのだと思い声をかけようとするが、目の前に立っているのは見知らぬ少年だった。その事に驚いたリーナはそこから離れる様に指示するが、驚いたゼロはバランスを崩しそのまま機体の中へ入ってしまう。
イングリッドの中に入ってしまったゼロは操作の仕方が分からないので、外の声も聞こえずパニックになっていた。機体の中ではパイロットとしての認識スキャンが始まっていた。機体はそれぞれパイロットの身体能力、性格や癖なども入力されており、それに合わせた整備をされているので、ここに他人が入ると命を落としかねない状況になってしまう。リーナは必死で解除しようとするが解除出来ずにスキャン作業が進んでいく。

ゼロは認証スキャンの際、強い衝撃を受け意識を失いかけていた。その時、ゼロは深い記憶の海の中に沈んでいった。10歳の頃の記憶を思い出していた。当時、母と住んでいたコロニーがヴィクティムに襲われ、コロニーが破損しゼロは宇宙に放り出された。その時、目の前に現れたのは5体のイングリッドだった。イングリッドはヴィクティムを倒し、純白の機体エーン・ラティエスに守られゼロは助けられた。この出会いによりゼロはイングリッドのパイロットになることに憧れを抱いていく様になった。曖昧な意識の中、どこからともなく少女の声が聞こえる。少女はゼロと同調し受け入れることにより、機体を動かそうとしていた。
一方ゼロを待つアズマ教官と候補生達は、時間が過ぎてもゼロが来ない事に気づき、コンピューターを使いゼロの居場所を調べていた。候補生の居場所はすぐに分かる様に腕に刻印と個人情報のチップが埋め込まれている。検索結果でゼロは館内のどこにも居ないと表示されてしまう。ゼロはこの結果「G・O・A」の外に放り出されたか、コックピット内に居るという事になってしまう。異常事態に気付いたアズマ教官は、急いで機体のある倉庫に向かう。

異常事態に気づいたパイロットのガルイースは自分以外の見知らぬ誰かが機体に乗っている事に衝撃を受ける。ガルイースは慌てて機体にしがみ付き、強制排除しようと扉を開けようとするががなかなか扉が開かない。ゼロが夢の中で目を覚ましたと同時に、パイロット以外出来るはずのない、同調スキャン完了の文字が表れリーナは驚く。意識を取り戻したゼロはこの状況にどうしたら良いのか分からず戸惑ってしまう。機体がゼロをパイロットと認証し受け入れ、動き出そうとしていた。

戸惑うゼロに対し、イングリッドがパイロットに相応しく無いと判断し、乗っているゼロを強制排除しようとする。その時、ゼロの全身に電気の様な強い衝撃が走り、再び意識を失ってしまう。倉庫に駆けつけたアズマ教官はリーナに諦めるなと助言し、そして強制終了するように促す。諦めずに作業をしていると、扉が開きガルイースがゼロを引きずり出した。医務室に運ばれたゼロは昏睡状態になっていたが何事もなかったかのように目を覚ました。

ガルイースへの想いとアーネストの死

候補生の時のガルイース、EXの暴走により怪我をしてしまった。

ガルイースとアーネストは候補生時代からの同期だった。アーネストは自分のEXの能力である人の心が読める能力のせいで、常に他人と距離を置いていた。一方ガルイースはそんなアーネストに何の隔たりもなく話しかけ、普通の仲間と同じ様に接していた。アーネストにとってガルイースは最初の友人であり、とても大切な人になっていた。
実力もあり人気者のガルイースだったが、強くなりすぎたEXを自分でコントールする事ができなくなっていた。そしてEXが暴走すれば誰も止められない。ガルイースには強くなって女神のパイロットになる事しか、もう選択肢がなかったのだ。アーネストにはガルイースの不安な心の声が聞こえていた。ガルイースの事を守る為、一番近くにいたいと思いアーネストも女神のトップを目指す事を決意したのだった。

そして二人は女神の正パイロットになり、戦いを重ねていく。戦闘中にヴィクティムの大群に遭遇する。なかなか倒せない敵の前に、ガルイースはヴィクティムのボスがいるのを発見し、防御範囲のシールドを超え単独行動に出てしまう。アーネストは無謀な行動をするガルイースを止める為にヴィクティムの大群の中に一緒に飛び込んでいった。
視界が遮られる程のヴィクティムの大群の中、アーネストが乗るルーマ・クレインは皆より先にヴィクティムのボスを見つけ、必死にしがみ付く。だが攻撃を受け続けた事により体力を奪われ、逆にヴィクティムに捕まってしまう。アーネストは自分を目標に攻撃を撃てとガルイースに指示する。ガルイースも攻撃を受けながらも、アーネストを助ける為ヴィクティムに挑んでいこうとした瞬間にティーラのEXが発動した。
ティーラがEXの能力を発動し空間時間を止め、ヴィクティムにトドメの一撃を刺した。敵は倒せたのだが、アーネストの機体はボロボロになっていた。ガルイースは自分の軽はずみな行動に怒りが収まらず、「ヴィクティムを一つ残さず倒す」と言い涙を流しながら乱射する。それを見たティーラはガルイースの機体の動きを強制的に止めた。

戦闘を終えアーネストの機体の中を確認すると、深く傷を負ったアーネストは命を落としていた。皆は悲しみに包まれ、ガルイースは自分に対する怒りを抑えられずにいた。リペアラーのチューンも悲しみに包まれていた。この戦いが終わった後にアーネストに自分の想いを伝えようとしていたのだ。だが最後までアーネストに好きという気持ちを伝えられなかった。テレパシー能力のあるアーネストに心を読まれないように好きという気持ちを隠していた。アーネストが誰よりもガルイースの事を大事にしているのを知っていたから、自分の気持ちを優先出来なかったのだ。最後のお別れの際、アーネストに告白をして顔に優しくキスをした。

『女神候補生』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実にキョーミ深い

女神候補生のクレイは眼鏡を上にあげ「実にキョーミ深い」というのが口癖。情報収集や分析力が優れていて、興味があることに遭遇するとメモを取ったり、自分の知ってる情報を教えるのも好きで、よく喋る様になる。クレイの話は難しいのと、説明が長すぎる為、誰にも聞いて貰えず最終的には一人で勝手に喋っている事が多い。

EXの能力により別人に変化?

左が入学当初、右がEXの能力を使った後のルズ

ゼロの同期であるルズ・サワムラは入学当初、肥満気味だったのだが、パートナーのレッカ・トーシングの指導の元、見事に痩せて戻ってきた。なぜ痩せられたのかというと、ルズのEX能力が変身能力であり、体を変身により痩せ型に変化させていたのだ。だがこの事は悪用される可能性がある為、皆には秘密にさせられていた。この特殊能力を使いゼロになりすまし機体に侵入した際、認証スキャンをクリアし機械ですら騙せるほどの能力を発揮した。

ヒイードとイクニの関係

イクニの発言に怒りを露わにするヒイード。

イクニはゼロとキズナのペアの様に自分達も仲の良いコンビになりたいと思っていた。ヒイードの事が気になり距離を縮めたいと思っていた。イクニは彼を心配して訓練中の精神波の乱れがあった事をヒイードに話すと「余計な事はするな」「リペアラーとしての役目だけしていろ」などキツイ言葉や態度でイクニを追い込んでいく。

追い込まれたイクニだったが、ヒイードを裏切る事が出来ずにいた。イクニは次第に他の同期を蹴落とし、悪い事をしてでもヒイードの役に立ちたいという考えに変わっていった。キズナは訓練前にイクニの様子が少しおかしいと気づいていたがあえて聞かずにいた。この時イクニはゼロとキズナに対し、二人のコンビネーションの良さに妬みにも似た感情を抱いていた。ヒイードの為に手段を選ばなくなってしまったイクニがゼロの機体に忍び込み、機体の設定などを勝手に変え、戦闘に支障が現れるように細工をしていたのだ。

本来なら普通に訓練するはずだったのに、今回は候補生達にも緊急要請が入り、ヴィティムを倒す為に出撃する事となった。イクニがゼロの機体に細工したことに気付かないまま宇宙に飛び立っていく。候補生達は、群から離れたヴィクティムを迎え撃つように指示を受けていた。初めての実践に緊張する候補生達。

その時、ゼロの機体は動作を読み取るスキャナの調子が悪く、キズナとの通信も悪く、最終的に音声が途絶えてしまう。バランスを失ったゼロの機体はZIONの方へと落下していってしまう。ゼロはスキャナの調子を合わせ自力で落下を回避したのだが、気がつけばヴィクティムの群れの中に入ってしまった。この危機的状況の中、ティーラのEXが感応し、ヒイードを呼び寄せ、ゼロの危機を救った。ゼロとヒイードはEXを発動させ3人でヴィクティムを倒す事が出来た。
戦いが終わり勝手な行動に出たゼロ達はアズマ教官に厳しく怒られた。キズナはイクニが侵した過ちに気付いていた。この行為は本来なら妨害行為にあたり、厳罰を免れないのだが自分の整備不備が原因と責任を取るようにした。そしてゼロにも責任を押し付け一緒に処罰を受けるようにした。一方イクニはヒイードに解ってもらえない悔しさと行き場のない想いから感情を抑えられず泣きながらその場を去っていった。

『女神候補生』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):朝川朋之「希望の星をめざせ!」

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