パパと親父のウチご飯(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『パパと親父のウチご飯』(パパとおやじのウチごはん)は、豊田悠によるハートフルフード漫画。『月刊コミック@バンチ』(新潮社)にて、2014年から2020年まで連載された。元カノから娘・愛莉を預けられた整体師の千石、妻と離婚し息子・清一郎を引き取った編集者の晴海。シングルファーザーとして子育てに奮闘する2人は、互いの利害の一致からルームシェアを選択した。全員が抱える様々な問題を、料理を通しながら子どもたちと心を通わせ、次第に家族になっていく心温まるストーリー。
晴海 清一郎(はるみ せいいちろう)
晴海の息子。優しくて聡いタイプ。加えて無口で引っ込み思案。しかし運動神経はいい。外見は両親のミックスに近い。身長は5巻時点で100センチメートル。
絵を描いたり本を読んだり、陶芸などが好き。
また水族館で泳いでいる魚を見た後、スーパーで死んでいる魚を見て怖がったりもしていた。晴海が「食というのは命をいただく行為で、感謝するものだよ」と教えたところ、それ以降は命を感じながら感謝して食べる姿が描かれている。
当初は晴海と同じく、なかなか自分の気持ちを言えない性格だった。また愛梨に振り回されても、されるがままになっていた。しかし、次第に自分の気持ちを言ったり、愛梨へ対等にやり返すことができるようになる。幼稚園で他の子に晴海のことをからかわれた時も、勇気を出して言い返していた。
晴海が離婚した理由を清一郎にはっきりと話しておらず、「母親とは単に喧嘩をして別々に暮らしているだけ」だと思っていた。今まで愛梨と喧嘩をした時も、一緒に料理をしているうちに仲直りができていた。そのことを思い出して、清一郎は、晴海と涼子を一緒に料理させようと考える。
結果、一緒に料理はしたものの仲直りが出来ないと知りひどく落ち込む。離婚というものを完全に理解したわけではなかったが、もう2度と一緒に暮らせないことは分かっていた。
それを知った数日は食欲もなくなり、ふさぎ込んでいた。それでも少しずつ自分の気持ちを晴海に打ち明け、ゆっくりと両親が離婚した事実を受け入れていく。
中学生になってからも、表情があまり顔に出ない物静かなタイプである。晴海に似て優しく、理論的な話し方をしている。
料理教室dan-dan
檀 ゆかり(だん ゆかり)
千石たちが通う料理教室の講師。商店街でカフェ「dan-dan」を営む。商店街で偶然出会い、千石に「子供に野菜を食べさせる方法」をアドバイスしたことで知り合う。
美人かつ胸が大きいため、男性から言い寄られることが多い。おっとりした見た目と話し方だが、芯がしっかりとあって聡い一面もある。高校生の妹・茜がいる。
小さい頃から料理を作ることが好きで、大人になってからはその国の料理を食べるためだけに海外に飛ぶこともある。
実父は幼少期に離婚し、その後、母は中華料理人と再婚した。しかし義父が酒乱で母や妹に暴力を振るったため、「義父が酔ってきた勢いで襲ってきた」という狂言で離婚に踏み切らせた。そんな過去もあり、義父の影響で男性が苦手で興味もなかった。男性に頼ることにも抵抗があったが、晴海や千石たちと接するようになり、少しずつそれは薄れていく。第11巻では、重たいものを運んでもらう時など自然に男手を借りられるようになった。
勉強が苦手で、好きな料理のことならと料理の専門学校を卒業後にカフェを開いた。しかし店を開くために必要な書類提出の多さ、経理のことなどで開業を苦戦した経験から、妹の茜にはやりたいことをよく考えて将来を決めてほしいと思っている。
仕事が好きで働いているだけだが、それにより茜から「うちにはお金がないから、姉も母も働いている」と思われている。それほど料理や店のことは好き。
檀 茜(だん あかね)
ゆかりの妹。登場時は高校2年生。卒業後は大学に進学し、在学中に管理栄養士を取得しようとしている。姉と同じく美人。
姉思いで、当初は特に乱暴な千石を警戒し、痴漢狂言で姉の店から追い出そうとしたこともある。その後、千石の父親らしい一面を知り、少しずつ千石を信用していく。
思ったことを口に出さずにいられない性格で、そのため友達付き合いが昔から苦手である。しかし高校で春風と出会い、ずけずけと物を言っても引かない春風に負けたような形で友人になる。
高校3年生になった頃は進路に悩み、春風から「何をしているときが楽しいか」と聞かれる。強いて言えばと茜の頭に浮かんだのは、姉と料理をしている時だった。そのため、姉の店を手伝いたいと姉に言ったが反対される。ゆかりから「私に甘えていないで、自分の将来は自分でちゃんと考えなさい」と言われ、実際にその言葉は茜の本心を突いていた。
茜はもちろんゆかりと料理をしている時間は楽しいが、それが将来の夢かと聞かれれば悩んでしまう。自分の気持ちが分からず、ゆかりに冷たくされたことから家を飛び出し泣いた。
その先で千石と出会う。千石は茜の話を聞いた上で、ゆかりなりに茜の将来を思って言っているのだと考え茜にアドバイスした。千石も過去、師匠に「店を継いでやる」と発言したところ「お前なんか中途半端なもんに継がせるなら、俺の代で店を畳む」と怒られていた。師匠は自分の店に誇りがあること、千石に「継いでくれ」と言わないことで千石を縛らないようにしていたこと。ゆかりも師匠と同じような気持ちではないのかと、千石は茜に話した。それを聞いた茜は納得し、ゆかりの元へと帰った。
改めてゆかりと話す茜。ゆかりは「勉強が出来るうちは勉強をして欲しい、私の店のことを気にして安易に将来の夢を決めて欲しくない」という気持ちから反対していた。
確かにゆかりと料理することは、茜の楽しいことだ。しかし、やりたいことかと言われれば微妙だった。そのため色々な経験をしてみようと大学に進学した。
千石の関係者
真希(まき)
千石の元カノで愛梨の母親。職業はエステティシャン。明るくて優しい性格。また、料理上手。「インドのエステを知っておきたい」と思ったら、すぐに行くほどのアクティブな性格。
日本で働いていた時、高額プランや高額機器ばかり勧める店の方針と合わず退職。心からリラックスできる店を目指したいと、自分で店を開こうと本格的に開業の勉強を始める。
千石と出会い、金欠な千石を心配して同棲していた。愛梨を身籠ったころ、千石が師匠の死で荒れていたため言い出せず、別れた後一人で愛梨を産み育てた。その後、どうしても夢を諦めることが出来ず、愛梨を千石に預けて出国した。
しばらくは忙しく、なかなか日本に帰れないことが続いた。スマホで千石と愛梨に連絡は取っていたが、返事はかなり遅い。
ついにハワイで念願の店を開くが、アルバイトにお金を持ち逃げされたりスマホをスられたりと何かとトラブルに巻き込まれていたこともあった。
店も落ち着いてきたところで、日本へ一時帰国。愛梨と再会し、のびのびと成長している姿を目の当たりにする。それによって母親としての罪悪感のようなものが芽生え、店を辞めて日本へ完全帰国しようと考えていた。しかし愛梨から「親父たちと清一郎とも居たいし、ママとも居たい」と言われる。それを聞いて真希も「店と母親としての役割を両立させる」と決めて、ハワイに留まりちょくちょく帰国するようになった。また愛梨たちが長期休みの時は、ハワイに招いている。
千石の師匠
高校時代、荒れていた千石を拾って雇い、家庭の暖かさと整体を教えた。愛妻家で、野良猫などをすぐ拾ってくる性格。好物はハンバーグ。命日は秋。
頑固で喧嘩っ早く、千石とは度々喧嘩をしていた。
千石も当初は不真面目で、整体院の仕事をサボったり抜け出したりしていた。それでも師匠は千石のことを諦めず、衝突しながらも絆を深めていった。
怪我をして店を休むことになった時も、中途半端な気持ちで店を継ごうとしている千石を怒った。そして「お前みたいな中途半端な奴に店を任せるなら、俺の代で終わらせる」とはっきり言い放った。
厳しい反面、千石のことは息子のように大切に思っていた。最期まで千石のことを縛りたくないと、店を継いで欲しいとは一切言わずに亡くなる。
師匠の奥さん(杉田)
苗字は杉田。優しい性格で、野良猫を何匹も世話をしている。料理上手。
千石は命日に限らず時々杉田家を訪問し、毎月の売り上げの一部を渡している。杉田は「店を継いでくれただけで嬉しいから、お金はいらないわよ」と断っている。
千石の母とも面識があり、たまに家で千石や愛梨たちの話をしている。そこから千石の母が、幼稚園まで愛梨に会いに行った。その件を千石に伝えて、謝罪した話もある。
娘は遠くに嫁いでおり、孫がいる。
阿久津 竜也(あくつ たつや)
千石整体院のアルバイト。未成年。高校時代はバスケットボールで、県大会でいいところまで行った。しかし試合中の怪我でアキレス腱を酷く損傷。バスケ選手になる夢を断念した。
その後荒れた生活を送っていたところ、樹里に拾われ半ばペットに近いヒモ生活を送っていた。
樹里に新しい彼氏ができ、家を追い出される。金が必要になったことから、千石の元でアルバイトを始める。
当初は千石の話も聞かず、遅刻をする、サボるなどの不真面目な様子だった。
ある時、千石は樹里から返済を迫られている阿久津の姿を目にする。仕事は不真面目で、女性関係の問題もあると千石は手を焼いていた。しかし、阿久津のそんなふらふらした姿が千石の過去を重なる。千石は師匠のように阿久津を見放さないと、阿久津の世話を焼くようになる。そこから家に招いて料理を振る舞ったり、家が見つかるまで店での寝泊まりを許可した。
阿久津も千石を試すようなことをしたり、距離を取ろうとするが全く引かない千石に少しずつ心を打ち明けていく。
ある時、樹里の新しい彼氏が阿久津に金を取り立てに来た。阿久津は手持ちがないことを話すと、彼氏は整体院の金に手をつけようとする。
そこで揉み合いになり、怪我をするが店の金は守っていた。事情を千石に話すより逃げた方が早いと、千石に「店を辞めたい」と切り出す。しかし千石は「本当に辞めたいように見えない」と阿久津の心を見抜き、事情を話させた。
樹里とも彼氏とも一度腹を割って話すべきだと感じた阿久津は、千石たちに「頑張ってくるんで背中押してください!」と背中を押してもらう。頭を丸め、樹里の元へ行き土下座をした。そして金を返すこと、真面目になることを約束した。樹里もその姿に胸を打たれ「出世払いで返してよね」と許した。
ちなみに整体の仕事を選んだのは、怪我のリハビリの整体師が良い人だったことや、面倒を見てもらっていたお礼に樹里へマッサージをしていたことから。性格はチャラく、ホストをしていたこともあり女性の扱いが上手い。また子どもの扱いも上手いので、愛梨と清一郎の遊び相手にもなっている。
千石の母
夫が酒乱でDVだったため、千石が8歳の時に離婚。家を飛び出し、女手一つで千石を育ててきた。
料理も家事も苦手で、唯一作れる料理は焼きそば。それも滅多に作らない。
千石が小さい頃は、水商売で生計を立てていた。その生活費も千石にかかるお金と、酒に消えていった。千石に向き合えず、千石が小さい頃からネグレクト気味であった。度々男を家に連れ込んだり、熱を出した千石を置いて仕事に行ったりした過去がある。
そのため千石が高校生になり、不良になったのは自分のせいだと思っている。また千石が喧嘩をして怪我をすると心配する気持ちはあるものの、どう接していいか分からない。
千石が愛梨を預かって育てていると杉田から聞き、こっそりと幼稚園まで愛梨を見にいった。
そこに偶然、晴海が現れ連絡先を聞かれる。それを千石に渡すものの、千石は拒否した。後日、晴海に呼び出された母はファミレスで清一郎や愛梨のアルバムを眺める。その様子を見た晴海が「やっぱりもう一度、千石くんと話すべきです」と母を家に招いた。
千石が子供達を連れて家を出ている時、晴海と千石の母は料理を始める。料理初心者でも簡単な、手巻き寿司を2人で作った。しかし帰ってきた千石に「なんでここにいるんだ、愛梨にも近づくな」と拒否されてしまう。
その後、もう一度千石から会う機会をもらい、愛梨たちとピクニックへ行く。千石は「子供の頃、あんたの愛情がなくて寂しかった。だけど今は晴海や清一郎、愛梨もいるから大丈夫」と気持ちを打ち明けられる。その言葉に反省と後悔、許された喜びが混じる。こうして千石とゆっくり話せたことで、少しずつわだかまりが溶け、親子の関係を修復していった。
その後も、時々お菓子を持って千石の家に遊びに行くなど、交流は続いている。
晴海の関係者
涼子(りょうこ)
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目次 - Contents
- 『パパと親父のウチご飯』の概要
- 『パパと親父のウチご飯』のあらすじ・ストーリー
- 二人の父親
- 料理教室
- 千石の苛立ち
- 親と向き合う
- 中学生の清一郎と愛梨
- 『パパと親父のウチご飯』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 千石 哲(せんごく てつ)
- 晴海 昌弘(はるみ まさひろ)
- 愛梨(あいり)
- 晴海 清一郎(はるみ せいいちろう)
- 料理教室dan-dan
- 檀 ゆかり(だん ゆかり)
- 檀 茜(だん あかね)
- 千石の関係者
- 真希(まき)
- 千石の師匠
- 師匠の奥さん(杉田)
- 阿久津 竜也(あくつ たつや)
- 千石の母
- 晴海の関係者
- 涼子(りょうこ)
- 保岡
- 晴海の母
- 晴海の父
- 山代 尊(やましろ たける)
- 愛莉と清一郎の同級生
- 信行(のぶゆき)
- 中村 さくら(なかむら さくら)
- てぃあら
- 健(たける)
- その他
- 健ママ
- 春風(はるかぜ)
- 樹里(じゅり)
- ハル
- 『パパと親父のウチご飯』の用語
- 店・施設
- 千石整体院
- 真潮出版
- カフェ dan-dan
- 幼稚園
- 高千穂牧場
- cafeレストラン ゲスト
- 調理器具
- ブレンダー
- 型抜き
- 『パパと親父のウチご飯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 千石哲「ウチは変だ」
- 愛梨「へんだけど、ちょーたのしーもん」
- 健ママ「晴海さんも千石さんも立派な父親です」
- 晴海昌弘「清一郎のこと世界で一番大好きだから」
- 晴海昌弘「僕は1人じゃないから」
- 真希「おかえり!」
- 千石哲「愛梨を産んでくれてありがとう」
- 『パパと親父のウチご飯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者・豊田悠も燻製にハマる。
- 宮崎弁の監修は株式会社読書人の黒木重昭