ドラゴン怒りの鉄拳(Fist of Fury)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドラゴン怒りの鉄拳』とは、1972年制作の香港映画。前作『ドラゴン危機一発』の大ヒットで一躍、香港のトップスターとなったブルース・リー主演の一連のカンフー映画の第2作目。日本公開は1974年。日本帝国主義が横行している1900年代初頭の上海を舞台に、中国武術の道場「精武館」を潰そうと企む日本人武術家一派に恩師を殺された青年が復讐を果たすため、単身で一派に立ち向かう姿を描く。

虹口道場のスパイとして精武館の使用人として潜り込んでいた男。
ウーからの指示でティエンに毒入り菓子を作らせた。

ティエン(演:ワン・チュン・シン)

日本人の料理人。
ホーの毒殺用の菓子を作った男。迷縦拳という拳法を探るため、虹口道場のスパイとして精武館の料理人に成りすまして潜り込んでいた。
虹口道場の師範・吉田の弟でもある。

警察署長(演:ロー・ウェイ)

上海警察の警察署長。
フェンとティエンの殺害事件において、日本領事館からの要請で精武館に対しチェンを差し出すよう命令する。
中国人なので精武館を責めたくないのが本心なのだが、職務上日本人に逆らうことが出来ずに苦悩する。

『ドラゴン怒りの鉄拳』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

炎に照らされた美しいラブシーン

行方をくらましたチェンを精武館の門下生たちが探し始めたその夜、ユアンは近くの墓地でチェンを見つけた。チェンとは幼馴染であり、常に彼の行動を気にかけているユアンは、チェンに精武館に戻るよう説得するが、彼は頑なに口を閉ざす。ユアンはそんな彼に、幼い頃から将来一緒に家庭を持つことを夢見ていた話をし、お互いに思いを寄せる二人は見つめ合い口づけをして愛を確かめ合った。

冒頭から一貫して復習劇となっている本作の中にあって、唯一ホッとできるチェンとユアンの2人の愛のシーン。寂しい夜の墓地でありながら焚き火の燃える炎に照らされた中での美しい愛のシーンとなっている。

チェンが電話の修理人

虹口道場への復讐の行動に出たチェンは、手始めにウーに彼が鈴木に頼まれてホーを殺したことを白状させ殺した翌日、電話線の工事業者になりすまし、電話の修理で虹口道場に潜入。内情を探りながら初対面となる館長の鈴木がどんな男なのかを確認した。

復讐に燃えるクールなチェン像を演じていたブルース・リーが、突然、変装した姿で現れ、コミカルな動きで笑わせてくれる。他の主演作では観ることのないお茶目なリーにお目に掛かれる貴重で印象深いシーンとなった。

鈴木との対決

意を決して虹口道場に乗り込んだチェンは、日本刀で斬り掛かる吉田や鈴木の用心棒、客人として来ていたロシア人の武闘家を悉く血祭りにあげ、いよいよ鈴木との対決を迎えた。チェンの圧倒的な強さに恐れをなした鈴木は日本刀で立ち向かう。チェンも必殺の武器であるヌンチャクで対抗する。壮絶な戦いの末、最後は素手での殴り合いとなるが、チェンの必殺の飛び蹴りが炸裂し、吹っ飛んだ鈴木はそのまま絶命した。

吉田、鈴木の用心棒、ロシア人の武闘家によるチェンとのファイティングシーンが続き、そのクライマックスとなる鈴木との闘いは、日本の建築や庭園、日本刀と、すべてが日本をイメージした背景の中で行われる。息つく暇も無いぐらいに連続して炸裂する、ブルース・リーのカンフーアクションを存分に堪能できる名シーンといえるだろう。

衝撃のラストシーン

チェンが虹口道場で日本人たちを殺したことで日本領事館が動き出した。警察署長と精武館にやって来た日本領事はチェンの自首を要求し、さもなくば精武館を閉鎖し、門下生たちの命は保証しないと言う。そこへこっそりと姿を現したチェンは「俺が自首すれば精武館は潰されずに済むのか?」と警察署長に確認すると、彼は「約束する。俺も中国人だからな」と答えた。頷いたチェンは日本領事にも「精武館には絶対手を出すな!」と念を押し、ゆっくりと外へ出た。だが、門の外には大勢の日本の憲兵や列強の外国人がチェンに銃を向けていたのだ。その状況にチェンは怒りが込み上げ、彼らに向かって走り出すと、一斉に銃弾の音が鳴り響いた。

怒りに震えるチェンの死は、死を見せないという英雄の姿で直前のストップモーションとなった。映画史上に残る感動のストップモーションでありラストシーンである。

『ドラゴン怒りの鉄拳』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

製作上のエピソード

本作の製作上には以下のような数々のエピソードがある。

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@7mnatsuzora

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