世界一初恋(セカコイ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『世界一初恋』とは、中村春菊が角川書店の雑誌「エメラルド」で連載しているボーイズラブ漫画・小説、アニメ。
少女漫画の編集部を舞台に、5組のカップルが繰り広げるドタバタ恋愛劇を描く。
小野寺出版の跡取り息子・小野寺律(おのでら りつ)は丸川書店に転職したが、文芸ではなく少女漫画を扱うエメラルド編集部に配属されてしまう。そしてエメラルド編集部の編集長・高野政宗(たかの まさむね)は、高校時代に律が初めて付き合った初恋の人だった。

『世界一初恋』の概要

『世界一初恋』とは、究極の初恋をテーマにしたボーイズラブストーリーである。
第一期(全12話)が2011年4月から、第二期(全12話)『世界一初恋2』が2011年10月からアニメ放送された。
2014年3月には、劇場版『世界一初恋 〜横澤隆史の場合〜』が公開された。
中村春菊が描く漫画が原作で、角川書店刊行の雑誌「エメラルド」で連載している。
また「恋愛ストラップ」や「純情ロマンチカ」で有名な藤崎都先生による小説版は、角川書店刊行の「角川ルビー文庫」で連載している。
『世界一初恋』は、以下のとおり副題が5つあり5組のカップルの恋愛模様をシリーズ化して描いているのが特徴。
また、1組のカップルは劇場版として映画化された。

小野寺律の場合

小野寺出版の跡取り息子である小野寺律(おのでら りつ)は、高校時代の初恋が破れたことがトラウマとなり「二度と恋なんかしない」と心に決めていた。
丸川書店に転職した律は少女漫画専門のエメラルド編集部に配属されてしまう。
律は、傲慢で自信家の編集長・高野政宗(たかの まさむね)に反発しながらも徐々に漫画編集の仕事を覚えていく。
そんな中、政宗が高校時代の初恋の人だとわかった律は、「これは恋なんかじゃない」と否定しながらも、良い本を作って売るという律のしたかったことを実際にこなしている政宗に惹かれていく。

吉野千秋の場合

漫画家の吉野千秋(よしの ちあき)は、エメラルド編集部の人気少女漫画家。
幼馴染で編集担当の羽鳥芳雪(はとり よしゆき)を友人としても担当編集としても信頼し依存しきっていた。
ある日、千秋は、羽鳥と自分のチーフアシスタント・柳瀬優(やなせ ゆう)が路地でキスをしているのを目撃する。
千秋が羽島と優は両想いと勘違いしたことから三人の友情関係はギクシャクする。
漫画の入稿が終わった花火大会の日に、羽鳥は千秋に28年間ずっと好きだったことを告白し、千秋がそれを受け入れて恋人になる。
千秋を好きな優との三角関係を乗り越えて、千秋と羽鳥は絆を深めていく。

木佐翔太の場合

エメラルド編集部の編集者・木佐翔太(きさ しょうた)は、『ブックスまりも』でバイトしている美大生の雪名皇(ゆきな こう)に一目惚れして書店に寄っては見とれていた。
書店で営業部の横澤隆史(よこざわ たかし)と偶然出会い、木佐は横澤から雪名に紹介され話すきっかけができた。
以前付き合った男性が千秋に殴りかかるのを助けた雪名は、木佐に告白し二人は付き合うようになる。
女性にモテる雪名に嫉妬したり年の差を感じてネガティブになったりする木佐を雪名は大らかに包み込み、二人は結ばれていく。

純情ミステイク

丸川書店の御曹司・井坂龍一郎(いさか りゅういちろう)は、子供の頃から遊び相手として井坂家にやって来た世話役の朝比奈薫(あさひな かおる)に想いを寄せている。
井坂の父親と話すときの嬉しそうな朝比奈の表情から、朝比奈は井坂の父親のことが好きなのだと井坂は思っていた。
ある日、井坂は朝比奈にキスをして拒まれてしまう。
朝比奈は井坂の世話役と編集の仕事を辞めて井坂の父親の秘書になる。
しばらくして朝比奈が丸川書店を辞めると聞いた井坂は、朝比奈を止めようとする。
その時、お互いが両思いであることを知り二人は恋人になるのだった。

横澤隆史の場合

劇場版 『世界一初恋 〜横澤隆史の場合〜』として2014年3月に公開された作品。

親友の高野政宗にふられた横澤隆史は、その日の業務後に立ち寄った居酒屋で丸川書店ジャプン編集部の編集長・桐嶋禅と遭遇し、意気投合して飲み明かす。
翌日、横澤が目を覚ますと、桐嶋のベッドだった。
その日以来、横澤はいじめっ子気質の桐嶋に迫られる。
横澤も次第に桐嶋を意識し始め、桐嶋の一人娘・ひなの面倒を見に桐嶋家に通うようになり、横澤と桐嶋の心の距離が近づいていく。

バレンタイン編

劇場版 『世界一初恋 〜横澤隆史の場合〜』と併映されたミニムービー『世界一初恋 〜バレンタイン編〜』。

横澤隆史×桐嶋禅、吉野千秋×羽鳥芳雪、木佐翔太×雪名皇、小野寺律×高野政宗の4組が織り成すバレンタイン模様を描く。

横澤は桐嶋の娘・日向と一緒にバレンタイン用のガトーショコラを作り、帰宅した桐嶋にチョコを要求され自分用に作ったと偽って霧島にチョコを渡す。
喜ぶ桐嶋に鼓動が高鳴る横澤だった。

千秋のためにバレンタインチョコを手作りするのが恒例となっていたが、忙しくて手作りできなかった羽鳥が千秋の家に行くと、なんと千秋が手作りチョコを作っていて嬉しく思う羽鳥だった。

木佐はモテる雪名はたくさんチョコをもらっているだろうとチョコを用意していなかったが、雪名は女性たちからのチョコを断り手作りチョコを木佐に渡す。
お礼に木佐からのキスがほしいという雪名にハードルが高いと渋っていた木佐だったが思い切って自分から雪名にキスをした。

律は政宗にチョコを渡すかどうか迷っていたが、政宗が女性たちからたくさんチョコをもらっているだろうと勘違いしてカレーを政宗にご馳走することにした。
律がカレーにチョコを入れたことを知った政宗は喜び、政宗の嬉しそうな顔を見た律はそれを嬉しく思うのだった。

『世界一初恋』のあらすじ・ストーリー

小野寺律と高野政宗1

小野寺出版の跡取り息子・小野寺律(おのでらりつ)は小野寺出版で好成績をあげていたが、周囲から「コネ入社」と言われるのが嫌になって、丸山書店に転職した。
前の出版社と同じ文芸編集をやりたかったが、少女漫画を扱うエメラルド編集部に配属になってしまった。
律が漫画編集が初めてだと知った編集長の高野政宗(たかのまさむね)は、代理原稿の受け取りに律を同行させた。そこで作家にキスシーンの書き直しを要求し、手本としていきなり律にキスをした。

「自社の作品を全部暗記する」と言う律が「学生の頃、図書館の本を全部読んでいた」と言った言葉に、正宗は学生時代付き合っていた律ではないかと思う。

入稿が終わり2人で話していると、政宗が律を押し倒してキスをした。高校の時付き合っていたことに気が付かない律に政宗は、親の離婚で苗字が「嵯峨」から「高野」に変わったと告げる。
やっと政宗が初恋の相手だったと気が付いた律は、高校時代のことを責めた。律は「好きか」という問いに鼻で笑った政宗に傷つき、学校に行けなくなり留学していたのだった。しかし、鼻で笑ったのは政宗の照れ隠しだった。
政宗に「もう一度、お前に好きと言わせてやる」と言われ、律は「これは恋じゃない」と自分に言い聞かせた。
律は心機一転、引っ越しをすることにした。荷物を整理しコンビニに行こうと部屋を出ると、隣の部屋から政宗が出てきた。部屋が隣ということに驚き、胸の高鳴りを抑えることができない律だった。

律は政宗のことを意識しすぎて避けてしまっていた。帰宅する時、会社のロビーで親し気に話す政宗と横澤隆史(よこざわたかふみ)に動揺し足早にその場を去った。
担当作家のネームを政宗に見てもらうため部屋を訪ねた律は、なぜ避けるのか聞く政宗に「彼女がいる」と答えたが嘘だとキスをされてしまった。
政宗を払いのけて玄関のドアを開けると、そこに横澤が立っていた。横澤を気にしながら律は部屋へ戻った。

翌日、律に担当作家からアシスタントがインフルエンザに罹ったため、締め切りに間に合わないと連絡が入った。原稿を諦めきれない律は、北海道へ手伝いに行くことを決めた。横澤は反対したが政宗は許可してくれた。なんとかギリギリで入稿した律を政宗は労った。信じていてくれた政宗に律の心は動いた。
大学時代に政宗が荒れた生活を送っていたことを知っている横澤は、政宗を心配し原因の律に「関わるな」とけん制した。事情が分からない律は、横澤と政宗の関係が気になった。
政宗と帰宅途中寝てしまった律は、朝目覚めると横に政宗が寝ていて動揺した。

吉野千秋と羽鳥芳雪1

少女漫画家の吉野千秋(よしのちあき)は、ネームをエメラルド編集部の羽鳥芳雪(はとりよしゆき)に見てもらっていた。詰め込みすぎだと指摘を受け、ネームを直すため自宅に戻り、一緒に食事をすることにした。
そこへ中学時代から羽鳥と仲が悪い、千秋のチーフアシスタントの柳瀬優(やなせゆう)が訪ねてきたので、羽鳥は先に帰った。
優も千秋に「羽鳥に依存しすぎだ」と言い帰っていた。
羽鳥も優も自分のことが好きだと全く気付いていない千秋だったが、羽鳥の好きな人は気になっていた。

ある日編集部に行った千秋は、羽鳥と優がキスしていると勘違いしてしまった。
制作は進まなかったがアシスタントを全員帰し、物思いにふける千秋に羽鳥から電話が入る。優から「千秋の様子が変だ」と聞いた羽鳥が電話をしてきたのだった。2人が付き合っていると思い込んでいる千秋は、イラつきながらそのままソファーで寝てしまった。目が覚めた千秋は、羽鳥にキスをされていて驚いた。

羽鳥の誘いを受け千秋は花火大会へ行った。花火がよく見えるスポットに移動すると、羽鳥が「原稿が遅れた原因は自分にあるので担当から降りる」と言い出した。
そして、羽鳥はずっと好きだったことを千秋に打ち明けた。それを聞き羽鳥と優が付き合っていると思っていたのは、自分の勘違いだと千秋は気付いた。
羽鳥が自分から離れていくのが嫌な千秋は、羽鳥を受け入れられる証明としてキスをする。そして自宅に戻り一夜を共にした。

丸川書店の新年会で、優が羽鳥のことを好きではないことを知り千秋は安堵する。新年会の後残るように羽鳥に言われていたが、女性に囲まれて楽しそうにしている羽鳥を見て、千秋は先に帰ってしまった。
千秋は家に来た羽鳥から香水の匂いがするのに嫉妬し怒りをぶつけた。優と千秋に嫉妬していた羽鳥も怒り、言い合いになった。しかし、千秋の「キスをするのも、されるのもお前がいい」という言葉で仲直りした。

小野寺律と高野政宗2

残業していた律を指導していた政宗は、愛しさが募ってキスをしてしまう。そこへ横澤が来て、1人になった律に「政宗は自分のものだ」と宣言した。
仕事に没頭しようと出かけた「ブックスまりも」で、前の会社で同期だった女性に会った律は、一緒に飲みに行くことにした。飲みに行った先で女性と一緒にいた政宗を見かけ、モヤモヤするが気のせいだと家に帰った。
律を自宅の前で待っていた政宗は、女性と飲みに行ったことを責め、強引に部屋に連れ込んだ。言い争いになり「横澤に関係を誤解されている」と言う律に、政宗は「横澤とは友達だ」と返して、律の気持ちを問いただした。自分の気持ちを隠そうとする律は、キスをされながらも騙されているだけだと思い逃げ出した。

木佐翔太と雪名皇1

男性しか好きになったことがないエメラルド編集者の木佐翔太(きさしょうた)は、「ブックスまりも」の店員・雪名皇(ゆきなこう)に一目惚れしていた。
雪名と書店で名刺交換をする機会があり浮かれていたが、以前付き合っていた男と揉めているところを雪名に見られてしまう。
逃げ込んだ喫茶店で、もう書店には行けないと思っていると雪名が声をかけてきた。「木佐と話したかった」という雪名が21歳だと知って30歳の木佐は落ち込んだ。
新刊フェアの話をしていると、雪名は木佐にキスをしてきた。

昨日のキスを思い出して仕事に集中できない木佐に、雪名から店に来てほしいとメールが来た。雪名に会わないようにこっそり店に立ち寄ったが、すぐ雪名に見つかり声を掛けられてしまった。待ち合わせたカフェにまたこの間の男が現れたが、雪名が助けてくれて彼の自宅へ行くことになった。
雪名は木佐が自分を目当てに書店に来ていたことを知っていた。「付き合ってくれと」と言われた木佐は戸惑うが、雪名に名前を呼ばれて「これが初恋かも」と思うのだった。

吉野千秋と羽鳥芳雪2

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