RCサクセション(RC Succession)の徹底解説まとめ
RCサクセション(RC Succession)とは、1970年にデビューした日本のロック・バンド。ヴォーカリストの忌野清志郎とギタリストの仲井戸麗市を中心に、数々の名曲・名盤を残してきた。現在でも多くのミュージシャンが影響を受けたバンドとして名前を挙げている。1991年に活動休止状態に入り事実上の解散。2009年5月2日、忌野清志郎の死去により、RCサクセション復活の夢は永遠に絶たれた。
Side A
1. 或る日突然(トワ・エ・モワ)
2. 七つの水仙(トワ・エ・モワ)
3. 倖せの日々(ロック・キャンディーズ)
4. 青い世界(ノイズ・ハミング)
5. はだしの少年(ティンカーズ)
6. ほんとだよ(遠藤賢司)
7. 君のおもかげ(ザ・リガニーズ)
Side B
1. 花ちゃん(ザ・リガニーズ)
2. ぼくのそばにおいでよ(加藤和彦)
3. ふるさとのおかあさん(リトル・マギー)
4. 希望(フォー・セインツ)
5. どろだらけの海(RCサクセション)
6. 風(はしだのりひことシューベルツ)
7. さすらい人の子守唄(はしだのりひことシューベルツ)
*****
CD カレッジポップス・コンサート実況録音盤
*アナログ盤と同一
1969年8月29日渋谷公会堂で行われた「東芝カレッジ・ポップス・コンサート」の決勝の模様を収めたライヴ。
RCサクセションにとって、公式に発売された初めての音源がこれになる。
のちに発売されるスタジオ録音盤よりもテンポの遅いゆったりとした演奏になっている。
清志郎の歌声は伸びやかで、良くハモるコーラスが気持ちいい。
1969年前後というと、高度経済成長のしわ寄せから、大気汚染や水質汚染、自然破壊など公害問題が激化していた時である。水質汚染だと水俣病で多くの人が死亡しており、大気汚染だと1970年に東京で初めて光化学スモッグが確認されている。「どろだらけの海」は歌詞の内容から、そういった社会問題を取り上げた作品である。清志郎のラジカルな姿勢はすでに芽生えていたことの証である。また大きな社会問題を歌う中に「あの娘の水着も真っ黒け」といった非常に身近なフレーズを挟み込むことによって、「これは決して他人事ではなく、あくまでも自分たち自身の問題である」ということを喚起させるといった非凡な作詞の才能も、すでにこの頃から披露しているのが判る。
RC以外には全10アーティストが収録されている。
「トワ・エ・モワ」は1969年5月10日に「或る日突然」でデビューした男女のデュエット。
「ロック・キャンディーズ」は男2名・女1名によるトリオ。のちに「アリス」を結成する谷村新司が在籍。
「ノイズ・ハミング」は男4名によるフォーク・グループ。
「ティンカーズ」は女2名によるフォーク・デュオ。
「遠藤賢司」は日本のフォーク、ロック界の重鎮。残念ながら2017年1月13日に亡くなっている。ここに収められた「ほんとだよ」がデビュー曲。
「ザ・リガニーズ」は男5名によるフォーク・グループ。デビュー曲「海は恋してる」が最も有名。
「加藤和彦」は1967年に「帰って来たヨッパライ」でデビューした「ザ・フォーク・クルセイダーズ」のメンバー。彼も日本の音楽界に多大なる貢献をしてきたが、2009年10月16日に首を吊って自殺してしまった。
「リトル・マギー」は男4名によるフォーク・グループ。
「フォー・セインツ」は男4名によるフォーク・グループ。「小さな日記」が最も有名。
「はしだのりひことシューベルツ」は加藤和彦とともに「ザ・フォーク・クルセイダーズ」としてデビューしたはしだのりひこが結成した男4名のフォーク・グループ。ちなみにこの日のライヴの司会者「北山修」も「ザ・フォーク・クルセイダーズ」の出身。
アナログ盤はすでに廃盤。2007年8月8日に初回限定生産としてCDが発売されているが、これも現在は廃盤。
CDであれば中古で結構出回っている。アナログはごくたまに中古やオークションに出品されることもある。
1970年
3月5日:シングル「宝くじは買わない」
Side A
1. 宝くじは買わない
Side B
1. どろだらけの海
RCサクセションのデビュー・シングル。
クレジットにある「肝沢幅一」は忌野清志郎のベン・ネーム。
詳細なレコーディング・データが残されていないので、バックの詳しいメンバーは判らない。ある記述によれば「当時のマネージャーが連れてきた伊勢田トリオがバックを担当している」としているが、別の記述によれば当時のマネージャーが連れてきた伊勢田トリオがバックを担当したが、最終的にはスタジオ・ミュージシャンの演奏に差し替えられた」となっている。A・B面ともにホーンが入っているので、「伊勢田トリオ」というトリオの編成では対応できないだろうと考えると、「伊勢田トリオ」の演奏をさらにスタジオ・ミュージシャンの演奏に差し替えた、といったところだろうか。いずれにしろ清志郎のヴォーカルと他のメンバーのバック・ヴォーカル以外はRCサクセションの演奏は収録されていない。
「宝くじは買わない」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:RCサクセションと彼の友達による楽曲。
歌詞は、ザ・ビートルズの「Can't Buy Me Love」をモチーフにしたと言われている。清志郎はここで「愛はお金では買えない」と大上段に正論を述べるのではなく「宝くじは買わない」という庶民レベルまで引き落として表現している。
ホーンが入っているのだが、少し耳障りに聴こえてしまう。
「どろだらけの海」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:RCサクセションと彼の友達による楽曲。
「カレッジポップス・コンサート実況録音盤」収録のライヴ・ヴァージョンよりもテンポ・アップされている。この曲も「宝くじは買わない」と同じでホーンは必要ないように思える。
12月5日:シングル「涙でいっぱい」
Side A
1. 涙でいっぱい
Side B
1. イエスタディをうたって
セカンド・シングル。
「イエスタディをうたって」は1982年3月21日発売のアルバム「HARD FOLK SUCCESSION」に収録されたが、「涙でいっぱい」は1989年10月11日発売のオムニバス・アルバム「極東ロック・レア・トラックス」に収録されるまで入手困難な状態が続いた。現在はこのオムニバス・アルバムも廃盤。
1990年にはRCデビュー20周年記念としてRCのアルバムが再発され、その際にアルバム購入者に抽選でプレゼントされた「RCサクセションの2度と手に入らない貴重な3曲入り8cmCD」に収録された。ちなみにこの3曲とは、「どろだらけの海」「涙でいっぱい」「やさしさ」であった。
2005年6月1日発売のベスト・アルバム「THE RC SUCCESSION BEST ALBUM WONDERFUL DAYS 1970-80」に収録されたことで、やっと安定供給されるようになった。
現在では「涙でいっぱい」「イエスタディを歌って」ともに、2015年11月4日発売の「初期のRCサクセション+4」で聴くことが出来る。
A・B面ともに歌も演奏もRC本人が担当している。RC以外のメンバーの演奏は入っておらず、よってアコースティック・ギター2本とウッド・ベースのみの演奏となっている。
「涙でいっぱい」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:RCサクセションによる楽曲。
余計な楽器が入っていない分、彼らの絶妙なコーラス・ワークを楽しめる1曲。
「イエスタディをうたって」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:RCサクセションによる楽曲。
こちらも3人だけの演奏なので、曲のすみずみまで彼らの魅力を感じることができる。特に破廉ケンチのブルージーなリード・ギターが絶品。
1972年
2月5日:シングル「ぼくの好きな先生」
Side A
1. ぼくの好きな先生
Side B
1. 国立市中区3−1(返事をおくれよ)
約1年ぶりにリリースされたサード・シングル。
デビュー・アルバム「初期のRC・サクセション」と同時発売され、彼らの初のヒット曲となった。
各楽曲の概要はアルバム「初期のRC・サクセション」を参照のこと。
2月5日:アルバム「初期のRC・サクセション」
Side A
1. 2時間35分
2. ぼくの好きな先生
3. 国立市中区3-1(返事をおくれよ)
4. シュー
5. 春が来たから
6. メッセージ
Side B
1. 国王ワノン一世の歌
2. この世は金さ
3. 金もうけのために生まれたんじゃないぜ
4 .言論の自由
5. ベイビーもう泣かないで
6. 寝床の中で
*****
CD 初期のRCサクセション+4
01. 2時間35分
02. ぼくの好きな先生
03. 国立市中区3-1 (返事をおくれよ)
04. シュー
05. 春が来たから
06. メッセージ
07. 国王ワノン一世の歌
08. この世は金さ
09. 金もうけのために生れたんじゃないぜ
10. 言論の自由
11. ベイビーもう泣かないで
12. 寝床の中で
13. 宝くじは買わない
14. どろだらけの海
15. 涙でいっぱい
16. イエスタデイをうたって
RCサクセションのデビュー・アルバム。
全曲が作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:穂口雄右になっている。穂口雄右はGSグループ「アウト・キャスト」でキーボードを担当していた人物。のちに「キャンディーズ」との仕事で大成功を収める。メンバーには無断でアレンジを施されており、完成された音を聴いてメンバーは多いに不満に感じたという。ただし、冒頭の電話の音はメンバー自身のアイディアで収録している。
メンバーたちには不評であったが、時にサイケデリックっぽく、時にアヴァンギャルドっぽく、実験的な試みもところどころ垣間見られるアレンジは、今だと「アシッド・フォーク」と呼ばれることになるのかも知れない。
この傾向はアレンジだけではなく、RCのコーラス・ワークや、ギター・ワーク、特に破廉ケンチがバックで味付けしているギターに時折見られるし、曲の展開も一筋縄ではいかない楽曲が多い。
デビュー・シングル「宝くじは買わない」が1970年3月5日発売であったから、すでに2年近く経過しての発売となる。本アルバムに収録される楽曲もその2年の間に書き溜めたものであり、彼らにとっては「初期の曲」という感触もあった。そんなところからアルバム・タイトルの「初期の~」がつけられたという説がある。真意は定かではないが、なんとなく彼ららしい皮肉な印象はある。
「2時間35分」は、19693月3日、清志郎と当時のガール・フレンド「チイコさん」と2時間35分にも及ぶ長電話をしたことがモチーフになっている。ダイヤル式の電話のダイヤル音(今はダイヤル式の電話を見つけることは難しい)で始まり、柱時計の音と(今は柱時計を見つけることも難しい)実際の電話での会話音で終わる。この電話の主は小林和生の妹で、レコーディング中の深夜に実際に電話して録音する、というはなはだ迷惑な手法がとられている。
「ぼくの好きな先生」はRC初のヒット曲となる。清志郎が通っていた都立日野高等学校の美術部顧問の「小林先生」がモデルである。高校の卒業式の時、清志郎はこの小林先生から「本当にやりたいことがあるなら、結婚はするな」と言われた。その教えを守るように清志郎は30代を独身で通したが、小林先生が初めてRCのライヴを観戦した際に「君はもう充分にやれるようになったからいいんだよ」と言われ、ずっと交際していた「石井さん」と結婚することになった。
「国立市中区3-1」は実際にありそうな住所であるが、国立市には○○区という住所は存在しない。ところが「国立市中3-1」とすると、桐朋中学校・桐朋高等学校が検索される。ここは仲井戸麗市が通っていた学校である。この時期、すでに清志郎と仲井戸は交流があったので、もしかしたら仲井戸にあてた歌なのかも知れない。歌詞の内容も相手が男とも女とも取れるように思える。
「シュー」はいかにも清志郎らしい内容の歌。ギターのリフなどは完全にロックである。
「春が来たから」の最後には、同年12月20日に発売されるシングル「三番目に大事なもの」がクロス・フェードしてくる。「春が来たから」も「三番目に大事なもの」も(ついでに書くと「お墓」も)当時清志郎が付き合っていた豆腐屋の娘との別れを歌った曲。
「メッセージ」は42秒の「例えお客が嫌な奴ばかりでも僕達はいつも一生懸命歌っています」といった内容の歌。
「国王ワノン一世の歌」は、今だと絶対に問題になりそうな「女性蔑視」の曲。「ワノン」とは「イマワノ」と「(ジョン・)レノン」を合体させた造語。最後に出てくる「彼女は女のくせに自転車こぐのが上手」は、セカンド・アルバムに収録される「日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ」に流用される。
「この世は金さ」は拝金主義をおちょくる曲であり、次の「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」といつもセットで歌われていた。
「言論の自由」はのちの「COVERS」の騒動を予言したような歌。事実「COVERS」発売後の1988年8月に行われた日比谷野外音楽堂でのライヴでもこの曲は披露され、同年12月16日発売の「コブラの悩み(Cobra In Trouble)」にもライヴ・ヴァージョンが収録された。また、三浦友和がバックでボンゴを叩いている、と言われている。
「ベイビーもう泣かないで」はストレートな歌詞の内容だが、どことなくアヴァンギャルドなテイストのする楽曲になっている。
「寝床の中で」は実際に清志郎が風邪をひいて、寝込んでしまったときにできた曲。
7月5日:シングル「キミかわいいね」
Side A
1. キミかわいいね
Side B
1. あの歌が想い出せない
4枚目のシングル。
「キミかわいいね」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:破廉ケンチによる楽曲。
「キミかわいいね でも それだけだね」といった皮肉たっぷりの楽曲。清志郎はサビのパート以外はファルセットで歌っている。フェイドアウトを含むエンディングが1分20秒近く続き、音が小さくなりながらもなかなか完全に終了しない。こういうちょっとしたところにも実験的な姿勢がみられる。
「あの歌が想い出せない」は作詞:忌野清志郎、作曲:武田清一、編曲:破廉ケンチによる楽曲。
武田清一は、「The Remainders of The Clover」のメンバーで、のちに「日暮し」を結成する人物。
この曲は第2期かぐや姫のデビュー・アルバム「はじめまして」にも収録されており、清志郎がかぐや姫に売り込みに行った、という噂が出回っているがそれはデマ。
作曲者である武田は「ストロベリー・クリーム(武田が当時在籍していたバンド)をやっていた頃に、山田パンダ(かぐや姫のベーシスト)と知り合いになって、当時僕がストロベリー・クリームでこの曲を歌っていたのを聴いた彼が、『僕らにも歌わせてくれないかな?』と言ってきたんですよ。当時はRCもライヴで歌っていたみたい。それで僕がキヨシ(清志郎)のところに行って、『山田パンダたちが歌いたいって言ってるけどどうする?』って訊ねたら『清ちゃん(武田)がいいならいいよ』ということだったので、彼らがカヴァーしたんですよ」と説明している。
12月5日:アルバム「楽しい夕に」
Side A
1. ラー・ラー・ラ・ラ・ラ
2. エミちゃんおめでとう
3. 忙しすぎたから
4. あの娘の悪い噂
5. 九月になったのに
Side B
1. ねむい
2. もっとおちついて
3. 君もおいで
4. 去年の今頃
5. 日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ
6. ぼくの自転車のうしろに乗りなよ
*****
CD 楽しい夕に+4
01. ラーラー・ラ・ラ・ラ
02. エミちゃんおめでとう
03. 忙しすぎたから
04. あの娘の悪い噂
05. 九月になったのに
06. ねむい
07. もっとおちついて
08. 君もおいで
09. 去年の今頃
10. 日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ
11. ぼくの自転車のうしろに乗りなよ
12. キミかわいいね
13. あの歌が想い出せない
14. 三番目に大事なもの
15. けむり
デビュー・アルバムの10ヶ月後にリリースされたセカンド・アルバム。
デビュー・アルバムで自分たちの意図しない形でアレンジを施されたことが不満だったメンバーは、このアルバムでセルフ・プロデュースに挑んでいる。3人の演奏以外に、ドラムス、ピアノ、ハモンド・オルガンが加わっている。
ドラマーの田中清司は、ジャニーズのバック・バンド「ジャニーズ・ジュニア」でドラムを叩いていた人物。その後、GSバンド「ジュニア・ボーイズ」、「ジ・アルファ」、「リズム101」などのバンドに在籍する。本作「楽しい夕べ」に参加後は、吉田拓郎や頭脳警察と一緒に仕事をしたり、沢田研二のバック・バンド「井上堯之バンド」へ参加したりしている。
ピアノの栗林稔は、筒美京平との仕事のほか、吉田拓郎のバック・バンドとして「たくろうLIVE'73」に参加したり、沢田研二の「危険なふたり」や、松山千春のデビュー・アルバム「君のために作った歌」でキーボードを演奏している。
ハモンド・オルガンの渋谷森久は、越路吹雪や浅川マキとの仕事のほか、ミュージカル「青い鳥」の音楽監督や本田美奈子のアルバム「JUNCTION」のプロデュースなどを担当している。本作「楽しい夕べ」のディレクターも担当している。
本作「楽しい夕べ」はデビュー・アルバム「初期のRC・サクセション」よりも若干攻撃性が抑えられ、落ち着いた雰囲気になっている。前作にあった、少しとっ散らかったようなアレンジは影を潜め、まとまりのある演奏が増えている。
「ラー・ラー・ラ・ラ・ラ」は作詞:忌野清志郎、作曲:破廉ケンチ・肝沢幅一による楽曲。
みんなでワイワイガヤガヤと楽しむパーティみたいな雰囲気がある。どことなくジョン・レノン(プラスティック・オノ・バンド)の「平和を我等に」を思い出させる。
「エミちゃんおめでとう」は作詞・作曲:林小和生による楽曲。
ヴォーカルは小林と清志郎が分け合っている。そっけない愛の歌って感じだけれど、だからこその愛情を感じさせてくれる楽曲でもある。
「忙しすぎたから」は作詞:林小和生、作曲:肝沢幅一による楽曲。
リード・ヴォーカルは破廉ケンチ。アルバム・タイトル「楽しい夕べに」はこの曲の冒頭の歌詞からとられている。聴いているとどことなくザ・ブルー・ハーツを思い出させる。
「あの娘の悪い噂」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
性急な楽曲で、パンクと言ってもおかしくはない。
「九月になったのに」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
ここでの清志郎の歌唱はもはや唯一無二の存在感を示している。よく歌う小林のウッド・ベースと掻きむしられるアコースティック・ギターが、重苦しくて息苦しい残暑の九月を浮き彫りにしている。
「ねむい」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
ザ・ビートルズのようなバック・コーラスが聞こえる。間奏では、あくびやいびきの音が飛び出してくるバックで、ストリングスが不協和音っぽく響き、さらにそのバックで時計がカチカチと鳴っている。
「もっとおちついて」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
この曲での小林のウッド・ベースも本当によく歌っている。もはやフォークだのロックだのといったジャンル分けが馬鹿らしくなってくる、物悲しくも力強い演奏が続く。
「君もおいで」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
小林によるアルコ弾きでのベースをバックに、破廉ケンチと清志郎のデュエットで進む、1分13秒のちょっと不気味な小品。
「去年の今頃」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「二人でこたつで紅茶を飲みながら」聴くレコードが「オーティス」っていうのがいかにも清志郎らしい。もちろん「オーティス・レディング」のことである。ここから自転車に関する曲が3曲続く。後年の自転車好き清志郎の片鱗はもうここで現れている。
「日隅くんの自転車の後ろに乗りなよ」は作詞:忌野清志郎、作曲:林小和生・破廉ケンチによる楽曲。
「日隅くん」とは、清志郎の中学・高校時代の同級生。残念ながら1977年8月に自殺してしまう。
ちなみに紛らわしいのだが、曲のタイトルでは「日隅」になっているが本名の漢字は「日隈」である。
また彼は本アルバムのミキサーとしてクレジットもされている。
「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
この曲だけペン・ネームの「肝沢幅一」を使用していない。自慢ではないけれど、私(筆者)も自転車を使って、坂を下って国立の南口に行ったり、大学通りを通ったりしていた。だから、この曲の風景はなんとなく目に浮かんでくる。ただし二人乗りではなかったけれど。
ドラムスのバスドラのような音は、バスケット・シューズをマイクの前で叩いて出している。清志郎はこの手法を「日隅くんの自転車の後ろに乗りなよ」で使ったと語っているが、「日隅くんの自転車の後ろに乗りなよ」には該当する音が見当たらないので、この「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」と勘違いしたものと思われる。
12月20日:シングル「三番目に大事なもの」
Side A
1. 三番目に大事なもの
Side B
1. けむり
「三番目に大事なもの」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:破廉ケンチによる楽曲。
サイケデリックなイントロの楽曲。歌が始まると普通のフォーク・ソング風になるが、ストリングスの使い方などは、やはりどこかサイケっぽい。「春が来たから」や「お墓」と同じく、当時清志郎が付き合っていた豆腐屋の娘との別れを歌った曲。
「けむり」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一、編曲:破廉ケンチによる楽曲。
1分15秒程の小品。清志郎が色々な歌い方を披露している。こういったRCの短めの曲を聴いていると、なんとなく所ジョージのルーツのように思えてくる。
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ここでは活動途中で名前が変わっているバンド・ユニットをまとめた。忌野清志郎が所属した「RCサクセション」はもとは「ザ・クローバー」という名前で活動していた。他にも昔「ギビニバンコ」という名前だった「RIP SLYME」などを紹介している。
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目次 - Contents
- RCサクセション概要
- RCサクセションのメンバー
- 忌野清志郎(いまわのきよしろう)
- 小林和生(こばやしかずお)
- 仲井戸麗市(なかいどれいち)
- 新井田耕造(にいだこうぞう)
- 柴田義也(しばたよしや:Gee2wo)
- RCサクセションの元メンバー
- 破廉ケンチ(はれんけんち)(1968年 ~ 1977年)
- 小川銀次(おがわぎんじ)(1979年 ~ 1980年)
- 春日博文(かすがひろふみ)(1978年、1990年 ~ 1991年)
- RCサクセションの略歴
- 1950年~1967年:結成前夜
- 1968年~1972年:RC結成からデビューへ
- 1973年~1979年:暗黒時代
- 1980年~1984年:ロック界の頂点へ
- 1985年~1987年:ソロ活動の活発化
- 1988年~1990年:アルバム「COVERS」、そして終焉へ
- RCサクセションのディスコグラフィー
- 1969年
- 11月1日:アルバム「カレッジポップス・コンサート実況録音盤」
- 1970年
- 3月5日:シングル「宝くじは買わない」
- 12月5日:シングル「涙でいっぱい」
- 1972年
- 2月5日:シングル「ぼくの好きな先生」
- 2月5日:アルバム「初期のRC・サクセション」
- 7月5日:シングル「キミかわいいね」
- 12月5日:アルバム「楽しい夕に」
- 12月20日:シングル「三番目に大事なもの」
- 1976年
- 1月21日:シングル「スローバラード」
- 4月21日:アルバム「シングル・マン」
- 10月11日:シングル「わかってもらえるさ」
- 1979年
- 7月21日:シングル「ステップ!」
- 1980年
- 1月21日:シングル「雨あがりの夜空に」
- 5月21日:シングル「ボスしけてるぜ」
- 6月5日:アルバム「RHAPSODY」
- 10月28日:シングル「トランジスタ・ラジオ」
- 12月5日:アルバム「PLEASE」
- 1981年
- 6月1日:アルバム「EPLP」
- 11月21日:アルバム「BLUE」
- 1982年
- 3月21日:アルバム「HARD FOLK SUCCESSION」
- 4月5日:アルバム「Yeahhhhhh...at武道館」
- 6月23日:シングル「SUMMER TOUR」
- 10月25日:アルバム「BEAT POPS」
- 12月10日:アルバム「The Day of R&B」
- 12月15日:シングル「つ・き・あ・い・た・い」
- 1983年
- 6月1日:シングル「Oh! Baby」
- 7月5日:アルバム「OK」
- 11月7日:シングル「ベイビー!逃げるんだ。」
- 12月5日:アルバム「The KING of LIVE」
- 1984年
- 7月21日:シングル「不思議」
- 7月21日:アルバム「EPLP-2」
- 9月21日:アルバム「The LiVE!」
- 11月23日:アルバム「FEEL SO BAD」
- 12月21日:アルバム「MIX & MIX-ER」
- 1985年
- 4月21日:シングル「すべてはALRIGHT(YA BABY)」
- 11月21日:アルバム「HEART ACE(ハートのエース)」
- 12月21日:シングル「SKY PILOTスカイパイロット」
- 1986年
- 4月23日:アルバム「NAUGHTY BOY」
- 10月21日:アルバム「the TEARS OF a CLOWN」
- 1988年
- 2月25日:アルバム「MARVY」
- 3月25日:シングル「NAUGHTY BOY」
- 8月15日:シングル「LOVE ME TENDER」
- 8月15日:アルバム「COVERS」
- 12月16日:アルバム「コブラの悩み(Cobra In Trouble)」
- 1990年
- 9月5日:シングル「I LIKE YOU」
- 9月27日:アルバム「Baby a Go Go」
- 1995年
- 9月25日:アルバム「SOULMATES」
- 2005年
- 10月26日:アルバム「RHAPSODY NAKED」
- 2011年
- 11月23日:アルバム「sings soul ballads」
- 2013年
- 5月3日:アルバム「悲しいことばっかり(オフィシャル・ブートレグ)」
- 2015年
- 12月16日:アルバム「日暮し Bonus Tracks」
- 2016年
- 2月5日:アルバム「PLEASE ROCK ME OUT at 日比谷野外音楽堂 1981.5.30 - 5.31」
- 3月30日:アルバム「SUMMER TOUR’83 渋谷公会堂 ~KING OF LIVE COMPLETE~」
- RCサクセションの代表曲
- 宝くじは買わない
- ぼくの好きな先生
- 冷たくした訳は
- スローバラード
- 雨あがりの夜空に
- よォーこそ
- トランジスタ・ラジオ
- いい事ばかりはありゃしない
- ロックン・ロール・ショー
- 多摩蘭坂
- つ・き・あ・い・た・い
- Oh!Baby
- ドカドカうるさいR&Rバンド
- ベイビー!逃げるんだ。
- 自由
- 腰をふれ
- 海辺のワインディング・ロード
- ヒッピーに捧ぐ
- 明日なき世界
- サマータイム・ブルース~ラヴ・ミー・テンダー
- I Like You
- あふれる熱い涙
- RCサクセションの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 三浦友和の俳優デビューのきっかけ
- 暴言・暴走など
- 最後の共演
- デザートはあなた
- 君はLove Me Tenderを聴いたか?
- 解散について
- 原発音頭