RCサクセション(RC Succession)の徹底解説まとめ

RCサクセション(RC Succession)とは、1970年にデビューした日本のロック・バンド。ヴォーカリストの忌野清志郎とギタリストの仲井戸麗市を中心に、数々の名曲・名盤を残してきた。現在でも多くのミュージシャンが影響を受けたバンドとして名前を挙げている。1991年に活動休止状態に入り事実上の解散。2009年5月2日、忌野清志郎の死去により、RCサクセション復活の夢は永遠に絶たれた。

1. I LIKE YOU
2. 忠実な犬(Doggy)

アルバム「Baby a Go Go」からの先行シングルで、RC初のCDシングルでもある。
この当時のCDシングルは8cmシングル(あるいは3インチ・シングル)と呼ばれ、現在のようにアルバムと同じ大きさの12cmシングル(あるいは5インチ・シングル)とは大きさが異なっている。
8cmシングルに対応していないデバイスで聴く時は専用のアダプターで8cmから12cmに大きさを変更してから聴くという手間があった。

各楽曲の概要はアルバム「Baby a Go Go」を参照のこと。

9月27日:アルバム「Baby a Go Go」

01. I LIKE YOU
02. ヒロイン
03. あふれる熱い涙
04. June Bride
05. うぐいす
06. Rock'n Roll Showはもう終わりだ
07. 冬の寒い夜
08. 空がまた暗くなる
09. Hungry
10. 忠実な犬(Doggy)
11. 楽(LARK)

現在(2018年3月)のところ、RCサクセション最後のオリジナル・アルバム。
本アルバムのレコーディング前にキーボードのGee2woが脱退、レコーディング中にはドラムの新井田耕造も脱退。残ったのは忌野清志郎と小林和生の幼馴染コンビと仲井戸麗市の3人であった。
ドラマーとプロデューサーに春日博文、エンジニアとコ・プロデューサーにレニー・クラヴィッツの仕事で知られるヘンリー・ハーシュとデイヴィッド・ドマーニッチを迎えて作成された本アルバムは、清志郎が「『COVERS』でできた"特殊な感じ"っていうのは一回振り払って、また普通のラヴ・ソングのバンドに戻りたい気持ちはちょっとあったな」と語っているように、ラヴ・ソングが中心となっている。また、サウンドはアコースティック色が強く、70年代のアナログ録音にこだわった作りになっている。
ヘンリー・ハーシュとデイヴィッド・ドマーニッチの起用について清志郎はこう語っている。
「青山クンていう当時のローディーの子がさ、『ボス、これはスゴイですよ。聴いて下さい』って持って来たのがレニー・クラヴッツだったの。イイなぁ、コイツ。古いな……とか思って(中略)じゃあってことで、東芝さんに言ってヘンリー&デイヴィッドを呼んでもらったのよ。最初のうちは『そういう仕事は……』みたいな感じでしぶってたんだけど、デモ・テープを送ったら好きになったみたい。」
ヘンリー・ハーシュはこう語っている。
「彼らのやりたいことがアコースティック・ミュージックだと知って感動した。僕たちはシンセサイザーが嫌いだから。(中略)僕たちはハチ(春日博文)がスタジオに並べた中から、ほとんどの人が見向きもしない古くて小さなドラムを選んだ。NYと東京でレコーディングをやる上での、もっとも大きな差は古い楽器が東京にはないことだ。(『BABY A GO GO 』はどんなアルバムか、という問いに対して)個々の曲が完全に一体化した、1枚の完成されたレコード。『サージェント・ペパーズ~』のような。1つの曲と次の曲は違うサウンドなんだけれど……。」
アコースティック中心のサウンドではあるが、初期の頃のようなアグレッシヴなフォークといった感じではない。一聴すると、穏やか、爽やか、軽い、といった印象があるが、その奥底には何ともいえない不穏な雰囲気も感じられる。最後のアルバムがこれか、といった物足りなさもあるが、すぐれた楽曲も収録されている。もしもこれが最後でなければ、「過渡期のアルバム」と言われたかもしれない。

「I LIKE YOU」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
サウンドやバック・ヴォーカルはザ・ビートルズやザ・バーズを思い出させる。
「I LOVE YOU」ではなく「I LIKE YOU」としたのは、「I LOVE YOU」が使い古されたフレーズだからとのこと。「COVERS」や「コブラの悩み」にあったような、怒りや憤りはここにはなく、清志郎の歌声には伸びやかで爽やかな印象すらある。
西武セゾン・カードのCMに使用されている。

「ヒロイン」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
これまた軽やかで爽やかで、ハーモニカが入ってくるあたりは、昔のフォーク・ソング的な印象がある楽曲。
ベース・ラインはオーティス・レディングの「ザ・ドック・オブ・ザ・ベイ」を引用している。

「あふれる熱い涙」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
1988年に生まれた長男「タッペイ君」のことを歌った楽曲。
この曲では新井田耕造がドラムスを叩いていおり、そのプレイ・スタイルや音の響き方はやはり他の曲とは違っている。
元々はRC結成20周年のキャンペーン・ソングとして作られており、当初はレコード化の話はなかった。

「June Bride」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
ウクレレも入った、まさに「おめでとう」ソング。
ザ・タイマーズで初披露されており、そのザ・タイマーズのギタリスト・三宅伸治の結婚を祝って作られた楽曲。

「うぐいす」は作詞・作曲:仲井戸麗市による楽曲。
リード・ヴォーカルは仲井戸。
かなり判りづらい歌詞になっている。
仲井戸自身は「こんな曲はもう二度と演らない!」と語っている。

「Rock'n Roll Showはもう終わりだ」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
1988年の「LOVE ME TENDER TOUR」や同年の年越しライヴ「ロックン・ロール・バンド・スタンド 88-89」でも披露されていた曲。元々のタイトルは「NO NO NO」。
アルバム「COVERS」の余波がまだ続いているというべきか、何かと面倒なことが多い音楽業界に対する不満をぶつけているような歌詞になっている。
「なにかとめんどくさいんだ ギターを鳴らして歌いたいんだ」というのが、清志郎の本音だろう。

「冬の寒い夜」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
清志郎が中学の時に作った曲。「君」と歌われているのは当時飼っていた猫の「ぶっちゃん」のこと。
ちょっとサイケな味わいのある、今だとアシッド・フォークと呼ばれそうな雰囲気の楽曲で、「シングル・マン」の頃を思い出させる。

「空がまた暗くなる」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
詞、曲ともに秀逸な1曲。誰に対して「大人だろ」と歌われているのか。それは東芝に対してかも知れないし、RCを脱退していった2人に対してかも知れない。
2015年10月21日~12月23日までTBS系で放送されていたドラマ「テッペン!水ドラ!!『おかしの家』」の主題歌に使用された。

「Hungry」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
ボ・ディドリー風のジャングル・ビートによる楽曲。ドラムスは新井田耕造。
「歌を作って歌っても 値段をつけて売りとばす」と歌っている当たり、やはり清志郎はこうでなくちゃ、と思うファンも多いだろう。

「忠実な犬(Doggy)」は作詞:忌野清志郎、作曲:忌野清志郎・春日博文による楽曲。
「誰かがハチ公の前で ギター弾いて歌うよ」という歌詞に出てくる「誰か」は清志郎自身のこと。彼はこの年、渋谷のハチ公前でゲリラ・ライヴを行っている。

「楽(LARK)」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
清志郎は本当に「楽」になりたかったのだろう。「LARK」はタバコの「LARK」とひっかけているものと思われる。

1995年

9月25日:アルバム「SOULMATES」

01. わかってもらえるさ
02. 君が僕を知ってる
03. やさしさ
04. ステップ!
05. よそ者
06. ボスしけてるゼ
07. キモちE
08. トランジスタ・ラジオ
09. Sweet Soul Music
10. 多摩蘭坂
11. あきれて物も言えない
12. いい事ばかりありゃしない
13. 上を向いて歩こう
14. ヒッピーに捧ぐ
15. サン・トワ・マ・ミー
16. 雨あがりの夜空に
17. スローバラード

デビュー25周年ということでキティとポリドールの音源から選曲されたベスト盤。
RCは何かとべスト盤が多いので、いちいち取り上げるつもりはないのだが、本ベストには「トランジスタ・ラジオ」のロング・ヴァージョンが収録されているので、取り上げた。
シングルは4分30秒程、ロング・ヴァージョンは8分近くあるが、シングル・ヴァージョンを編集で引き延ばしたり、水増ししたりしたものではなく、歌も演奏も全くの別ヴァージョン。
曲の構成も違っており、「内ポケットにいつも 今も トランジスタ・ラジオ」という、ライヴでは歌われている「今も」が含まれる歌詞がこのスタジオ・ヴァージョンでも聴くことができる(シングル・ヴァージョンではオミットされてしまっている)。
また、最後の「君の知らないメロディー 聴いたことのないヒット曲」を繰り返すパートでは、清志郎の「ビート・ポップス!」という叫びを聴くこともできる。
エンディングも、一度ブレイクし終わったかと思ったら、再びはじまる、という形式になっている。
こちらが正規のヴァージョンで、シングルでリリースされたのが「シングル・ヴァージョン」と考えることもできる。

2005年

10月26日:アルバム「RHAPSODY NAKED」

DISC 1
01. Opening MC
02. よォーこそ
03. ロックン・ロール・ショー
04. エネルギーOhエネルギー
05. ラプソディー
06. ボスしけてるぜ
07. まりんブルース
08. たとえばこんなラヴ・ソング
09. いい事ばかりはありゃしない
10. Sweet Soul Music~The Dock Of The Bay

DISC 2
01. エンジェル
02. お墓
03. ブン・ブン・ブン
04. ステップ!
05. スローバラード
06. 雨あがりの夜空に
07. 上を向いて歩こう
08 .キモちE
09. 指輪をはめたい

1980年6月25日にリリースされたアルバム「RHAPSODY」の完全盤。
「RHAPSODY」は、1980年年4月5日、今はなき虎の門・久保講堂で行われたライヴの実況録音盤であり、後からスタジオで歌詞の訂正や、ギター、ベースの入れ替え作業なども行われている。元々が「ライヴ会場をスタジオに見立ててレコーディングしていればいいじゃないか」という発想もあり、また半数以上が新曲であったため、「ライヴ」というよりは、「ライヴ」という形式を借りた新作アルバムのリリース、といった意味合いが強かった。よって関係者の間には「ライヴの名演奏を犠牲にしてしまった」という意識もあり、いずれはこの日のライヴの完全盤を世に出したい、という思いも強かった。

当時のディレクターだった森川欣信は本アルバムの解説でこう語っている。少し長くなるが引用させてもらう。
「(前略)何度となく『RHAPSODY』のコンプリート・ヴァージョンをリリースしようという話が持ち上がっては立ち消えになった。しかしあれだけ大手術を施したトラックを今更どういう形でリリースしていいのか誰にも解答は出せなかった。あの『RHAPSODY』以上のものを再現するのは不可能に見えたからだ。」
「(前略)僕の中にぼんやりとあるアイディアが浮かんだ。そのヒントは2003年にリリースされたTHE BEATLESの『LET IT BE...NAKED』にあった。このアルバムのオリジナルである『LET IT BE』は1970年に全世界でリリースされたが、当初は『GET BACK』というタイトルで世に出る予定だった。頂点を極めて分裂していくTHE BEATLESがいま一度原点回帰しようという企画のもと1969年初冬に取り組んだアルバムである。THE BEATLESこそLIVEから叩き上げロック・ミュージックそのものを芸術にまで高めたグループである。彼等の出発点もやはりLIVEにあったのだ。」
「THE BEATLES は『GET BACK』をLIVE仕立てにしようとしていた。いっさい手を加えない1発録音でありのままの音をパッケージしてリリースする。アップル・ビルの屋上に機材を揃え、ロンドンの街に向かって演奏された彼等の最後のLIVE、俗に言うルーフ・トップ・セッションはあまりにも有名である。結局このアルバムの企画は流れ、彼等は最後のスタジオ録音盤『ABBEY ROAD』をその秋リリースしてしまう。放置された『GET BACK SESSION』の大量の音源はその後、アメリカのプロデューサー、フィル・スペクターが手を加え編集、70年『LET IT BE』の名義でリリースされる。しかしこのアルバムの最終仕上げにTHE BEATLESのメンバーは立ち会っていない。」
「ポール・マッカートニーは当初の意図と違う形で、しかも自分達の演奏トラックを勝手に弄られ、大仰なダビングが施されたものが彼等の許可無くリリースされたことに腹を立て、このアルバム『LET IT BE』を、正しく言うなら2003年まで認めていなかった。2003年になってやっと、本来THE BEATLESが意図した形のものがはじめて世に出る。フィル・スペクターが施した過分な楽器は削り取られLIVE感溢れるオリジナルの素のままのTHE BEATLESのサウンド、『LET IT BE...NAKED』である。(後略)」
「この『LET IT BE...NAKED』がリリースされた時、『RHAPSODY...NAKED』ってのがあってもいいんじゃないかなと僕は考えた。考えているうちに僕はどうしてもあの手を加えていないオリジナルの『RHAPSODY』をコンプリート・ヴァージョンで聴いてみたくなった(後略)。」
「(中略)2005年、夏の終わり、今回のリミクサーでギタリストでもありエンジニアでもあるCOLIの佐藤洋介とユニバーサルのディレクター高橋良一、そして僕はCOLIのパーソナル・スタジオ『ROPELAND』にいた。オリジナルのアナログ・マルチ・テープ『久保講堂LIVE』の音源からコピーしたプロトゥールス・テープが運び込まれ、僕らはそれを再生していた。当時の楽器や機材の種類、そしてそのセッティング位置にいたるまで佐藤は久保講堂の写真をもとに綿密にチェックして探っていた。僕は彼に『ありのままの音を出してくれ、あの日の会場の雰囲気までもそこに入れたいんだ、データに残されてる音を全部編集することなく出そう』と提案した。佐藤のもとで丸腰(NAKED)にされた『RHAPSODY』のトラックの音源がスピーカーから流れ出す。そこには紛れもなくあの日の空気や熱気、そして緊張感が音の合間を埋めている。当時の録音機材でピーク・レベルを超えられないものでも、いまのデジタル技術では可能である。当時はレコード盤にカッティングする際、レベルを押さえなければならなかった。ボトムの音を入れ過ぎると針とびを起こしてしまうからだ。僕はレベルを最大限に達するまで上げてくれと佐藤に要求した。そして、25年の歳月を経て僕はやっとあの日の音に再会する事が出来た。あのミキサー卓でヘッド・フォン越しに聴いていたあの音に。RCは無敵のLIVEをやっている。その臨場感は時代を飛び越えている。仕上がった音はまるで昨日LIVE収録をして来ましたってくらい生々しく迫力のあるものだった。」

つまり本アルバムには1980年年4月5日、久保講堂で行われたRCサクセションのライヴの完全盤が、最小限の編集によって収められていることになる。
CD2枚組にプラスして、当時「RHAPSODY THE VIDEO」というタイトルでリリースされたビデオ映像を収録したDVDが付属されている。

以下、初出の楽曲のみの概要を記す。

「Opening MC」
仲井戸によるオープニングのMC、というか観客への煽り。
「RHAPSODY」では「よォーこそ」の前に「イェイ! イェイ! イェイ! イェイ! イェイ! オーケー! オーケー! カモン! リンコ・ワッショー!」だけだったが、こちらでは清志郎に負けないくらいのアジテーションをたっぷりと聴くことができる。

「ロックン・ロール・ショー」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
初出になるスタジオ録音アルバム「BLUE」では「作詞・作曲:RCサクセション」になっていた。
ドラムスで始まるイントロではなく、ここでは小川銀次のギター・リフで曲が始まっている。小川銀次のギター・リフは、仲井戸と比べてしなやかさが増しているように感じる。逆に仲井戸の方はもっと歯切れが良いように感じる。
この時点ではまだスタジオ・ヴァージョンはリリースされておらず、約1年半後にリリースされる「BLUE」に収録されることになる。その「BLUE」収録のスタジオ・ヴァージョンの方はもっとふてぶてしい印象がある。

「まりんブルース」は作詞:金子マリ・忌野清志郎、作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市・小林和生・新井田耕造・Gee2woo・小川銀次・梅津和時・金子マリによる楽曲。
清志郎と金子マリによる即興ブルース・セッション。

「たとえばこんなラヴ・ソング」は作詞・作曲:忌野清志郎・小林和生による楽曲。
この曲もこの時点ではスタジオ・ヴァージョンはリリースされておらず、約半年後の「PLEASE」に収録されることになる。

「いい事ばかりはありゃしない」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
この曲も、約半年後の「PLEASE」で初めてスタジオ・ヴァージョンがリリースされることになる。

「Sweet Soul Music~The Dock Of The Bay」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
この曲も、約半年後の「PLEASE」で初めてスタジオ・ヴァージョンがリリースされることになる。
メドレー形式で歌われる「The Dock Of The Bay」はオーティス・レディングの曲で、作詞・作曲:O.Redding、S.Crooperによる楽曲。

「お墓」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲
楽曲自体は古くからのレパートリーだが、スタジオ・ヴァージョンは3年後にアルバム「OK」で初めてリリースされた。
スタジオ・ヴァージョンはトロピカルなレゲエ・タイプにアレンジされていたが、本アルバムでのヴァージョンは、イントロの小林のベース・リフがザ・テンプテーションズの「マイ・ガール」を思い出させるように、ソウルフルなアレンジになっている。

「ステップ!」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
ライヴ開催日の約9ヶ月前にシングルでリリースされていた楽曲。
シングルでは清志郎以外はスタジオ・ミュージシャンが演奏しており、RCでの演奏はこれが初出になる。

「スローバラード」は作詞・作曲:忌野清志郎・みかんによる楽曲。
実はこのライヴ・ヴァージョンは本アルバムが初出ではない。
1994年8月25日にリリースされた「COMPLETE BOX POLYDOR & KITTY EDITION」というボックス・セットのボーナスCDに収録されている。その時は前の曲「ステップ!」の後半の清志郎によるMCを含んだヴァージョンになっていた。

「指輪をはめたい」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
古くからのレパートリーだが、スタジオ・ヴァージョンは「お墓」と同じく3年後にアルバム「OK」で初めてリリースされた。

2011年

11月23日:アルバム「sings soul ballads」

01. 世界中の人に自慢したいよ
02. JOKE(THE TIMERS)
03. ギビツミ
04. NEWSを知りたい(忌野清志郎&2・3’S)
05. 君を信じてる
06. 雪どけ
07. 花びら
08. 仕草
09. まわりはワナ(THE TIMERS)
10. あいつの口笛
11. スローバラード(ライヴ『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』より)
12. 彼女の笑顔
13. 500マイル(HIS)
14. 約束
15. ぼくの家の前の道を今朝も小学生が通います。(DVD:Screaming Revueより)
16. 500マイル(RCサクセション)

忌野清志郎本人が選曲した極上のバラード集。
清志郎のソロ・アルバム扱いになるが、本アルバムにはRCサクセションの未発表曲が収録されているので、取り上げた。
ボーナス・トラックとして収録された「500マイル」がそれである。
1990年、アルバム「Baby A Go Go」のレコーディング前に行われたセッションからの楽曲で、参加メンバーは忌野清志郎、小林和生、仲井戸麗市、新井田耕造の4名。
「500マイル」は作詞・作曲:ベティ・ウェストによる楽曲。ベティ・ウェスト自身も歌っているほか、PP&M、キングストン・トリオ、ジョニー・リヴァース、ニック・ケイブ、ジョーン・バエズなど多くのカヴァーを生んでいる。
本アルバムには清志郎のソロ・ヴァージョンとRCヴァージョンの「500マイル」が収録されている。ソロ・ヴァージョンは日本語で、RCヴァージョンは英語で歌われている。
1993年10月10日から1994年3月20日までTBSテレビ系で放送された「デザートはあなた」というドラマに清志郎が出演していたが、第19話の中でこの曲をギターの弾き語りで英語で披露している。

2013年

5月3日:アルバム「悲しいことばっかり(オフィシャル・ブートレグ)」

01. 黄色いお月様
02. ぼくの情婦
03. 愛してくれるなら
04. マイホーム
05. 弱い僕だから
06. ぼくとあの娘
07. あそび
08. 悲しいことばっかり
09. ぼくの家の前の道を今朝も小学生が通います
10. もしも僕が偉くなったら
11. 仕事なので
12. わるいディレクター
13. ベイビーもう泣かないで
14. 九月になったのに
15. お墓
16. ガラクタ
17. 君にさようなら
18. ベルおいで
19. 一日
20. 夢を見た
21. マリコ

1972年から1973年にかけて、「渋谷 ジァン・ジァン」、「渋谷 青い森」などで収録された、貴重なライヴ音源。
当時のメンバーは忌野清志郎、小林和生、破廉ケンチの3人である。
当時から熱狂的なRCファンであった太田和彦氏がカセットで「隠し録り」していたものが音源になっている。
太田氏は当時のRCの楽屋に一升瓶の差し入れをしたりして、メンバーとの交流もあったようである。清志郎が「キザクラの2級酒の1升瓶をもってきてくれた」と「十年ゴム消しで語っているのが、この太田氏である。ただし、太田氏は「特級黄桜一升だ」と言っている。
太田氏はRCのデビュー・アルバム「初期のRC・サクセション」を聴いて、あまりにもライヴと違う音にがっかりし、ならば自分でライヴを録音して楽しもう、という動機から「風呂敷にカセット・レコーダーを隠して」録音したという。全部で40数本あったという。

清志郎が亡くなった年、2009年の8月に太田氏が清志郎の事務所「ベイビィズ」を訪ね、経緯を説明し、太田氏が所有していたカセット・テープを預けている。それから4年が経過した2013年にCD化が実現したのが本アルバムである。
太田氏のカセット音源がCD化されたのは今回が初めてではなく、2002年12月に出版された「ロック画報 10 RCサクセションに捧ぐ 」の付録CD「RCサクセション 未発表ライヴ」の音源も太田氏のカセットから選曲されている。

音は決して良くはない。が、ここに収められている音楽はそんな負の要素を軽々と凌駕している。当時21~22歳だった清志郎の声は若々しく、力強く、粘り強く、がむしゃらである。サウンドはアコースティックだけで構成されているとは思えないくらいにアグレッシヴである。なによりも、何のしがらみもない、ただただ音楽が好きで、歌が好きで、ライヴが好きな3人の情熱が、何の手も加えられてない状態で直接伝わってくる。

「黄色いお月様」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
収録場所不明。
完全未発表曲。
清志郎の産みの母「冨貴子」のことを歌った楽曲。
「冨貴子」さんは清志郎が3歳の時にお亡くなりになっている。
解説によると、清志郎は仲井戸との手紙の中で「(この曲を)歌う時は勇気がいてしんぞうがドキドキしっぱなしだった」と書いている。

「ぼくの情婦」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
収録場所不明。
2003年11月27日リリースのビデオ「ライブ帝国 RCサクセション early 80's」に収録されている。
ブンブンとうなる小林のベースが小気味よい。

「愛してくれるなら」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
収録場所不明。
2003年12月10日リリースのビデオ「ライブ帝国 RCサクセション 70's」に収録されている。
清志郎のヴォーカルはこれでもか、というくらいに悲痛である。

「マイホーム」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 青い森」にて収録
1972年7月5日リリースのモップスのアルバム「モップスと16人の仲間」に提供された曲。
モップスのヴァージョンはエレクトリックで、ハード・ロック風の演奏になっており、鈴木ヒロミツのヴォーカルは清志郎とは違うが、やはり迫力がある。
RCのヴァージョンはもちろんアコースティックであるが、清志郎のヴォーカルには鈴木ヒロミツからはあまり感じられなかった毒がプンプンと匂ってくる。

「弱い僕だから」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「渋谷 青い森」にて収録
1997年8月6日リリースのSMAPのアルバム「SMAP 011 ス」に木村拓哉のソロ曲として提供された曲。
また、1998年10月14日リリースの忌野清志郎 Little Screaming Revue のアルバム「Rainbow Cafe」にセルフ・カヴァーとして収録されている。
SMAPヴァージョンでより鮮明になるが、けっこうポップなメロディを持った楽曲である。

「ぼくとあの娘」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 青い森」にて収録
1985年11月21日リリースのRCのアルバム「HEART ACE(ハートのエース)」に収録されている。
「HEART ACE(ハートのエース)」のヴァージョンはソウルフルなアレンジがなされていた。矢野顕子から「名曲だ」と褒めらた楽曲でもある。
こちらのフォーク時代のヴァージョンはもっと重く、ずっしりとした印象を受け、「HEART ACE(ハートのエース)」にあったような、飄々とした表情ではなく、どこか諦念感が漂うような表情を見せている。

「あそび」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「渋谷 青い森」にて収録
1987年2月25日リリースの清志郎初のソロ・アルバム「RAZOR SHAPE」に収録された。
曲前の清志郎のMCによると、RCのセカンド・アルバム「楽しい夕に」に収録予定であったが、「あんな曲をいれたら発売禁止だ!」ということで収録されなかったという。その時のいきさつを清志郎は皮肉たっぷりに語っている。

「悲しいことばっかり」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
完全未発表曲。
「悲しいです」と叩きつけるような清志郎のヴォーカルは圧巻である。

「ぼくの家の前の道を今朝も小学生が通います」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1994年9月16日リリースのビデオ「Screaming Revue」に収録された。また2011年11月23日リリースのアルバム「sings soul ballads」には、映像からの音声が収録されている。
1974年夏頃に出演した古井戸がパーソナリティをつとめていたラジオ番組「古井戸Night together」に出演した際にもスタジオ・ライヴで披露している。
こういう写実的にとらえた風景に、私小説的に心情を盛り込むという清志郎の才能は本当にユニークで凄いと思う。

「もしも僕が偉くなったら」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1989年11月8日リリースの「THE TIMERS」収録の「偉人のうた」の原型がこの曲。
本アルバムのヴァージョンはサラリと終わってしまうが、「THE TIMERS」のヴァージョンはコミカルでスカっぽく、清志郎のヴォーカルにはもっと毒が含まれている。

「仕事なので」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
収録場所不明。
1986年11月21日リリースの根津甚八のアルバム「PLAY IT AGAIN」に提供された曲。
メイン・ヴォーカルは破廉ケンチがとっている。
仕事に対する本音を歌っている。仕事が持っている本質を歌っている、と言ったら語弊があるだろうか。

「わるいディレクター」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
収録場所不明。
完全未発表曲。
これまた「仕事なので」と同じように本音を歌っている。テレビ・ディレクターに対する本質を歌っている、と言ったら語弊があるだろう(多分)。
太田氏はこう回想している。
「TVKの生番組『ヤングインパルス』でなぜかまだマイナーなRCに強力に肩入れし、毎回15分くらいのコーナーで3~4曲歌わせていた。破格の待遇だがRCは反発していたらしく『悪いディレクター』という皮肉な曲をいつもやっていた。」

「ベイビーもう泣かないで」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1972年2月5日リリースのRCのデビュー・アルバム「初期のRC・サクセション」に収録されている。
アレンジはレコードと殆ど同じだけれど、清志郎のヴォーカルはライヴの方が荒々しい。

「九月になったのに」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1972年12月5日リリースのRCのセカンド・アルバム「楽しい夕に」に収録されている。
こちらもアレンジはレコードと殆ど同じだが、ライヴの方は余計な音がそぎ落とされている分、歌の切実さは増している。

「お墓」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1983年7月5日リリースのRCのアルバム「OK」に収録されている。
「OK」のヴァージョンはトロピカルなレゲエ風にアレンジされており、大田氏はこう回想している。
「名曲『お墓』は大抵ステージ最後に演奏され感銘をもたらしたが、後年のスタジオ録音はのん気なレゲエ調でがっかりさせられた。」

「ガラクタ」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
収録場所不明。
1997年7月24日リリースの忌野清志郎 Little Screaming Revue のアルバム「GROOVIN' TIME」に収録されている。
また、フォーク時代のライヴが、2003年12月10日リリースのビデオ「ライブ帝国 RCサクセション 70's」に収録されている。
「誰の盗作をするの? 今度は誰の真似をするの?」と歌われているということは、そういう事実があったのだろうか。

「君にさようなら」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
完全未発表曲。
歌詞の内容がとてもつかみづらい。清志郎のあまりにもパーソナルな内容なのかも知れない。

「ベルおいで」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
完全未発表曲。
「ベル」というのは犬のことであり、失恋の悲しみを犬に語りかけている。
こういう曲を書いてしまうのも清志郎の才能である。

「一日」は作詞:忌野清志郎、作曲:肝沢幅一による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
完全未発表曲。
小林がアルコ弾きでのベースを披露している。

「夢を見た」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1984年11月23日リリースのRCのアルバム「FEEL SO BAD」に収録されている。
当たり前かも知れないが、本アルバムでのヴァージョンからは若さ故の切なさが、「FEEL SO BAD」収録のヴァージョンからは、もっと成熟されてきた故の切なさがある。

「マリコ」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「渋谷 ジァン・ジァン」にて収録。
1986年4月23日リリースのRCのアルバム「NAUGHTY BOY」に収録されている。
大田氏はこう回想している。
「ある時、『マリコ』の後半で清志郎はギターをおき、やおらピアノを弾き始めそれがとてもリリカルで感心した。」

2015年

12月16日:アルバム「日暮し Bonus Tracks」

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