かげきしょうじょ!!(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『かげきしょうじょ!!』とは、『メロディ』の斉木久美子による少女漫画および、アニメ作品。宝塚音楽学校及び宝塚歌劇団をモデルにしている。この漫画の主人公であるさらさと愛は紅華歌劇音楽学校に入学し、そこで演劇やバレエ、歌などを学ぶ。それら歌劇に必要なことを学び、身に付けながらお互いに、またクラスメートたちと切磋琢磨していく。

『かげきしょうじょ!!』の概要

『かげきしょうじょ!!』は斉木久美子による少女漫画。2012年から2014年まで『かげきしょうじょ!』として『ジャンプ改』で連載されていた。しかし『ジャンプ改』の休刊により、2015年からは『メロディ』にて題名を『かげきしょうじょ!!』に改めて連載を再開する。改題前の『かげきしょうじょ!』は2019年3月に『かげきしょうじょ!!シーズンゼロ』としてコミックスの発売もされている。『かげきしょうじょ!!』2022年1月の時点では11巻まで刊行されているが、電子書籍を含むシリーズ累計発行部数は100万部を越えていて、2021年7月〜9月にアニメが放送された。内容はシーズンゼロ〜『ロミオとジュリエット』のオーディションまでとなっている。

『かげきしょうじょ!!』の舞台となるのは創立100年の歴史を持つ、未婚の女性が所属する紅華歌劇音楽学校。宝塚歌劇団がモデルになっている。主人公の渡辺さらさは大好きな祖母と一緒に観た『ベルサイユのばら』のオスカルに憧れ、紅華の門を叩き、さらさは「オスカル様になります」と皆の前でキラキラとした目で宣言した。紅華の寮で同室のAKB48がモデルとなっているアイドルグループJPX48の元メンバーであり、男嫌いの奈良田愛や個性的な同級生とともに友情を築きながら、お互い支え合い課題を乗り越えていく。

『かげきしょうじょ!!』のあらすじ・ストーリー

さらさと愛の出会い

紅華音楽学校の合格発表に来ていた渡辺さらさ(わたなべ さらさ)と奈良田愛(ならた あい)。愛はアイドルグループJPX48の元メンバーということもあり、注目度も高い愛は受かったことはさも当然という態度で、合格したことを叔父の太一に連絡。一方さらさは合格したことを大きな声で祖父に電話連絡しており、注目を集めていた。その時愛は受験番号が書かれた紙を風で飛ばしてしまい、それをさらさが見事なジャンプ力と体幹で愛の紙をキャッチした。初めてさらさを見た愛はさらさの身長とキラキラとした目、そしてブレない体幹が頭から離れなくなる。合格発表後のガイダンスではさらさと愛は隣の席になる。遅れてきたさらさは愛の隣に座るなり、いきなり愛の名前を聞き、元JPXメンバーの名前を知らないなんてと周りを驚かせる。その後2人は同じ部屋となった。同室のさらさに愛は困らせられ、振り回され、自分のペースを乱される。そんなさらさを鬱陶しいと思うと同時に、気になってしまう愛。そんな時に愛が紅華音楽学校に入学したことを知った、愛がJPX48の握手会で気持ち悪いと言ってしまったファンが愛に会いたいと姿を表した。そのファンは愛のお陰で引きこもりから立ち直ることができ、そのお礼を言いたいと言う。そのことを知ったさらさは愛とそのファンを会えるよう取り計った。この出来事がきっかけで2人は距離をグッと縮めるのだ。

ロミオとジュリエット実技授業

座学の多い紅華音楽学校1年生である予科生は不満たらたらだった。さらさはその不満を受け止めそのことを担任の安道に伝える。このことがきっかけで念願の演劇授業がスタートした。授業では4人1組のグループで『ロミオとジュリエット』を演じることになり、さらさはクラスメートである友人の愛、薫、千夏と共に取り組むことになった。ロミオは薫、ジュリエットは愛、乳母は千夏、ティボルトはさらさである。そこでさらさは皆を驚かせる才能を見せる。なんと紅華歌劇団のトップスターが演じたティボルトを指遣いから視線まで完璧にコピーし、演じたのだ。それには見ていた人全員が思わず息を呑む。しかし安道に「それはお前のティボルトではない。このままでは絶対にトップになれないぞ」と言われてしまう。

紅華大運動会開幕

予科生は紅華音楽学校2年生であり、さらさたちの先輩にあたる本科生、紅華歌劇団のトップのさらに上に存在する専科の人たちとともに運動会の準備をする。しかし専科でリレーを走る予定だった人が走れなくなり、代役を立てることになった。そしてその代役に本科生を差し置いてさらさが選ばれてしまった。代役に選ばれて困ったさらさは本番まで悩むことになる。そんなさらさにさらさのペアであり本科生の先輩のリサは「あんたを見に来ているわけではない」と励ましたが、相変わらず元気が出ない。その時通りかかった紅華歌劇団冬組スターの里美星から「突然リレーに抜擢された馬鹿でかい女の子を演じなさい」と言われ前向きさを取り戻した。リレー本番、さらさは憧れの「隠れ巨乳さらさ」を演じて列に並んだ。走る順番は星と同じ7走目。スタートの銃声が鳴り、リレーは大盛りあがりを見せ、さらさはトップでバトンを受け取り走り出した。しかしバトンパスで失敗し、落したバトンを拾おうとした星とぶつかってしまうというアクシデントが起こってしまう。初めはパニックになったさらさは、観客が見たいと思うシーンをさらさなりに考え、星にアイコンタクトを送る。それに気付いた星はさらさに「大丈夫?立てる?」と男役トップスターの輝きを放ちながら、手を差し伸べ2人は手を繋ぎながらゴールまで走るこになった。

ロミオとジュリエット文化祭オーディション

文化祭は本科生の卒業発表がメインで、予科生はその準備や手伝い、バックでのサポートがほとんどでした。しかし、今回は新たな試みで予科生のコーラスと寸劇の出番があると言われた。時間の関係上寸劇に出られるのは4人のみ。そこでその4人をオーディション形式で決めるということを安道から告げられた。演目は前回演技指導で行った『ロミオとジュリエット』。さらさは前回の安道の悪い評価が忘れられずロミオ役を選ぶか、ティボルト役を選ぶか思い悩んでいた。自分に合っているのは明るいロミオである、しかし演じたいのはティボルト。さらさは悩んだ末にティボルトを選択した。そして安道に「前回のリベンジです」と宣言した。オーディション本番までさらさなりの、さらさオリジナルのティボルトを考え抜く。

そして、オーディション本番まずは愛の発表。愛はジュリエットの恋心を美しく表現し、先生方から評価を得ることができた。それを見ていた同じジュリエット志望の彩子は愛の後に演じる自信を無くす。しかし自分の持ち前の歌を精一杯発表し、見事ジュリエット役を射止める。委員長の紗和はさらさをライバル視しながら、執念こもったティボルトを演じきる。さらさは2階席まで見えているような広い視野や視線誘導を見事に使い、普段の明るいさらさからは想像できないオリジナルのティボルトを演じた。そして見事ティボルト役に選ばれる。

文化祭当日

さらさは本科生の演じる『風と共に去りぬ』を観て感動していた。その時、健おじいちゃんが倒れたとの連絡を受け、動揺するさらさ。動揺するさらさに「あんたがいても、いなくても変わらない」と言う本科生副委員長で愛のペアである先輩の聖。さらさのペアで本科生のリサはさらさを励ますが、さらさにとっておじいちゃんは唯一の肉親。舞台を降り、祖父の元へと向かうことを決めた。さらさが降りたため、ティボルト役がいなくなり動揺が隠せない予科生たち。間のとり方もさらさの間で練習してきたため簡単に代役を選ぶことができません。紗和に白羽の矢が立つが、声を出し過ぎてカラカラ。そこで愛が「さらさと台本読みを一緒にやってきたから間が分かる」と立候補し、舞台に上がる。幕が上がると愛がティボルト役として立っていることに観客は何で奈良っち(愛のJPX時代の愛称)がとざわついた。そしていざ、ティボルトの台詞がきたとき、ジュリエットをチュルエットと噛んでしまった。噛んでしまったことを悔やみ涙を流しさらさに謝った。さらさの祖父は倒れた後すぐに意識を取り戻し、元気を取り戻していた。唯一の肉親である祖父がいなくなったらと思うと怖くて堪らなかったさらさは祖父の元気な姿を見て安心した。

『オルフェウスとエウリュディケ』実技指導

さらさたちが予科生から本科生に上がって初の実技指導。指導は高木先生で、先輩方からも厳しいと聞いている。授業前に愛は娘役ではなく男役を選択すると言い、衝撃を与えた。さらさは千秋と組んで実技指導に挑む。オルフェウスとしてエウリュディケの千秋を精一杯愛し、甘やかすさらさ。そんなさらさに千秋はお腹いっぱいの状態。さらさのオルフェウスが愛せるかと不安でした。しかしさらさから千秋に「前に進むための授業だし、千秋のエウリュディケが1番可愛い」と言われ、気分が前向きになる。授業当日、練習のときとは違いさらさを感じさせない演技に安心感を覚える千秋。しかし、中盤に向かうとさらさはどんどん暴走し千秋を無視してどんどん演技を進めてしまった。千秋は1人で必死に立て直そうとするが、なかなか息が合いません。そして、とうとう息が合わないまま終わってしまう。高木の評価は「舞台というものは、役者やスタッフ、観客が同じ時間を共にするものだ。それ故にどれだけ役を演じきっても観客を置いていってしまっては意味がありません。とにかく息が合っていない」というものだった。演技を終えた千秋はさらさの暴走に怒ってしまいまう。そして姉の千夏の前で涙を流した。さらさたちの次は愛と千夏の番。愛はさらさのように明るいオルフェウスを演じるにはまだ実力が足りないと思い、シリアスな演技を選択した。そして日本のアイドルグループJPX48での経験を生かし、舞台の使い方にもこだわりを見せる。舞台を広く、奥行きのある使い方をしたことで高木から想像力があると褒められ、嬉しくなる愛。さらさはトイレに行った千秋を追いかけ、暴走した演技のことを誤り、もう一度自分と組んでほしいとお願いした。千秋は「ミスを立て直す方が評価されるから」と言ってさらさと組むことを受け入れる。そして、握手をした2人の手に愛の手が重なり、その後紗和の手も重なり、今度は4人で『オルフェウスとエウリュディケ』を演じることになる。

『かげきしょうじょ!!』の登場人物・キャラクター

主人公

渡辺さらさ(わたなべさらさ)

CV:千本木彩花

『かげきしょうじょ!!』の主人公。『ベルサイユのばら』のオスカルになることを夢見て紅華歌劇音楽学校に入学する。身長は178センチで周りと比べても頭1つ抜き出ている長身。少々天然で天真爛漫な性格のため周りを振り回してしまうこともしばしば。髪型はふわふわのツインテールだが、紅華の男役を目指している。幼い頃は日本舞踏を習うために歌舞伎の名家である白川家に通っていた。そこで、幼馴染みでもあり、今の恋人でもある白川暁也と出会う。歌舞伎の家の子である暁也と共に練習する中で自分も歌舞伎役者になりたいと夢見ていたが、師匠に「あなたは絶対に助六にははなれない」と言われ、幼心ながらに傷付く。さらさは知らないが、実父は人間国宝の十五代目白川歌鴎であり、その才能をよく受け継いでいる。漫画の中でも、人間離れした体幹や演技者のコピー能力で表れている。このコピー能力は後にさらさを苦しめることにもなる。『ロミオとジュリエット』の演技指導の際にティボルト役を演じることになったさらさは、DVDで観た歌劇団スターの演技をそのままコピーして演じ、先生に「このままではオスカルになれない」と言われた。そのことに「なれないなんていわれたら弱くなっちゃうじゃないですか。なれないは、さらさにとって呪いの言葉ですよ」と悩むが、文化祭の余興『ロミオとジュリエット』のオーディションでは悩みを吹っ切り、見事にティボルト役を射止めたのだ。しかし、祖父が倒れたとの連絡を受け駆け付けたため舞台に立つことができませんでした。予科生から本科生に上がってからは授業もより本格的になる。『オルフェウスとエウリュディケ』の実技指導では相手役を置いてけぼりにして、1人暴走しながらオルフェウスを演じてしまうという課題が出てきた。

奈良田愛(ならたあい)

CV:花守ゆみり

『かげきしょうじょ!!』のもう1人の主人公。アイドルグループJPX48の元人気メンバーで、娘役の似合う整った顔立ちの美少女。さらさの親友で寮では同室という1番さらさと共にする時間が多い。母親は映画女優の奈良田君子で、叔父は紅華音楽学校でバレエを教える奈良田太一。母親とは関係が希薄であるため、太一がほとんど保護者代わりで愛の面倒を見ている。紅華を受けた理由は男性と関わらなくていいからと言うほど男性が苦手であり、JPX48時代に握手会に来たファンに「気持ち悪い」と言うほどである。小学校の頃からあまり学校にも行っていなかったため、人付き合いや人に感情を伝えることが苦手だが、さらさとの関わりを通して少しずつ学んでいるところ。歌舞伎を観劇した後に愛に「もう花道を歩けなくても、私たちには銀橋があるよ」と声を掛けたり、文化祭の余興で演じる『ロミオとジュリエット』のオーディションでは役作りに悩むさらさに「お客様が何を見ているのか、何を見たいのか。まず、それを意識しなくちゃいけないんだ」とアドバイスをしたりする一面も。オーディションではジュリエット役を希望するが、叔父太一に「14歳の天真爛漫なジュリエットにしては大人っぽい」と言われ落ちてしまう。本番では、さらさが倒れた祖父の元に駆け付けティボルト役が空いてしまったため、急遽ティボルトの代役として舞台に立つことになった。そのことがきっかけで娘役から男役に挑戦しようと決意し、髪を短く切った。『オルフェウスとエウデュリケ』の実技指導ではオルフェウスとして演じ、先生からJPX48で培った奥行きを使った演技が想像力が豊かだと高評価を得ることができた。「卒業するまでに色々な役にチャレンジしたい」と言っている。

紅華音楽学校予科生

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