KISSxxxx(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『KISSxxxx』(キス)とは、1988年から1991年にかけて楠本まきが雑誌『マーガレット』で連載した恋愛漫画である。女子高生かめのとロックバンド「DIE KUSSE」のボーカル、カノン。恋人同士であるちょっと不思議な二人の何気ない日常を楠本まきならではの詩的な表現や緻密な絵柄で綴った恋愛漫画。ロリータファッションやゴシックロックを取り扱った内容は少女漫画の枠を越えて今もなおカルト的な人気を集めている。

『KISSxxxx』の概要

『KISSxxxx』(キス)とは、1988年から1991年にかけて楠本まきが雑誌『マーガレット』で連載した恋愛漫画である。
女子高生かめのは家出した兄を探しに訪れたディスコで、兄のバンド“DIE KUSSE”のボーカリスト・カノンに出会う。しつこいナンパから救ってくれたミステリアスな雰囲気のカノンに惹かれ、かめのは恋に落ちる。それから、ライブに通うようになるがドジなかめのはいつもトラブルを巻き起こしてしまう。ある日のライブでステージで華麗に歌うカノンに薔薇の花束を投げるも、あさっての方向に投げてしまいカノンは必死にキャッチするも大けがをして入院をしてしまう。責任を感じて号泣するかめのに対してカノンは「かめのちゃんの花だからどうしてもほしかった」、「好きなコに泣かれるとどうしたらいいかわかんないよ」と告げてキスをする。こうして、二人の甘い日々が始まっていく。

タイトル末尾につけられた「x」はキスを表すスラングで、キスが続いていくことを意味している。漫画家・楠本まきの代表作の一つで、今作以降も『Kの葬列』や『致死量ドーリス』など美意識に満ちた作品を数多く発表し、現在はイギリス・ロンドンに在住している。その甘く詩的な世界観でカルト的な人気を博し、UKプロジェクトから作者自ら選定に携わったコンピレーションアルバムがリリースされ、「dip the flag(現dip)」や「割礼」など当時のニューウェーブバンドが参加した。また、漫画の世界観を映像化した『VIDEO KISSxxxx』がオリジナルビデオとしてリリースされるなど単なる少女漫画の枠を越えた作品もリリースされた。

当時取り扱われることが少なかったゴシックロックを取り扱った漫画ということでミュージシャンにもファンが多く、「LUNA SEA」のSUGIZOや「Plastic Tree」の有村竜太朗、「PLASTICZOOMS」のSho Asakawaがファンを公言している。特に「PLASTICZOOMS」は作品で登場するロックバンドから着想を得た“project DIE KUSSE”と題した主催ライブや作品のリリースを行うなど、強い影響を受けている。

『KISSxxxx』のあらすじ・ストーリー

二人の出会い

女子高生かめのは、父親とケンカして家出した兄を探しにディスコに訪れる。そこで、兄と一緒に“DIE KUSSE”というバンドを組んでいるカノンに出会い、しつこいナンパから救ってくれたカノンにかめのは強く惹かれる。兄 末広に「あいつはやめておけ」と忠告を受けるも、次第にかめのは恋に落ちていく。それから、彼のライブに通うようになるがドジなかめのはいつも騒動を巻き起こしてしまう。ある日のライブで、ステージで華麗に歌うカノンに薔薇の花束を投げるもあさっての方向に飛んでしまい、カノンは必死にキャッチするも、マイクスタンドでお腹を切る大けがを負って入院してしまう。責任を感じて号泣するかめのに対してカノンは「かめのちゃんの花だからどうしても欲しかった」、「好きなコに泣かれるとどうしたらいいか分からない」と告げ、キスをする。二人は恋人同士になり、幸せな日常が始まっていく。

臣との対決

無事退院したカノンは、“DIE KUSSE“でのライブを終えた後、対バンする“シュガーパウダー“のボーカル臣と肩がぶつかり、一方的にケンカを売られる。かめのに好意を持っていた臣は、カノンが気に入らなかった。終演後にカノンとはぐれてしまったかめのに臣が近付き、話しかけるも「カノンにいじわるする人とは話さないの」と突き放す。しかし、臣は一方的にかめのの唇を奪ってしまう。そこで現れたカノンは、臣に対して「カタつけなきゃいけない」と言い放ち、二人はケンカをすることになる。だが、先に殴りかかってきた臣のパンチをカノンは華麗に避けて臣にキスをした。先程奪われたかめのへのキスを臣から取り戻したのだ。

1泊2日のライブツアー

“DIE KUSSE“に、臣から関西へのライブ出演のオファーが来る。12月24日、25日ということでかめのとのクリスマスの予定を大事にしたかったカノンだったが、不貞腐れながらも大阪へと向かう。ライブの出来は上々だったが、かめのと離れ離れのカノンは会えない淋しさからどこかうわの空で終演後に電話をするも、かめのの父親に電話を切られてしまう。次の日、東京に戻る道中にカノンは「明日かめのちゃんが僕を忘れても、きっとずっと好きだ」と不安な胸中を末広や臣に打ち明ける。無事に東京に着き、かめのとカノンは満面の笑顔で「だいすき」と抱き合って喜んだ。

カノンのモデルデビュー

カノンは、道端でカメラマンにスカウトされ新創刊雑誌の表紙モデルになってほしいと依頼を受ける。一度は断ったカノンだったが、末広に「あんた このままだとかめのと結婚できないぞ」と忠告を受け、話を受けることにする。撮影した表紙は好評で専属モデルのオファーが来るが、カノンはプレッシャーで倒れてしまう。病院でかめのはカノンに「仕事辛いの?」と聞くと、カノンは静かに頷いた。そんなカノンに笑顔で「じゃ やめればいいよ」と伝えた。再び穏やかな時間が二人に訪れたのだった。

明日は何をして遊ぼうか。

いつものようにライブを終えたカノンは、かめのを探す。カノンの最優先事項はいつでもかめののこと。様々な仲間がカノンに声をかけるがカノンは「あとでね」とみんなに伝えて、かめのを探す。出口でかめのを見つけたカノンは「もしも僕達出会ってなかったら今頃どうしているんだろうね」と言う。かめのは切なげに「悲しくて死んじゃう」と伝える。「明日は何して遊ぼうか」、二人の幸せな日々が永遠に続く事を予感させて物語は静かに幕を閉じる。

『KISSxxxx』の登場人物・キャラクター

蟹かめの(かにかめの)

天然で少し世間とずれている不思議な女の子。兄の末広を探しに行ったディスコでしつこいナンパに困っていたところをカノンに救ってもらい、恋に落ちる。その後、“DIE KUSSE”のライブに通うようになるがいつも騒動を巻き起こしてしまう。

カノン

本名は加納 亜樹良(かのう あきら)。かめのの兄・末広が所属しているロックバンド“DIE KUSSE”でボーカルを担当している。ダンスフロアで出会ったかめのに次第に心惹かれ、付き合うことになる。元々は髪を赤く染め上げ、周りから「何をするか分からない」と言われるような荒れた生活を送っていたが、かめのと出会い、穏やかな日常を過ごしていく。

蟹末広(かにすえひろ)

かめのの兄でカノンが所属しているバンド“DIE KUSSE”のベーシスト。愛称はカニちゃん。スキンヘッドに丸いサングラスがトレードマーク。カノンの姉・織る子にずっと惚れている。元々は髪の毛があったが、自らライブに誘った織る子に楽屋で他の女とキスしているところを見られ、それ以来スキンヘッドにしているという噂がある。かめのとカノンの関係に時折口を挟みつつも、あたたかく見守っている。

臣(おみ)

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