8 1/2(Otto e mezzo)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『8 1/2』(イタリア語タイトル『Otto e mezzo』)は1963年に公開された、イタリア人映画監督フェデリコ・フェリーニによる自伝的コメディドラマ映画である。
単独監督作品を1作、共同監督作、短編作を0.5作とカウントし、本作がフェリーニの8.5作目に当たることからタイトルがつけられている。1963年の第36回アカデミー賞で最優秀外国語映画賞、監督賞、脚本賞、美術賞の4つの賞を獲得した。
映画監督のグイドの苦悩、そして彼が理想の世界へと現実逃避するさまを描いている。

人が自分自身の眼から見た自分の生涯、人生を記述したもの。本作の主人公は映画監督のグイドとなっているが、今作はフェリーニの自伝的作品と位置付けられている。そのためグイドが銃で自らを撃ち抜くシーンや、音楽隊が去っても少年のグイドがひとり笛を吹き続けるシーンは非常に意味深なものといえる。

『8 1/2』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

保養地で自分を見つめなおすグイド

本作にはグイドが温泉で自分自身を見つめなおすシーンがある。そこで夢や幻想がグイドの胸に押し寄せてくる。それでも何を描くべきか、自分が何を表現したいのかは一向に出てこない。グイドの混乱が夢や幻想という形で表れているシーンであり、またグイドの苦悩が見る者一人ひとりの感情と重なり、共有されていくシーンでもある。

グイド「人生は祭りだ、共に生きよう」

グイドが心を読める芸人に会った後、目の前にはこれまで出会った人々が次々に現れる。その中には笑顔のクラウディアもいた。グイドは突然幸福を感じ、妻に対して「人生は祭りだ、共に生きよう」と言った。妻は「確信は持てないけどやってみるから力を貸して」と返した。
映画のこの場面は現実なのか、空想なのかは明言されていない。しかしこれは映画制作に行き詰まり、苦悩したグイドが見つけた、人生というものに対する答えである。

『8 1/2』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

破棄されたラストシーン

本作のラストシーンとしてグイドを含む登場人物たちがが輪になって踊る場面が有名であるが、お蔵入りになったラストシーンがあった。
もともとは登場人物たちが幽霊のような白い服を着て登場し、全員で列車に乗ってどこかへ向かう場面がラストシーンとして既に撮影されていた。列車のセットの中に登場人物を乗客としてぎゅうぎゅうに詰め込み、登場人物の顔のアップとセリフなしという葬式のようなシーンであった。しかしながら、このラストシーンはお蔵入りになった。
同じ頃にフェリーニは映画の制作会社から本作の予告編の制作を依頼され、その時に撮影されたのが登場人物が輪になって踊る、というシーンであった。これに手応えを感じたフェリーニはラストシーン用に改めて演者を集めて撮影を行なった。これにより、本編のラストの輪になるシーンと予告編の該当シーンとでは登場人物の服装などが若干異なっている。

ラストシーンの前にグイドのポケットに拳銃があることを示唆するセリフや銃声などが聞こえるシーンがあるが、当初の幽霊を想起させるエンディングを考えるとグイドが自殺したとも考えられる。

ピーター・グリーナウェイ監督作品に登場

本作はピーター・グリーナウェイ監督が制作した『8 1/2の女たち』に登場する。『8 1/2の女たち』は大富豪の親子が作り上げた娼館に集まる女たちと、大富豪の親子との奇妙な関係を描いた異色のドラマだ。この作品はピーター・グリーナウェイが本作のオマージュとしてささげたものである。

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