オチビサン(安野モヨコ)のネタバレ解説・考察まとめ

『オチビサン』とは、主人公・オチビサンの四季折々の日常を描いた安野モヨコによるフルカラー漫画である。1話ずつ1ページでストーリーが進む。『朝日新聞』に2007年4月から2014年3月まで連載され、2014年4月から2019年12月まで『AERA』(朝日新聞出版)に移籍して連載された。単行本は全10巻。オチビサンとその仲間たちのほのぼのとしたストーリーと、水彩画の絵が人気を呼んだ。絵本になりテレビアニメ化され、さらには動画配信サイトでも公開された。

2015年に公開された。『オチビサン』のアニメの正式名称は『オチビサン:The Diary of Ochibi』であり、日本アニメ(ーター)見本市のサイト上で公開された。YouTubeの安野モヨコ公式チャンネルでも閲覧が可能である。
監督の川村真司が、Green Fundingでクラウドファンディングを行い、資金を集めて制作された。支援者は68人で、支援金は110万円を越えた。川村監督と安野のタッグで制作された手作り感満載のアニメである。声はなく、音は楽器の演奏のみだ。春夏秋冬の移ろいをストップモーションの技術を使い制作された。
春は、お弁当箱の上でオチビサンが動く。オチビサンのキャラクターは、本物の食材を使い細かく丁寧に作られた。お弁当のおかずの黒豆を転がして遊んだり、たこさんウインナーを食べるオチビサンが表現されている。
夏は、うちわとうちわの表面をオチビサンが自由に動き回る。背景である畳が、涼しげであり和ごころを感じさせる。うちわの色で空を表現し、花火まで打ち上げる。それをオチビサン、ナゼニ、パンくいが一緒に見ている。漫画の世界そのままである。
秋は、糸とフェルト、そして小枝で作られたオチビサンが枯葉を掃除する。オチビサンのトレードマークである赤いボーダーは、紅葉を横に並べて作られた。オチビサンの体自体が秋模様である。落ち葉を掃除する音もリアルで、耳に心地よいものだ。
最後の冬は、こたつの上に置いてある湯吞み茶碗がオチビサンたちの舞台だ。湯吞みの丸いつくりを生かしてオチビサンとナゼニが雪だるまを作る。大きな雪だるまを作り、顔の飾り付けはパンくいがする。湯吞みに描いてある絵を動かすことで、オチビサンたちの遊びを表現している。
本編は7分40秒の短いアニメだが、ひとコマずつ物や食材を動かし撮影した川村の熱量は計り知れない。川村は、完成された『オチビサン:The Diary of Ochibi』の制作に1年の歳月を費やしたと語っている。
漫画の世界と同様にカラフルでぬくもりのあるこのアニメは、原作者の安野も絶賛の作品となった。

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