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baristenderのレビュー・評価・感想

呪術廻戦 / Jujutsu Kaisen
7

過去の漫画の良いとこどり

シンプルに言えば主人公が呪いを祓っていくというだけの話で、少年漫画ではありがちな設定。主人公が呪いを祓う理由というのも「間違った死を防ぎ、正しい死に導く」という、やや共感しにくいものであり、その考えに至った経緯もあまり十分に描写されておらず、連載当初は打ち切り候補に挙がっていたというのも十分うなずける。
この漫画が跳ねたと思われるのは『呪胎戴天』というエピソードである。エピソード開始時に主人公サイドの人間が一人死亡するという衝撃的なナレーションから始まり、主人公に取り込まれている宿儺という化け物がまったく情け容赦ない行動をするのが新鮮であり、読者に受けたのだと思われる。能力や組織の設定は『ハンター×ハンター』、『BLEACH』、『NARUTO』といったジャンプ漫画の影響をかなり強く受けており、粗さも目立ち、またストーリーのメッセージ性にも乏しい。それでも面白いと思えるのは、『呪胎戴天』のエピソードに始まり、ストーリー展開が「読者を驚かせる、楽しませる」ことを重視して作られ、エンタメに特化しているからだと思われる。伏線の張り方も上手であり、それぞれのキャラクターの思惑や今後のストーリー展開を考えるのも楽しい。素直に読んで楽しむ漫画である。

羊たちの沈黙 / The Silence of the Lambs
10

スリル満点サイコホラー「羊たちの沈黙」

1991年に公開されたアメリカの映画。主演のクラリスをジョディ・ホスターが務め、レクターをアンソニー・ホプキンスが演じた。原作はトマス・ハリスの同名小説である。猟奇殺人犯バッファロー・ビルを追うため、FBIの訓練生であるクラリスが、猟奇殺人犯として牢獄に収監されるレクターに接近するところから物語は始まる。大きな枠組みで見ればホラーであるが、スプラッタに重きを置いているわけではなく、ストーリー性や演技、演習がかなり凝られている。前半ではレクターという人間は大人しく聡明な人物に見え、その猟奇性は影を潜めていた。しかし終盤にかけて突如皮が剥げて猟奇性が表出する。この時のホプキンスの演技はまさに怪演であった。前半と後半でコントラストが効いて余計に恐ろしい人間に見えるのだ。その裏ではクラリスが、追っていた殺人鬼と対面する。このラストシーンは特に印象的である。部屋の灯りが消え犯人に翻弄されるクラリスを見ていると自分がその場にいるような恐怖を感じた。グロテスクなシーンも所々に含まれてはいるが、ホラーやサスペンスが好きな方には本当にオススメできる作品である。特にストーリーが分かりやすいながらも、巧みな構成と展開のため最後まで楽しんで見れる。ぜひ、一度は見てほしい作品だ。

ゲット・アウト
8

映画「ゲット・アウト」レビュー

白人女性の恋人の実家へ挨拶に行った黒人の男性が主人公です。
友人に「白人の彼女の実家へはあいさつに行くな」と冗談交じりで忠告されますが、彼は実家へ挨拶に行きます。
彼女の実家では大歓迎されますが、それとは裏腹に使用人として働いている黒人や彼女の親戚の黒人に違和感を強く覚えます。また自分のことを必要以上に評価してくる親戚一同にも違和感を覚えます。

この映画のあらすじを読んだときからどんな物語なのか気になっていました。
Netflixにこの映画が上がっていたので早速観てみました。

彼女の実家の人たちも親戚一同も主人公をとても気持ち悪いほどに好意的に接しており、その中で彼女と、友人の存在が安心して観ていられました。

使用人の黒人への違和感、親戚の黒人への違和感は分かりやすく描写されていました。
夜中に猛ダッシュしたり、言っている内容とは裏腹に涙を流したり、若者なのに老人のような態度だったりと主人公がこの場に居たくない環境がどんどん出来上がっていき、内容もどうなっていくのかワクワクして観ていられました。

私が好きなシーンは、友人が主人公と連絡が取れなくなり、頑張って助け出そうとするために奮闘するところです。主人公の唯一の拠り所の彼女に裏切られるシーンも見どころです。

彼女の実家では一体何が行われているのか、ぜひ観てみてください。

Mr.Children / ミスター・チルドレン / ミスチル
10

日本を代表する「ロック・ポップ」バンド

Mr.Childrenは日本を代表するロックバンドとして、メジャーデビュー当初からその名をはせてきた。すべての曲・アルバムを通して、バンド名にはじぬほど「若さ・青春」を感じられる曲を数多く輩出していて、中高生から40代まで幅広い世代にぐさりと刺さる曲が多い。
「ミスチルは恋の歌ばかり歌っているイメージ」「Mr.Childrenはロックバンドとは呼べない」という批判が多い。特に2000年からの曲にはこの手の批判がよく来るが、決してそんなことはない。各アルバムを詳しく聴いていけば、心を揺さぶられるような歌詞やメロディにかならず出会えるはず。「ロック」の名にふさわしい、純粋で力強いナンバーを輩出しながら、ドラマタイアップなどの仕事もこなせる。まさに「ロック・ポップ」バンドの第一人者だ。
Mr.Childrenが世代を超えて愛されるのは、どんな素晴らしい曲を出して評価されても決して満足せず、つねに新しい自分たちを求めて頑張っているからだと思う。ボーカルの桜井和寿さんは新しいアルバムを出すたびに「最高傑作ができた!」と言いはって、その一年後には「さらに上を目指す」と意気込む。はたしてそのバイタリティはどこから来るのか不思議だし、じっさい新アルバムのたびに新たなミスチルの一面に出会えるから、ファンの心をつかんで離さない。
ただ曲を聴くだけでなく、「バンドの成長を楽しめる」という、唯一無二の魅力を持ったバンドだ。

アイ・アム・レジェンド / I Am Legend
7

化け物にまみれた世界で孤独に生きる男の話

世界的に人の形をした化け物、ダークシーカーが闊歩し、奴らは人を襲います。
多くの人が命を落とし人影の消えた街は荒廃して、道路などはボロボロながらも面影を残し、他の車に塞がれた場所以外であれば走行も可能です。

そんな街でたった一人、相棒の犬と過ごす主人公は店の食料などを拝借しながらそれなりに健康に生きていました。
ある日母娘が彼の住居に訪れますが、孤独から逃れるというプラスの変化というよりも彼にとって貴重な食料を勝手に食べられてしまうというマイナス面が目立ってしまいました。
それでも数少ないと思われる生き残りと協力し、助け合って他の生き残りを探していきます。

元研究者でもある主人公は、次第にダークシーカーたちが元々は人間でそれが変化したものであることから、彼らを人間に戻すという薬を開発することを決意します。

最終的に彼は化け物となった存在を人間に戻す血清を作成することに成功しますが、血清を制作する際に試験投与され人に戻りつつあったダークシーカーを取り戻そうとするダークシーカーのボスに襲われます。彼は助からないことを悟ると、女性に血清を託し手榴弾でボスを巻き込み自爆。ダークシーカーを人間に戻す血清を作り、命をかけてそれを守った彼は伝説となった、という正にタイトル通りの物語です。

この映画は公開直前にエンディングが差し替えられた経緯があり、差し替え前の別エンディングは一部DVD、Blu-rayにて特典映像収録されています(収録されていないものもあるため、購入またはレンタルの際はご注意ください)。

planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
10

ロボット少女のプラネタリウム解説員の最後の瞬間が切ない。

未来の核戦争後の世界が舞台です。住む人のいない街では殺人ロボットが内蔵プログラムに従って人間を追いかけまわして殲滅させています。そのロボットから逃れた1人の少年はその街のプラネタリウムにたどり着きます。いつ殺されるかわからない恐怖の中で出会ったのはそこで解説員をしているロボット少女でした。そのプラネタリウムにはもう電気は送られておらず、少女は内臓バッテリーの充電もできません。あとわずかに残された稼働時間がその少女の寿命です。内臓プログラムによって会話するロボット少女の少年とのやり取りがどこかピントがずれているので少年をイライラさせるのですが、同時にとてもほほえましく絶妙にユーモラスです。とても癒されます。人間を幸せにするのがロボットである自分の役目だという少女の語り掛けによって、こわばった少年の心は次第にほぐれていくのです。少年が故障していたプラネタリウムを修理すると、少女による星空の上演と解説が始まります。その解説は少年に忘れられない感動を与えます。別れの時がくると、少年はその少女を連れて街を脱出することを決意しますが、その途中で出会ったのが最強の戦車型ロボットです。生き延びるための激しい戦闘が展開されるのですが、その最中に起きる悲劇の中でロボット少女が少年に語り掛ける最後の言葉がとても感動的です。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / The Legend of Zelda: Breath of the Wild / ブレワイ / BotW
10

もう1つの自分の人生

どっしり腰を据えてやるゲームです。
空気感、風、生き物すべて、リアリティというより質感をもって迫ってくるゲームです。
もうゲームというより、もう1つの自分の人生を生きている感覚でプレイしてしまいます。
まずマップが広いです。実際の京都市くらいの広さがあるそうです。ちょっとおかしいくらい広いです。
そしてその広大なマップのどこにでもいけるオープンワールドです。
オープンワールドといえば、ゲーム内での組み合わせが天文学的な数になるゆえに、よくバグが発生し、そのバグの動画がネット上にアップロードされていることが多いのですが、ブレスオブザワイルドに限って言えば、挙げられているバグの動画が極端に少ないというか、ほとんど見かけないです。開発者側もちょっとおかしいくらいのデバッグをしているのが伺えます。
デバッグがしっかりされているうえで、オープンワールド特有に、無限にできることがあります。
基本は、広大で美しいフィールドを駆け抜けながら各地の神獣を助け、その過程で謎解きをしていきます。その謎解きの仕方は、定石通り解いてもいいし、持っているアイテムを組み合わせて力技で解決しても大丈夫です。どんな解き方をしてもバグは起きないと思います。
こんな神ゲーに出会えることはなかなかないですので、同じ時代に生まれたのだから1度はプレイしてほしいと思います。

アリータ: バトル・エンジェル
10

アリータの自分を取り戻し強く生きる姿に感動しました。

主人公であるアリータが頭部だけが生きた状態で見つかり、他の部分をイドによって作られた体によって生きていくという物語です。
この映画では体を機械にして生きるということが多々あるようで、そんなSFチックなところがとても面白かったです。アリータの性格がとても真っ直ぐなところにいろいろな人が惹かれていくのだと感じました。
一番良かったのは、アリータがモーターボールという競技に出場した場面です。アリータは結局代替えの体から自分の本来の体であるバーサーカボディを入手し、その競技に出るのですが、他の競技者がアリータを殺すためだけに雇われた人だったので競技が殺し合いに変わってしまいます。歴戦の戦士なだけあり、それに軽々と応戦していく様子は一瞬でも目が離せませんでした。彼女の俊敏な動きやそのスピーディーな演出が本当にカッコよかったです。
また、この映画は3Dで視聴しました。私は初めて3Dで映画を見ることになって最初は大して変わらないと思っていたのですが、最初からその1つ1つの場面でその場にいるような臨場感を味わえたのには本当に驚きました。敵の攻撃を避けて目をつぶってしまうほどリアルでした。このように出会いや感動がありSFの最高潮が味わえるアリータは本当におすすめです。