過去の漫画の良いとこどり
シンプルに言えば主人公が呪いを祓っていくというだけの話で、少年漫画ではありがちな設定。主人公が呪いを祓う理由というのも「間違った死を防ぎ、正しい死に導く」という、やや共感しにくいものであり、その考えに至った経緯もあまり十分に描写されておらず、連載当初は打ち切り候補に挙がっていたというのも十分うなずける。
この漫画が跳ねたと思われるのは『呪胎戴天』というエピソードである。エピソード開始時に主人公サイドの人間が一人死亡するという衝撃的なナレーションから始まり、主人公に取り込まれている宿儺という化け物がまったく情け容赦ない行動をするのが新鮮であり、読者に受けたのだと思われる。能力や組織の設定は『ハンター×ハンター』、『BLEACH』、『NARUTO』といったジャンプ漫画の影響をかなり強く受けており、粗さも目立ち、またストーリーのメッセージ性にも乏しい。それでも面白いと思えるのは、『呪胎戴天』のエピソードに始まり、ストーリー展開が「読者を驚かせる、楽しませる」ことを重視して作られ、エンタメに特化しているからだと思われる。伏線の張り方も上手であり、それぞれのキャラクターの思惑や今後のストーリー展開を考えるのも楽しい。素直に読んで楽しむ漫画である。