ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind

『ビューティフル・マインド』とは、ノーベル経済学賞受賞の数学者ジョン・ナッシュの半生を描いたアメリカの映画。
数学界、経済界にとって画期的な理論「ナッシュ均衡」を発見、発表する天才数学者のジョンだが、人付き合いが苦手な中で仲の良い友人が出来たり秘密部隊から極秘任務を任されるという幻覚を見る統合失調症に苦心した。本作では統合失調症の世界観の例を示すとともに、最初は自身の幻覚を現実と思い込んでいたジョンが事実を受け止め、周囲の人たちと共にその事実と向き合っていく様が描かれている。2001年公開。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mindのレビュー・評価・感想

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
9

あらすじ・ネタバレを一切みずにこの感動を体感いただきたい

日本では2002年に公開された、少し、いやかなり古い映画です。しかしながら、色褪せない美しい感動を体感できる素晴らしい作品。
もし、まだ観たことがない方はぜひあらすじやネタバレなど一切読まずぜひ観ていただきたいです。

1994年にノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの人生をラッセル・クロウが演じた作品で、2002年・第74回アカデミー賞で8部門にノミネート・作品賞を含む4部門を受賞しています。

この作品は、数学者の成功と苦悩を描いた作品で、それだけで観ごたえがあります。大学で学び、どのような研究をしそれに苦悩があったのか。「オッペンハイマー」や「イミテーション・ゲーム」のような作品が好きな方は、その点だけでも楽しめる作品でしょう。

ただ、この作品には、「オッペンハイマー」や「イミテーション・ゲーム」とは大きく異なる点があるのです。

<ここから感動を阻むネタバレを記載します>
少し調べればわかってしまうのですが、作品で描かれるジョン・ナッシュは統合失調症を患っていました。その描かれ方がすばらしく、いまとなっては史実がどうだったかはわかりません。ですが、彼の成功(ノーベル経済学賞)の受賞は、「統合失調症」があってこそだったのではないでしょうか。ただ、映画で描かれるのは病を患うジョン・ナッシュと彼を支えた妻の苦悩。彼らは、その先にある「成功」を知らない。そのためただただ苦しい描写もあります。
しかし、最後、ノーベル賞を受賞した際のジョン・ナッシュの晴れやかな笑顔が忘れられない感動作といえます。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
6

ラッセルクロウが数学者に?映画ビューティフル・マインドをネタバレレビュー

映画「ビューティフル・マインド」は、アカデミー賞を受賞するなど、ハリウッドで成功している俳優であるラッセル・クロウが主演の作品です。
ラッセル・クロウが演じたのは、実在の天才数学者であるジョン・ナッシュで、1994年にノーベル経済学賞を受賞した人物です。シルヴィア・ナサーという作家による同名のドキュメンタリを元にしています。
この原作本の大きな特徴は、若く才能溢れる数学者だったナッシュが、やがて統合失調症によって苦しむようになって闘病生活を強いられる中での、周囲の人たちの苦悩、そして奇跡的な回復と若き日の業績が認められたことによるノーベル賞受賞までが描かれているというところにあります。
原作との違いとして特筆すべきなのは、ナッシュの才能についての描かれ方です。原作の(つまり実際の)ナッシュは、本当に天才で、発病前の若い頃の時点で、その数学の業績は周囲も認めざるを得ないほどでした。また、その才能への自負のあまり、他人を見下しているようなところもありました。
一方、映画のナッシュは、「天才」とされてはいるのですが、革新的な業績を挙げたいと願うあまり、平凡な成果でもいいから論文を出そうとしたりはしません。学生時代には、同世代の他の若者たちが成果を出していく中で、論文の一つも出ていなくて、大学の教授からもあまり認められてないようにも見えます。
こうした苦悩が描かれているからこそ、ある時、急に閃いて、後にノーベル賞に値することになる経済学の数学的原理にたどり着くシーンには、心踊らされるものがありました。
また、映画の大きな特徴として、統合失調症の症状としての「幻覚」を、ストーリーに組み込んでいる点があります。
大学を出て若い研究者となったナッシュは、敵国の暗号解読のための極秘の任務に関わるようになります。この「仕事」のことは誰にも話してはいけないもので、やがて結婚してからも、奥さんのアリシアにも内緒にしていました。しかし、ナッシュの存在を知った敵国に、やがて命を狙われるようになり、突然、カーチェイスのようなシーンが始まり、まるで別ジャンルの映画のようなスリリングな展開に。何の説明もなしに、何かに怯えるようにして部屋にこもってしまったので、アリシアはとても心配します。
これら「任務」に関するシーンはとても圧巻なのですが、実はナッシュの幻覚で、このあたりを境に、精神病院や自宅での闘病生活が始まります。実は、命を狙う敵や、ナッシュをこの任務に誘いにきて以来、ともに行動していた人物さえも、幻覚がつくりだしたイメージに過ぎなかったのでした。
こうして、映画の内容はここから、ナッシュの闘病生活へとシフトしていきます。
命を狙われる幻覚を見てナッシュが引きこもった場面から、統合失調症の診断を受けてからの闘病生活まで、アリシアを演じるジェニファー・コネリーの演技により、闘病を支える周囲の苦しさがよく描写されていました。
映画の終盤で、老人になったナッシュはノーベル賞の受賞を告げられ、大学の教授たちから賞賛されます。受賞のスピーチでは、今も続く長い闘病生活の中で、自分を支えてくれた妻に感謝を述べます。これこそが孤独で研究に打ち込むしかなかった天才が、長い時間をかけてたどり着いた答えだったのでしょう。
ナッシュにだけ見える幻覚の「友人」たちさえも、優しく微笑みかけているようでした。
全体として、テーマの重さや「幻覚」を表現の軸にしていることなどもあり、最後まで観終わってからも今ひとつすっきりとしない人もいるかもしれません。それでも、若き日のナッシュの孤独や努力がやがて報われ、それ以上に大切なことに気づけたラストシーンは、とても感動的であり、勇気づけられるものであることは間違い無いので、とてもおすすめの映画作品です。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
9

ラッセル・クロウの演技が素晴らしい

「ビューティフル・マインド」はアカデミー賞を4部門受賞した名作と言われる作品です。主演はラッセル・クロウ。男っぽい役が多い印象がありますが、この作品では非常に繊細な主人公ジョンを演じています。
ジョンの印象は序盤から中盤は数学の天才だが、変わったところのある人です。ルームメイトがとてもいい人で、変わっているジョンの理解者であったり、天才なゆえに黒ずくめの怪しい男からスパイ的な仕事を頼まれたり、かなり波乱万丈な人生を送ることになります。
しかしジョンの結婚後、ルームメイトとその姪っ子、黒ずくめの男が統合失調症による幻覚だとわかります。ここからが、壮絶です。幻覚だとわかっているのになかなか彼らとの縁を切れません。ジョンが一生懸命彼らと話していても、はたから見れば、誰もいないのに話しているように見えるのです。時には、ルームメイトがジョンの赤ちゃんをお風呂に入れると思い込み、赤ちゃんをおぼれさせてしまいそうになったりします。
ジョンは長い年月をかけて、彼らと折り合いを付けようとします。病気との闘いを支えたのは、大事な家族と数学に対する情熱です。ついにノーベル賞を受賞するまでになります。幻覚である彼らは、若い姿のままジョンの前に何度も現れますが、ジョンはどんどん年を取っていくのです。その対比がまた切なくもあります。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
10

統合失調症の天才数学者ナッシュの半生を描いた作品

私も統合失調症と診断されたことがあるので、興味深く見ていた。精神疾患と健常者の境目は、幻覚や幻聴と現実の境が見えなくなること。この作品はナッシュが見ている幻覚も映像化されている。それを見破るカギとなったのは、手術で腕に埋め込まれたとされているICチップが、手術跡すらないと分かった時だった。そう考えてくるとナッシュが政府機関から依頼されたとしている、新聞や雑誌の活字から暗号のようなメッセージを探し出してくるという仕事も、ナッシュの一人よがりのものだということがわかってくる。統合失調症の症状から脱却するのは、自分が見えたり感じたりしているものが、自分の妄想や幻覚、幻聴によるものなのかそれが自分で判断できるということだ。幻覚や幻聴だと認識できた時点で本人はもう精神疾患ではない。それに惑わされずしっかり現実を見て生活していけばいいだけの話である。ナッシュはその判断が自分でできずに、幻覚や幻聴妄想に流されて動いてしまったから統合失調症なのである。精神に異常をきたしているから自分の可愛い子供を危険な目に合わせるようになってしまう。奥さんがいて本当によかったと思う。仕事的にはゲーム理論を発見構築して成功したかもしれないが、社会人・夫としては失格だということ、愛情或る奥さんのおかげで救われたと思う。ナッシュも仕事で成功したい、認められたいという願望が強かったからそういう幻覚が見えたんだと思う。功名心が強かったからその裏返しで、政府から極秘任務を依頼されて、それに自分が従事しているという発想になったんだと思う。なんかアッシュの精神状態を分析する精神科医のようになってしまったが、名を成したいというコンプレックスが病状を招いたのではないか。自分が生活するうえでも非常に興味深い映画であった。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
9

ニューミレニアムに相応しいアカデミー賞作品

2001年のアカデミー賞作品。映画をずっとじっくり見る…というのが苦痛な私でも最後まで飽きずに見られた作品です。
大学で経済学を受講した方なら聞いたことがあるかもしれません。勉強した時期ととこの作品を見た時期が近いために今でも覚えていますが、ナッシュ均衡というゲーム理論があります。主人公は実在したジョン・ナッシュ。ノーベル経済学賞受賞者です。早熟の天才だったわけです。大学で講義をして生徒と結婚をします…がしかし全てが順調というわけにもいかないです。ロシアの通信暗号解読を政府は彼に強要したために、今で言う統合失調症になってしまいます。そこからが彼の人生を大きく狂わせてしまいます。
ただこの作品かなり脚色しています。実際には病気にはかかっていないという説も有り、また作品そのものを美化し過ぎて事実と違いすぎるなどの批判はかなりありました。統合失調症の症状については幻覚が見える(聞こえる)等の症状があるようです。ノーベル経済学賞を受賞する際もその症状が出ますが、彼が悠々として見下ろすシーンは感動的です。
日本人はノーベル経済学賞を受賞した事が無い唯一の賞です。その意味では経済学という分野で何かを起こすという彼の試みと半生は素晴らしいと言えるでしょう。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
6

ビューティフル・マインドのレビュー

天才数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた映画です。
ジョンは奨学金をもらって大学院に進めるほど優秀な数学者。だけど、性格はサイアク。カレッジ・メイトのネクタイにケチをつけ、他人の論文を酷評し、授業なんか意味がないと出ず、なのに自分は人とは違うと自信満々。
そんなやつでも天才なんです。授業をサボりまくっていたのに、ライバルを押しのけ、ジョンは一番すごい研究所に採用されてしまいます。
けれど、そんなジョンに不幸が忍び寄っていました。ジョンは大学に入学したころから統合失調症を患っていたのです。統合失調症の幻覚で、ジョンは自分がソ連の爆弾テロからアメリカを守るスパイだと思い込んでしまいます。
様子のおかしくなったジョンは、精神病院に強制入院させられてしまいました。妻のアリシアは献身的にジョンを支えます。でも、ジョンの病気は重症化したり再発したり……。
研究所を辞め、ジョンは自分が通っていたプリンストン大の近くに引っ越し、かつてのライバル・マーティンの助けを得て大学に通わせてもらうことにしました。
そして長い年月が経ったのち、ジョンは大学の生徒に受け入れられ教授たちに認められ、なんとノーベル賞を受賞するまでになったのです。
授賞式で、ジョンは妻の愛への感謝を語るのでした。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
8

栄光と挫折を味わった方に

今まで数々の映画を観てきた筆者には大きな衝撃を受けた作品でした。

主人公は実在する人物、ジョン・ナッシュ。ミクロ経済学を学ぶとナッシュ均衡理論というのが出てくるくらいに有名かつ天才数学者。
しかし彼の半生は順風満帆な人生というよりも病気に悩まされる…挫折の方が大きかったかもしれません。
その病名は統合失調症。現在かなり増えているようですが、この病気は陽性症状と陰性症状がありますが、彼は前者に悩まされます。

当時の統合失調症は重度…と言えるかもしれません。学者になれるほどの能力がありながら…その現実は病に振り回される。エリートほど挫折した時のショックは大きいものと感じました。
ただこの映画には史実と異なるとの指摘もあります。かなり脚色されたのでしょうか。そこまで病気に悩まされていないとの説もあります。
そんな彼は1994年にノーベル経済学賞を受賞します。この頃は寛解に向かったとの史実があります。
ちなみに日本人が唯一受賞していないのがノーベル経済学賞です。
21世紀のスタートの名作を今一度鑑賞してみるのはいかがでしょうか。

ビューティフル・マインド / A Beautiful Mind
10

弱点を認める勇気、立ち向かう強さを学べる

この映画は実際の話が元になり作られている。
主人公は昔からとても頭がよかった。だが、その反面周りからは変人扱いをされていた。
最初の方は「少し変わり者なくらいじゃないか」と思うが、物語が進んでいくと主人公がある病気だったことがわかる。
そこから、急展開を迎え、主人公の葛藤や頑張り、周りの支えなどがあり、クライマックスを迎える。

周りからいじめられている主人公だが、ルームメイトとの出会いで一時は明るくなる。
だが、彼は精神障害を患っており、それが妄想だったことが判明する。
順調に行っていたはずの生活が妄想で、それを受け入れられない主人公と、受け入れさせなければいけない家族や友人とのシーンは胸が苦しくなる。
その後、主人公はまだ妄想は見えているものの、彼らは自分の妄想だということを認め、物語はいい方向へ進んでいく。
主人公はついにはノーベル賞を受賞するのだが、この時に言った言葉には、「こんなすごい人がこう言うなら…」と納得、感動し、「すごいな〜」と思ってしまう。
そして、この時代の学者や大学生達の間では優秀な人に敬意を表す独特の儀式みたいなものがあるのだが、映画の序盤ではそれを端から見ていた主人公が、最後にはみんなに敬意を表される。
この瞬間は本当に感動する。
この映画からは、自分の弱点を認めることの大切さ、その辛さ、そしてそれでも懸命に努力することの凄さなど学べる。
とても考えさせられる、いい映画だった。