じわじわとくる「こわいもの」
はじめにお伝えしますが、ワッと驚くような展開は一切ありません。後ろを振り返ると幽霊がいたり、いきなり大きな効果音なんかも一切なしの本作。
何が怖いのかというと、「自分が今住んでいる家にも関係があるかも」と思わせてしまうところ。
事の発端は、1人の女子大生が「自分の住む部屋で変な音がする」と気づいたこと。ある有名なホラー作家に実話怪談として手紙を出したことをきっかけに、変な音の正体を探ることに。
実は作家はその変な音についての手紙を、数年前にも別の人から受け取っていたことを思い出します。同じマンションの別の部屋からの投稿でした。
「原因は部屋ではなく、マンション一帯では」と疑問に思った2人は、マンションが立つ前には何があったのか、過去を辿っていきます。
そしてマンション以前に建っていた家で、謎の不審死があったと知ります。当時住んでいた人もまた、ある音に悩まされた末の自殺だったのでした。そしてその音は、女子大生が耳にした変な音ではなく、赤ん坊の泣き声。かつての住人の家が建つ前に建っていたのは、赤ん坊を殺したという女性の住む家だったのです。彼女は、夜な夜な恨みを言う声にそそのかされてやったと言っているのですが、真相は如何に。
あなたが今住んでいるのは、一軒家か、それともマンションでしょうか。前に住んでいた人のことをどれだけ知っていますか。新築だとしたら、建つ前に何があったか知っていますか。
この映画は、見る人を驚かせるような幽霊はでてきません。ですが見終わった後、きっと1人で家にいるのが怖くてしかたなくなるでしょう。