残穢-住んではいけない部屋-

残穢-住んではいけない部屋-

『残穢-住んではいけない部屋-』とは、小野不由美のホラー小説『残穢』を原作とした、中村義洋監督による映画作品。竹内結子が主人公であるホラー小説作家の私(小松由美子)を演じ、橋本愛がストーリーのきっかけとなる女子大生の久保亜紗美を演じる。ある日、私の元に久保亜紗美から、「今住んでいる部屋で、奇妙な音がする」という内容の手紙が届く。そのマンションを調べていく内に、過去の住人が引き起こした数々の事件について暴かれていく。暗闇の底から這い出てくるような不気味な世界観が特徴。

残穢-住んではいけない部屋-のレビュー・評価・感想

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残穢-住んではいけない部屋-
8

じわじわとくる「こわいもの」

はじめにお伝えしますが、ワッと驚くような展開は一切ありません。後ろを振り返ると幽霊がいたり、いきなり大きな効果音なんかも一切なしの本作。
何が怖いのかというと、「自分が今住んでいる家にも関係があるかも」と思わせてしまうところ。

事の発端は、1人の女子大生が「自分の住む部屋で変な音がする」と気づいたこと。ある有名なホラー作家に実話怪談として手紙を出したことをきっかけに、変な音の正体を探ることに。
実は作家はその変な音についての手紙を、数年前にも別の人から受け取っていたことを思い出します。同じマンションの別の部屋からの投稿でした。
「原因は部屋ではなく、マンション一帯では」と疑問に思った2人は、マンションが立つ前には何があったのか、過去を辿っていきます。
そしてマンション以前に建っていた家で、謎の不審死があったと知ります。当時住んでいた人もまた、ある音に悩まされた末の自殺だったのでした。そしてその音は、女子大生が耳にした変な音ではなく、赤ん坊の泣き声。かつての住人の家が建つ前に建っていたのは、赤ん坊を殺したという女性の住む家だったのです。彼女は、夜な夜な恨みを言う声にそそのかされてやったと言っているのですが、真相は如何に。

あなたが今住んでいるのは、一軒家か、それともマンションでしょうか。前に住んでいた人のことをどれだけ知っていますか。新築だとしたら、建つ前に何があったか知っていますか。
この映画は、見る人を驚かせるような幽霊はでてきません。ですが見終わった後、きっと1人で家にいるのが怖くてしかたなくなるでしょう。

残穢-住んではいけない部屋-
8

住むだけで呪われるなんて、怖い。

お話は、小説家が、読者からの心霊体験を調べるというものなので、話の進み方が、小説ちっくというか、落ち着いていて、見やすいです。とあるマンションから音が聞こえ、でもそこでの自殺はなかったみたいで、なんでだろうとこっちもいろいろ推理しながら見ることができました。そこに住んでいた人が引越し先で自殺していたり、その土地の関係者にも不審死があったり、話がいろいろ繋がっていくのが面白かったです。
その部屋に住んだら、何かの毒?闇?に囚われてしまう、そういう場所があるのかと怖くなりました。別に、そこで何かあったわけじゃなくても、昔々のことでもそんなふうになるなら、もうどこにも住めないって感じです。話を聞いた人全員が変になったのかは定かではないし、相性というか、闇に囚われやすい人がいるということでしょうか。リングみたいになんか解決策があるわけでもないなんて辛いです。
キャストはみんな、はまり役でした。最初に見た時は気がつきませんでしたが、事故物件に住む若者が成田凌でした。またまた変わった青年の役です。やっぱり彼はこういう役が似合うなあと思いました。また、怪奇作家役の佐々木蔵之介さんも。わざとだとは思いますが、目を見開いてて怖かったです。

残穢-住んではいけない部屋-
8

複数の怪異の根本が全て一緒

直接的に幽霊が出て、登場人物が襲われると言うわけではなく、その土地そのものの穢れから来る人への悪影響を描いているものと思います。ジャンルで言うと、ミステリーホラーに近い物ではないかと思います。
幽霊から長時間逃げたり、関係人が次々謎の死を遂げるなどの、非現実的な内容ではなく、小さい子供の何気ない行動、家にいる時の些細な物音などから不気味さを感じ、それらが前に住んでいた住人が関係しているといった物でした。
様々な謎を紐解いていくうちに、主人公もその穢れに触れていきました。
中途半端に穢れに触れたことが原因か怪異も少しずつ増えていったように感じました。
ただ、この作中で一番心残りに感じたことは、映画そのものの幕引きが、謎を紐解くことから手を引いたり、その土地に住んでいた住人が死ぬ、と言う物だったので終わり方がすごく、ふわっとしたもののように感じました。
唯一そこだけがこの映画のマイナスのポイントだと私は思いました。
ただ、現実的に事故物件のように部屋そのものが穢れてしまっているものは存在しています。そのような物をより身近に感じることができる内容だと思いました。
この映画はホラー映画が苦手な人でも楽しむことができると思います。

残穢-住んではいけない部屋-
8

小説風映画

もともと小説が原作なので、映画の作りも小説風で見やすいというか、音だけでもわかりやすい映画だった。そのため、きちんと画面を見てみる時間がなくても、DVDをかけていられる。とある場所に怨念とかは残るという話で、一つ一つの怪奇現象はただの気のせいかもと思えることだけど、それが同じところで起きたら怖いなあと思うし、そんなところで住むのは無理だと思った。私が怖かったのは赤ちゃんの泣き声が聞こえるみたいなエピソード。赤ちゃんって普通にいるとかわいいし、あの泣き声もたまらなくキュンキュンするのに、ホラーで使われると異様に怖いなあと思います。あと、キャストの話をすると主人公の竹内結子は小説家の役なのですが、いろいろと調べていくシーンがあるのでミステリー映画ファンにもオススメです。あと、橋本愛ちゃんが、怪奇現象の起きる部屋に住んでいて、竹内さんとなぞを調べる役で出ているのですが、やっぱりかわいい。別に女の子女の子した役でもないし、地味な役割なんだけど、それでもかわいらしいなと思う。それに、佐々木蔵之介さんとかも出ていて、いい味を出していました。ホラー映画にしては派手な演出もないし、ほんとに幽霊かどうかもはっきりしない映画なのですが、怖さもあるし、謎解きも面白いのでオススメです。

残穢-住んではいけない部屋-
5

残穢―住んではいけない部屋を観た感想

ホラー要素を期待して観たわりに、あまり怖さはなく、どちらかというと探偵ものを観ているような気分だった。観始めたときは、昨今話題の「事故物件」をテーマにした話だと思ったが、登場人物が探偵のごとく問題を深堀していく。その建物が建つ前、またその前、と歴史をどんどん遡り、たぐっていくと、ひとつにつながるものが見えてくる。それぞれの住人にまつわるエピソードのひとつひとつはチープなものだが、全体として見たときにひとつにつながる、という視点は面白い。自分が住んでいる家が建てられる前にどのような土地で誰が住んでいたのか、そこまで考えることは滅多にないし、それを言ったらどこもかしこも事故物件になってしまう気もするが、歴史的な「土地柄」という視点を持つことで見えてくるものもあるのだろう。主演である竹内結子の淡々とした喋り方、ひょうひょうとしたキャラクターによって、現実感やリアルさが増し、ホラー的な怖さが軽減されているように感じた。映画のタイトルの印象はいかにもホラー的で怖そうであるが、内容的には怖さよりも、調べていくうちにピースがつながっていくワクワク感のほうが強いので、それほど怖がらずに観れる作品だと思う。

残穢-住んではいけない部屋-
10

気にしなければどうということはない的ホラー

呪怨は家に訪れたら終了で、リングは呪いのビデオを見たらアウトだったけど、本作の明確なアウトラインはまったく持ってあいまいである。そのあいまいさがまた恐ろしい。
現代社会において、人口は水のように流動的で、地域の忌まわしい記憶など忘れ去られてしまうのはとても早いだろう。そこを逆手にとったのが本作ともいえる。
この穢れは何が原因なのか、どこから来たのか探し始めると、どこまでも過去を遡る事になり、そんなこと言ったら日本中、いや世界中穢れまみれじゃいという気分に陥ることだろう。しかし、ラストに観客に提示されるアンサーは「気にしなければどうということはない。けど、気にしたほうの負け」というエンド。顔がちょっと強張っちゃう呪いの絵だって好きな人には名画だし、子供が虚空を見つめても気にしなければ何もないのと同じ。穢れはいつも貴方のそばに。本作を観覧後、現実と幻想の区別があいまいになりかける仕掛けがある。実在の人物の登場である。名前こそ多少なりとも変更してあるが、彼を知っているものや、ラジオやテレビで見聞きしているものはすぐに気づくだろう。彼の存在自体がリアルでは胡散臭い人物なのだが、彼が登場することによって私は多少なりとも混乱した。