残穢-住んではいけない部屋-

残穢-住んではいけない部屋-

『残穢-住んではいけない部屋-』とは、小野不由美のホラー小説『残穢』を原作とした、中村義洋監督による映画作品。竹内結子が主人公であるホラー小説作家の私(小松由美子)を演じ、橋本愛がストーリーのきっかけとなる女子大生の久保亜紗美を演じる。ある日、私の元に久保亜紗美から、「今住んでいる部屋で、奇妙な音がする」という内容の手紙が届く。そのマンションを調べていく内に、過去の住人が引き起こした数々の事件について暴かれていく。暗闇の底から這い出てくるような不気味な世界観が特徴。

j_saitouのレビュー・評価・感想

残穢-住んではいけない部屋-
10

気にしなければどうということはない的ホラー

呪怨は家に訪れたら終了で、リングは呪いのビデオを見たらアウトだったけど、本作の明確なアウトラインはまったく持ってあいまいである。そのあいまいさがまた恐ろしい。
現代社会において、人口は水のように流動的で、地域の忌まわしい記憶など忘れ去られてしまうのはとても早いだろう。そこを逆手にとったのが本作ともいえる。
この穢れは何が原因なのか、どこから来たのか探し始めると、どこまでも過去を遡る事になり、そんなこと言ったら日本中、いや世界中穢れまみれじゃいという気分に陥ることだろう。しかし、ラストに観客に提示されるアンサーは「気にしなければどうということはない。けど、気にしたほうの負け」というエンド。顔がちょっと強張っちゃう呪いの絵だって好きな人には名画だし、子供が虚空を見つめても気にしなければ何もないのと同じ。穢れはいつも貴方のそばに。本作を観覧後、現実と幻想の区別があいまいになりかける仕掛けがある。実在の人物の登場である。名前こそ多少なりとも変更してあるが、彼を知っているものや、ラジオやテレビで見聞きしているものはすぐに気づくだろう。彼の存在自体がリアルでは胡散臭い人物なのだが、彼が登場することによって私は多少なりとも混乱した。