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残穢―住んではいけない部屋を観た感想
ホラー要素を期待して観たわりに、あまり怖さはなく、どちらかというと探偵ものを観ているような気分だった。観始めたときは、昨今話題の「事故物件」をテーマにした話だと思ったが、登場人物が探偵のごとく問題を深堀していく。その建物が建つ前、またその前、と歴史をどんどん遡り、たぐっていくと、ひとつにつながるものが見えてくる。それぞれの住人にまつわるエピソードのひとつひとつはチープなものだが、全体として見たときにひとつにつながる、という視点は面白い。自分が住んでいる家が建てられる前にどのような土地で誰が住んでいたのか、そこまで考えることは滅多にないし、それを言ったらどこもかしこも事故物件になってしまう気もするが、歴史的な「土地柄」という視点を持つことで見えてくるものもあるのだろう。主演である竹内結子の淡々とした喋り方、ひょうひょうとしたキャラクターによって、現実感やリアルさが増し、ホラー的な怖さが軽減されているように感じた。映画のタイトルの印象はいかにもホラー的で怖そうであるが、内容的には怖さよりも、調べていくうちにピースがつながっていくワクワク感のほうが強いので、それほど怖がらずに観れる作品だと思う。