蟲師 / Mushishi

『蟲師』とは、1999年から2002年『アフタヌーンシーズン増刊』(講談社)で連載され、同雑誌が休刊後は2003年2月号から2008年10月号まで『月刊アフタヌーン』(同社)で隔月連載された、漆原友紀によるファンタジー漫画である。その後2014年1月号と2月号に特別編が掲載された。コミックスは単行本が全10巻、特装単行本が全10巻刊行された。
本作品は、舞台を江戸期から明治期の間にある架空の時代と設定したノスタルジックな作風が人気を呼んだ、作者のデビュー作である。物語は蟲師(むしし)のギンコが旅をしながら、生命の原生体である蟲の引き起こす不思議な現象と人を繋ぐ姿を描いている。
2003年に「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門で優秀賞、2006年には「第30回講談社漫画賞」の一般部門を受賞した。さらに2007年の「文化庁メディア芸術祭」で「日本のメディア芸術100選」のマンガ部門に選ばれた。テレビアニメは2005年10月から3月、2006年5月から6月に放送された。また2014年には特別編や続章が放送された。アニメは2006年に「東京国際アニメフェア第5回東京アニメアワード」でテレビ部門優秀作品賞を受賞した。実写映画は2007年3月24日に監督大友克洋、主演オダギリジョーで公開され、数々の国際映画祭に出品された。

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蟲師(むしし)は漆原友紀の手による漫画作品。1999年から2002年にかけてアフタヌーンシーズン増刊にて連載された。見慣れた動植物とは異なる生き物「蟲」と人々の営みを蟲師・ギンコの視線を通して描く。第30回講談社漫画賞・一般部門賞受賞。2005年フジテレビ系列にてアニメ化、数々の賞に輝き、2007年オダギリジョー主演で実写化されている。

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蟲師 / Mushishiのレビュー・評価・感想

蟲師 / Mushishi
10

映画を見ているよう

物語は淡々と進み、血の湧くような盛り上がりはありません。
ですがいつの間にかのめりこみ、あっという間に一話が終わってしまいます。

主人公は蟲師という生業で、旅を続けているギンコ。
彼が出会う様々な人と、蟲による出来事を丁寧に描いた作品です。

基本的にギンコはクールなキャラクターですが、自ら困っている人々の話を聞き、人々を救うために自ら壁に立ち向かう、なかなか熱い人物です。

蟲は人々に害をなし、これから人々を救うのが蟲師の仕事の一つであるので、蟲は葬るものであるという考えの蟲師がほとんどです。

ただ、ギンコは蟲と共存する道をさがしており、この優しさも彼の魅力です。

多くの人々がギンコに助けられ、生活を続けていきますが、ときどき、すこし尾を引く終わり方のお話もあります。

先述したように、蟲は害を成すことがあるもの。
ギンコの目指す共存も、簡単ではありません。

ハッピーエンドだけではない、ファンタジーでありながら現実から離れすぎない、これも蟲師の魅力だといえます。

基本的に一話完結の作品です。
一話一話にそこに住む人々の境遇と、想いや希望が詰まっており、一つの映画を見たような満足感に満たされます。

エンディングが流れるたびにほっと溜息が出るような、のめりこんでしまう魅力を持った作品です。

蟲師 / Mushishi
10

心の深い部分を癒してくれる作品

原作は漫画で、アニメ、実写版映画にもなった作品です。原作者は漆原友紀さん。
自然界に存在する動物でも植物でもない、命のもっとも原始的な姿をした「蟲」と、それと人間が関わることで起こるさまざまな事象に対処する「蟲師」ギンコの物語です。

どれも完成度が高く見ごたえある作品ですが、特にアニメーションが秀逸です。
原作を非常にリスペクトしている印象で、独特の色合いは息づかいが聞こえてきそうなくらいのリアリティがあります。
静かで不思議な響きのBGMは瞑想している気持ちになるくらい深い音色で、アニメで初めて『蟲師』を知る人だけではなく、この映像化には原作ファンも驚かされたのではないでしょうか。

不思議な存在の「蟲」と関わることで現れる人間の性(さが)、心の奥底に潜んだ、時には重く切なく悲しい物語がオムニバス形式で綴られていきます。
ストーリーが進んでいくにつれ、登場人物たちの生い立ちや関わりなども次第に明らかになっていくので、物語性も魅力のひとつです。

最近の新しい作品というわけではありませんが、人生でうまくいかないことにぶつかったり、闇に包まれたと感じた時に、自分の心と深く向き合うきっかけとなりうる作品だと思います。

蟲師 / Mushishi
10

美しい世界観と音楽が織りなす、「蟲」と共存する世界を描いた怪異幻想譚

植物でもなく、動物でもない。命そのものが形となった「蟲」。それは時としてヒトに影響を及ぼすのだ。人の中には、蟲が見えるものと見えないものもいる。その蟲の影響により困っている人々を救うのは医者ではなく、蟲師とよばれる数少ない存在。その一人が主人公の、隻眼で緑色の目をした「ギンコ」である。ギンコは蟲を呼び集めてしまう体質なため、一つところに長居できず、蟲師として旅をしている。彼もまた蟲が見える人間だ。蟲による影響や療法を心得てはいるが、ギンコは「蟲の影響からの対処法は先達が長い間時間をかけて編み出したもので、わかっていないことがほとんど」という。舞台は作者の漆原友紀氏によれば、「鎖国し続けた日本」や「江戸と明治の間にある架空の時代」と設定されており、事実ギンコは洋装(ポロシャツにスウェットやコート)ではあるが、登場するほとんどの村人は和装である。幼少期のギンコの幼名は「ヨキ」。崖崩れにより母親を亡くした。一人生き残ったヨキは、のちのギンコと同じ隻眼…緑色の目をした蟲師である「ヌイ」と出会う。ヌイのもとでしばらくの間を過ごし、蟲師としての考え方を学ぶが、ヌイの片目を失くした理由に迫るなかで、彼女が追っていた常闇に潜む蟲、「銀蟲(ギンコ)」の闇に飲まれそうになるところを、ヌイがヨキの左目を犠牲にすることにより救い出す。それ以前の記憶を失い、自分の名前も忘れたヨキは、以降自身のことを「ギンコ」と名乗るようになった。美麗かつ、音楽ともマッチした幻想的な雰囲気と、それでいて日本にかつてはあったような和装の村人たちが織りなす世界観は、この作品の特徴だ。数々の蟲が登場するが、どれもほとんど1話完結であり、見ていて飽きることがない。また、原作の漫画の装丁は非常に丁寧に作られており手触りも良く、漫画としてコレクションするのもいいだろう。

蟲師 / Mushishi
10

日本ならではの世界観!蟲が引き起こす不思議なストーリー。

内容は主人公のギンコが蟲が引き起こす様々な現象を解決しながら旅を続けるストーリーです。蟲とは妖怪や霊とはまた違う、見える人は限られるが確実にそこに「生きている」生物の一種。それらが引き起こす不思議な出来事、例えば「雪が降りやまない」「山から出られなくなる」などの自然現象、「目が見えなくなる」「記憶が1日でなくなってしまう」などの人体に関わる現象などを、蟲師であるギンコが解決していきます。
作品の世界観は昔の日本、昭和初期や祖父母が子どもだった頃をイメージするとわかりやすいかもしれません。作者の漆原さんは自分のおばあちゃんから色々と不思議な話を聞いていたとのことなので、そういった話を参考にこの作品を描いたのかなとも思いました。
蟲師の読みやすい点として、上記の日本ならではの作品ということもありますが、1つ1つが短い短編で成り立っているところです。基本1話完結なので、長編を読むのが苦手な人でも少しずつ読むことができます(私はハマってしまい一気に読んでしまいましたが…)。なので、アニメ放送もされましたが、毎回30分の1話完結でキリがよく見ることができます。また、原作ファンには嬉しい、忠実に原作が再現されており、作画もとても美しいです。漫画にハマった方はぜひアニメも見てほしい作品です。

蟲師 / Mushishi
10

哲学的なアニメ

世にアニメは数あれど、採算度外視で原作を忠実に再現しているアニメでこれ以上のクオリティの作品はそうそう無いと考える。それはつまり、クリエイター達の本気を見られるということである。この作品の原作は漫画であるが、それに音と動きをつけることでこれだけリアルさを感じられるのかと初めて見た時は感嘆した。またほとんどが一話簡潔であるため、どの話数から見ても問題無くストーリーを理解できるのもオススメできる点である。見始めたら、まずは単純にその映像美を堪能して欲しい。背景の作り込み、見たことも無い蟲の確かな存在感にただただ脱帽する。また音響にもこだわっており、蟲の奏でる音色が美しい。肝心の物語は蟲という普通の人には見えない存在がいる世界での人と蟲、そして蟲師のギンコの体験したことを軸に進んでいく。文字にすると味気なく感じるが、どれも良く考えられていて、架空の物語と分かっていても自分の生活や人生と照らし合わせて深く考えずにはいられない。蟲という存在として描かれているが、むしろ蟲は私たち自身なのかもしれない。アニメを見ていくうちにどんどんそんな気がしてくる。とにかく不思議な気持ちや考えさせられるアニメであり、時間がある時にじっくりと見てほしい作品である。

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