心の深い部分を癒してくれる作品
原作は漫画で、アニメ、実写版映画にもなった作品です。原作者は漆原友紀さん。
自然界に存在する動物でも植物でもない、命のもっとも原始的な姿をした「蟲」と、それと人間が関わることで起こるさまざまな事象に対処する「蟲師」ギンコの物語です。
どれも完成度が高く見ごたえある作品ですが、特にアニメーションが秀逸です。
原作を非常にリスペクトしている印象で、独特の色合いは息づかいが聞こえてきそうなくらいのリアリティがあります。
静かで不思議な響きのBGMは瞑想している気持ちになるくらい深い音色で、アニメで初めて『蟲師』を知る人だけではなく、この映像化には原作ファンも驚かされたのではないでしょうか。
不思議な存在の「蟲」と関わることで現れる人間の性(さが)、心の奥底に潜んだ、時には重く切なく悲しい物語がオムニバス形式で綴られていきます。
ストーリーが進んでいくにつれ、登場人物たちの生い立ちや関わりなども次第に明らかになっていくので、物語性も魅力のひとつです。
最近の新しい作品というわけではありませんが、人生でうまくいかないことにぶつかったり、闇に包まれたと感じた時に、自分の心と深く向き合うきっかけとなりうる作品だと思います。